18 / 47
前編
18.ドラゴン
しおりを挟む
魔物が大量に砦へ向かって雪崩れ込んできたときも、今ほどぴりついた空気ではなかったように思う。ずらりと敷かれた陣は似たようなものなのだが、一つ違うのは、全員何かと交戦することもなくただ居並んでいるだけというところだ。
自分からは何もできず、じっと待つしかないという状況は案外心に堪える。
「きついねー……」
「そうだね」
苦笑しながら漏らしたサンサに返し、レーネは久しぶりに握った杖を撫でた。レーネの背丈より少し長い杖にはめられた魔石は、養父がわざわざ選んでくれたとても質のいいものらしい。しかしレーネは普段、魔法を使うときに杖を必要としないから、そこまでしてくれた養父に申し訳ない気持ちが少しある。
ただ、魔法の威力を増幅させたり精度を高めたりするには、この杖を使うのが一番だ。
「あの……質問いいですか」
「はいフィルくん、どうぞ」
ティノールトは当然のようにレーネの隣に陣取り、他の新人たちもそれぞれのバディのそばで身構えている。その状況でひたすら待機させられているのが苦痛なのは誰も同じで、口を開いたフィルを止める者はいなかった。
「ドラゴンの幼体って聞きましたけど……幼体でも、やっぱりこれだけ警戒しないといけないんですか、ドラゴンって」
存在は知られているものの、ドラゴンに遭遇することなど普通はない。おとぎ話で語られるのを耳にするか、嵐のように天災と同列に例えられるか、一般的に知られているのはその程度の知識だ。
「そうだねぇ……幼体でも警戒が必要、も正解なんだけど、それだけじゃないんだよ」
ただし、魔物からとれる魔石を使うことが多い分、魔物の生態について、魔術師団には騎士団より多くの知識が受け継がれている。
「幼体がいるなら近くに親がいる可能性が高いから、そっちへの備え、かな」
「親……って……」
「ドラゴンは子どもを大事にするからね」
無論、ドラゴンの幼体自体が危険な魔物で、砦の騎士と魔術師たちが全員で戦えば何とかなるかもしれない、という想定でこの布陣になっている。何人かの魔術師はすでに結界を準備しているし、砦を守るためにそちらに待機している魔術師もいる。
しかし幼体に手出しをすれば、確実に親のドラゴンが現れてしまう。ドラゴンは魔物には珍しく、子どもへの愛着が強く大人になるまでしっかり守り育てるという種族だ。子どもを傷つけられでもしようものなら、その国ごと滅ぼしかねない。
だから、下手をすればこの砦どころか、リユネルヴェニアが破滅する。
「な、なら戦っちゃまずいんじゃ……」
「こっちから積極的に攻撃するのはまずいね。でも身は守らないといけないだろう?」
ドラゴンが火を噴いてくるなら、炎を防がなければいけない。前肢を叩きつけてくるなら、避けるか跳ね返すかしなければいけない。全く無抵抗にやられるわけにもいかないのだから、備えは必要になる。
「でも攻撃したらまずいって、どうやって撃退するんですか……?」
問題はそこなのだ。ドラゴンの幼体を攻撃せず、親ドラゴンを呼び寄せないようにしながら、砦から離れて魔物の領域に戻らせなければならない。そんなことが可能なのかと聞かれても、誰も答えを持っていない。
流れた沈黙に質問したフィル本人も察したようで、サンサに向けていた顔をユッダ山脈へと逸らした。
きゅ、と杖を握り直したレーネの手に、そっと別の手が重なってくる。
「……無茶、しないでくださいね」
うまく答えられず、レーネはティノールトをただ見上げた。
新人として砦に赴任してきた子たちは、まだ学校を卒業したばかりで経験も浅い。先日の魔物の大移動で一皮剥けた部分もあるだろうが、攻撃せず防御に徹してひたすら耐え続けるというのは難しいだろう。
いざとなったら、全員なんとか逃がしてやらなければいけない。
「来たぞ!」
誰かの声に視線を戻して、レーネは即座に結界を張った。遅れて衝突音が響き、正面に黒煙が上がる。
間に合った、が、伝わってきた衝撃が重すぎて体が痛い。とっさに杖を地面に突き立ててなんとか凌いだが、情けなく尻もちをついていてもおかしくなかった。
