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エピローグ
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玲央と私のために淹れたコーヒーは、すっかり冷めてしまっていた。
思いを通わせ合った私たちは、お互いが疑問に思っていたことを尋ねた。
「高校の頃、あんなにビジュが強烈だったのに、大学に入ってからメガネやめたのはどうして?」
という玲央の問いに、私は苦笑いを浮かべながら答えた。
「だって、制服であのメガネならまだね、浮いていたとしても高校生だからって大目に見てもらえるところってあるでしょう? 大学生で、私服であれだと、さすがに痛い子だし、服も似合うのが全然ないし……」
化粧をしても、メガネで隠れてしまうのが惜しいと思ったのだ。コンタクトレンズデビューをしたのは高校を卒業してからだけど、コンタクトレンズをしない時のメガネも、大学に入ってバイトを始めてから作り直した。
それまではわざと瓶底みたいに厚いレンズを使っていたけれど、レンズを圧縮して、フレームもスタイリッシュなものに変えたらおしゃれの幅も広がった。
「玲央こそ、どうしてこんなに遠回りしたの?」
学生の頃から好きだったと告白されて、正直嬉しかった。当時から両思いだったことが今でも信じられないくらいだ。
私の問いに、玲央は顔を赤く染めながら、ポツリポツリと答えてくれる。
「だって、高校の頃の真冬って、とりつく島もないくらいキャラが立っていただろう? 大学に入ってからイメチェンして、綺麗になって、真冬のこといいなって言う男どもは後を絶たなかったの知らないだろう?」
意外な事実を聞かされて、私は鉄砲玉を喰らった鳩のように目を丸くする。
「高校の頃のように瑠璃が同じ大学にいてくれたら、俺も安心だったけれど、あいつは違うところに進学したし……。あの頃のように、真冬のそばにいられるならと思って、真冬の友達を味方につけるつもりが、他人の気持ちほど難しいものはないな」
大学時代の玲央と私が親しくなった友達は、これ見よがしに付き合いを始めた割に、どれも長く続かなかった。
「俺は真冬の友達に、最初から事情を話した上で付き合っている振りを頼んでいたけれど、いつの間にか惚れられて、約束を反故にされる。その繰り返しだったんだよ。どうせ俺が告白をしても、真冬は逃げる。そう思っていたから、振られるのが怖くて、でも男どもの中で、だれよりも真冬の一番近くにいたかった」
玲央の言葉に、私は胸が痛んだ。
「瑠璃は面白がって、見ているだけで何もしないし。でも大学に進学してからも、一番親身になって相談に乗ってくれていたんだ」
「じゃあ、瑠璃とは……」
高校時代、二人は本当に仲睦まじいように見えたけれど、恋人同士ではなかっただなんて……
「真冬の前では仲良さそうにイチャイチャしているように見せていたけれど、真冬の目が届かない場所ではボロカスだったよ、俺」
そう言って、玲央はスマホを取り出すと、瑠璃とのやり取り画面を見せてくれた。そこには玲央の書いていることに、逐一ダメ出しをする瑠璃の言葉の羅列やスタンプが表示されていた。直近だけではなく、少し遡ってみても、終始がそんな調子だ。
「それに、お見合いの話があるって……」
瑠璃とのやり取りを見せてもらって、当時も今も、恋愛感情での付き合いではないことがはっきりしたけれど……
職場でまことしやかに囁かれている噂だ。真相をきちんとさせておかないと、後でまた泣くことになる。
私の疑問に、玲央はキッパリと返答した。
「ああ、あれはデマだよ。うちの両親、自分の伴侶になる人間くらい自分で見つけろって考えだから、取引先から話を持ちかけられたとしても、全部断ってくれているよ」
玲央の言葉に、玲央の父である社長の顔が思い浮かんだ。たしかに社長は、そのようなコネクションを使って取引先を拡充したりするような人ではない。
「これで、信じてくれるか? 俺の気持ち」
高校に入学して、玲央と出会って十年が経つ。お互いずっと好きだったのだ、遠回りの恋だったけれど、玲央の気持ちを信じるしかない。
「玲央、十年も私の気持ちを弄ぶだなんて、随分と悪い男だよね」
私の声に、玲央は抱擁で答えてくれる。
「そんな悪い男に捕まったんだ、もう逃げられると思うなよ? 十年分の愛情を、たっぷりと思い知らせてやるからな」
