犬猿の仲の政略結婚なのに、旦那様が別れてくれません。

屋月 トム伽

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旦那様はお怒りです 3

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「では、ルドルフ。ロザムンド様の居場所を教えてください」
「知りません。誰も知らないと思いますよ」
「トラビスでも、ですか?」
「トラビスさんは、昔からいる執事ですが、置いて行かれたみたいです」

それは、トラビスが用無しということなのでは?

「奥様は、侍女や数人の昔からいる使用人だけを連れて出て行ったのです。アリス様にお疲れだったようですね」
「不仲だったのですか?」
「表向きは、そうでも無いと思いましたが……亡くなった旦那様は、妾を大事にされていたので……」

大事にしていたことはわかる。だからといって、何も話さないで置いていかないで欲しい。

「でも、容赦は無用ということですね」
「誰にですか?」
「それと、アリス様の恋人を知っていますか?」
「いますかね? ウォルト様をお好きなようですし……」
「でも、そのウォルト様がいると言うのです。以前から、よく出歩いているみたいですし……セルシスフィート伯爵邸に、お呼びしたことはないのでしょうか?」
「ありません」
「では、どうして、ウォルト様は気付いたのでしょうか?」
「どうしてと言われましても……」

ルドルフが言いにくそうにするが、彼は表情の機微が薄いためよくわからない。

「そもそも、なぜティアナ様は、悪い噂を放置していたのですか? 離縁するつもりだったからですか?」
「夜会での噂は知らなかったのですよ。私は、結婚してから夜会に参加しませんでしたので……」

そう言えば、秘密の夜会とか言っていた気がする。私は、そんなところに結婚後どころか前も参加したことはない。

「怪しいですね……」
「夜会に参加してない?」

怪しいと考える私と、夜会に参加してないことを初めて知ったルドルフ二人がそれぞれが考え込んだ。

「みゃあー」
「ブランシュ。お腹がいっぱいになったの?」

ミルクを飲み終わったのか、よじ登ってくるブランシュを抱っこする。

「夜会に参加してないのでしたら、今までどこに行かれていたのですか?」
「ウォールヘイト伯爵邸に帰ったりしていました。領地を放置できないので」
「使用人たちは、また遊び歩いていると噂してましたよ」
「セルシスフィート伯爵邸でも、そんな噂が……」
「ティアナ様は、遊び歩くような感じの方に見えなかったので、悪く取っているだけだろうと思っていたのですが……」
「いいのです。でも、少し確信しました」

同じような噂が流れているということは、セルシスフィート伯爵邸に噂を流した人間がいると言うことだ。

夜会で伝え聞いたものでも、夜会に参加出来るのは、セルシスフィート伯爵邸では貴族のアリス様だけなのだ。

「……おそらく、ティアナ様を追い出すために噂を流したのでしょうね」
「でも、そのせいでウォルト様が怒ってしまいました。今も、アルフェス殿下に誤解を解きに行ってくると言って出て行きましたし……」

そのせいで、ウォールヘイト伯爵家がますます風当たりが強くなるのは看過できない。

「セルシスフィート伯爵領でも、ウォールヘイト伯爵領の人間が無礼な態度を取っているとお聞きしました。これ以上犬猿の仲にするわけには行きません」

真剣な眼差しで言うと、膝の上の子猫を撫でるとすり寄ってくるふわふわの毛並みが可愛くて、目尻が緩んだ。

「大丈夫です。ブランシュが快適に過ごせるようにしてみせますからね」
「みゃあー」
「というわけで、ルドルフ。今日から、私の食事はあなたが給仕してください。ブラッシュの食事もです。侍女も探しますので、募集をかけます」
「トラビスさんは? 彼がセルシスフィート伯爵邸の執事です」
「放っておいて下さい。彼は、アリス様に差し上げます」

きっぱりと言うと、一瞬だけ呆気にとられたルドルフが、少しだけ口端を上げた。

「わかりました。では、今夜の晩餐から、そうします」
「はい。それと、私はすぐに出かけますね。晩餐には帰って来ますので、ブランシュをお願いしますね」
「どこにですか?」
「仕事です。あとは頼みますね」
「畏まりました」
「では、行って来ますね!」

なかなか離れてくれないブランシュを、無表情のルドルフに渡す。みゃあみゃあと鳴くブランシュに後ろ髪を引かれる。そして、ルドルフに見送られながら出かけた。





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