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冷たい旦那様はどこへ 6
しおりを挟むチャリティーは大盛況だ。ウォールヘイト伯爵領の売り手の場所へと行けば、安くした新鮮な野菜に焼き菓子はまぁまぁの売り上げだった。
「みんな。どうかしら?」
「売り上げは上々です。こんなバザーは初めてなので戸惑ってますが……」
「そうね……ウォールヘイト伯爵領には、こんなこと出来なかったからね。売り上げは気にせずに、ウォールヘイト伯爵領のことを知ってもらえるように、みんなで頑張りましょう。でも、疲れたら、交代で休むのよ」
「「はい。お嬢様」」
初めてのことに戸惑いながらも、休む暇がないのはいいことだ。そのおかげで、戸惑いはお客様には気づかれない。
ウォルト様が提案してくださったセルシスフィート伯爵邸の見学会のおかげだ。
それに、ウォールヘイト伯爵領の領民には秘密にしているけど、もし売り物が余れば、ウォルト様がすべて買い取ってくれると言った。売り上げに精を出して欲しいから、まだ秘密だけど。
その言葉に甘えていいのかと悩んだが、そうしなくていいほど売り上げは芳しい。
ロザムンド様も来て下さった。しかも、反対をしなかった。それが、嬉しいと思える。
頑張ろう……。
「そう言えば、ロザムンド様にも、軽食を持って行きましょうか? そろそろウォルト様にも、いるわよね」
「にゃっ!」
「はい。ブランシュの食事もいるわね。チーズも出していたから、一緒に持って行きましょうね」
ブランシュを地面に降ろして、軽食を取りバスケットに入れた。
そして、大人気のセルシスフィート伯爵邸見学会へと行くと、ルドルフは受付けで、手際よく順番を回していた。
「ルドルフ。お疲れ様です」
「ええ、疲れました」
「ふふ、あなたが執事でよかったわ。ウォルト様に感謝ね」
「あとでお手当ください」
「ウォルト様に進言しますね。さぁ、ブランシュ。行きましょう。ルドルフは大丈夫よ」
「みゃっ」
疲れ気味なのだろうけど、そんな様子は微塵も見せないルドルフを労い、セルシスフィート伯爵邸へと入る。
周りでは、そんな使用人との会話を見ていたセルシスフィート伯爵領やウォールヘイト伯爵領の領民たちや王都からの人々が目を丸くしていた。
「ウォールヘイト伯爵家の令嬢は、高慢で男好きな意地悪ではなかったのか……」
「貴族が使用人と、あんなに気さくに話すなんて……」
「ウォールヘイト伯爵家のお嬢様が、セルシスフィート伯爵家と上手くやっていたのか……」
などと、密やかに話していたが、忙しい中で歩いている私には聞こえなかった。
そんな私と違い、聞こえていたルドルフはどこか満足そうに、また受付けに精を出している。
セルシスフィート伯爵邸では、ウォルト様が忙しそうに指示を出して回っていた。
「ウォルト様」
「ティアナ。来てくれたのか……外はどうだ?」
「ウォルト様のおかげで大盛況です」
「ティアナのおかげだ。アイディアを出したのは君だ」
「でも、ウォルト様も素晴らしい提案をしてくれました」
「では、二人のおかげだ」
「はい……」
ウォルト様に微笑むと、彼も自然と釣りあがっている目尻が緩んだ。
その隙を見逃さないブランシュが、ウォルト様に飛び乗った。「みゃあ」と懐くブランシュが可愛くて、ウォルト様の腕の中のブランシュを撫でた。
「腹が減っているのか?」
「そうかもしれません。一緒に食事を摂ろう思って、ウォルト様とロザムンド様の軽食をお持ちしました。そう言えば、ロザムンド様はどちらに? お会いになりませんでしたか?」
「お会いになったぞ……見学者に交じって一緒に回っていて驚いた」
ロザムンド様……意外とお茶目ですね。長年住んでいたセルシスフィート伯爵邸の何が珍しいのでしょうか。しかも、あの平民とは違う貴族らしい豪華なドレスで見学者の中に交じって一緒に回るとは……。まぁ、貴族だから特別扱いしろと言わないので、良しとします。
「トラビスは母上を見るなり青ざめて、いつ母上が来るかわからないから、ずっと気を引き締めて邸の案内に精を出している。おかげで、見張りは必要なくなった……」
「ははは……」
もう突っ込みどころもない。渇いた笑いしか出ない。
「トラビスは、放っておきましょう」
「そうする。母上は上階に上がったから、迎えに行こう。二階のバルコニーで食事でもすればいい。使用人たちも食事は摂っているか?」
「はい。交代で休憩に入るように、シフトも作りましたので大丈夫です」
「そうか。では、行こうか」
「はい」
ウォルト様が人前なのに、迷わずに手を引いてくれる。その横に立って上階へと歩き出した。
「みゃっ!! みゃっみゃっ!!」
上階へと上がり、アリス様の部屋へと向かっていると、突然ブランシュが鳴き始めてウォルト様の腕の中で丸くなってしまった。
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