「サンサ、く……魔術師、結界……」
「魔術師は総員結界を張り続けろ!」
途切れ途切れに絞り出した声をサンサに拾ってもらい、魔術師たちに指示を出す。炎弾自体の速度はそこまでないが、やはり威力が高い。見てから防御するのではなく、きちんと魔力を練り込んだ結界で受けなければ押し負ける。魔力の低い魔術師だったら、結界ごと吹き飛ばされてしまうかもしれない。
息をついた体を後ろから支えられて、慌てて振り返る。
「……何か、させてください」
怪我はしていないはずなのに、ずいぶんと辛そうな表情だ。
思わずティノールトの頬を撫でて、戦場でそんなことをしている場合じゃないと我に返って、わたわたと手を引っ込める。
何か。何か。何だろう。
「……Hug」
ぎゅ、とレーネの体に回った腕の力が強くなる。Commandをきちんと覚えていてくれたのが嬉しい。ティノールトが抱きしめてくれると、体の痛みが楽になる気がする。
しかし、甘えてばかりいないで、やるべきことをやらなければ。
「ごめんね、ありがとう」
「……いえ」
ティノールトの腕を抜け出して、セシルの姿を探す。ドラゴンの考えがわかるなら、何か対処法が見つかるかもしれない。
結界を張る一団にいたセシルに駆け寄って、少し袖を引っ張って連れ出す。
「幼体の考えてること、わかりそう……?」
なるべく声をひそめて、周囲に聞こえないようひそひそ尋ねれば、セシルもぽそぽそと返してくる。
「はっきりとは……敵意は感じない、ですけど」
「そう……」
敵意がないということは、砦を破壊しようと徹底的に攻撃してくることはないはずだ。ただ、敵意もなく攻撃してくるというのは性質が悪い。戯れでこんな威力のものをぽんぽん打ち込まれても困る。
しかし近くに親ドラゴンがいるのは確実だから、そちらも含めてどうにかしなければいけない。
「あの、レーネさん……僕、戻っても……」
「あ、ごめん、戻ろう」
セシル一人で戻れば妙な顔をされるかもしれない。連れ立って魔術師の集団に加わり、思考だけをとにかく回す。
幼体のほうには手出しできない。何があっても、成体のドラゴンを怒らせるのは得策ではない。親ドラゴンが移動すれば、子どももついていくだろうか。今は子どもを見守っているだろうから、近くにはいるはずだ。
しかし、ドラゴンを移動させる手段など、ギガント以上に思いつかない。
また視線を巡らせて今度はオルランドを探し、伝令に走り回る騎士に次々と指示を与えているのを見つけて駆け寄る。
「オルランドくん、マント貸してくれないかい」
戦闘時に邪魔になるマントをつけているのは、小隊長よりさらに上の位階にあるものだけだ。そうするとレーネが気軽に声をかけられるのは、オルランドくらいしかいない。
「あ?」
ただ、殺気立っているときのオルランドが怖いのを忘れていた。怯んで思わず固まった背中に、そっと誰かが触れてくる。
「隊長、マントを貸していただけませんか」
「ティノールト? ……おいレーネ、何をする気だ」
驚いて隣を見上げ、しかしオルランドに尋ねられたので答えなければならず、レーネは二人を交互に見る羽目になった。
「ドラゴン、探してくる」
「……何だと?」
怒られるようなことを言っただろうか。びくっと肩を跳ねさせてまた硬直しそうになったが、拳を握って自分を叱咤し、オルランドに踏み出す。
「幼体に手を出せないなら、大人のほうをどうにかするしかないだろう」
「どうにかするあてがあるならいいが、お前のそれはそうじゃないだろう!」
オルランドの剣幕に思わず黙ってしまった。あてがないのは事実だし、それを超えてオルランドを納得させられるような論理は、レーネの口からは出てこない。
それでも、このまま終わりの見えない防衛戦を続けるより、多少の危険はあっても何かしらの策を見出して抗うほうがいいはずだ。砦全員で耐え忍ぶより、一人を危険にさらしてでも活路を探すほうがずっといい。
「……僕は、魔法以外は得意じゃない」
杖を握り直し、しっかりとオルランドに目を据える。今オルランドに臆しているようでは、ドラゴンと対峙することなどできるはずがない。
