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第1話 牢の中へ
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花咲本皇宮(はなさきもとこうぐう)は、霧椿皇国(きりつばきこうこく)の元首であらせられる皇帝のお住まいである。
そこいらの城など、二十か三十は軽々収まるだろう広大な敷地には、陛下が寝食をなさる御所のほか、行事や会合に使う複数の宮殿、治療院や学問の研究所、美術館、博物館、田畑、牧場、庭園など、多種多様な施設を擁する。
皇宮内では皇帝一家はもちろん、彼らの世話役や各施設で働く者たちも数多(あまた)暮らしており、さながらひとつの町のようだ。
皇宮の現在の主(ぬし)は、澄花信乃香蓮(すみはなしのこうれん)様という。二年前に即位あそばされた、御年十八歳の若き皇帝である。
舗装された道を外れると、手押し車は途端に言うことを聞かなくなった。
「おい、あとちょっとなんだから、頑張ってくれ」
年季の入った木製のそれを操っているのは、まだ若い青年である。
「昨日あんなに油をさしてやっただろう? 足りないのか? 帰ったらまた足してやるから。ピカピカに磨いてもやる!」
手押し車の底、左右に付けられた大きな車輪をなだめすかすその声が、流麗なのがかえっておかしい。近くに誰かいたならば、くすりと笑いをこぼしただろう。
――もっともそれは、「不敬」と咎められる行為であるが。
「おっと、こぼすなよ……。この暑さの中、地面に放り出したら、こいつらあっという間に干からびて、死んでしまう。――よしよし、いいぞ、その調子だ」
手押し車のカゴには、大きなバケツが二つ。中には生きた鯉が数匹、たっぷりの水と共に入れられていた。
青年が汗をかきかき進むのは、花咲本皇宮の東に位置する庭である。辺り一面緑に覆われたそこは、皇宮の中心より遠く離れていることもあり、人っ子一人おらず静かで――だから余計、手押し車が立てるガタゴトというガサツな音が響くのだった。
「まったく、クソ暑い……」
暦は五月。霧椿皇国の夏の季節にはまだ少し早いはずだが、それでも晴れればぐんぐん気温が上がる。
手押し車を一度停めると、青年は額の汗を拭い、袖を捲った。仕立ての良い衣の下からにょきっと現れた腕は、盛り上がった筋肉が目立つ。
とても背が高く、がっしりした体躯。その恵体ぶりを見れば、さぞ優れた庭師なのだろうと誤解されそうだが、青年は本来このような場所で、このような作業に勤しむ立場にある者ではない。
つまり、高貴な生まれの御方――と、真実を知っても、人々はかえって困惑するだろう。
青年の鋭すぎる切れ長の目や、この世の全てに叛逆しているかのようなふてぶてしい面構えなど――。はっきり言って彼はそこらでたむろしているチンピラ、控えめに言ってもヤンキーにしか見えないからだ。
「っこらしょっと」
ようやく辿り着いた通称「日当(ひなた)の池」の前で、青年はゆっくり丁寧にバケツを下ろした。
慎重に運んだおかげで、鯉たちは元気だ。バケツの狭さに抗議するように、ピチピチ忙しなく跳ねている。
「日当の池」は十坪ほどの大きさだ。青年は池に手を浸し、温度を確認した。
――程よく温かい。問題ないだろう。
青年がバケツをそっと水面に傾けると、鯉は眩い鱗に覆われた体をくゆらせ、泳ぎ出ていった。
「達者でな」
雑草と藻だけの、しょぼくれた池に彩りが生まれ、その変化に青年は満足そうに微笑んだ。
顔からは険が消え、まだ若いはずの彼の、純朴な表情が浮かび上がる。――しかし。
「蓮(れん)さまー!」
「…………………」
慌ただしく近づいてくる足音を耳で捉えた瞬間、「蓮」と呼ばれた青年は笑顔を引っ込め、仏頂面になった。
やがて息せき切って、一人の少年が駆け寄ってくる。小柄な体を転がすように走ってきた様といい、きゃんきゃんと小うるさい喋り方といい、子犬のような少年だった。
「蓮様ってば! 従者の方々に行く先を仰らなければ、ダメじゃないですか! 皆さん、探していらっしゃいましたよ!」
変声期をまだ迎えていないのか、声は高い。一丁前にかぶっている小さな烏帽子は、一般貴族であることを示す緋色である。
せいぜい蓮の肩までしか届かない、とんがった烏帽子の峯をぴょこぴょこ上下させ、少年はやかましく文句を言う。
