十二年付き合った彼氏を人気清純派アイドルに盗られて絶望してたら、幼馴染のポンコツ御曹司に溺愛されたので、奴らを見返してやりたいと思います

塔原 槇

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第一章 最悪の別れと衝撃の出会い

二話

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(しゅん兄ちゃん、いつかきっと、絶対また会おうね)


「しゅん兄ちゃん!?久しぶり!」
 

 人の輪の中から青年が駆け出てこちらにやってくる。

 俺は思わず縮こまった。


「ち、ちょっと有栖川さん!」


 部長の呼び止める声が聞こえる。

 その名を聞いて脳内に火花が走った。


「……れ、おん?麗音なのか?」

「やっぱりしゅん兄ちゃんだ!会いたかった!」


 青年は俺の手を取り固く握った。

 オフィスに緊張が走るのが背中で分かる。


「……ちょっと、有栖川さん、挨拶の途中なのですが」


 部長が咳払いをしてから言うと、青年は申し訳無さそうに会釈し、輪の中心に戻った。


「えー、では、遅刻ギリギリの兎山も来たことだし、有栖川さん、改めて自己紹介お願いできますか」

「はい、本日からこちらでお世話になります、有栖川 麗音(ありすがわ れおん)と申します、よろしくお願いいたします!」


 そういうと麗音はぺこりとお辞儀をした。
 
 周りの同僚に合わせて俺も拍手をする。


「えー、有栖川さんの教育係ですが……」


 部長が言いかけたのを遮り、麗音はビシッと手を上げた。


「はい!しゅん兄ちゃんでお願いします!!!」


 時が止まった。

 いや確実に。


「え、え゙え~!?」


 その場にいた全員が叫んだ。
 
 俺も含めて。


「いやいや有栖川さん!教育係はこちらの前川だと事前にお伝えしたじゃありませんか!」

「それは、その時はしゅん兄ちゃんがいるなんて知らなかったからですよ。しゅん兄ちゃんと一緒に仕事できないと、俺辞めますよ」


 ぞく、と異様な空気が漂った。

 子供の頃に出会った彼からは考えられない、冷徹さ。

 俺と別れた後に、何かがあったのを感じた。


「……分かりました、では有栖川さんの教育係は、兎山、お前だ」


 部長が俺を指差す。

 社内の目が一斉に俺を向く。
 
 背筋が寒くなる。


「……はい、分かりました」

「やったぁ!しゅん兄ちゃんと一緒だあ!」


凍りついた空気の中で、麗音だけが楽しそうに笑っていた。
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