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ファリクス邸の怪 5
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港湾都市国家アンシムの政商ホジュはロッシーナ帝国に与して地位と財産を保証されたものの、マカロン連合軍の勝利によりロッシーナ勢力は撤退。
そのためアンシムを追われロッシーナにも見限られ、野垂れ死に――とはならなかった。
今まで築いた富と人脈を最大限に活用し、ナーロッパの一地方で奴隷商人として活動していた。
とはいえかつてほど羽振りは良くない。
その落ち目をまぎらわすように毎晩のように贅沢な宴を催してた。
「どこだどこだ? わしの花たちはどこかな?」
数十人の女性たちを目隠しをして追いかけまわしている。
「お菓子をおくれ。でないといたずらしちゃうぞ~」
「いや~ん、ホジュさまのエッチ~」
「ハッハッハ、おとなしくわしに捕まれ。今夜はチュパリコだ!」
その時、広場の壁に黒い点が浮かんだ。
点はまたたく間に広がり、壁をおおうと、そこから赤い帽子に赤い服を着た子どもの姿をした妖精ファー・ジャルグの群れがあふれ出した。
「ヒ、キャアアアァァァァァァ――ッッッ!!!!」
甲高い悲鳴が会場内に響きわたる。
「ハッハッハ、みんなも興がのってきたみたいだな。遠慮なく楽しめ」
ファー・ジャルグたちの乱入により彼らの巻き起こす乱痴気騒ぎで広間はたちまち騒乱の巷と化した。
フルーツポンチに顔ごとつっこみ中身を吸い上げるファー・ジャルグ。
マチャアキよろしくテーブルクロス引きに挑戦し、見事に失敗して卓上物をすべて床にぶちまけるファー・ジャルグ。
チョコレートファウンテンの頂上に立ち、ふらちにも小便をするファー・ジャルグ。その小便をチョコと思い飲んでいるうっかり者のファー・ジャルグ。
もう、めちゃめちゃだ。
「ギャー、なにこの頭!? いつの間にアフロになってるの!」
「あんたなんてまだマシよ、あたしなんてモヒカンよ!」
「やだぁ、うんこみたいな髪型になってる…」
「臭ッ!? あんたそれ、ほんとうのうんこよっ! うんこがのせられてるわ!」
「巻きクソよ!」
「エンガチョ!」
「ぐぎゃーっ!!」
金持ちに媚びへつらい、寵愛を得ようと着飾った女たちは、いとあはれ。たちまち無惨な姿へと変貌を遂げていた。
阿鼻叫喚である。
「ハッハッハ、みんな楽しんどるな。けっこうけっこう……、おっ! つかまえたぞ。おまえははだれかな?」
みずから目隠しを取ったホジュの目の前にいたのは、顔のすべてが吸盤状の口になったバレリーナ・デンタータだった。ヤツメウナギのような円口にびっしりと牙が生えている。
「まあぁああーまあぁーああーあ!」
関根勤のような奇声をあげてのけぞり、卒倒。
バレリーナ・デンタータの姿に変身したファー・ジャルグは気絶したホジュの額に「肉」の一字を書く。
「高そうな花瓶があるよピート、壊しちゃいな!」
「母ちゃんもそのヘンテコな絵なんて破っちゃいなよ!」
無数のファー・ジャルグ。そのすべにジャニスとピート、親子の精神が宿っていた。
ピートは母親としたかった悪戯を、母親としたかった乱痴気騒ぎをして大興奮。
両腕をいっぱいに開き、ジャニスのもとへと駆け込むとその胸に飛び込む。
ジャニスはそれを避けること無く優しくピートを抱きしめると、溶けるようにピートの姿が消えてゆく。
ピートは母親のもとへと帰った、ジャニスの心の一部となったのだ。
「思い残した事をやり遂げたピートは安らぎの場所へと戻り、穏やかな眠りについた。もうこの家にファー・ジャルグはいないし、子どもを亡くした孤独にさいなまれる母親もいない。あの二人は永遠に一緒だ」
「…………」
「シェラさん?」
「い」
「い?」
「いい」
「いい?」
「イイハナシダナー!」
シェラはその怜悧な美貌をくしゃくしゃにして号泣し、おいおいと泣きはらす。
