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第4話 「ムカデと叫び声と剣聖」
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濃い森を抜けると──視界がぱっと開けた。
そこにあったのは、十数軒ほどの家が肩を寄せ合う、小さな村。畑では農夫たちが鍬を振るい、家々の軒先からは煙が立ちのぼっている。
「わあ、本当に村だ!」
「……スケルトンじゃない……普通の人間だ……!」
凛が純粋に歓声を上げる横で、蓮は感極まって目頭を押さえていた。
転生してから出会ったのは、骨、骨、骨。そりゃあ涙も出る。
「ホンモノ……良かったぁ……」
そんな兄を半眼で見つつ、凛は村の入口近くで遊んでいる少女に気づく。
「ねぇ、蓮。あそこの子に声かけてみない?」
「あぁ……」
大きな木の下、一人の少女が木の枝を剣のように振って遊んでいた。
近づき、凛が優しく声をかける。
「あの、すいません。ここは……どこなんでしょうか?」
少女はきょとんとした顔で二人を見上げた。
「ここはジルバ村だよ。お兄さんとお姉さんは、旅の人?」
「はい、この辺りに来るのは初めてで、道に迷っちゃって……」
「じゃあ、ジルバ村も初めてだね!」
彼女の話によれば、この村は魔王領ヴァンドレスの辺境にあるらしい。
「ありがとう、助かったよ」
凛が礼を言うと、少女はにこっと笑い、ふわりと香ばしい匂いのするパンを差し出した。
「これ、さっき焼いたやつ。おいしいよ!」
「え、いいの?」
「うん! お兄さんたち、お腹空いてそうだから!」
言われてみれば、転生してから何も食べていなかった。
お腹の虫が同時に鳴り、二人は顔を見合わせて笑った。
「ありがとう、いただくよ」
蓮がパンを受け取ると、少女の視線が彼の腰に向かう。
「ねえ、お兄さん、その剣どうしたの? ボロボロだよ?」
「いや、これは──」
「スケルトンっていう骨の魔物をいっぱい倒したんだよ! 蓮にぃ、すごいでしょ!」
凛の爆弾発言に、蓮は耳まで赤くなってそっぽを向く。
「すごーい! もしかして冒険者さん?」
「……まあ、そんな感じだ」
少女はぱっと表情を輝かせる。
「じゃあ、隣町のマグニアに行ってみて! 冒険者ギルドがあるから、仲間もたくさん見つかるよ!」
「マグニア……」
「うん、人間領セスティナーゼにある大きな町。ここから歩いて一日くらいかな!」
「ありがとう! 行ってみるよ!」
凛が元気よく答え、蓮も頷く。
二人は少女に別れを告げ、マグニアへの道を歩き出した。
もらったパンを分け合いながら──。
(冒険者ギルド……ついに、本当の冒険が始まるのか)
蓮は胸の奥に、燃えるような期待を感じていた。
そこにあったのは、十数軒ほどの家が肩を寄せ合う、小さな村。畑では農夫たちが鍬を振るい、家々の軒先からは煙が立ちのぼっている。
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凛が純粋に歓声を上げる横で、蓮は感極まって目頭を押さえていた。
転生してから出会ったのは、骨、骨、骨。そりゃあ涙も出る。
「ホンモノ……良かったぁ……」
そんな兄を半眼で見つつ、凛は村の入口近くで遊んでいる少女に気づく。
「ねぇ、蓮。あそこの子に声かけてみない?」
「あぁ……」
大きな木の下、一人の少女が木の枝を剣のように振って遊んでいた。
近づき、凛が優しく声をかける。
「あの、すいません。ここは……どこなんでしょうか?」
少女はきょとんとした顔で二人を見上げた。
「ここはジルバ村だよ。お兄さんとお姉さんは、旅の人?」
「はい、この辺りに来るのは初めてで、道に迷っちゃって……」
「じゃあ、ジルバ村も初めてだね!」
彼女の話によれば、この村は魔王領ヴァンドレスの辺境にあるらしい。
「ありがとう、助かったよ」
凛が礼を言うと、少女はにこっと笑い、ふわりと香ばしい匂いのするパンを差し出した。
「これ、さっき焼いたやつ。おいしいよ!」
「え、いいの?」
「うん! お兄さんたち、お腹空いてそうだから!」
言われてみれば、転生してから何も食べていなかった。
お腹の虫が同時に鳴り、二人は顔を見合わせて笑った。
「ありがとう、いただくよ」
蓮がパンを受け取ると、少女の視線が彼の腰に向かう。
「ねえ、お兄さん、その剣どうしたの? ボロボロだよ?」
「いや、これは──」
「スケルトンっていう骨の魔物をいっぱい倒したんだよ! 蓮にぃ、すごいでしょ!」
凛の爆弾発言に、蓮は耳まで赤くなってそっぽを向く。
「すごーい! もしかして冒険者さん?」
「……まあ、そんな感じだ」
少女はぱっと表情を輝かせる。
「じゃあ、隣町のマグニアに行ってみて! 冒険者ギルドがあるから、仲間もたくさん見つかるよ!」
「マグニア……」
「うん、人間領セスティナーゼにある大きな町。ここから歩いて一日くらいかな!」
「ありがとう! 行ってみるよ!」
凛が元気よく答え、蓮も頷く。
二人は少女に別れを告げ、マグニアへの道を歩き出した。
もらったパンを分け合いながら──。
(冒険者ギルド……ついに、本当の冒険が始まるのか)
蓮は胸の奥に、燃えるような期待を感じていた。
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