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勇者side 3.
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目を開けたら、今度は何になってるだろう。
もう勇者はイヤだな。いっそ人間でなくたっていい。
寿がいる世界にさえ、いさせてくれれば、もうなんだっていい。
でも、寿は俺の顔なんて見たくもないだろうから。もう「会いたい」なんてわがままは言わない。ただ、見届けさせてほしい。俺が奪ってしまった幸せな未来を歩く寿の姿を。
沈んだままだった意識が浮かび上がるとともに、少しずつ体の感覚が戻ってくる。心臓から流れる血が指先に広がり、足先へ降りて体中をめぐっていく。自分のかたちを把握して、また人間であるらしいことにがっかりして。
ワンチャン、人型の魔物っていう線はないかな。ほら、あの牛の頭をした魔物みたいに。なんて考えながら、俺はゆっくりと瞼を開いた。
すぐ目に映ったのは暗い茶色の木でできた天井だった。
ここはどこなのか。まだはっきりとしない意識の中で頭の中にある記憶を探って、周囲を見まわして。天蓋付きの大きくて柔らかなベッドの上にいることを認識した時、ようやく俺は理解した。
「勇者のまま……?」
俺は寿に殺されたのではなかったのか。
咄嗟に体を起こすと、手足につながれた鎖もなくなっていた。
でも、今いるのは意識を失う前に寿といたベッドだ。
部屋の中には誰もいない。窓から差し込むのは夕日だろうか。オレンジ色の光が暗さに慣れた視界を優しく照らしてくれる。
体を起こし、木々しか見えない窓の外をぼんやりと見ていると、にわかに部屋の外が騒がしくなり、勢いよく扉が開いた。
「健斗!!!」
そこにいたのは、”寿”だった。
「目、覚ましてよかったぁ! ちょっとやりすぎちゃったかなって、心配してたんだ」
小さくて丸い頭に、柔らかな黒い髪。ころんとした目を下げて優しく俺に微笑みかけるその顔は、あの頃の、もう二度と会えないと思っていた”寿”のままだ。
「どうして……」
「あっ、これ? 前の僕を思い出したからさ。やってみたらできたの! 」
どういうことだよ。何を言っているのか意味不明すぎて笑えるのに、目の前がにじんでいく。
目の前に寿がいる。俺の名前を呼んで、笑いかけている。もうそれだけで十分だと思うほど嬉しくてたまらない。自分でも引くほど俺は大声を上げて泣いた。
「ごめんね、いじわるして」
そんな俺を見て、寿はかわいそうなくらいおろおろしていた。それがおかしくて、かわいくて、全然涙が止まらない。俺はこんなにも感情の制御が下手くそだったのか。
いや、でも、俺の感情が動くのは、寿といる時だけだし。
涙も鼻水も垂れ流したままのみっともない顔で、俺はまだおろおろしている寿の顔に手を伸ばした。血が通っていることを確かめるように親指で頬をそっと撫でる。
柔らかくて、温かい。
――あぁ、寿がここにいる。
「健斗……?」
寿の存在を黙ったまま噛み締めていた俺に焦れたのか、黒目がちな瞳が心配そうに俺を覗き込む。そして、寿も同じように俺の顔に手を伸ばした。
「せっかくクマは薄くなったのに、目が赤くなっちゃったね」
寿を失ってから、生きている意味をなくした俺はずっと夢と現実の間でさまよっているような状態だった。魔王の姿をした寿が眠っている間もずっと不安でたまらなくて、しっかりと休んだ記憶はない。
多分、俺はずっと眠れていなかったんだと思う。ひどい顔をしていたと寿が俺の目の下を撫でる。それもあって、寿は強制的に俺の意識を奪ったのだという。
「もちろん、お仕置きも兼ねてね」
そういたずらっぽく片方の眉を上げた寿に、俺を見下ろしていた魔王バージョンの時に見せた美しくも冷たい表情が重なる。多分、本人は気づいていないだろう。
寿がこっちに来てからどう過ごしていたのかは、寿が眠っている間に魔物たちに聞いていた。とにかく争いごとを嫌い、平和な世界で長生きすることが寿の望みだったらしい。
魔物にとって魔王は絶対的な存在だ。でも、寿は魔物たちを無理に従わせるようなことはせず、一人ひとりを個として尊重してくれたと牛頭が言っていた。その一方で自分の望みを邪魔するやつには一切容赦なく切り捨てる冷徹な一面もあったという。そういうところはやはり”魔王”だったと。
今の寿には、日本にいたころの優しい寿に、こちらの世界で”魔王”として生きた時間が混ざっている。だからこそ、あの時暴走していた俺を容赦なく締め上げたのだろう。
変わっていないのは俺だけだった。
クリアになった頭で思い返してみると、相当に恥ずかしいし、情けない。
「ごめん……」
「ん-ん、元はといえば僕が原因だし」
「違う! あれは」
「しー」
俺が悪かったんだ。そう言おうとした俺の唇に寿は人差し指を押し当てた。反射的に口を閉じた俺に、寿は泣きそうな顔で笑いかけた。
「また会えてよかった」
「……うん」
涙を拭ってくれる寿の手に頬をすり寄せる。俺より一回り小さい手は温かいけど、少し物足りない。俺はもう一度寿に手を伸ばして、途中で止めた。
