氷狼陛下のお茶会と溺愛は比例しない!フェンリル様と会話できるようになったらオプションがついてました!

屋月 トム伽

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第一章 フェンリル

夜会

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夜会当日。
フェリクス様の用意したドレスで参加することになる。
まさか、初めての夜会がフェンヴィルムになるとは思わなかった。

フェリクス様は、一週間ぶりに魔物狩りから帰還して、そのまま夜会へとの参加になる。本当に忙しい方だ。
でも、どうせならフェン様は置いていってくださって欲しかった。一週間も会えないと淋しい。

そう思いながら、夜会へと向かっていた。

「ダンスは大丈夫ですか? フィリ―ネ様」
「ずっと練習していたし、頑張るわ。ジルも夜会で好きに楽しんでくださいね」
「そうします。フィリ―ネ様は、陛下の側にいると報告を受けましたから……私は近づくなということらしいですわ」

会場に向かいながらドレスアップしたジルがツンとして言う。でも、最近はフェリクス様の不況を買わないようにか少しだけ態度が緩和した気もする。でも、嫌われているままだということもわかる。

夜会につくとすぐにジルと引き離されて、フェリクス様のもとへと連れられて行った。
彼は私を待っていてくれたようで、「おいで」と言って手を出してくれた。

そして、陛下とのダンスは一番最初にすることになるが、緊張しかない。
ディティーリア国では、離宮の軟禁生活でダンスの練習などなんのためにするのだろうと疑問しかなかったけど……まさか、ここで役に立つとは思わなかった。

フェリクス様に手を取られて、会場の中央に出る。音楽は落ち着いた曲が流れている。

(大丈夫……ここに来てからも練習したし……)
「リーネ」

真っ直ぐに前を向いていると、フェリクス様が私の名前を呼び見上げる。

そして、ダンスが始まる。
人とダンスなどしたことない私は、不安から足に視線を落としてしまっていた。

(リーネ。顔を下げるな)
(次は右だ。足を……そう……)

心の声が通じているせいか、フェリクス様が私の頭に直接話しかけてくる。少しでも私の足が遅れないように、優しくてそれでいて力強い声が響いている。それが不安な気持ちを和らげた。
顔を上げると、上手くリードしてくれるフェリクス様と目が合い、彼の助けを借りながら足を合わせていた。

(……上手くできていた)
(フェリクス様のおかげです。ありがとうございます)
(言うだけでダンスはできるものではない。リーネがずっと練習をしていたからだ。謙遜することはない)

中央から下がりながらフェリクス様との会話を頭の中でする。そのせいか、お互いに見つめあいながら陛下の席へと戻った。

「フィリーネ様。お上手です」

フェリクス様の席に戻り彼の傍らに立っていると、正装したヴァルト様が私を誉めてくれている。
その場にもう一人男性がやって来た。

「フィリーネ王女。私とも一曲いただけますかな?」

私を誘ってきた人はフェリクス様よりも少し年上の方だ。薄い水色の長い髪を一つに束ねている。この方が歩くと周りが一線を引くように道を開けていた。

(でも、先ほどのはフェリクス様のおかげで上手くいったのに、この方の手をとっていいのだろうか)

悩みながら、胸元で両手を自分自身で絡めると、その手をフェリクス様が掴んだ。

「兄上。本日はリーネの披露目です。お誘いは遠慮願います」
「私ともダメなのか?」
「リーネは、俺の側にいて欲しいのですよ」

二人の間に挟まれて困惑する。でも、フェリクス様の心の声は(行く必要はない)と呼びかけていた。

フェリクス様の兄上は確かアイザック様だった。本当ならばアイザック様が第一殿下だったから、彼が陛下になる予定だったが、この国ではフェンリル様の幻獣士が陛下になるという。王妃教育でこの国のことをいろいろ教えてもらいそう習った。

アイザック様は「では仕方ない」とはにかみながら諦めて去ってしまった。

(幻獣士に、なにかあるのでしょうか? フェン様はこの国を守っているらしいですし……)

アイザック様が去ってくれて、ダンスをしないで済みホッとすると、また頭の中にフェリクス様が話しかけてきた。

(しばらくしたら一緒に下がろう)と……。







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