「だから、僕のできることで、みんなを守りたい」
レーネにできること、魔法で何ができるかわからない。それでも、何もしないではいられない。
「僕の魔法で、ドラゴンを探すことはできる。他にはいない。そうだろう」
ギガントのときと同じように、オルランドのマントを借りて飛び、空からドラゴンの親を探す。その魔法を使えるのは、今のところこの砦ではレーネだけだ。
ぐっと言葉につまったオルランドに対して少し空気を緩め、レーネも一つ息をつく。
「貸してくれるかい、オルランドくん」
「……ティノールト・ヴァリエ」
少し後ろに立っていたティノールトのほうに声をかけられて、レーネはきょとんと目を瞬いた。ティノールトを振り返ると、レーネのように戸惑うこともなく、真剣な顔でオルランドの言葉を聞いている。
「任務だ。この戦いの間、筆頭魔術師殿をお守りしろ」
「……了解しました」
やや乱暴にマントを外し、くしゃっと丸めたものをオルランドが差し出してくる。
「必ず返しに来いよ」
積極的な許可ではない。だから、保険としてティノールトを連れていかせる。
言外の意図を読み取って、マントを受け取りながらレーネはただ頷いた。オルランドの考えをティノールトも理解しているのかどうかわからないが、あまり気分のいいものではないだろう。
「ちゃんと帰ってくる。前もそうだっただろう?」
「……そうだな」
ぽん、とオルランドの手が頭に乗ってわしゃわしゃ髪をかき回すのを、レーネは好きにさせておいた。
自分からは何もできず、じっと待つしかないという状況は案外心に堪える。
「きついねー……」
「そうだね」
苦笑しながら漏らしたサンサに返し、レーネは久しぶりに握った杖を撫でた。レーネの背丈より少し長い杖にはめられた魔石は、養父がわざわざ選んでくれたとても質のいいものらしい。しかしレーネは普段、魔法を使うときに杖を必要としないから、そこまでしてくれた養父に申し訳ない気持ちが少しある。
ただ、魔法の威力を増幅させたり精度を高めたりするには、この杖を使うのが一番だ。
「あの……質問いいですか」
「はいフィルくん、どうぞ」
ティノールトは当然のようにレーネの隣に陣取り、他の新人たちもそれぞれのバディのそばで身構えている。その状況でひたすら待機させられているのが苦痛なのは誰も同じで、口を開いたフィルを止める者はいなかった。
「ドラゴンの幼体って聞きましたけど……幼体でも、やっぱりこれだけ警戒しないといけないんですか、ドラゴンって」
存在は知られているものの、ドラゴンに遭遇することなど普通はない。おとぎ話で語られるのを耳にするか、嵐のように天災と同列に例えられるか、一般的に知られているのはその程度の知識だ。
「そうだねぇ……幼体でも警戒が必要、も正解なんだけど、それだけじゃないんだよ」
ただし、魔物からとれる魔石を使うことが多い分、魔物の生態について、魔術師団には騎士団より多くの知識が受け継がれている。
「幼体がいるなら近くに親がいる可能性が高いから、そっちへの備え、かな」
「親……って……」
「ドラゴンは子どもを大事にするからね」
無論、ドラゴンの幼体自体が危険な魔物で、砦の騎士と魔術師たちが全員で戦えば何とかなるかもしれない、という想定でこの布陣になっている。何人かの魔術師はすでに結界を準備しているし、砦を守るためにそちらに待機している魔術師もいる。
しかし幼体に手出しをすれば、確実に親のドラゴンが現れてしまう。ドラゴンは魔物には珍しく、子どもへの愛着が強く大人になるまでしっかり守り育てるという種族だ。子どもを傷つけられでもしようものなら、その国ごと滅ぼしかねない。
だから、下手をすればこの砦どころか、リユネルヴェニアが破滅する。
「な、なら戦っちゃまずいんじゃ……」
「こっちから積極的に攻撃するのはまずいね。でも身は守らないといけないだろう?」
ドラゴンが火を噴いてくるなら、炎を防がなければいけない。前肢を叩きつけてくるなら、避けるか跳ね返すかしなければいけない。全く無抵抗にやられるわけにもいかないのだから、備えは必要になる。
「でも攻撃したらまずいって、どうやって撃退するんですか……?」