「あのさ……」
「ん? なぁに?」
「……抱きしめてもいい?」
多分、俺はそう簡単には変われない。
でも、この先ずっと寿と一緒にいたいから。まずは『寿の意思を無視しない』こと。これを一番に考えていこう。
俺の言葉に寿は一度大きくまばたきをすると、ベッドの上によじ登り、俺に向かって両手を広げた。
「どうぞ」
飛びつきたい衝動を何とか抑えて、ゆっくりと寿を腕の中に包み込む。もう少しも傷つけないよう、大切に。
日本にいたころ、小さい頃はよく手をつないでいたし、成長してからも肩に触れたり、ハグをしたり、スキンシップは良くしていた。いくら欲を見せないようにしていたとはいえ、寿に触れたかったし、何より俺を意識してはにかむ寿がかわいかったから。
でも、これはそんな打算的なものじゃない。
存在を確かに感じたくて、寿の髪に顔を埋めて思いっきり息を吸う。
日本にいたころの寿は身の回りに全くこだわりがなくて、いつも寿のお母さんが買ってくる花の匂いのするシャンプーの甘い香りがした。
今はもうその匂いはしないけれど、安心する温かさは変わらない。
たまらなくなってぐりぐりと額をこすり付けると、「くすぐったいよ」と笑う振動が伝わってくる。ぞくりと欲がうずく音がした。
「寿」
唇を寿の耳元に落とし、名前を呼ぶ。欲を含んだ、低い声で。途端にびくりと体を震わせたから、寿にも多分伝わったのだろう。
少しだけ体を離して覗き込むと、視線を下げたままの顔は赤くなって見えた。
「キスしてもいい?」
魔王の姿だったときに無理矢理してしまったことを今になって後悔しても遅い。だからこそ今度はちゃんとしたい。そう思ったのに、上を向いた寿の顔には眉間に深く皺が刻まれていた。
――えっどこで間違えた?! 固まった俺を寿はじっと睨み付けた。
「どうして?」
「どうして?!」
「どうして、キスするの?」
唇をむうっと尖らせる顔はかわいいけれど、寿が求める正解がわからない。でも、戸惑う俺を、寿は言い逃れはさせまいと、じいっと見つめてくる。
どうして、キスがしたいのか。『したい』と思ったから。なんで? 寿をもっと感じたくて。どうして? そんなの――。
「寿が好きだからに決まってる」
震えた声でぽろりとこぼれるように落ちていった言葉は、まぎれもない俺の想いだった。
ずっとそばにいてほしい、もう一人になりたくない、――愛されたい。
そんな俺の願いが絡まって、見えなくなっていた。本当はこんなにもシンプルなものだったのに。
自分の内心を噛みしめながらも、俺はすぐにはっとした。だってこんな言い方では”告白”としては何ともみっともない。
がっかりしただろうかと恐る恐る寿を見ると、涙に喜びをにじませた瞳が俺を見つめていた。
「僕も、僕も健斗が好きだよ。ずっと好きだった」
勢いよく俺の首に腕をまわした寿を強く抱きしめる。ずっとほしかった温もりが、そこにはあった。
じっくりとそれを堪能して――と思っていたのに、寿はがばりと勢いよく体を離してしまった。また何かしてしまっただろうかと思って焦ったが、そうではなかったらしい。
「よし、キスしよ!」
ふんすと鼻息荒く言った寿の顔は至って真剣だ。でも、俺は思わず吹き出していた。
だって、ムードもへったくれもない。まぁそれが、寿らしくていいんだけど。
「えっ、なんで笑うの?!」
今度は笑ったせいでにじんだ涙をぬぐい、本当にわからないという顔をした寿の頬に親指を這わせる。そして、そっと唇を重ねた。
少し触れただけの軽いキス。それなのに、寿は目を見開いたまま顔を真っ赤にしていた。
「ふはっ。かわい」
「もう! いきなり!!」
俺をぽかぽかと叩く手を摑まえて、じっと目を見つめる。一瞬戸惑ったように視線をそらした寿は、心を決めたと言わんばかりに唇を引き結ぶと俺のほうをむき直し、ぎゅっと目を閉じた。
その愛らしさに頬を緩めながら、力の入った唇を挟み込むように食むと、寿はびくりと体を震わせた。俺の服をつかむ手は、そのまま破いてしまうんじゃないかと思うほど強く握られている。なだめるようにゆっくりと背中を撫でながらキスを重ねていると徐々にこわばった体がほどけていき、唇も柔らかさを取り戻していた。
仕掛けるなら今かな――緩んだ唇の間にそっと舌を差し込む。寿はまた体を大きく震わせたけれど、抵抗はしなかった。
驚かせないように、拒否されないように、ゆっくりと。まずは寿の舌をからめとって味わう。暴走していたときには気づかなかったけど、なぜか寿の唾液はすごく甘かった。
体液には魔力が含まれていると聞いたから、そのせいかもしれない。もし魔力に相性があるのだとしたら、きっとすごくいいと思う。そのくらい、甘くて、おいしい。俺は甘いものが好きなわけでもないのに、不思議だ。
夢中になって舌を吸い、口内を余すことなく舐めつくしてようやく唇を離したころには、寿の瞳はとろんと解けたように潤み、口からは熱のこもった浅い息を漏らしていた。
その姿にごくりと喉が鳴った。当然のように下半身は反応して、ズボンを押し上げている。俺だけじゃない。寿も、だ。
触れたい。
――でも、いいのか?
