十二年付き合った彼氏を人気清純派アイドルに盗られて絶望してたら、幼馴染のポンコツ御曹司に溺愛されたので、奴らを見返してやりたいと思います

塔原 槇

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第五章 アイドルの企み

百六話

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 ブツッという音と共に、スクリーンは真っ暗になり、再び点いた時には、関係のないCMを流していた。


「何だったんだろ今の」

「ねー、やっぱりドッキリじゃない?」

「てかくるみんってあんなキャラだったんだ、ヤバいね」

「虎居カンパニーってなんだろ」

「桃園組って聞いたことあるかも、この前新宿で抗争があったとか」


 見ていた通行人は口々に話し出す。

 俺は麗音が心配だった。

(麗音……今度はお前が何か言われないか?)

 麗音が槍玉に上げられないか、それが心配だった。

 その時、スマホが振動した。


『……しゅん兄ちゃん?』

「麗音!」


 通行人が俺を一瞬振り返ったが、過ぎ去って行った。

 俺はなるべく人目の少ない場所に移動する。


『今渋谷の街頭ビジョンにいるよね?』

「ああ、大丈夫なのか!?鷲見さんまで巻き込んで」

『大丈夫。桃澤達はもう警察に引き渡したし、俺も事情聴取受けるけど、日付が変わる前には帰れるはず』

「本当かよ……?」

『うん。だから先に帰ってて』


 そう言って麗音は電話を切った。
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