時間が戻った令嬢は新しい婚約者が出来ました。

屋月 トム伽

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第一章 ブラッドフォード編

蜜月はまだ来ない

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オズワルド様が鉱山に行き、もう結構時間がたった。
夕食は先にと言われたが、どうせオズワルド様がいないと寝れないから一緒に食べようと待っていた。

「本当に簡単なものでいいのですか?リディア様一人でも、きちんと出しますよ。」
「オズワルド様と食べますから、簡単で大丈夫です。お帰りになった後はオズワルド様も疲れているかもしれませんから。でも、お部屋で食べるのは嫌がるかしら?」
「でしたら、二階のサロンに準備しましょうか?あそこならバルコニーも広いですし、バルコニーの大きな窓を開けると星が綺麗に見えますよ。」
「ではお願いします。あと、オズワルド様がお帰りになったら教えて下さい。お迎えしますね。」

リンクスに食事の手配をして、後はオズワルド様が帰るのを待つだけになった。

しかし、時間が戻ってから何だか忙しい気がする。
いや、私よりはオズワルド様が忙しいのかも。

時間が戻る前なら、一週間後ぐらいにレオン様と二人で会うはずだった。
その時は、キラキラの笑顔で、婚約を受けていただきありがとうございます。とか言われてた。
今思うと、何が婚約だ!って感じですね!

そういうのがなくなったから、オズワルド様には感謝するべきよね。

早く帰って来ないかしら…。
ちゃんとお出迎えしますからね。

そう思い、一人部屋のソファーに転がり本を読んでいた。

深夜に近付き、廊下から足音がした。
ほんの小さな足音だが気付いた。
リンクスが来たのだと。

ゴロゴロしてる姿は見せられない為、リンクスがノックする前にさっと品良く座り直した。

「リディア様、」
「開けても大丈夫よ。」

リンクスがドアを開け、オズワルド様がご帰宅だと、教えてくれた。
では、参りましょう、とリンクスとお迎えに玄関に向かった。

「お帰りなさいませ、オズワルド様。」

玄関から、堂々と入ってきたオズワルド様を出迎えると、オズワルド様は驚いていた。

「出迎えてくれたのか?」
「何かおかしいですか?」
「いや、ただいま、リディア。」

オズワルド様は私の出迎えに嬉しそうになった。

「リンクス、魔水晶を明日朝一番に細工師のところに持って行ってくれ。」
「かしこまりました。」

オズワルド様は魔水晶が入っているカンテラみたいな容器をリンクスに渡した。

「オズワルド様、リディア様が一緒に食事をと待っておられました。すぐに温かいスープもお持ちしますので、二階のサロンへどうぞ。」

オズワルド様はまた嬉しそうになった。
どうやら、私が待っていたことに感激しているみたいだ。

サロンへ行き、オズワルド様と二人で夜食のような食事を始めた。
リンクスは、ごゆっくりどうぞ、とサロンから出て行った。

「まさか、待ってくれているとは思わなかった。」
「まあ、一人で食べてもつまらないですし。…あの、どうして、魔水晶を採りに行ったのですか?元々採りに行く予定でしたか?」
「いや、あれはお前に贈る。上手く魔力を貯めれたら一人でも多少は寝れるかもしれん。」

一人でも寝れる!
まだ、心の準備が全く出来てないから嬉しくなり、思わず顔に出てしまった。

「では、一緒でなくていいのですね!」
「細工するのに時間はかかるが…お前はそんなに一緒は嫌か?損はさせないぞ。」
「何の損ですか!まだ、心の準備が出来てないだけです!いつできますか?」

オズワルド様は何だか、ムスッとした。

「…何だかやるのが嫌になってきた。」
「そんなこと言わないで下さい!」

そう言うと、オズワルド様は手を握ってきた。
正直ドキドキしてしまう。
経験値0のせいだろうか。

「今夜から絶対逃げるなよ。」
「逃げませんけど、何もしないで下さいね。」
「では、食事も終わったし、部屋に帰るぞ。」
「はい。」

そして、寝支度を整えすぐに行くかどうか、考えているとオズワルド様が続き部屋のドアから声をかけた。

「リディア、準備できたか?まだか?」
「ちょっと待って下さい。」

ソファーにかけていたガウンを取り羽織ると、オズワルド様が、入るぞ。とドアを開けた。

待ってと言ったのに、この男は!
ちょっとぐらい待てないのか!

オズワルド様がご機嫌で、何だか行きたくなくなってきた。

「何だその嫌そうな顔は。」
「何でしょうか。温度差を感じますね。」

一瞬、二人の間に空気が固まったが、オズワルド様は気にせず、私を連れて行った。

ベッドに入ると、隣にいるだけで動悸がするのに、オズワルド様はどう思っているのか。

「手を繋ぐだけですよ。」
「わかっている。無理にはせん。」

きっと、蜜月を期待しているのだろうけど、もう少し待って欲しい。
寝たフリも通用しないだろうけど、オズワルド様を見てると流されそうになるから、ずっと目を瞑っていた。
そして、いつの間にか眠らせてくれていた。





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