蓮はうんざり顔で言い返した。
「うるさい、ここは俺の家だ。どこへ行こうと、いちいち許しをもらう必要があるか」
「ここは普通のおうちとは違いますし、蓮様だって普通のお人ではないでしょう! 今更何を仰るのですか、もう。永遠の反抗期なんだから……」
「殺すぞ、雪(せつ)」
ギロリと、元々悪い目つきを一層凶悪に細めて、蓮は少年を睨みつけた。
蓮は本名を、澄花信乃香蓮(すみはなのしのこうれん)という。
そう――。彼は荒くれ者のような見た目にそぐわぬ、やんごとなき御方。実は、一国の主。霧椿皇国の若き皇帝であった。
そして蓮とは対象的に平凡な外見をしている「雪」は、正しくは「羽村 雪樹(はねむら せつじゅ)」という。
こうも体格が違うと信じられないが、蓮と雪樹の年齢は同じ十八歳。これは蓮が育ち過ぎているのか、雪樹が育たな過ぎているのか……。
二人は先々代が兄妹、詳しくは蓮の曽祖父が兄で、雪の曽祖母が妹という――つまり遠い親戚という間柄である。
「大体、家って言ったって、ここは下手な町より広いんですからね。探すの、大変なんだから……」
ブツブツぼやいていると、池から飛沫が上がった。ハッとそちらにやった目を、雪樹は輝かせる。
「わあ……! あの鯉たち、遂に放したのですね! 前に見せてもらったときは、まだほんの小さな稚魚でしたが、立派に育って!」
水中を縦横無尽に、溌剌と泳ぎ回る鯉たちを見て、雪樹は歓声を上げた。
「前は残念なことになりましたが……。今回の子たちは、とても丈夫そうですね」
この少し前に蓮が育てた鯉は、病のせいで全て死んでしまったのだ。
「薬液を工夫したからな。もう二度とあのような、哀れなことにはせん」
そのとおり、先ほど池に放った鯉たちは、体も大きく丸々太っていて、健康そのものだ。
雪樹は鯉と蓮を交互に見比べて、ホッと息を吐いた。
手塩にかけて育てた鯉を失ってしまった直後の蓮はひどく落ち込んでしまい、かける言葉が見つからぬほどだったのだ。
この皇帝陛下は顔こそ怖いが、実は繊細で気が優しく、動植物に並々ならぬ愛情を抱いている。
国の頂点に立ちながら、自ら甲斐甲斐しく草花の手入れをし、率先して動物たちの世話もする。
そんな青年皇帝の人となりを慕い、雪樹はしょっちゅうここ――「花咲本皇宮」に入り浸っているのだった。
蓮陛下のほうもズケズケと言いたい放題で無遠慮な、だが自分に懐いてくれる親戚の少年を、それなりに可愛く思っているようだ。
「あ」
雪樹は思い出したように、脇に抱えた風呂敷包みを差し出した。
「蓮様。はい。頼まれてた読みものです」
受け取った風呂敷を早速解き、蓮は中に包まれていた書物のページをぺらぺらとめくった。
「うーん。おまえが持ってくる本は、どうにもつまらない」
皇帝の率直な不満に、雪樹は唇を尖らせた。
「えー! 蓮様のご指示どおり、今一番売れているという本を持ってきたのですよ!」
「ふん。どれもこれも似たような内容で、ちっとも心に響かない。表現も薄っぺらく、情緒にも欠ける。我が国の文壇は、諸外国に随分と遅れを取っているぞ」
蓮のご高説を賜った途端、雪樹の、特徴的な太い眉が吊り上がる。
「蓮様、また変なものをお読みになっているんじゃないでしょうね? 外国の、確か、ポルノとかいう……」
汚いものを見るかのような目つきの雪樹に、蓮は堂々と笑い返した。
「まったく、おまえは何も分かっていない。官能小説は、人間のエゴや醜さを描かせたら並ぶもののない、秀逸な作品だぞ。読む者に真実の愛とはなんぞやと、峻烈に問いかけてくるのだ」
「またそのような小難しい、偏った持論を振りかざして! それってあなたの感想ですよね!? ドスケベ小説なんてただ性欲を満たすための、低俗な読みものです! そんないかがわしい書物を、皇帝陛下ともあろうお方が読んではなりません! 破廉恥です!」
真っ赤になった雪樹の顔からは、火にかけたヤカンのように湯気が出そうだ。
蓮は生真面目な弟分の烏帽子を、ぺしんと雑に叩いた。
「つくづく幼いな、雪。そんな風だから、いつまで経っても背が伸びぬのだ」
「関係ありません!」
ズレた烏帽子をプンプン怒りながら整え、雪樹は怒鳴り返した。
もうじき夏に変わる前の、まだ鋭さを隠している日差しが、喧々囂々とやり合う二人にさんさんと降り注ぐ。
池では鯉たちが、二人の高尚に見えて実はどうでもいい低俗な諍いなど素知らぬ風に、すいすいと爽快に泳いでいる。
