時間が戻った令嬢は新しい婚約者が出来ました。

屋月 トム伽

文字の大きさ
84 / 148
第一章 ブラッドフォード編

闇に包まれる 4

しおりを挟む
間に合わなかった━━。
リディアが転移魔法でどこか飛ばされた。

ウィルは壁にもたれ意識がない。
アレクはフェリシア様に駆け寄り保護している。
フェリシア様の魔力を抑える薬を使ったのは魔法が効きやすくする為かと悟った。
フェリシア様はシャレイド公爵家の一員だから、魔法が効きにくかったはずだ。
抵抗されては困ると思ったのだろう。
それにエルサが魔法使いとは誰も知らなかった。


だが、そんなことはもうどうでもいい。

沸き立つ黒い感情が止まらず、それに呼応するように魔力を解放した。

「リディアをどこへやった。」

魔法騎士団がエルサを捕縛しようとするがエルサは抵抗していた。

「離れろ。その女には聞くことがある。」

一気に足元から闇が広がり、魔法騎士団の前に闇で壁を作り近づけないようにした。
闇に弾かれる者もいた。
そして、俺の足元からの闇が溢れ触手のように伸ばしエルサの首を捕らえた。
エルサは風を刃のように飛ばすが痛みなど気にもならなかった。

「リディアをどこへやった。」
「…っ知らないわ!リディアは勝手に飛び込んで来たのよ!」

首を掴まれ苦しそうなエルサを見てレオン様が止めようとした。

「オズワルド!今、エルサを尋問するからっ…」
「黙れ。…一度は見逃したんだぞ。一度は…二度目はない!」

一度ならず二度までリディアを傷つけるレオン様はもう邪魔者でしかない。
リディアが消えた今、抑えられない感情が溢れ、その感情は剥き出してレオン様に向かった。
そして足元の闇の触手をもう一本伸ばしレオン様をそのまま壁に叩きつけた。
レオン様の悲鳴と共にアレクが止めてきた。

「オズ!止めろ!ヒース、オズを止めるんだ!」
「オズ!リディアさんはすぐに探し出す!レオン様を離せ!」

レオン様を叩きつけていた触手をヒースが大地の魔法で壁を作り立ち切るが見逃すつもりはない。

「ヒース!レオンを逃がせ!」

ヒースはレオン様の前に大地の壁を作り必死で守っていた。
何故こいつの為にヒースが守るのか。
こいつにはヒースが守る価値はない。

「オズ、止めろ。アレク様の宮を沈めるつもりか。」
「…リディアがいない。そいつは邪魔だ。」
「リディアさんはすぐに探し出す。」
「そいつは自分のことしか考えてない。一度でもリディアに尽くしたか。リディアに愛されたいのに、自分から示したか。何もしないのにリディアが当然のように好きになると思ったのか。こいつはダメだ。エルサにも誠実に向かい合ったのか。エルサを知ろうとしていたらこんなことにはならなかったはずだ。」
「…それでもアレク様の弟だ。」

…ヒースはこいつを必ず守るだろう。
そう思うほどヒースの気迫を感じた。

ヒースからを顔を背け、エルサにもう一度リディアの行方を聞いた。

「リディアをどこへやった。」
「知らないっ!」
「なら闇に飲まれてろ!」
「キャア━━ッ!」

エルサを闇に包み込み、何度聞いてもエルサは知らないとリディアの居場所を吐かない。
悲鳴さえも耳障りだった。
闇に包み込まれると死霊も寄って来る。並みの神経では耐えられない。
だが、廃人になろうが知ったことではない。

この一角も段々闇に飲まれ死霊が寄り始めていた。

フェリシア様の悲鳴も聞こえる。
だがリディアの声は聞こえない。
聞きたい声が聞こえない虚しさがまた押し寄せてきた。

そして、闇で作り上げた壁を打ち破ったのはフェルト様だった。

「オズワルド!何をしている!?」
「フェルト!レオンを逃がせ!」
「逃がす気はない。」
「止めてくれ!レオンは弟だ。」
「リディアが悲しむわ!」
「そのリディアがいない。」

アレクもフェリシア様も必死で止めようとするが怒りは収まらない。

「…っ!フェルト!すぐにエルサを尋問しろ!手荒にしても構わん!転移魔法の使える者もすぐに連れて来い!」

アレクはフェリシア様を抱えレオン様の前に立っていた。

「っ、すぐにエルサを尋問しまっ…」

レオン様が口を開くと、言い切る前にアレクが殴りつけた。

「黙れ!何故こんなになるまで気付かなかった!?リディアをどこへやったんだ!」
「し、知りません!私は…!何も…!」
「ふざけるな!知らんではすまないぞ!」

アレクは俺の怒りを変わりにぶつけるようにレオン様を殴り責めた。

そして、闇に包まれ床に苦しみ転がっているエルサがやっと吐いた。


「王宮の…外に…飛ばし…た…だけ…!」

その言葉にすぐに王都周辺まで捜索を始めようとした時、リディアの手掛かりの知らせがきた。




しおりを挟む
感想 87

あなたにおすすめの小説

勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました

鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」 そう言ったのは、王太子アレス。 そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。 外交も財政も軍備も―― すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。 けれど功績はすべて王太子のもの。 感謝も敬意も、ただの一度もない。 そして迎えた舞踏会の夜。 「便利だったが、飾りには向かん」 公開婚約破棄。 それならば、とレイナは微笑む。 「では業務も終了でよろしいですね?」 王太子が望んだ通り、 彼女は“確認”をやめた。 保証を外し、責任を返し、 そして最後に―― 「ご確認を」と差し出した書類に、 彼は何も読まずに署名した。 国は契約で成り立っている。 確認しない者に、王の資格はない。 働きたくない公爵令嬢と、 責任を理解しなかった王太子。 静かな契約ざまぁ劇、開幕。 ---

侯爵家の婚約者

やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。 7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。 その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。 カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。 家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。 だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。 17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。 そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。 全86話+番外編の予定

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので

ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。 しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。 異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。 異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。 公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。 『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。 更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。 だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。 ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。 モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて―― 奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。 異世界、魔法のある世界です。 色々ゆるゆるです。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください

ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。 義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。 外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。 彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。 「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」 ――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。 ⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎

姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。 王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。 数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ! 自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。

処理中です...