勇者の血を継ぐ者

エコマスク

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【140話】 ルーベンスとライカンスロープ

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家畜泥棒を捕まえることになったリリア達は村に滞在することになった。
決まった報酬も無いので特に何の義理も無い冒険者なら「村の事は村で解決」と断るところだが、公認勇者ともなれば断れないようだ。もっともリリアは人の話を聞きもせず二言返事で請け負っている。

「あたし、ベケットと仕事して潜入捜査したし、探偵したことあるんだよ」と自信を見せている。潜入に失敗して娼館でペットにされていたが大丈夫だろうか?
「リリアは怪我の療養中で村に滞在ってことね」と探偵気分でいるが、どうもアクティブなリリア向けの設定ではなさそうで、ブラックが「村長の遠い親戚で、魔物掃除と狩りを頼まれて滞在中がよいっす」と、らしい設定になった。
「いいわよ、あたしが演じ切ってみせる」とリリアはノリノリ。
そして、演じ切るも何も普段と全く変わらない様子…


「外回り」と称して今は、小高い丘で村への往来を見ながらミーティングをしている。
「で、昨日の夜はどうだったの?」リリアがダカットに尋ねる。
「どうって言われても… どうって事なかったなぁ… 異常なしだぜ」ダカットが答える。
リリア達は夜の見張りとしてホウキのダカットを鶏小屋と豚小屋を見張れる場所に置くようにしたのだ。見かけは立て掛けてあるただのホウキ。寝ない疲れない怪しまれないの三無い運動のダカット。正に適材適所。
「まぁ、初日だし、しばらく夜はよろしくね」リリアが言う。
「協力はするけどもだなぁ… やっぱり暖かい部屋で過ごしたいよ。それに… もうちょっと朝早く取りに来てくれよ。俺、糞の掃除に使われたんだぜ!最悪だったぞ!」ダカットが怒っている。
「えっへっへ、ごめん、村長には放棄ホウキ放置作戦を伝えたけど、村人には言えないからね。ドンテロさんによく言っておくよ」リリアはテヘペロ。
「放棄ホウキ放置作戦って先輩が今ネーミングしたんすか?おしゃれっすねぇ」ブラックが感心している。
「でも、何日間もかかりそうねぇ… パッと自首してくれてがっぽりお礼をもらってとっとと退散できないかなぁ…」リリアは寝そべって空を見上げる。
「退散はいつでも出来るぜ。それ以外は期待薄だな…」ダカットが呟く。
「…… 俺、たぶんですけど、次の犯行、何となく予測できるっす。誰が犯人かはわからないっすけど、どんな奴かは見当がつくっす」ブラック。
「え!なにそれ?どういう事?」リリアはびっくりして飛び起きた。ダカットも驚きの声を上げる。


その日の夜
リリア達はリリアの宿部屋に集合。ミーティング中?リサーチ中?
もちろんダカットは放棄ホウキ放置作戦中につき家畜小屋付近に放棄ホウキ放置されている。
「俺、あんまりやりたくないんだけどなぁ…」ダカットがぶつくさ言う。まぁ、気持ちはわかる。
「お願いダカット。大好きよ!」リリアがギュっとホウキを抱きしめる。巨乳がムニっとする。
「… お、おう… 任せとけ」ダカット。
女の武器を使いだした卑怯千万物理女勇者リリア。
で、リリアとブラック、それに魔法使いのルーベンスがリリアの部屋に集まっている。

ブラック曰く
「先輩、ウェアウルフって知ってるっすか?… そうそう、狼男とかウェアラット、ネズミ男もいるっすね。ライカンスロープってやつっす。呪いや病気で進行すると満月の夜に変身するようになるあれっす。話を聞いていて思ったっすけど、あれじゃないっすか?村人の誰かが、あるいは周辺にそんな人がいて、満月の夜前後に変身してってわけっす。そしたら次の犯行は次の満月前後、5日後くらいとかじゃないっすか?」
鋭い意見である。
「定期的で、知能が高くって… ありえるわね… 本で読んだことあるけど… ウェアウルフって良くは知らないんだけど」リリア。
「俺も実際には… 調べてみるしかないっす」
そういうわけで、調べることになった。

夕方、村のサイトに到着したキャラバンから図書を探す。
本を売っている商人もいるが、資料のような本の取り扱いは少ない。街に戻って図書館でも行きたいが、村を離れるわけにもいかない。
「うーん… 行き当たりばったりでいくしかないかなぁ…」リリア達が宿の食堂で話をしていると
「あれ?ルーベンスじゃない!魔法使いルーベンス。あなた賢者目指してるんでしょ?博識でしょ?ちょっとリリアの部屋に来なさいよ!」
たまたま食堂の隅で酒を飲み村娘にチヤホヤされているルーベンスを発見。リリアは拉致るように部屋に連れ込んだ。
知識を味方につけ、村娘全員を敵に回したリリア。

