十二年付き合った彼氏を人気清純派アイドルに盗られて絶望してたら、幼馴染のポンコツ御曹司に溺愛されたので、奴らを見返してやりたいと思います

塔原 槇

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第三章 同居開始で溺愛されてます

五十一話

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 麗音は面食らったような表情で目を瞬かせた。


「大切な人?」

「ああ。……今日、給湯室で話してる時に行ってただろ、大切な人がいるって。俺なんかとの同居止めて、その人と暮らせばいいじゃねえか」

「えっと……しゅん兄ちゃん?」

「いくら幼馴染でも、こんな地味で冴えない男と暮らし続けるメリットなんてないだろ。せっかく部屋も広いんだし、さっさとその人読んでこいよ」

「ちょっと」

「頼むから、お前だけでも幸せになって……」

「話聞いて!」


 麗音の大声にビクッと体が跳ねる。

 麗音は謝った後、俺の目を見て言った。


「その……大切な人って、しゅん兄ちゃんのことだよ?」

「……へ?」

「俺、大切な人ってしゅん兄ちゃんしかいないけど」


 麗音はまっすぐな瞳でなおも俺を見続ける。


「……いやいや!それは幼馴染でってことだろ?好きな女の子とか」

「いないよ。俺しゅん兄ちゃんが一番大切」

「……っ」


 駄目だ、俊太郎。

 こいつはただの幼馴染、同僚、よくて友人としてしか付き合ってはいけないんだ。

 俺がなんて返そうかと言いあぐねていると、麗音は更に耳を疑うようなことを言った。


「俺、しゅん兄ちゃんと結婚するつもりだもん」




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