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第三章
家族の真実 3
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「松下さん、悪い。今日は……」
「いえ、私が勝手に来ただけです。すみません」
きっとお母さんの訪問は予定外だったのだろう。
動揺している藤堂さんに気を遣わせまいと慌てて立ち上がると、藤堂さんの目が一瞬揺れた。
「いや……別に。事前にアポなしでうちに来た母の方が悪いから、ごめん」
その声は、思っていたよりも柔らかかった。
藤堂さんのお母さんは、自分が余計なことを喋ったと思ったのか、「二人の顔を見ることもできたし、もう帰るわね」と言って家を後にした。
食卓には先ほどお母さんが持ってきた煮物と、藤堂さんが作った味噌汁が並んでいる。
真一くんが「いっしょにたべよう!」と私の手を引くので断れるはずもなく、席についた。
箸を動かしながらも、頭の中では先ほどの話が何度も反芻される。
事故の日、迎えに行けなかった藤堂さん。
責任を感じ、甥を育て続ける彼。
その重さを、私は今まで知らなかった。
ふと見ると、藤堂さんが真一くんの茶碗にご飯をよそっている。その手つきは驚くほど自然で、穏やかだった。
「ほら、ちゃんと食べろ。野菜も」
「はーい」
何気ないやり取りが、胸に刺さる。こんなふうに日々を過ごしている彼が、どれだけの覚悟でここまで来たのか……
食事のあと、玄関まで見送ってくれた藤堂さんが、小さく息を吐いた。
「……母さん、余計なこと話しただろ」
「……少しだけ。でも、聞けてよかったです」
私の言葉に、彼は目を伏せる。
「別に、同情なんかしてほしくない」
「同情じゃないです」
思わず、言葉が強くなる。
「ただ……あなたがどれだけ真一くんを大事にしてるか、わかりましたから……」
沈黙が落ちる。彼の視線が、私の奥を探るように揺れた。
「……ありがとう」
それは、かすかに震えていた。
藤堂家の玄関を出た私は、夜空を仰ぐ。
夜風が頬を撫でる中、私は歩き出した。
藤堂さんの背負ってきたものを、すべて理解できるわけじゃない。けれど、その重さごと抱きしめられるような人間になりたいーーそんな願いが、胸の奥で静かに灯っていた。
「いえ、私が勝手に来ただけです。すみません」
きっとお母さんの訪問は予定外だったのだろう。
動揺している藤堂さんに気を遣わせまいと慌てて立ち上がると、藤堂さんの目が一瞬揺れた。
「いや……別に。事前にアポなしでうちに来た母の方が悪いから、ごめん」
その声は、思っていたよりも柔らかかった。
藤堂さんのお母さんは、自分が余計なことを喋ったと思ったのか、「二人の顔を見ることもできたし、もう帰るわね」と言って家を後にした。
食卓には先ほどお母さんが持ってきた煮物と、藤堂さんが作った味噌汁が並んでいる。
真一くんが「いっしょにたべよう!」と私の手を引くので断れるはずもなく、席についた。
箸を動かしながらも、頭の中では先ほどの話が何度も反芻される。
事故の日、迎えに行けなかった藤堂さん。
責任を感じ、甥を育て続ける彼。
その重さを、私は今まで知らなかった。
ふと見ると、藤堂さんが真一くんの茶碗にご飯をよそっている。その手つきは驚くほど自然で、穏やかだった。
「ほら、ちゃんと食べろ。野菜も」
「はーい」
何気ないやり取りが、胸に刺さる。こんなふうに日々を過ごしている彼が、どれだけの覚悟でここまで来たのか……
食事のあと、玄関まで見送ってくれた藤堂さんが、小さく息を吐いた。
「……母さん、余計なこと話しただろ」
「……少しだけ。でも、聞けてよかったです」
私の言葉に、彼は目を伏せる。
「別に、同情なんかしてほしくない」
「同情じゃないです」
思わず、言葉が強くなる。
「ただ……あなたがどれだけ真一くんを大事にしてるか、わかりましたから……」
沈黙が落ちる。彼の視線が、私の奥を探るように揺れた。
「……ありがとう」
それは、かすかに震えていた。
藤堂家の玄関を出た私は、夜空を仰ぐ。
夜風が頬を撫でる中、私は歩き出した。
藤堂さんの背負ってきたものを、すべて理解できるわけじゃない。けれど、その重さごと抱きしめられるような人間になりたいーーそんな願いが、胸の奥で静かに灯っていた。
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