問題はそこなのだ。ドラゴンの幼体を攻撃せず、親ドラゴンを呼び寄せないようにしながら、砦から離れて魔物の領域に戻らせなければならない。そんなことが可能なのかと聞かれても、誰も答えを持っていない。
流れた沈黙に質問したフィル本人も察したようで、サンサに向けていた顔をユッダ山脈へと逸らした。
きゅ、と杖を握り直したレーネの手に、そっと別の手が重なってくる。
「……無茶、しないでくださいね」
うまく答えられず、レーネはティノールトをただ見上げた。
新人として砦に赴任してきた子たちは、まだ学校を卒業したばかりで経験も浅い。先日の魔物の大移動で一皮剥けた部分もあるだろうが、攻撃せず防御に徹してひたすら耐え続けるというのは難しいだろう。
いざとなったら、全員なんとか逃がしてやらなければいけない。
「来たぞ!」
誰かの声に視線を戻して、レーネは即座に結界を張った。遅れて衝突音が響き、正面に黒煙が上がる。
間に合った、が、伝わってきた衝撃が重すぎて体が痛い。とっさに杖を地面に突き立ててなんとか凌いだが、情けなく尻もちをついていてもおかしくなかった。
「サンサ、く……魔術師、結界……」
「魔術師は総員結界を張り続けろ!」
途切れ途切れに絞り出した声をサンサに拾ってもらい、魔術師たちに指示を出す。炎弾自体の速度はそこまでないが、やはり威力が高い。見てから防御するのではなく、きちんと魔力を練り込んだ結界で受けなければ押し負ける。魔力の低い魔術師だったら、結界ごと吹き飛ばされてしまうかもしれない。
息をついた体を後ろから支えられて、慌てて振り返る。
「……何か、させてください」
怪我はしていないはずなのに、ずいぶんと辛そうな表情だ。
思わずティノールトの頬を撫でて、戦場でそんなことをしている場合じゃないと我に返って、わたわたと手を引っ込める。
何か。何か。何だろう。
「……Hug」
ぎゅ、とレーネの体に回った腕の力が強くなる。Commandをきちんと覚えていてくれたのが嬉しい。ティノールトが抱きしめてくれると、体の痛みが楽になる気がする。
しかし、甘えてばかりいないで、やるべきことをやらなければ。
「ごめんね、ありがとう」
「……いえ」
ティノールトの腕を抜け出して、セシルの姿を探す。ドラゴンの考えがわかるなら、何か対処法が見つかるかもしれない。
結界を張る一団にいたセシルに駆け寄って、少し袖を引っ張って連れ出す。
「幼体の考えてること、わかりそう……?」
なるべく声をひそめて、周囲に聞こえないようひそひそ尋ねれば、セシルもぽそぽそと返してくる。
「はっきりとは……敵意は感じない、ですけど」
「そう……」
敵意がないということは、砦を破壊しようと徹底的に攻撃してくることはないはずだ。ただ、敵意もなく攻撃してくるというのは性質が悪い。戯れでこんな威力のものをぽんぽん打ち込まれても困る。
しかし近くに親ドラゴンがいるのは確実だから、そちらも含めてどうにかしなければいけない。
「あの、レーネさん……僕、戻っても……」
「あ、ごめん、戻ろう」
セシル一人で戻れば妙な顔をされるかもしれない。連れ立って魔術師の集団に加わり、思考だけをとにかく回す。
幼体のほうには手出しできない。何があっても、成体のドラゴンを怒らせるのは得策ではない。親ドラゴンが移動すれば、子どももついていくだろうか。今は子どもを見守っているだろうから、近くにはいるはずだ。
しかし、ドラゴンを移動させる手段など、ギガント以上に思いつかない。
また視線を巡らせて今度はオルランドを探し、伝令に走り回る騎士に次々と指示を与えているのを見つけて駆け寄る。
「オルランドくん、マント貸してくれないかい」
戦闘時に邪魔になるマントをつけているのは、小隊長よりさらに上の位階にあるものだけだ。そうするとレーネが気軽に声をかけられるのは、オルランドくらいしかいない。
「あ?」
ただ、殺気立っているときのオルランドが怖いのを忘れていた。怯んで思わず固まった背中に、そっと誰かが触れてくる。
「隊長、マントを貸していただけませんか」