玲央の言葉に、私は彼の胸の中で頷いた。
思いを通わせ合った私たちは、お互いが疑問に思っていたことを尋ねた。
「高校の頃、あんなにビジュが強烈だったのに、大学に入ってからメガネやめたのはどうして?」
という玲央の問いに、私は苦笑いを浮かべながら答えた。
「だって、制服であのメガネならまだね、浮いていたとしても高校生だからって大目に見てもらえるところってあるでしょう? 大学生で、私服であれだと、さすがに痛い子だし、服も似合うのが全然ないし……」
化粧をしても、メガネで隠れてしまうのが惜しいと思ったのだ。コンタクトレンズデビューをしたのは高校を卒業してからだけど、コンタクトレンズをしない時のメガネも、大学に入ってバイトを始めてから作り直した。
それまではわざと瓶底みたいに厚いレンズを使っていたけれど、レンズを圧縮して、フレームもスタイリッシュなものに変えたらおしゃれの幅も広がった。
「玲央こそ、どうしてこんなに遠回りしたの?」
学生の頃から好きだったと告白されて、正直嬉しかった。当時から両思いだったことが今でも信じられないくらいだ。
私の問いに、玲央は顔を赤く染めながら、ポツリポツリと答えてくれる。
「だって、高校の頃の真冬って、とりつく島もないくらいキャラが立っていただろう? 大学に入ってからイメチェンして、綺麗になって、真冬のこといいなって言う男どもは後を絶たなかったの知らないだろう?」
意外な事実を聞かされて、私は鉄砲玉を喰らった鳩のように目を丸くする。
「高校の頃のように瑠璃が同じ大学にいてくれたら、俺も安心だったけれど、あいつは違うところに進学したし……。あの頃のように、真冬のそばにいられるならと思って、真冬の友達を味方につけるつもりが、他人の気持ちほど難しいものはないな」
大学時代の玲央と私が親しくなった友達は、これ見よがしに付き合いを始めた割に、どれも長く続かなかった。
「俺は真冬の友達に、最初から事情を話した上で付き合っている振りを頼んでいたけれど、いつの間にか惚れられて、約束を反故にされる。その繰り返しだったんだよ。どうせ俺が告白をしても、真冬は逃げる。そう思っていたから、振られるのが怖くて、でも男どもの中で、だれよりも真冬の一番近くにいたかった」
玲央の言葉に、私は胸が痛んだ。
「瑠璃は面白がって、見ているだけで何もしないし。でも大学に進学してからも、一番親身になって相談に乗ってくれていたんだ」
「じゃあ、瑠璃とは……」
高校時代、二人は本当に仲睦まじいように見えたけれど、恋人同士ではなかっただなんて……
「真冬の前では仲良さそうにイチャイチャしているように見せていたけれど、真冬の目が届かない場所ではボロカスだったよ、俺」
そう言って、玲央はスマホを取り出すと、瑠璃とのやり取り画面を見せてくれた。そこには玲央の書いていることに、逐一ダメ出しをする瑠璃の言葉の羅列やスタンプが表示されていた。直近だけではなく、少し遡ってみても、終始がそんな調子だ。
「それに、お見合いの話があるって……」
瑠璃とのやり取りを見せてもらって、当時も今も、恋愛感情での付き合いではないことがはっきりしたけれど……
職場でまことしやかに囁かれている噂だ。真相をきちんとさせておかないと、後でまた泣くことになる。
私の疑問に、玲央はキッパリと返答した。
「ああ、あれはデマだよ。うちの両親、自分の伴侶になる人間くらい自分で見つけろって考えだから、取引先から話を持ちかけられたとしても、全部断ってくれているよ」
玲央の言葉に、玲央の父である社長の顔が思い浮かんだ。たしかに社長は、そのようなコネクションを使って取引先を拡充したりするような人ではない。
「これで、信じてくれるか? 俺の気持ち」
高校に入学して、玲央と出会って十年が経つ。お互いずっと好きだったのだ、遠回りの恋だったけれど、玲央の気持ちを信じるしかない。
「玲央、十年も私の気持ちを弄ぶだなんて、随分と悪い男だよね」
私の声に、玲央は抱擁で答えてくれる。
「そんな悪い男に捕まったんだ、もう逃げられると思うなよ? 十年分の愛情を、たっぷりと思い知らせてやるからな」
玲央の言葉に、私は彼の胸の中で頷いた。
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