勇者の血を継ぐ者

エコマスク

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【97話】 国王からの初依頼

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リリアはフライング・シャーク退治と王国の荷物回収に来ている。
正確に言えば、リリアとその他付属付きでこの山岳地帯まで来ている。

立派な馬車で迎えにこられたリリアはリーダリア宮中まで連れられ、突然国王と謁見した。
何やら、優しく親しくルーダリア国王から御言葉を投げかけられる。女王も列席。
雪の中、外でブルブルと凍えていたのに、家の暖炉に急に通されて当たらされるような距離感の変化… なんだこりゃ…
リリアが不思議がっていると、どうやらマンティコアとドラゴン・リザード退治のお礼状を読んで「そんな実力の持ち主だったのか!」と宮中がリリアを見直したらしい。
“何だ今更、勝手な連中め”とリリアは思うが、認められて悪い気はしない。
ドラゴン・リザードも強敵だが、マンティコアを4人パーティーで倒したのには高評価のようだ。確かに、走れて飛べて呪文が使えて、人並みの知能、手練れの大型パーティーでも犠牲を出しながらやっと倒せる敵を手際よく倒した…
表向きとしては… である…
実際は、マンティコアにされてしまったロガルドの願いを聞き、心臓を貫いただけで戦ってはいない。

複雑な思いもあるがとにかく、王に褒められているリリアはちょっと得意。
「ディルめ!聞いたか、散々勇者の家系をバカにして!」
後ろに控えているであろう勇者管理室のディルにリリアは背中で威張る。
「では早速、フライング・シャーク退治と荷物の回収に出発していただこう、勇者リリア殿」国王の声が謁見の間に響いた。
「…… え?退治?」リリアは面食らう…
突然呼ばれて、妙に褒められたと思ったら頼み事か…
まったく…っと言いたいところだが、これが本来あるべき形か…
マンティコア退治の実績を買われての事らしいのだが、実際には倒していない…
フライング・シャークなんてリリアに倒せるのだろうか…

そんな事より、リリアには言うべき事がある!

「退治は承知しました。が、王様、先日の評議会の決定でリリアは勇者として給料が出ていないです」
リリアが言い終わる前にディルを始め、数名の者に慌てて羽交い絞めにされ「王にそのような事は無礼であろう!」「金銭の様な類の話しを今するでない!」と口々に言われ部屋から引っ張り出された。謁見は終了。
リリアからしたら無給で働かせているお前らの方がよっぽど無礼であろう!っと思う。


とにかく突然呼ばれて、ドタバタと出発。
何だかよく分からない… リリアは概略をディルに聞く。
コドモ・ドラゴンで戦線に向けて空輸させた物資類が山岳に住むフライング・シャークに襲われて荷崩れしたらしく、その回収と可能な限りサメ退治との事。
「戦線の物資?軍の仕事っぽいけど…」リリアがディルに聞く。
「場所的にも政治的にも軍ではなく、勇者にお願いしたところなのです。軍が動かせれば、良いのですが、山岳は険しく行軍に相応しくありません。簡単に割ける戦力も無く、何しろ資金がかかります。リリア一人ならお手軽、お手頃です」ディルが淡々と言う。
「あんた以外に誰か担当者いないの!!」リリアが怒鳴る。失礼過ぎだ!!
しかし、勇者っぽくなってきて、リリアは嬉しくはあるのだが…
問題も山積み…

先ず、思ったより大所帯。リリアに付属品がいっぱい…
国の執行監査人、勇者管理室のディル、損害を調べる財務官、その三人を守る騎士二名、正副二名居る治癒係りのプリースト、これまた損害を調べる保険ギルドの人一名、それを守る騎士とプリースト一名づつ。馬車に乗る時はこれらに馬車手と護衛が顔を並べる。プラス、国から依頼される初勇者仕事としてピエンが独占取材で帯同する。
「なんなのこれ… こんなに人が必要?」リリアが呟く。
「作戦の管理、認定勇者の管理、財産の管理、保険の査定、全て政に重要です。それに労使規定により、屋外危険作業時には正規兵士と認定プリーストの帯同が決められております。規定に重大な違反して事故が起きた場合は………」
「あぁ… はいはい… 要は大勢で行くのね…」長いディルの説明にうんざりするリリア。
監査人、ディル、財務官で一馬車、保険ギルドで一馬車、リリアとピエンで一馬車に分乗。これも規定と保険の関係らしい。
ディルはリリアの馬車に一緒に乗りたいようだが…
「はん!保険と規定があるんでしょ!ディルは向こうの馬車だって!ピエン、二人でハチミツバターパン食べようねぇ!」
リリアは少し仕返し。


移動中
スプリングの効いた馬車、フカフカの椅子、リリアが車内でウトウト昼寝していると
「勇者様、魔物です、退治願います」
馬車の扉が開き、起こされた。窓から見ると、どこかの原っぱ。
準備して馬車を飛び出すリリア!


山岳到着の話しは少し先になりそう。
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