蓮と雪樹。
これが良き友人、睦まじい幼馴染として共に過ごす、最後の時となった――。
そこいらの城など、二十か三十は軽々収まるだろう広大な敷地には、陛下が寝食をなさる御所のほか、行事や会合に使う複数の宮殿、治療院や学問の研究所、美術館、博物館、田畑、牧場、庭園など、多種多様な施設を擁する。
皇宮内では皇帝一家はもちろん、彼らの世話役や各施設で働く者たちも数多(あまた)暮らしており、さながらひとつの町のようだ。
皇宮の現在の主(ぬし)は、澄花信乃香蓮(すみはなしのこうれん)様という。二年前に即位あそばされた、御年十八歳の若き皇帝である。
舗装された道を外れると、手押し車は途端に言うことを聞かなくなった。
「おい、あとちょっとなんだから、頑張ってくれ」
年季の入った木製のそれを操っているのは、まだ若い青年である。
「昨日あんなに油をさしてやっただろう? 足りないのか? 帰ったらまた足してやるから。ピカピカに磨いてもやる!」
手押し車の底、左右に付けられた大きな車輪をなだめすかすその声が、流麗なのがかえっておかしい。近くに誰かいたならば、くすりと笑いをこぼしただろう。
――もっともそれは、「不敬」と咎められる行為であるが。
「おっと、こぼすなよ……。この暑さの中、地面に放り出したら、こいつらあっという間に干からびて、死んでしまう。――よしよし、いいぞ、その調子だ」
手押し車のカゴには、大きなバケツが二つ。中には生きた鯉が数匹、たっぷりの水と共に入れられていた。
青年が汗をかきかき進むのは、花咲本皇宮の東に位置する庭である。辺り一面緑に覆われたそこは、皇宮の中心より遠く離れていることもあり、人っ子一人おらず静かで――だから余計、手押し車が立てるガタゴトというガサツな音が響くのだった。
「まったく、クソ暑い……」
暦は五月。霧椿皇国の夏の季節にはまだ少し早いはずだが、それでも晴れればぐんぐん気温が上がる。
手押し車を一度停めると、青年は額の汗を拭い、袖を捲った。仕立ての良い衣の下からにょきっと現れた腕は、盛り上がった筋肉が目立つ。
とても背が高く、がっしりした体躯。その恵体ぶりを見れば、さぞ優れた庭師なのだろうと誤解されそうだが、青年は本来このような場所で、このような作業に勤しむ立場にある者ではない。
つまり、高貴な生まれの御方――と、真実を知っても、人々はかえって困惑するだろう。
青年の鋭すぎる切れ長の目や、この世の全てに叛逆しているかのようなふてぶてしい面構えなど――。はっきり言って彼はそこらでたむろしているチンピラ、控えめに言ってもヤンキーにしか見えないからだ。
「っこらしょっと」
ようやく辿り着いた通称「日当(ひなた)の池」の前で、青年はゆっくり丁寧にバケツを下ろした。
慎重に運んだおかげで、鯉たちは元気だ。バケツの狭さに抗議するように、ピチピチ忙しなく跳ねている。
「日当の池」は十坪ほどの大きさだ。青年は池に手を浸し、温度を確認した。
――程よく温かい。問題ないだろう。
青年がバケツをそっと水面に傾けると、鯉は眩い鱗に覆われた体をくゆらせ、泳ぎ出ていった。
「達者でな」
雑草と藻だけの、しょぼくれた池に彩りが生まれ、その変化に青年は満足そうに微笑んだ。
顔からは険が消え、まだ若いはずの彼の、純朴な表情が浮かび上がる。――しかし。
「蓮(れん)さまー!」
「…………………」
慌ただしく近づいてくる足音を耳で捉えた瞬間、「蓮」と呼ばれた青年は笑顔を引っ込め、仏頂面になった。
やがて息せき切って、一人の少年が駆け寄ってくる。小柄な体を転がすように走ってきた様といい、きゃんきゃんと小うるさい喋り方といい、子犬のような少年だった。
「蓮様ってば! 従者の方々に行く先を仰らなければ、ダメじゃないですか! 皆さん、探していらっしゃいましたよ!」
変声期をまだ迎えていないのか、声は高い。一丁前にかぶっている小さな烏帽子は、一般貴族であることを示す緋色である。
せいぜい蓮の肩までしか届かない、とんがった烏帽子の峯をぴょこぴょこ上下させ、少年はやかましく文句を言う。
蓮はうんざり顔で言い返した。
「うるさい、ここは俺の家だ。どこへ行こうと、いちいち許しをもらう必要があるか」
「ここは普通のおうちとは違いますし、蓮様だって普通のお人ではないでしょう! 今更何を仰るのですか、もう。永遠の反抗期なんだから……」