暴走した俺は寿を無理やり抱こうとした。あんなにも怒っていたのだ。きっとすごく嫌な思いをさせたに違いない。それなのに、舌の根も乾かぬうちにこんなこと、許されるはずがない。
怖じ気づいた心に従って背中に回していた腕を寿から離す。
でも、その手を寿はまるで掴み取るように強く掴んだ。
「逃がさないから」
それは、暴走した俺が寿に言った言葉。
そうか。迷子になった寿を見つけた日、俺が寿を捕まえたんじゃない。俺のほうが寿に囚われたんだ。
なぜだかそうしないといけない気がして、ゆっくりと目を閉じる。すると、寿は俺の膝にまたがり、首の後ろに腕をまわした。キスをしたまま互いに服を脱がせ合う。寿が今着ているシャツはボタンが少なくて、破る必要がなかったことにちょっとほっとしながら。
でも、座ったままでは下は脱がせられないから。寿をベッドにそっと倒し、ズボンに手をかける。その間も唇は重ねたままだ。
今度は抵抗されることなく寿を丸裸にしたとき、俺はようやく唇を離した。とはいっても、寿の唇から離れただけだ。そのまま首筋に舌を這わせ、鎖骨にキスを落とす。指先を寿の腹から丁寧に上へ滑らせていき、片方の乳首は指で、反対側は口に含んで同時に転がした。
寿から「んっ」と甘い声が漏れたのを聞きながら、摘んだり、引っかいたり、吸ったり、噛んだり――しっかりと堪能してから、顔を下げていく。
みぞおちの傷痕は姿を変えても残ったままだった。剣の形に残ったそのあとも入念に舐めて、もっと顔を下げれば、頭をもたげた寿のもとにたどり着いた。
その先端からこぼれる透明な液体を舐めとる。これも、甘い。まずは先端だけ咥えて吸い上げると、寿は小さく悲鳴を上げ、体をよじらせた。
「け、健斗、そんなとこ汚いよ」
「そんなわけない。かわいいし、甘くて、おいしい」
「おいしい?! えっ、ちょっと、まってぇ!」
小柄な寿の体格にみあったかわいらしいそれを、すっぽりと口の中に収めて扱いていく。初めは少し戸惑った様子だった寿も快感には抗えなかったようで、すぐに甘い声を上げ始めた。
「あっ! けん、と、ダメ、、もうイっちゃうっ……!」
寿がぐっと足先を丸めたのと同時に口の中に甘さが広がる。放たれた液体を余すことなく吸い上げて、飲み込んでから口を離すと、すぐさまその下へと舌を這わせた。
「ひっ! だ、ダメ! そんなところ、あぁっんっは、健斗!」
射精の余韻でぐったりとする寿は抵抗する余裕もないようで、力なく俺の頭を押し返している。
俺は一度顔を上げ、寿を見た。
「ここで寿と繋がりたい。ダメか……?」
上目遣いにねだるような声。自分でもあざといと思う。でも効果は抜群だ。寿はぐっと息を詰まらせると、小さな声で「ダメじゃない」と頷いてくれた。
「ありがとう。優しくする」
「お願い……します……」
寿の腹に手を当て、魔力を送り込む。腹の中を洗浄して、ついでに潤滑と弛緩もかける。もちろん初めてやったが、勇者の能力は割とチートなのだ。俺が想像することはだいたい何でも実現できる。
指で触れた寿のそこは柔らかくほころび、潤んでいるから多分うまくいったはず。そのままゆっくりと指を中へと進めて行くと、一本まるまる余裕で入ってしまった。
「痛くない?」
「うんっ、だいじょ、ぶ、」
温かく、柔らかいのに、きゅうっと締め付けてくるその感触に夢中になりながら拓いていれば、気づいた時には俺の指を三本しっかりと咥えていた。
「そろそろ大丈夫だと思うんだけど……」
「んっ。いいよ、来て」
寿の太ももを割り開き、痛いほどガチガチに勃ち上がった俺のものを当てがった。とにかくがっつかないようにと自分に言い聞かせ、腰を進めていく。丸く膨らんだ先端が入り切ったころには、寿は苦し気に眉をしかめていた。
自分で言うのもなんだが、俺のは結構デカい。寿のものと比べれば、二回り、いやもっと、かなりデカい。だから、全部入らなくても仕方がない。繋がれるだけで幸せだ。
今日はここまでにしようと、腰を止める。寿の中がなじむのを待って、少しだけ動ければいいかと考えていると突然、寿が結合部目掛けて手を伸ばした。
「わっ、何?!」
「……全然入ってなくない?」
唐突に触れられて驚く俺に、寿は不満げにつぶやく。そう言われても、これ以上挿入たらつらいのは寿のほうだ。