「ティノールト? ……おいレーネ、何をする気だ」
驚いて隣を見上げ、しかしオルランドに尋ねられたので答えなければならず、レーネは二人を交互に見る羽目になった。
「ドラゴン、探してくる」
「……何だと?」
怒られるようなことを言っただろうか。びくっと肩を跳ねさせてまた硬直しそうになったが、拳を握って自分を叱咤し、オルランドに踏み出す。
「幼体に手を出せないなら、大人のほうをどうにかするしかないだろう」
「どうにかするあてがあるならいいが、お前のそれはそうじゃないだろう!」
オルランドの剣幕に思わず黙ってしまった。あてがないのは事実だし、それを超えてオルランドを納得させられるような論理は、レーネの口からは出てこない。
それでも、このまま終わりの見えない防衛戦を続けるより、多少の危険はあっても何かしらの策を見出して抗うほうがいいはずだ。砦全員で耐え忍ぶより、一人を危険にさらしてでも活路を探すほうがずっといい。
「……僕は、魔法以外は得意じゃない」
杖を握り直し、しっかりとオルランドに目を据える。今オルランドに臆しているようでは、ドラゴンと対峙することなどできるはずがない。
「だから、僕のできることで、みんなを守りたい」
レーネにできること、魔法で何ができるかわからない。それでも、何もしないではいられない。
「僕の魔法で、ドラゴンを探すことはできる。他にはいない。そうだろう」
ギガントのときと同じように、オルランドのマントを借りて飛び、空からドラゴンの親を探す。その魔法を使えるのは、今のところこの砦ではレーネだけだ。
ぐっと言葉につまったオルランドに対して少し空気を緩め、レーネも一つ息をつく。
「貸してくれるかい、オルランドくん」
「……ティノールト・ヴァリエ」
少し後ろに立っていたティノールトのほうに声をかけられて、レーネはきょとんと目を瞬いた。ティノールトを振り返ると、レーネのように戸惑うこともなく、真剣な顔でオルランドの言葉を聞いている。
「任務だ。この戦いの間、筆頭魔術師殿をお守りしろ」
「……了解しました」
やや乱暴にマントを外し、くしゃっと丸めたものをオルランドが差し出してくる。
「必ず返しに来いよ」
積極的な許可ではない。だから、保険としてティノールトを連れていかせる。
言外の意図を読み取って、マントを受け取りながらレーネはただ頷いた。オルランドの考えをティノールトも理解しているのかどうかわからないが、あまり気分のいいものではないだろう。
「ちゃんと帰ってくる。前もそうだっただろう?」
「……そうだな」
ぽん、とオルランドの手が頭に乗ってわしゃわしゃ髪をかき回すのを、レーネは好きにさせておいた。
21
あなたにおすすめの小説
【完結】社畜の俺が一途な犬系イケメン大学生に告白された話
日向汐
BL
「好きです」
「…手離せよ」
「いやだ、」
じっと見つめてくる眼力に気圧される。
ただでさえ16時間勤務の後なんだ。勘弁してくれ──。
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
純真天然イケメン大学生(21)× 気怠げ社畜お兄さん(26)
閉店間際のスーパーでの出会いから始まる、
一途でほんわか甘いラブストーリー🥐☕️💕
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
📚 **全5話/9月20日(土)完結!** ✨
短期でサクッと読める完結作です♡
ぜひぜひ
ゆるりとお楽しみください☻*
・───────────・
🧸更新のお知らせや、2人の“舞台裏”の小話🫧
❥❥❥ https://x.com/ushio_hinata_2?s=21
・───────────・
応援していただけると励みになります💪( ¨̮ 💪)
なにとぞ、よしなに♡
・───────────・
世界で一番優しいKNEELをあなたに
珈琲きの子
BL
グレアの圧力の中セーフワードも使えない状態で体を弄ばれる。初めてパートナー契約したDomから卑劣な洗礼を受け、ダイナミクス恐怖症になったSubの一希は、自分のダイナミクスを隠し、Usualとして生きていた。
