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回想編 青い瞳の冒険者と、金色の瞳の竜
異世界トリップ
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【Rea】
その日、私は高校からの帰り道をいつもの様に歩いていました。
テスト明けで寝不足の為、少し注意散漫になっていたのが悪かったのかもしれません。
事件は私が工事用のフェンスを大量に積み込むトラックの脇を通り抜けようとした時起こりました。
「危ない!!」
誰かの声が聞こえたので、ふと足を止めて上を見上げれば、頭の上に千切れた固定ロープと大量のフェンスが降ってくるのがスローモーションで見えました。
いつまでたっても痛みが襲ってこない事を不思議に思い、ギュッときつく閉じていた目を恐る恐開きます。
すると……
私の目の前にはどういう訳か、さっきまで歩いていた見慣れた通学路などはなく、ヨーロッパの中世風の街並みが広がっていたのでした。
道の真ん中に突っ立っていた私の脇を通り抜けていく人を見れば、やはり皆その街並みに合う服装をしていて。
すぐ側にあった噴水の脇には、剣や防具を身に着けていたり、獣耳やしっぽが生えている人達も見られます。
もしかして、コレがネット小説でおなじみの異世界トリップというやつでしょうか??
バクバクする心臓を押さえ、密かに冷や汗を流しながら周りを見渡せば。
幸いこの街の治安が良く女性の一人歩きも珍しくないようで、誰も私の事など気にも留めていないようでした。
どうしたらいいのか途方に暮れ、長い事その場に立ち尽くしていた時でした。
「迷子?」
不意に、背後から声を掛けられました。
振り返ると、同い年くらいと思われる小柄な(……とは言っても私より充分背は高いのですが)、かわいらしい顔つきの赤毛の男の子が心配そうにこちらを見ています。
思わず彼の頭と腰の辺りを見ますがそこには耳もしっぽも無かったので、恐らく同じ人間だと思われました。
「えっと……まぁ、そんなところかな」
少し用心しながらそう答えれば、
「どこに行きたいの? 連れて行ってあげるよ」
そう親切そうに言われて何て答えようか迷います。
「実は……」
一か八か、思い切って彼に事実をありのまま話せば
「頭でも打ったの?」
彼が残念な子を見る目で私を見ました。
どうやらこの世界において、獣人はメジャーでも、異世界トリップはメジャーな現象ではないようです。
途方に暮れる私を少々怪しみつつも、困っている人を見捨てられないタイプなのか。
彼は私を街の教会に連れて行ってくれたので、私は幸運にもしばらくの間そこの孤児院で保護してもらえる事となりました。
「名前は?」
彼にそう尋ねられ名前を答えれば、この国にはない発音だったようで
「覚えられないし、上手く発音出来ない」
そう言われてしまいました。
そこで愛称のレーアを名乗れば
「レーア? 綺麗な名前だね」
と褒めてもらえたので、この国ではそう名乗る事に決めました。
「俺はロイク。みんなはロイって呼ぶよ」
ロイはそう言って私に年を聞きました。
もうすぐ十七になると言えば、
「見えなくはないけど、童顔だよねー」
と言われてしまいます。
まぁ、日本人は若く見えるって言いますもんねと納得しかけましたが、ロイに年齢を聞けばやはりロイも十八と言ったので。
何やら懸命に大人の男アピールをしているロイの横で、
『この世界でこの見た目が特別異端で不利になることもなさそうだな』
と、私はそんな事を思ったのでした。
その日、私は高校からの帰り道をいつもの様に歩いていました。
テスト明けで寝不足の為、少し注意散漫になっていたのが悪かったのかもしれません。
事件は私が工事用のフェンスを大量に積み込むトラックの脇を通り抜けようとした時起こりました。
「危ない!!」
誰かの声が聞こえたので、ふと足を止めて上を見上げれば、頭の上に千切れた固定ロープと大量のフェンスが降ってくるのがスローモーションで見えました。
いつまでたっても痛みが襲ってこない事を不思議に思い、ギュッときつく閉じていた目を恐る恐開きます。
すると……
私の目の前にはどういう訳か、さっきまで歩いていた見慣れた通学路などはなく、ヨーロッパの中世風の街並みが広がっていたのでした。
道の真ん中に突っ立っていた私の脇を通り抜けていく人を見れば、やはり皆その街並みに合う服装をしていて。
すぐ側にあった噴水の脇には、剣や防具を身に着けていたり、獣耳やしっぽが生えている人達も見られます。
もしかして、コレがネット小説でおなじみの異世界トリップというやつでしょうか??
バクバクする心臓を押さえ、密かに冷や汗を流しながら周りを見渡せば。
幸いこの街の治安が良く女性の一人歩きも珍しくないようで、誰も私の事など気にも留めていないようでした。
どうしたらいいのか途方に暮れ、長い事その場に立ち尽くしていた時でした。
「迷子?」
不意に、背後から声を掛けられました。
振り返ると、同い年くらいと思われる小柄な(……とは言っても私より充分背は高いのですが)、かわいらしい顔つきの赤毛の男の子が心配そうにこちらを見ています。
思わず彼の頭と腰の辺りを見ますがそこには耳もしっぽも無かったので、恐らく同じ人間だと思われました。
「えっと……まぁ、そんなところかな」
少し用心しながらそう答えれば、
「どこに行きたいの? 連れて行ってあげるよ」
そう親切そうに言われて何て答えようか迷います。
「実は……」
一か八か、思い切って彼に事実をありのまま話せば
「頭でも打ったの?」
彼が残念な子を見る目で私を見ました。
どうやらこの世界において、獣人はメジャーでも、異世界トリップはメジャーな現象ではないようです。
途方に暮れる私を少々怪しみつつも、困っている人を見捨てられないタイプなのか。
彼は私を街の教会に連れて行ってくれたので、私は幸運にもしばらくの間そこの孤児院で保護してもらえる事となりました。
「名前は?」
彼にそう尋ねられ名前を答えれば、この国にはない発音だったようで
「覚えられないし、上手く発音出来ない」
そう言われてしまいました。
そこで愛称のレーアを名乗れば
「レーア? 綺麗な名前だね」
と褒めてもらえたので、この国ではそう名乗る事に決めました。
「俺はロイク。みんなはロイって呼ぶよ」
ロイはそう言って私に年を聞きました。
もうすぐ十七になると言えば、
「見えなくはないけど、童顔だよねー」
と言われてしまいます。
まぁ、日本人は若く見えるって言いますもんねと納得しかけましたが、ロイに年齢を聞けばやはりロイも十八と言ったので。
何やら懸命に大人の男アピールをしているロイの横で、
『この世界でこの見た目が特別異端で不利になることもなさそうだな』
と、私はそんな事を思ったのでした。
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