十二年付き合った彼氏を人気清純派アイドルに盗られて絶望してたら、幼馴染のポンコツ御曹司に溺愛されたので、奴らを見返してやりたいと思います

塔原 槇

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第三章 同居開始で溺愛されてます

四十八話

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「あっ、有栖川さん、お疲れ様です~」


 新入社員の女子が甘え声で返す。


「兎山先輩もいたんですね!俺もコーヒー飲みたくなっちゃって」

「お、おう、お疲れ」


 そう言ってラックから自身のマグカップを取り出す麗音の後ろで、ヒソヒソ声が聞こえた。

(ほら、せっかくだから聞きなよ)

(え~、でも~)


 俺は逃げ出したいのと聞きたいのとで迷っていたが、それより早く新入社員が口を開いた。

「あの、有栖川さんって、彼女とかいるんですか?」

「えっ?」


 麗音は一瞬だけ動きを止めたあと、マグカップを落とさないように抱えてから返した。


「えっと……彼女?」

「はい!有栖川さんイケメンですし、彼女とかいるのかな~って、あ、純粋な興味ですよ!別に彼女になりたいとか……」


 ゴニョゴニョと新入社員が続ける。

 同僚の方はニヤニヤと二人を眺めている。

 麗音は一呼吸置いたあと、二人の方に向き直った。


「俺、心に決めた人がいるんです」


 麗音のしっかりとした、芯のある声がした。


「小さい時からお世話になって、恩返しがしたくて……いつかその人と、幸せになりたいなって、だから今すごく頑張ってるんです!」

「あっ……そうなんですね、すみません……」


 新入社員のほうが消え入りそうな声で謝る。

 俺は泣きそうだった。

 麗音、好きな人がいるんだ。

 俺に構わなくても、その子の方に行けばいいじゃん。

 良い事のはずなのに、なぜか胸の奥が苦しかった。
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