「今日はここまでにしよ。痛い思いさせたくないし」
「…………やだ」
なだめるように寿の髪を撫でる。でも、唇を尖らせた寿は俺の手をはたき、ドンっと俺の肩を押した。全く構えていなかった俺は、そのまま後ろに倒れ、気が付いた時には目線の先に俺を見下ろす寿がいた。
「全部ちょうだい」
日はすっかりと落ち、代わりに上った月の明かりが窓から差し込むだけで、部屋の中は暗闇に満ちている。それなのに、俺の上にまたがる寿は細い月明かりに照らされ、妖艶に輝いていた。
踊るようにゆらゆらと腰を落とす寿は、徐々に俺を飲み込んでいく。
苦しいのだろう、時たまうめき声をあげながらも、でも絶対に止めることなく、気が付けば俺のすべてが寿の中に収められていた。
「はっ、あぁ、ほんと、おっきぃ」
中にいる俺をたどるように自分の腹をすりっと撫でる寿を見て、俺の中で何かがぶちっと切れる音が聞こえた。
「あっ?! あぁっ!!」
寿の細い腰をつかみ、下から突き上げる。もちろん一度じゃない。肌がぶつかって、バチンと大きな音がなるほど強く、繰り返し何度も何度も。
「あっ、ひあっ、あっあぁ、けんとっ! けんとぉ!」
喉をのけぞらせながら喘ぐ寿が倒れないように支えながら腰を打ち付けていれば、すぐに絶頂が見えてくる。
「寿、好きだ。好きだ、寿っ!」
「ぼくも、ぼくも好き! けんと、あぁ、んっんっイク、出ちゃう、あぁっ!」
名前を呼びながら一際強く奥へとねじ込むと、寿のものから勢いよく放たれた精液が、俺の顔まで飛び散る。それと同時に、俺も寿の中で果てた。
深い絶頂に体を痙攣させる寿を横たわらせ、顔についた寿の精液を指先でぬぐって舐める。その甘さにうっとりと眦を下げながら、俺はまた硬くみなぎるものを寿の中へと突き立てた。
「ひいっ?!」
「まだだよ寿、これで全部じゃない」
「えっ、ちょっと待って?! すぐは!!むぐ、んんっん!」
寿の悲鳴をキスでふさいで飲み込んで、俺は俺の全てを寿へと捧げた。
ちょうどそのころ魔王城では――。
「魔王さん、大丈夫かしら……」
「……三日して出てこなかったら止めに行く」
お茶をすする聖女と剣士を見ながら、正面に腰を掛けていたミノタウロスは苦笑を漏らしつつ、魔王の部屋がある方角へと思いを向けた。
今代の魔王は悠久の平和を望む優しいお方だ。でも、それを叶えるためには誰よりも強くある必要がある。そのこともあの方はちゃんとわかっておられる。
――案外、魔王様のほうが離さないかもしれませんね。
きっと、魔王の望みは叶うだろう。あの勇者がいれば。
そんなことを考えながら、ミノタウロスは静かにお茶を口に運んだ。
【END】
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もう勇者はイヤだな。いっそ人間でなくたっていい。
寿がいる世界にさえ、いさせてくれれば、もうなんだっていい。
でも、寿は俺の顔なんて見たくもないだろうから。もう「会いたい」なんてわがままは言わない。ただ、見届けさせてほしい。俺が奪ってしまった幸せな未来を歩く寿の姿を。
沈んだままだった意識が浮かび上がるとともに、少しずつ体の感覚が戻ってくる。心臓から流れる血が指先に広がり、足先へ降りて体中をめぐっていく。自分のかたちを把握して、また人間であるらしいことにがっかりして。
ワンチャン、人型の魔物っていう線はないかな。ほら、あの牛の頭をした魔物みたいに。なんて考えながら、俺はゆっくりと瞼を開いた。
すぐ目に映ったのは暗い茶色の木でできた天井だった。
ここはどこなのか。まだはっきりとしない意識の中で頭の中にある記憶を探って、周囲を見まわして。天蓋付きの大きくて柔らかなベッドの上にいることを認識した時、ようやく俺は理解した。
「勇者のまま……?」
俺は寿に殺されたのではなかったのか。
咄嗟に体を起こすと、手足につながれた鎖もなくなっていた。
でも、今いるのは意識を失う前に寿といたベッドだ。
部屋の中には誰もいない。窓から差し込むのは夕日だろうか。オレンジ色の光が暗さに慣れた視界を優しく照らしてくれる。
体を起こし、木々しか見えない窓の外をぼんやりと見ていると、にわかに部屋の外が騒がしくなり、勢いよく扉が開いた。