現在リリア達は部屋でリサーチ中。
「話はわかったよ…女の子達といちゃついていたところだったけど… 確かにライカンスロープの可能性は高いな。ウェアウルフ、ラット、ベア、どれも理屈は一緒だ…せっかく女の子達といちゃついていたのに… 噛まれたり怪我した時に菌や呪いから発熱して、そのまま完治しないと発症するんだ。ルナティック神の影響で満月の夜前後、この三日間に変身するようになる。繰り返すと慢性化するね… 女の子達… 亜人は耐性があるらしくって人間だけ発症するね。夜、猫娘がカバ女に変身すると聞いたことないだろ?なられても嫌だし… 美人さんが化粧取ったらのっぺらぼうとかあるけど…あれはライカンスロープではない。濃すぎるだけ… 化粧室から出てきたら頭にとぐろ?… メデューサの話し?… ヘアスタイルが?… それは盛り過ぎなだけ… 発症と進行の度合いによって色々あるけど、人と獣の間だったり、完全に獣になったり、変身中も意識があったりなかったり、知性が残っていたりそうでなかったり… さっきのレナちゃん可愛かったな… 女って人によっては結婚したら家庭に入って豚の様になるけどあれはライカンスロープではないよ。ま、僕の前ではどんなじゃじゃ馬娘も子猫ちゃんになるけど… あれもライカンスロープではない…テクニックだ… ヒョウ柄の下着の女性?あれは… ライカンスロープではなくて… 趣味だな… お出かけする時に胸が大きくなる女?…あれもライカンスロープではない… あれは、見え張ってパッド入りブラの装着だな」
ルーベンスはモテ期を邪魔されたのが不満そうだがリリアの質問に答えてくれた。
「賢者を目指してるってさすがねぇ… 何でも答えてくれるのね」リリアは全て自分の質問に答えてもらって感心している。
ブラックは黙ったフムフムと聞いている。
「まあ俺は伊達に賢者目指してないよ」ルーベンス。

「そうだなぁ… 呪いだったら施術者のレベル以上の解術呪文で完治するな。菌の発症が厄介だよ。発熱中に気が付けば教会とか中級程度のプリースとで治せる。 かまととぶっていた女が実はイケイケ?… ライカンスロープではないね…猫被っているだけ… 一度変身してしまうと治療できなくなるよ。発熱の時に気が付けるかだね。文献では賢者レルニアットがワイナルド二世のライカンスロープを魔法で完治させたとあるけど…信憑性はないよ。 猫を被る?猫撫で声?野次馬?負け犬の遠吠え?… 全部ライカンスロープと関係ないな… 判例ではライカンスロープ中に知性や意識が残っていない事を証明出来たら罪に問われないらしいけど…殺人ならたいてい問答無用で処刑だよ。 普通の武器はあまり効かないから、銀の武器か魔法攻撃、エンチャ攻撃が有効だよ。人権問題?獣人になるからね、亜人とまた別でグレーゾーンが多いよ。獣人は本人も気が付かなかったり、隠そうとするからなかなか権利を訴えるまでにならないからね。昼間とか人として意識がある時は当然人としての権利があるよ。ライカンスロープ中は退治されても文句言えないよ。特に他人に危害を加えた時点で犯罪者か害獣になるよ… レナちゃんまだ食堂にいるかなぁ?…」
リリアはルーベンスの知識に感動。
「本人が知っていても知らなくても、行動には出るからね。事件の始まった一ヶ月前後にさかのぼって怪我したり病気してた村人を調べて村人の行動を観察していたら事前に見つかるかもよ」
ルーベンスはアドバイスすると「レナちゃんレナちゃん」といそいそと部屋を出て行った。
賢者を目指す人間ともなると色んな知識と経験を得るのに忙しいようだ。


「むぅ… 明日、村長のところに行って聞き取り調査っすね」ブラックが言う。
「そね… 病気歴とか分かるといいわね… お酒もおつまみも切れたし解散よ。夜の猛獣にライカンスロープしたいならご自由に」リリアはベッドに寝そべって手を振る。
「あっはっは、うっす、退治されないように気を付けるっす」笑って部屋を出ようとするブラック。
「ライカンスロープの事についてかなり理解できたわ…博士よ、賢者リリアよ… だけど、この前バーで俺の股間は大蛇だぜって男がいたけど… あれってライカンスロープの一種って事だよね?」リリアが何か言っている。全然わかってねぇじゃん!
「… 一部分だけライカンスロープってことっすかね」
ブラックは笑いながら出て行った。
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