(おお、絵に描いたようなクールビューティーが顔を歪めて感情をあらわにする。なんとそそられる事か! これがギャップ萌えってやつ? たまんね~)
鬼一は感動して泣きじゃくるシェラの姿を肴にして酒を飲むのであった。
そのためアンシムを追われロッシーナにも見限られ、野垂れ死に――とはならなかった。
今まで築いた富と人脈を最大限に活用し、ナーロッパの一地方で奴隷商人として活動していた。
とはいえかつてほど羽振りは良くない。
その落ち目をまぎらわすように毎晩のように贅沢な宴を催してた。
「どこだどこだ? わしの花たちはどこかな?」
数十人の女性たちを目隠しをして追いかけまわしている。
「お菓子をおくれ。でないといたずらしちゃうぞ~」
「いや~ん、ホジュさまのエッチ~」
「ハッハッハ、おとなしくわしに捕まれ。今夜はチュパリコだ!」
その時、広場の壁に黒い点が浮かんだ。
点はまたたく間に広がり、壁をおおうと、そこから赤い帽子に赤い服を着た子どもの姿をした妖精ファー・ジャルグの群れがあふれ出した。
「ヒ、キャアアアァァァァァァ――ッッッ!!!!」
甲高い悲鳴が会場内に響きわたる。
「ハッハッハ、みんなも興がのってきたみたいだな。遠慮なく楽しめ」
ファー・ジャルグたちの乱入により彼らの巻き起こす乱痴気騒ぎで広間はたちまち騒乱の巷と化した。
フルーツポンチに顔ごとつっこみ中身を吸い上げるファー・ジャルグ。
マチャアキよろしくテーブルクロス引きに挑戦し、見事に失敗して卓上物をすべて床にぶちまけるファー・ジャルグ。
チョコレートファウンテンの頂上に立ち、ふらちにも小便をするファー・ジャルグ。その小便をチョコと思い飲んでいるうっかり者のファー・ジャルグ。
もう、めちゃめちゃだ。
「ギャー、なにこの頭!? いつの間にアフロになってるの!」
「あんたなんてまだマシよ、あたしなんてモヒカンよ!」
「やだぁ、うんこみたいな髪型になってる…」
「臭ッ!? あんたそれ、ほんとうのうんこよっ! うんこがのせられてるわ!」
「巻きクソよ!」
「エンガチョ!」
「ぐぎゃーっ!!」
金持ちに媚びへつらい、寵愛を得ようと着飾った女たちは、いとあはれ。たちまち無惨な姿へと変貌を遂げていた。
阿鼻叫喚である。
「ハッハッハ、みんな楽しんどるな。けっこうけっこう……、おっ! つかまえたぞ。おまえははだれかな?」
みずから目隠しを取ったホジュの目の前にいたのは、顔のすべてが吸盤状の口になったバレリーナ・デンタータだった。ヤツメウナギのような円口にびっしりと牙が生えている。
「まあぁああーまあぁーああーあ!」
関根勤のような奇声をあげてのけぞり、卒倒。
バレリーナ・デンタータの姿に変身したファー・ジャルグは気絶したホジュの額に「肉」の一字を書く。
「高そうな花瓶があるよピート、壊しちゃいな!」
「母ちゃんもそのヘンテコな絵なんて破っちゃいなよ!」
無数のファー・ジャルグ。そのすべにジャニスとピート、親子の精神が宿っていた。
ピートは母親としたかった悪戯を、母親としたかった乱痴気騒ぎをして大興奮。
両腕をいっぱいに開き、ジャニスのもとへと駆け込むとその胸に飛び込む。
ジャニスはそれを避けること無く優しくピートを抱きしめると、溶けるようにピートの姿が消えてゆく。
ピートは母親のもとへと帰った、ジャニスの心の一部となったのだ。
「思い残した事をやり遂げたピートは安らぎの場所へと戻り、穏やかな眠りについた。もうこの家にファー・ジャルグはいないし、子どもを亡くした孤独にさいなまれる母親もいない。あの二人は永遠に一緒だ」
「…………」
「シェラさん?」
「い」
「い?」
「いい」
「いい?」
「イイハナシダナー!」
シェラはその怜悧な美貌をくしゃくしゃにして号泣し、おいおいと泣きはらす。
(おお、絵に描いたようなクールビューティーが顔を歪めて感情をあらわにする。なんとそそられる事か! これがギャップ萌えってやつ? たまんね~)
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