「健斗!!!」
そこにいたのは、”寿”だった。
「目、覚ましてよかったぁ! ちょっとやりすぎちゃったかなって、心配してたんだ」
小さくて丸い頭に、柔らかな黒い髪。ころんとした目を下げて優しく俺に微笑みかけるその顔は、あの頃の、もう二度と会えないと思っていた”寿”のままだ。
「どうして……」
「あっ、これ? 前の僕を思い出したからさ。やってみたらできたの! 」
どういうことだよ。何を言っているのか意味不明すぎて笑えるのに、目の前がにじんでいく。
目の前に寿がいる。俺の名前を呼んで、笑いかけている。もうそれだけで十分だと思うほど嬉しくてたまらない。自分でも引くほど俺は大声を上げて泣いた。
「ごめんね、いじわるして」
そんな俺を見て、寿はかわいそうなくらいおろおろしていた。それがおかしくて、かわいくて、全然涙が止まらない。俺はこんなにも感情の制御が下手くそだったのか。
いや、でも、俺の感情が動くのは、寿といる時だけだし。
涙も鼻水も垂れ流したままのみっともない顔で、俺はまだおろおろしている寿の顔に手を伸ばした。血が通っていることを確かめるように親指で頬をそっと撫でる。
柔らかくて、温かい。
――あぁ、寿がここにいる。
「健斗……?」
寿の存在を黙ったまま噛み締めていた俺に焦れたのか、黒目がちな瞳が心配そうに俺を覗き込む。そして、寿も同じように俺の顔に手を伸ばした。
「せっかくクマは薄くなったのに、目が赤くなっちゃったね」
寿を失ってから、生きている意味をなくした俺はずっと夢と現実の間でさまよっているような状態だった。魔王の姿をした寿が眠っている間もずっと不安でたまらなくて、しっかりと休んだ記憶はない。
多分、俺はずっと眠れていなかったんだと思う。ひどい顔をしていたと寿が俺の目の下を撫でる。それもあって、寿は強制的に俺の意識を奪ったのだという。
「もちろん、お仕置きも兼ねてね」
そういたずらっぽく片方の眉を上げた寿に、俺を見下ろしていた魔王バージョンの時に見せた美しくも冷たい表情が重なる。多分、本人は気づいていないだろう。
寿がこっちに来てからどう過ごしていたのかは、寿が眠っている間に魔物たちに聞いていた。とにかく争いごとを嫌い、平和な世界で長生きすることが寿の望みだったらしい。
魔物にとって魔王は絶対的な存在だ。でも、寿は魔物たちを無理に従わせるようなことはせず、一人ひとりを個として尊重してくれたと牛頭が言っていた。その一方で自分の望みを邪魔するやつには一切容赦なく切り捨てる冷徹な一面もあったという。そういうところはやはり”魔王”だったと。
今の寿には、日本にいたころの優しい寿に、こちらの世界で”魔王”として生きた時間が混ざっている。だからこそ、あの時暴走していた俺を容赦なく締め上げたのだろう。
変わっていないのは俺だけだった。
クリアになった頭で思い返してみると、相当に恥ずかしいし、情けない。
「ごめん……」
「ん-ん、元はといえば僕が原因だし」
「違う! あれは」
「しー」
俺が悪かったんだ。そう言おうとした俺の唇に寿は人差し指を押し当てた。反射的に口を閉じた俺に、寿は泣きそうな顔で笑いかけた。
「また会えてよかった」
「……うん」
涙を拭ってくれる寿の手に頬をすり寄せる。俺より一回り小さい手は温かいけど、少し物足りない。俺はもう一度寿に手を伸ばして、途中で止めた。
「あのさ……」
「ん? なぁに?」
「……抱きしめてもいい?」
多分、俺はそう簡単には変われない。
でも、この先ずっと寿と一緒にいたいから。まずは『寿の意思を無視しない』こと。これを一番に考えていこう。
俺の言葉に寿は一度大きくまばたきをすると、ベッドの上によじ登り、俺に向かって両手を広げた。
「どうぞ」
飛びつきたい衝動を何とか抑えて、ゆっくりと寿を腕の中に包み込む。もう少しも傷つけないよう、大切に。
日本にいたころ、小さい頃はよく手をつないでいたし、成長してからも肩に触れたり、ハグをしたり、スキンシップは良くしていた。いくら欲を見せないようにしていたとはいえ、寿に触れたかったし、何より俺を意識してはにかむ寿がかわいかったから。
でも、これはそんな打算的なものじゃない。
存在を確かに感じたくて、寿の髪に顔を埋めて思いっきり息を吸う。