Usualとして恋をして、Usualとして恋人と愛し合う。
抑制剤を服用しながらだったが、Usualである恋人の省吾と過ごす時間は何物にも代えがたいものだった。
しかし、ある日ある男から「久しぶりに会わないか」と電話がかかってくる。その男は一希の初めてのパートナーでありSubとしての喜びを教えた男だった。
※Dom/Subユニバース独自設定有り
※やんわりモブレ有り
※Usual✕Sub
※ダイナミクスの変異あり
痛いほど、抱きしめて
春於
BL
Dom/Subユニバース
東有希人(あずま ゆきと)は、演劇部に所属する高校三年生である。
親からの無償の愛を受けないまま育ち、そんな自分を大切に育ててくれた祖父母との死別を体験した有希人は舞台の上だけが自分の居場所だと思っていた。
しかし、高校三年生の春。普段と変わらぬ生活が始まると思った矢先に高校二年生の樋口叶人(ひぐち かなと)に告白される。その告白は断ったものの、それから毎日のように叶人にお世話され、構われるようになった。
有希人はそれにうんざりしながらも甘受する日々を送っていたが……。
※重複投稿 全4話完結
【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。
きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。
自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。
食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。
人気作家は売り専男子を抱き枕として独占したい
白妙スイ@1/9新刊発売
BL
八架 深都は好奇心から売り専のバイトをしている大学生。
ある日、不眠症の小説家・秋木 晴士から指名が入る。
秋木の家で深都はもこもこの部屋着を着せられて、抱きもせず添い寝させられる。
戸惑った深都だったが、秋木は気に入ったと何度も指名してくるようになって……。
●八架 深都(はちか みと)
20歳、大学2年生
好奇心旺盛な性格
●秋木 晴士(あきぎ せいじ)
26歳、小説家
重度の不眠症らしいが……?
※性的描写が含まれます
完結いたしました!
【本編完結】黒歴史の初恋から逃げられない
ゆきりんご
BL
同性の幼馴染である美也に「僕とケッコンしよう」と告げた過去を持つ志悠。しかし小学生の時に「男が男を好きになるなんておかしい」と言われ、いじめにあう。美也に迷惑をかけないように距離を置くことにした。高校は別々になるように家から離れたところを選んだが、同じ高校に進学してしまった。それでもどうにか距離を置こうとする志悠だったが、美也の所属するバレーボール部のマネージャーになってしまう。
部員とマネージャーの、すれ違いじれじれラブ。
経理部の美人チーフは、イケメン新人営業に口説かれています――「凛さん、俺だけに甘くないですか?」年下の猛攻にツンデレ先輩が陥落寸前!
中岡 始
BL
社内一の“整いすぎた男”、阿波座凛(あわざりん)は経理部のチーフ。
無表情・無駄のない所作・隙のない資料――
完璧主義で知られる凛に、誰もが一歩距離を置いている。
けれど、新卒営業の谷町光だけは違った。
イケメン・人懐こい・書類はギリギリ不備、でも笑顔は無敵。
毎日のように経費精算の修正を理由に現れる彼は、
凛にだけ距離感がおかしい――そしてやたら甘い。
「また会えて嬉しいです。…書類ミスった甲斐ありました」
戸惑う凛をよそに、光の“攻略”は着実に進行中。
けれど凛は、自分だけに見せる光の視線に、
どこか“計算”を感じ始めていて……?
狙って懐くイケメン新人営業×こじらせツンデレ美人経理チーフ
業務上のやりとりから始まる、じわじわ甘くてときどき切ない“再計算不能”なオフィスラブ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる