勇者の血を継ぐ者

エコマスク

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【134話】 ホウキと出発

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リリアとブラック、ダカットは旅に出発。正確にはホウキのダカットを手にリリアとブラックは旅に出発。
ブラックが治安維持活動から戻ってきて数日休息した後、準備を整えてダカットの故郷を目指す旅へ。

「出来れば、リリアとブラックの二人だけで旅行は避けたいですがね…」コトロが心配する。
実力的にはリリアも十分旅行可能だろう。ブラックは剣と魔法のオールラウンダーであり、リリアより戦闘能力は上、治癒だって出来る。
が、恋愛感情が発生してしまうと、生き残らないタイプの人もいるのだ。コトロの見立てではリリアは妙に責任感と、自己犠牲の精神が強いところがあり、相手のために危険を顧みない無茶を見せる時がある。ブラックに至っても「先輩、先輩」と変にリリアを慕って、リリアの無茶に身を呈してしまうような部分がる。
コトロの心配はそこ。ペコ、アリスも同じ様な意見だ。
ペコ、アリスは仕事に出ている。もっともリリアの旅行がボランティアである以上、収入のない旅行を強制できないし、リリアに旅費の負担を強いるわけにもいかない。
鎮魂等が必要なのだからゴグスタフ、アキツグ、今回ダカットを見出したシェスタ、サクラ等に頼みたいが、全員冒険者ではないので旅路では戦力にならずリリア達の負担になるだろう。それに日当も発生する。

「誰か他に連れて行く?大丈夫だよ。ペコ達ならまだしも、費用を払ってまで同行してもらわなくていいよ。余計なお世話よ!」リリアは強く否定する。

ペコ
「リリア?ブラックと組むのは心配だけど大丈夫でしょ。リリアはトンチンカンだけど、自分の身くらい守れる。私も生活あるから無料奉仕できないし、リリアに負担を強いて旅をしたくないし、そもそも実力でいったら後輩君で十分じゃん」

アリス
「コトロの心配もわかるわ、でもペコと同じような意見よ。リリア本人が頼んでくるなら参加するけど、本人も自分でやる気でしょ?コトロも子離れの時期ね。ブラックの実力なら命を落とす心配は少ないわよ」

リリア
「くれぐれも部屋は別で寝る様に?恋愛感情持たないように?あくまでも先輩と後輩よ!例え体が繋がっても心繋がらなければどうって事ないもの。大丈夫だって!適当に遊ぶけど、同じパーティーでそういうのしない!余計なお世話よ!自分のことくらい自分でやる!」

ブラック
「大丈夫っす!先輩と恋愛とかないっす!先輩は目標っす!仕事とプライベート区別できるっす!だいたい戦士、勇者は魔法系と仲を深めるっす!」
ちょっと良くわからない意見だが、これも納得できる。
誰の意見もそれっぽく正しい。結局リリアとブラックの二人でスタート。それとホウキのダカット。


リリアとブラックはルーダ・コートの街から馬車護衛をしながら移動を開始。急ぐ旅ではないボランティアだが、なるべく稼ぎながら移動。
「リリア、何だいそのホウキは?空飛ぶホウキかい?」馬車手のビンラッドに質問される。
わざわざホウキを手に馬車に乗り込むのだから当然の反応だ。冒険者になって一年近くになってきた、リリアも少しは知られている。
「リリアは魔法使えたか?魔法のホウキを使えるのか?」
たっぷり時間は有る。馬車に揺られながらダカットとのいきさつを説明するリリア。
「……そんなわけで今回はこのままずっと北西方面に向かうのよ。ね、ダカット、何とか言いなさいよ」
「…………」
リリアが促すがダカットは滅多に口をきこうとしない。
「…あっはっは、まぁ、人間と積極的に関わらない精霊も多いからな」ビンラッドは苦笑い。
「よりによってねぇ… ブレスレットとか宝石類とか身に着けられる物や杖のような恰好のつく物ならまだしも、これだと何回も同じ質問されるんだよね」
「……… ごめんよ… 神木の影響だから…」
リリアがため息をつくとダカットに謝られた。それはそれで心苦しい。
「確かに… 宿っているんだなぁ」ビンラッドが頷く。


この日は村に到着。リリア達は宿をとって明朝まで休息。もちろんリリアとブラックの部屋は別々。
「先輩、俺は準備いいっす。飯に行きましょう」
ブラックがリリアの部屋に呼びに来た。辺りは暗くなり開かれたドアから食堂でリラックスする人の賑わいが聞こえる。
「OKよ!今準備できた。今日はパスタ系が食べたいのよね」
リリアが部屋を出ようとしたら
「… なぁ、リリア、俺も連れて行ってくれよ」ダカットに呼び止められた。
「えぇ?だって食べないし… 部屋で待ってたらいいじゃない」リリアが振り返る。
「俺…… 七十年間森の中にいたんだ。加工されてホウキになってからも倉庫とか物置の隅で… 自分で動けないけど意識はあるからさ、お墓に移される前に世の中の空気を味わいたいんだよ」呟くように言うダカット。人間不思議なものでそんな風に言われるとなんだかホウキがしょげて見えてくる。
「そっか、そういう事か。わかったわ、これからなるべくあっちこっち連れて行くよ」
リリアはダカットを手に部屋を出る。
「先輩、ダカット先輩について質問責めにあいますね」ブラックが笑う。
「お手数様です…」ダカットが呟く。
リリアがホウキを見ると心なしか嬉しそう。
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