日本にいたころの寿は身の回りに全くこだわりがなくて、いつも寿のお母さんが買ってくる花の匂いのするシャンプーの甘い香りがした。
今はもうその匂いはしないけれど、安心する温かさは変わらない。
たまらなくなってぐりぐりと額をこすり付けると、「くすぐったいよ」と笑う振動が伝わってくる。ぞくりと欲がうずく音がした。
「寿」
唇を寿の耳元に落とし、名前を呼ぶ。欲を含んだ、低い声で。途端にびくりと体を震わせたから、寿にも多分伝わったのだろう。
少しだけ体を離して覗き込むと、視線を下げたままの顔は赤くなって見えた。
「キスしてもいい?」
魔王の姿だったときに無理矢理してしまったことを今になって後悔しても遅い。だからこそ今度はちゃんとしたい。そう思ったのに、上を向いた寿の顔には眉間に深く皺が刻まれていた。
――えっどこで間違えた?! 固まった俺を寿はじっと睨み付けた。
「どうして?」
「どうして?!」
「どうして、キスするの?」
唇をむうっと尖らせる顔はかわいいけれど、寿が求める正解がわからない。でも、戸惑う俺を、寿は言い逃れはさせまいと、じいっと見つめてくる。
どうして、キスがしたいのか。『したい』と思ったから。なんで? 寿をもっと感じたくて。どうして? そんなの――。
「寿が好きだからに決まってる」
震えた声でぽろりとこぼれるように落ちていった言葉は、まぎれもない俺の想いだった。
ずっとそばにいてほしい、もう一人になりたくない、――愛されたい。
そんな俺の願いが絡まって、見えなくなっていた。本当はこんなにもシンプルなものだったのに。
自分の内心を噛みしめながらも、俺はすぐにはっとした。だってこんな言い方では”告白”としては何ともみっともない。
がっかりしただろうかと恐る恐る寿を見ると、涙に喜びをにじませた瞳が俺を見つめていた。
「僕も、僕も健斗が好きだよ。ずっと好きだった」
勢いよく俺の首に腕をまわした寿を強く抱きしめる。ずっとほしかった温もりが、そこにはあった。
じっくりとそれを堪能して――と思っていたのに、寿はがばりと勢いよく体を離してしまった。また何かしてしまっただろうかと思って焦ったが、そうではなかったらしい。
「よし、キスしよ!」
ふんすと鼻息荒く言った寿の顔は至って真剣だ。でも、俺は思わず吹き出していた。
だって、ムードもへったくれもない。まぁそれが、寿らしくていいんだけど。
「えっ、なんで笑うの?!」
今度は笑ったせいでにじんだ涙をぬぐい、本当にわからないという顔をした寿の頬に親指を這わせる。そして、そっと唇を重ねた。
少し触れただけの軽いキス。それなのに、寿は目を見開いたまま顔を真っ赤にしていた。
「ふはっ。かわい」
「もう! いきなり!!」
俺をぽかぽかと叩く手を摑まえて、じっと目を見つめる。一瞬戸惑ったように視線をそらした寿は、心を決めたと言わんばかりに唇を引き結ぶと俺のほうをむき直し、ぎゅっと目を閉じた。
その愛らしさに頬を緩めながら、力の入った唇を挟み込むように食むと、寿はびくりと体を震わせた。俺の服をつかむ手は、そのまま破いてしまうんじゃないかと思うほど強く握られている。なだめるようにゆっくりと背中を撫でながらキスを重ねていると徐々にこわばった体がほどけていき、唇も柔らかさを取り戻していた。
仕掛けるなら今かな――緩んだ唇の間にそっと舌を差し込む。寿はまた体を大きく震わせたけれど、抵抗はしなかった。
驚かせないように、拒否されないように、ゆっくりと。まずは寿の舌をからめとって味わう。暴走していたときには気づかなかったけど、なぜか寿の唾液はすごく甘かった。
体液には魔力が含まれていると聞いたから、そのせいかもしれない。もし魔力に相性があるのだとしたら、きっとすごくいいと思う。そのくらい、甘くて、おいしい。俺は甘いものが好きなわけでもないのに、不思議だ。
夢中になって舌を吸い、口内を余すことなく舐めつくしてようやく唇を離したころには、寿の瞳はとろんと解けたように潤み、口からは熱のこもった浅い息を漏らしていた。
その姿にごくりと喉が鳴った。当然のように下半身は反応して、ズボンを押し上げている。俺だけじゃない。寿も、だ。
触れたい。
――でも、いいのか?
