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シーベック動乱 3
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「癒しの風・恵みの雨・彼の者に安らぎを与えよ」
アヤネルはときおり発見する負傷者を魔術で治癒する以外は、もっぱら傍観につとめた。
神聖魔法にも攻撃呪文は存在し、彼女自身もそこいらの兵士に負けるような剣腕の持ち主ではなかった。
アヤネルは姫であり女神官であり戦士でもあるのだ。
そんな神官戦士であるアヤネルの目から見ても鬼一法眼の戦いには驚愕と驚嘆の嘆息を漏らさずにはいられなかった。
(なんて不思議な動き……。力強くて、速くて巧い。それでいて優美で緩慢。ラーマの闘技場でもあんなふうな戦いかたをする剣闘士なんて見たことない!)
アリフレテラ大陸の辺境ナーロッパ地方に存在するラーマ国は三方を海に囲まれた半島という立地条件のため古くから貿易によって栄え、攻めにくく守りやすい要害堅固の地ゆえ発展した都市であり、学術施設や魔術機関のほか観光地や娯楽施設も多い。
剣闘士たちが武技を競い合う闘技場もそのひとつだ。
剣闘観戦は貴族の娯楽のひとつで、なかにはみずから参加したり決闘の舞台にする者がいるほどである。
アヤネル自身は見世物の戦いはあまり好きではなかったが、王家の姫君として外交儀礼のため幾度か観戦したことがある。
先のワッシャー島の攻防戦ではアヤネル自身も鬼一法眼と肩を並べて戦ったが、自らも戦闘に突入しており鬼一の戦いをじっくりと見る事は無かった。
改めてその戦う姿を見れば、なんと力強く優美なものか。
颯ッ、颯ッ、颯ッ!
鬼一の剣法は道教に縁のある武当派や峨眉派のもの、いわゆる中国剣法の動きに似ていた。
連続性のある柔軟な動きが特徴で、軽快で優美。敏捷性と変化に富んでいて、素手による突きや蹴り、組んだり投げたりといった赤手空拳の技も混在している。
これは第三代目・鬼一法眼が元寇の驚異に対して思うところがあり、単身大陸に渡り各地で修行を積んで帰国し、その技を伝授した結果だ。
(武闘というよりも舞踏、それでいてなにより強いッ!)
これにくらべればラーマで一流と称されるような剣闘士の戦いかたなど、なんと無粋で泥臭いことだろうか。
アヤネルにに武というよりも舞と称された鬼一の剣だが、そのひとつひとつの動きには必殺の技が込められている。
中国五千年の歴史が生んだ絶技でもって街を荒らすリビングアーマーたちを手当たり次第に斬る。
斬る。
斬る。
斬る。
斬って、斬って、斬って、斬って斬って斬って、斬りまくる。
わざわざこちらから探し回らなくても、むこうから襲いかかって来るので迎え撃つのみだ。
「しかしこの剣、よく斬れるなぁ」
鬼一はアヤネルからあずかった小剣をかかげ見て、感心する。
鉄の鎧をなんども断ち斬ったにもかかわらず、刃こぼれひとつ生じていない。
小剣――ショートソードといってもことさら小さいわけでも短いわけでもない。あくまで騎兵用の長剣に対して歩兵用の小剣という呼称がついているだけで、刀身の長さは70センチほど。日本刀とくらべても遜色はない。
「それは古代遺跡から発見された正真正銘の魔法遺物だからね、軽量化だけでなく攻撃力を上げる『利刃』や折れず曲がらずの『不壊』の魔力が込められているわ。無銘だけどあたしでさえ鉄を泥のように斬ることのできる魔剣よ。ぞんぶんに振るってリビングアーマーたちを一体残らず鉄屑にしちゃって!」
「まるで青虹の剣だな。せっかくの宝剣を奪われないよう、敵に趙子龍がいないことを祈るよ」
アヤネルはときおり発見する負傷者を魔術で治癒する以外は、もっぱら傍観につとめた。
神聖魔法にも攻撃呪文は存在し、彼女自身もそこいらの兵士に負けるような剣腕の持ち主ではなかった。
アヤネルは姫であり女神官であり戦士でもあるのだ。
そんな神官戦士であるアヤネルの目から見ても鬼一法眼の戦いには驚愕と驚嘆の嘆息を漏らさずにはいられなかった。
(なんて不思議な動き……。力強くて、速くて巧い。それでいて優美で緩慢。ラーマの闘技場でもあんなふうな戦いかたをする剣闘士なんて見たことない!)
アリフレテラ大陸の辺境ナーロッパ地方に存在するラーマ国は三方を海に囲まれた半島という立地条件のため古くから貿易によって栄え、攻めにくく守りやすい要害堅固の地ゆえ発展した都市であり、学術施設や魔術機関のほか観光地や娯楽施設も多い。
剣闘士たちが武技を競い合う闘技場もそのひとつだ。
剣闘観戦は貴族の娯楽のひとつで、なかにはみずから参加したり決闘の舞台にする者がいるほどである。
アヤネル自身は見世物の戦いはあまり好きではなかったが、王家の姫君として外交儀礼のため幾度か観戦したことがある。
先のワッシャー島の攻防戦ではアヤネル自身も鬼一法眼と肩を並べて戦ったが、自らも戦闘に突入しており鬼一の戦いをじっくりと見る事は無かった。
改めてその戦う姿を見れば、なんと力強く優美なものか。
颯ッ、颯ッ、颯ッ!
鬼一の剣法は道教に縁のある武当派や峨眉派のもの、いわゆる中国剣法の動きに似ていた。
連続性のある柔軟な動きが特徴で、軽快で優美。敏捷性と変化に富んでいて、素手による突きや蹴り、組んだり投げたりといった赤手空拳の技も混在している。
これは第三代目・鬼一法眼が元寇の驚異に対して思うところがあり、単身大陸に渡り各地で修行を積んで帰国し、その技を伝授した結果だ。
(武闘というよりも舞踏、それでいてなにより強いッ!)
これにくらべればラーマで一流と称されるような剣闘士の戦いかたなど、なんと無粋で泥臭いことだろうか。
アヤネルにに武というよりも舞と称された鬼一の剣だが、そのひとつひとつの動きには必殺の技が込められている。
中国五千年の歴史が生んだ絶技でもって街を荒らすリビングアーマーたちを手当たり次第に斬る。
斬る。
斬る。
斬る。
斬って、斬って、斬って、斬って斬って斬って、斬りまくる。
わざわざこちらから探し回らなくても、むこうから襲いかかって来るので迎え撃つのみだ。
「しかしこの剣、よく斬れるなぁ」
鬼一はアヤネルからあずかった小剣をかかげ見て、感心する。
鉄の鎧をなんども断ち斬ったにもかかわらず、刃こぼれひとつ生じていない。
小剣――ショートソードといってもことさら小さいわけでも短いわけでもない。あくまで騎兵用の長剣に対して歩兵用の小剣という呼称がついているだけで、刀身の長さは70センチほど。日本刀とくらべても遜色はない。
「それは古代遺跡から発見された正真正銘の魔法遺物だからね、軽量化だけでなく攻撃力を上げる『利刃』や折れず曲がらずの『不壊』の魔力が込められているわ。無銘だけどあたしでさえ鉄を泥のように斬ることのできる魔剣よ。ぞんぶんに振るってリビングアーマーたちを一体残らず鉄屑にしちゃって!」
「まるで青虹の剣だな。せっかくの宝剣を奪われないよう、敵に趙子龍がいないことを祈るよ」
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