「殺すぞ、雪(せつ)」
ギロリと、元々悪い目つきを一層凶悪に細めて、蓮は少年を睨みつけた。
蓮は本名を、澄花信乃香蓮(すみはなのしのこうれん)という。
そう――。彼は荒くれ者のような見た目にそぐわぬ、やんごとなき御方。実は、一国の主。霧椿皇国の若き皇帝であった。
そして蓮とは対象的に平凡な外見をしている「雪」は、正しくは「羽村 雪樹(はねむら せつじゅ)」という。
こうも体格が違うと信じられないが、蓮と雪樹の年齢は同じ十八歳。これは蓮が育ち過ぎているのか、雪樹が育たな過ぎているのか……。
二人は先々代が兄妹、詳しくは蓮の曽祖父が兄で、雪の曽祖母が妹という――つまり遠い親戚という間柄である。
「大体、家って言ったって、ここは下手な町より広いんですからね。探すの、大変なんだから……」
ブツブツぼやいていると、池から飛沫が上がった。ハッとそちらにやった目を、雪樹は輝かせる。
「わあ……! あの鯉たち、遂に放したのですね! 前に見せてもらったときは、まだほんの小さな稚魚でしたが、立派に育って!」
水中を縦横無尽に、溌剌と泳ぎ回る鯉たちを見て、雪樹は歓声を上げた。
「前は残念なことになりましたが……。今回の子たちは、とても丈夫そうですね」
この少し前に蓮が育てた鯉は、病のせいで全て死んでしまったのだ。
「薬液を工夫したからな。もう二度とあのような、哀れなことにはせん」
そのとおり、先ほど池に放った鯉たちは、体も大きく丸々太っていて、健康そのものだ。
雪樹は鯉と蓮を交互に見比べて、ホッと息を吐いた。
手塩にかけて育てた鯉を失ってしまった直後の蓮はひどく落ち込んでしまい、かける言葉が見つからぬほどだったのだ。
この皇帝陛下は顔こそ怖いが、実は繊細で気が優しく、動植物に並々ならぬ愛情を抱いている。
国の頂点に立ちながら、自ら甲斐甲斐しく草花の手入れをし、率先して動物たちの世話もする。
そんな青年皇帝の人となりを慕い、雪樹はしょっちゅうここ――「花咲本皇宮」に入り浸っているのだった。
蓮陛下のほうもズケズケと言いたい放題で無遠慮な、だが自分に懐いてくれる親戚の少年を、それなりに可愛く思っているようだ。
「あ」
雪樹は思い出したように、脇に抱えた風呂敷包みを差し出した。
「蓮様。はい。頼まれてた読みものです」
受け取った風呂敷を早速解き、蓮は中に包まれていた書物のページをぺらぺらとめくった。
「うーん。おまえが持ってくる本は、どうにもつまらない」
皇帝の率直な不満に、雪樹は唇を尖らせた。
「えー! 蓮様のご指示どおり、今一番売れているという本を持ってきたのですよ!」
「ふん。どれもこれも似たような内容で、ちっとも心に響かない。表現も薄っぺらく、情緒にも欠ける。我が国の文壇は、諸外国に随分と遅れを取っているぞ」
蓮のご高説を賜った途端、雪樹の、特徴的な太い眉が吊り上がる。
「蓮様、また変なものをお読みになっているんじゃないでしょうね? 外国の、確か、ポルノとかいう……」
汚いものを見るかのような目つきの雪樹に、蓮は堂々と笑い返した。
「まったく、おまえは何も分かっていない。官能小説は、人間のエゴや醜さを描かせたら並ぶもののない、秀逸な作品だぞ。読む者に真実の愛とはなんぞやと、峻烈に問いかけてくるのだ」
「またそのような小難しい、偏った持論を振りかざして! それってあなたの感想ですよね!? ドスケベ小説なんてただ性欲を満たすための、低俗な読みものです! そんないかがわしい書物を、皇帝陛下ともあろうお方が読んではなりません! 破廉恥です!」
真っ赤になった雪樹の顔からは、火にかけたヤカンのように湯気が出そうだ。
蓮は生真面目な弟分の烏帽子を、ぺしんと雑に叩いた。
「つくづく幼いな、雪。そんな風だから、いつまで経っても背が伸びぬのだ」
「関係ありません!」
ズレた烏帽子をプンプン怒りながら整え、雪樹は怒鳴り返した。
もうじき夏に変わる前の、まだ鋭さを隠している日差しが、喧々囂々とやり合う二人にさんさんと降り注ぐ。
池では鯉たちが、二人の高尚に見えて実はどうでもいい低俗な諍いなど素知らぬ風に、すいすいと爽快に泳いでいる。
蓮と雪樹。
これが良き友人、睦まじい幼馴染として共に過ごす、最後の時となった――。
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