暴走した俺は寿を無理やり抱こうとした。あんなにも怒っていたのだ。きっとすごく嫌な思いをさせたに違いない。それなのに、舌の根も乾かぬうちにこんなこと、許されるはずがない。
怖じ気づいた心に従って背中に回していた腕を寿から離す。
でも、その手を寿はまるで掴み取るように強く掴んだ。
「逃がさないから」
それは、暴走した俺が寿に言った言葉。
そうか。迷子になった寿を見つけた日、俺が寿を捕まえたんじゃない。俺のほうが寿に囚われたんだ。
なぜだかそうしないといけない気がして、ゆっくりと目を閉じる。すると、寿は俺の膝にまたがり、首の後ろに腕をまわした。キスをしたまま互いに服を脱がせ合う。寿が今着ているシャツはボタンが少なくて、破る必要がなかったことにちょっとほっとしながら。
でも、座ったままでは下は脱がせられないから。寿をベッドにそっと倒し、ズボンに手をかける。その間も唇は重ねたままだ。
今度は抵抗されることなく寿を丸裸にしたとき、俺はようやく唇を離した。とはいっても、寿の唇から離れただけだ。そのまま首筋に舌を這わせ、鎖骨にキスを落とす。指先を寿の腹から丁寧に上へ滑らせていき、片方の乳首は指で、反対側は口に含んで同時に転がした。
寿から「んっ」と甘い声が漏れたのを聞きながら、摘んだり、引っかいたり、吸ったり、噛んだり――しっかりと堪能してから、顔を下げていく。
みぞおちの傷痕は姿を変えても残ったままだった。剣の形に残ったそのあとも入念に舐めて、もっと顔を下げれば、頭をもたげた寿のもとにたどり着いた。
その先端からこぼれる透明な液体を舐めとる。これも、甘い。まずは先端だけ咥えて吸い上げると、寿は小さく悲鳴を上げ、体をよじらせた。
「け、健斗、そんなとこ汚いよ」
「そんなわけない。かわいいし、甘くて、おいしい」
「おいしい?! えっ、ちょっと、まってぇ!」
小柄な寿の体格にみあったかわいらしいそれを、すっぽりと口の中に収めて扱いていく。初めは少し戸惑った様子だった寿も快感には抗えなかったようで、すぐに甘い声を上げ始めた。
「あっ! けん、と、ダメ、、もうイっちゃうっ……!」
寿がぐっと足先を丸めたのと同時に口の中に甘さが広がる。放たれた液体を余すことなく吸い上げて、飲み込んでから口を離すと、すぐさまその下へと舌を這わせた。
「ひっ! だ、ダメ! そんなところ、あぁっんっは、健斗!」
射精の余韻でぐったりとする寿は抵抗する余裕もないようで、力なく俺の頭を押し返している。
俺は一度顔を上げ、寿を見た。
「ここで寿と繋がりたい。ダメか……?」
上目遣いにねだるような声。自分でもあざといと思う。でも効果は抜群だ。寿はぐっと息を詰まらせると、小さな声で「ダメじゃない」と頷いてくれた。
「ありがとう。優しくする」
「お願い……します……」
寿の腹に手を当て、魔力を送り込む。腹の中を洗浄して、ついでに潤滑と弛緩もかける。もちろん初めてやったが、勇者の能力は割とチートなのだ。俺が想像することはだいたい何でも実現できる。
指で触れた寿のそこは柔らかくほころび、潤んでいるから多分うまくいったはず。そのままゆっくりと指を中へと進めて行くと、一本まるまる余裕で入ってしまった。
「痛くない?」
「うんっ、だいじょ、ぶ、」
温かく、柔らかいのに、きゅうっと締め付けてくるその感触に夢中になりながら拓いていれば、気づいた時には俺の指を三本しっかりと咥えていた。
「そろそろ大丈夫だと思うんだけど……」
「んっ。いいよ、来て」
寿の太ももを割り開き、痛いほどガチガチに勃ち上がった俺のものを当てがった。とにかくがっつかないようにと自分に言い聞かせ、腰を進めていく。丸く膨らんだ先端が入り切ったころには、寿は苦し気に眉をしかめていた。
