勇者の血を継ぐ者

エコマスク

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【121話】 リーダーなリリア

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ウェスチェスター ビラ・メイレル(メイレル村)
王国のバナーが掲げられている登録村
ルーダ港が栄始め、西野貿易ルートが発展しだしたこともあり、今年から登録村に昇格した。
この村から先の西方で移民軍と敵軍を相手に国境争いをしていることもあり、経済がまわっているが周辺は物騒。周辺から国境近くまでの集落と小さな村を統括している。
国境付近で長く地味に紛争が続き、魔物が増えだし、各都市の冒険者ギルドに治安回復のボランティア募集を出していた。リリア達はその治安維持活動に参加するのである。

そのメイレル村に到着したリリア達。
ここに治安維持活動の本部を置くらしい。村長が総責任者、指揮はこの村のシェリフ・リーダー。
各街のギルドからボランティアが参加している。
「おぅ!バーネット久しぶりだな!」「サリー元気してたぁ?」「ネネは相変わらずそうだな」
各地から集まって来た冒険者達は昨晩、知古の再開を果たして盛り上がっていた。
「オフェリア!マイ、オフェリア!」「リリア、約束通り来たわよ」
リリアもオフェリアと再会。

そんなわけで、集合の朝は開会式?挨拶?が行われている。
冒険者達と村のシェリフ達が適当に並び、村長とリーダーから挨拶を受ける。
王国からも役人が来ている。
「オフェリア、あたしってば、またリアルゴールドのモデルやってるのよ、今度パウロ・コートの街にも行くよ」
居並ぶ列の後ろでリリアはオフェリアとおしゃべりしている。
どうせ、偉そうなやつがダラダラ長々と演説して、中くらいに偉いやつがもっともらしい事を述べて、ちょっと偉いのが「ご安全に!」とか言って、最後に国歌斉唱して終わるやつだ。別に聞いていても大した意味はない。
リリアはおしゃべりに夢中。
「ちょっとリリア、いい加減いしないさよ」オフェリアが注意する。
「平気だよ、どうせ聞いてたって耳掃除にもならないような話でしょ」
リリアはうっふっふっふ、と笑っている。

「………………」
うっふっふっふ、と笑っていたらいつの間にかシーンとなって周りがリリアを見つめている…

「あら?もう解散?それともちょっと声大きかったかしら?」
リリアは愛想笑いをしながら手を振る。度胸だけは満点。
「ルーダリアの公認勇者っておまえだろ、呼ばれてるぞ!」誰かの声がした。
リリアは呼ばれていたらしい…
「あぁ… はいはい!リリアはここです!ここにいます!」
リリアは手を挙げながら歩み出た。
「おぉぉ、そなたが公認勇者リリア殿か、こちらへ、こちらへ…」村長が呼ぶ。
「村長、あたしがリリア。あなたに神のごかごがありましょうに」最前列の見通しの良いところまで歩み出たリリアは村長に挨拶。
「おぉ、それでは勇者殿から皆に挨拶を」
いきなり挨拶を促された。“挨拶?”何で?何の?全然話し聞いてなかった。ま、自己紹介的なやつかな?
“村の教会でもやったことあるやつね。皆で自己紹介しあうやつ。リリアはこう見ても公認勇者。云わば国の顔、第一印象が大事よね、笑顔笑顔!昨日、髪をきちんと櫛しておいて大正解!身だしなみも万全よ!元気よくご挨拶ね”
「おはようございます!ウッソ村出身、ルーダ・コートの街所属、ギルド・ルーダの風に在籍するルーダリア王国公認勇者のリリアよ!よろしくね!皆様に神のごかごがありますように」
リリアは笑みを浮かべて手を振る。
“……… 何の?白けた雰囲気ね。もっとボケたりオチを付けた方が良かったの?”
村長を見ても、その他大勢を見ても「… そんだけ?…」的な感じだ。
“これはあれね、当てられた人が次の人を指名するパターンのやつね”リリアは閃く。実際には何も閃ていないが…
「えっと… じゃ次の挨拶は… そこのドワーフさん、そうそう、アックスをダブルでぶら下げているあなた」
リリアに突然指をさされてびっくりしているぞ、ドワーフさん。
“違うのかな?… まだ何か話すの?… こまるなぁ、今時は話の最後にクスっと笑えてオチていないと話が済んだことにならないのよねぇ… いっそ、暗闇でルーダリア王の像をコソ泥と間違えて狙撃した話しでもしてやろうか?リリアの鉄板ネタ!… いや、こんな時の時間稼ぎは… あれね… バンセンね!”

ってな訳で、この後しばらくリアルゴールド、ハンズマンとリリアモデルの宣伝をしたリリア。
話しが終わって一同唖然としていた。前列にいるペコとアリス、ペコは「もう二度と口きかない」とそっぽを向いて、アリスは顔を真っ赤にしてうつむきっぱなしだった。
「先輩!スピーチ最高っす!」
静まり返る中、一人だけ全力で拍手する者がいた。


リリアは会議に出席していた。リーダー会議。
自他共に認める多少偉い人達が何人かいる。
リリアはいつの間にか、リーダーになっていた。村を守るシェルフ・リーダーと別で、リリアは冒険者ボランティアのリーダー。区別して「隊長」と呼びましょう。
「いつの間にか」だけど、リリアがいつの間にかと思っているだけで、実は朝の自己紹介は、それの自己紹介だった。リリアがおしゃべりに夢中で聞かずに適当な挨拶をぶちかましただけ。
リリアが隊長なのは、公認勇者だからだ。リリアを知らない村長からしたら書類上の国の勇者自らボランティアに参加してくれたのである。冒険者の中でもS級クラスがやって来たら、荒くれ者達のまとめ役に指名するのも当然の流れ。
リリアは隊長になった。そして隊長の挨拶にギャグとバンセンをかましていた。
たったそれだけの事…

ミーティングの内容
基本的にシェリフが村周辺の魔物掃討を行い、ボランティアが離れた集落、街道等を掃討する。
村長が総責任者で、シェリフ・リーダーとリリアで連携しながら二週間を目途に掃討するようだ。
まずリリアの仕事は三十名程集まった治安維持ボランティアの班割りと配置である。
五人一組の六班に分けた。
「班決めね!くじ引き?あみだくじ?」ミーティングから戻って来たリリアが言い出す。
「やだ、普段組んでる仲間をばらけさせないように前、中、後衛、バランス取って組ますべきでしょ、リリア何で辞退しなかったの?」オフェリアが呆れながらアドバイス。
「恥ずかしい…絶対口きかない」ペコはそっぽ向く。アリスは微笑んでいる。
「先輩!くじ引きは潔いっすね!」ブラックは笑っている。

アンケートを元に、バランスよく班を組む。
リリアの班は、前衛にオフェリア、前後できるリリアとブラック、後衛にペコ、サポートにバードのココア、この五名。
ペコとアイスを組ませたかったが、今のところリリアとブラックは分けられない。リリア、ペコ、オフェリアは連携できる。回復はブラックが出来るのだ。貴重な治癒魔法士のアリスは同じギルメンの居る班に入ってもらった。

さぁ、午後から掃討開始である。

現場では「リリアがリーダー?… 大丈夫なのか?」と囁かれている…
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