自分で言うのもなんだが、俺のは結構デカい。寿のものと比べれば、二回り、いやもっと、かなりデカい。だから、全部入らなくても仕方がない。繋がれるだけで幸せだ。
今日はここまでにしようと、腰を止める。寿の中がなじむのを待って、少しだけ動ければいいかと考えていると突然、寿が結合部目掛けて手を伸ばした。
「わっ、何?!」
「……全然入ってなくない?」
唐突に触れられて驚く俺に、寿は不満げにつぶやく。そう言われても、これ以上挿入たらつらいのは寿のほうだ。
「今日はここまでにしよ。痛い思いさせたくないし」
「…………やだ」
なだめるように寿の髪を撫でる。でも、唇を尖らせた寿は俺の手をはたき、ドンっと俺の肩を押した。全く構えていなかった俺は、そのまま後ろに倒れ、気が付いた時には目線の先に俺を見下ろす寿がいた。
「全部ちょうだい」
日はすっかりと落ち、代わりに上った月の明かりが窓から差し込むだけで、部屋の中は暗闇に満ちている。それなのに、俺の上にまたがる寿は細い月明かりに照らされ、妖艶に輝いていた。
踊るようにゆらゆらと腰を落とす寿は、徐々に俺を飲み込んでいく。
苦しいのだろう、時たまうめき声をあげながらも、でも絶対に止めることなく、気が付けば俺のすべてが寿の中に収められていた。
「はっ、あぁ、ほんと、おっきぃ」
中にいる俺をたどるように自分の腹をすりっと撫でる寿を見て、俺の中で何かがぶちっと切れる音が聞こえた。
「あっ?! あぁっ!!」
寿の細い腰をつかみ、下から突き上げる。もちろん一度じゃない。肌がぶつかって、バチンと大きな音がなるほど強く、繰り返し何度も何度も。
「あっ、ひあっ、あっあぁ、けんとっ! けんとぉ!」
喉をのけぞらせながら喘ぐ寿が倒れないように支えながら腰を打ち付けていれば、すぐに絶頂が見えてくる。
「寿、好きだ。好きだ、寿っ!」
「ぼくも、ぼくも好き! けんと、あぁ、んっんっイク、出ちゃう、あぁっ!」
名前を呼びながら一際強く奥へとねじ込むと、寿のものから勢いよく放たれた精液が、俺の顔まで飛び散る。それと同時に、俺も寿の中で果てた。
深い絶頂に体を痙攣させる寿を横たわらせ、顔についた寿の精液を指先でぬぐって舐める。その甘さにうっとりと眦を下げながら、俺はまた硬くみなぎるものを寿の中へと突き立てた。
「ひいっ?!」
「まだだよ寿、これで全部じゃない」
「えっ、ちょっと待って?! すぐは!!むぐ、んんっん!」
寿の悲鳴をキスでふさいで飲み込んで、俺は俺の全てを寿へと捧げた。
ちょうどそのころ魔王城では――。
「魔王さん、大丈夫かしら……」
「……三日して出てこなかったら止めに行く」
お茶をすする聖女と剣士を見ながら、正面に腰を掛けていたミノタウロスは苦笑を漏らしつつ、魔王の部屋がある方角へと思いを向けた。
今代の魔王は悠久の平和を望む優しいお方だ。でも、それを叶えるためには誰よりも強くある必要がある。そのこともあの方はちゃんとわかっておられる。
――案外、魔王様のほうが離さないかもしれませんね。
きっと、魔王の望みは叶うだろう。あの勇者がいれば。
そんなことを考えながら、ミノタウロスは静かにお茶を口に運んだ。
【END】
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面白かったです。続きはないのかなぁ😃
感想ありがとうございます!
今のところ続きは考えていませんでした💦
10月からBL大賞が始まるので、そちらが落ち着いてからまた考えます💪
カッコ可愛い男前受けちゃんと激重不器用攻が大好物の私に、もうブッ刺さりまくりました😍
素敵な作品をありがとうございました♪
感想ありがとうございます!
刺さったと言っていただけて嬉しいです😭
激重攻め、私も大好物です🤭