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異世界召喚!
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「紅蓮の炎獅子よ・灼熱の炎虎よ・憤怒の戦吼をあげよ!」
魔法使いの放った爆裂火球が守備兵もろとも城門を粉砕し、人族のほか、オーク、ゴブリン、オーガら亜人種らによって編成された侵略者たちが城内に殺到する。
「ガーハッハッハ! 貧弱、貧弱ゥ! 魔法後進国の辺境弱小国なぞ、このロッシーナ帝国随一の魔闘士ズンドゥブ様にかかれば仔コボルトの首をひねるようなものよ」
マカロン王国はナーロッパ統一を目論む軍事大国ロッシーナの侵攻の前にいまや風前の灯火であった。
「おのれロッシーナ、よりにもよって陛下と騎士団が遠征のすきをついてくるとは……」
「姫、もはやこれまで。どうか姫様だけでも転移門にてお逃げください」
「……」
「姫! アヤネル姫! どうかご決断を!」
「……この門に込められた転移の魔力は一度きり、ならば逃げるのではなく立ち向かうためにもちいます」
「な――ま、まさかアレを今ここで!?」
「そうです。かねてより試されていた【異世界転移】を今こそ実践す――」
激しい轟音と共に火炎が迸り、最後の防壁が破壊されてそれが姿を現した。
赤褐色の剛毛に覆われた巨躯は紅蓮の炎に包まれ、人とも獣ともつかない獰猛な顔があり、炯々たる眼光を輝かせていた。
猛烈な熱風が吹き荒れる。
「うげぇ! 火炎魔神ぉぉぉ!?」
兵士のひとりが泣き叫ぶ。
紅蓮の炎に包まれた双角の巨人が睥睨している様を見て、もはや恐慌状態だ。
「――くっ、ひとつの鍵・ひとつの門・開け無限の世界!」
アヤネルの詠唱に応じ、魔法陣が光り輝き異界からのまれびとを呼び出す。
東方武僧のように剃りあげた頭、短身痩躯だが筋肉質な体と見かけない衣装の服。
(この人が、異世界人?)
瞬間、火炎魔神の全身から激しい炎が爆ぜる。
「タニヤタ・ウダカダイバナ・エンケイエンケイ・ソワカ!」
まれびとの手が龍策印を結印し水天の真言を唱えると周囲に水の障壁が張り巡らされた。
高熱の火炎を水の壁が遮り、水蒸気が視界をふさぐ。
(え!? なんなの、これは……魔法? しかもひと息で詠唱を――)
「ナウマク・サンマンダ・ボダナン・バルナヤ・ソワカ!」
まれびとはさらに十二天の真言を口にすると水蒸気は指向性の水滴となり、雨となり、水流となり、水の槍となり、渦巻く瀑布となり火炎魔神の体を打ち貫く。
GUWAAAッ!!
火炎魔神は苦手とする水の攻撃を受けて苦悶にのたうち回る。
「なんだぁ、おい。焦熱地獄の獄卒か? 俺は焦熱地獄に落とされるほどの悪さはしていないぞ。せいぜい……あ、焦熱地獄行きの条件満たしてるわ」
異世界の陰陽師・鬼一法眼がここアリフレテラ大陸に召喚されたのだった。
魔法使いの放った爆裂火球が守備兵もろとも城門を粉砕し、人族のほか、オーク、ゴブリン、オーガら亜人種らによって編成された侵略者たちが城内に殺到する。
「ガーハッハッハ! 貧弱、貧弱ゥ! 魔法後進国の辺境弱小国なぞ、このロッシーナ帝国随一の魔闘士ズンドゥブ様にかかれば仔コボルトの首をひねるようなものよ」
マカロン王国はナーロッパ統一を目論む軍事大国ロッシーナの侵攻の前にいまや風前の灯火であった。
「おのれロッシーナ、よりにもよって陛下と騎士団が遠征のすきをついてくるとは……」
「姫、もはやこれまで。どうか姫様だけでも転移門にてお逃げください」
「……」
「姫! アヤネル姫! どうかご決断を!」
「……この門に込められた転移の魔力は一度きり、ならば逃げるのではなく立ち向かうためにもちいます」
「な――ま、まさかアレを今ここで!?」
「そうです。かねてより試されていた【異世界転移】を今こそ実践す――」
激しい轟音と共に火炎が迸り、最後の防壁が破壊されてそれが姿を現した。
赤褐色の剛毛に覆われた巨躯は紅蓮の炎に包まれ、人とも獣ともつかない獰猛な顔があり、炯々たる眼光を輝かせていた。
猛烈な熱風が吹き荒れる。
「うげぇ! 火炎魔神ぉぉぉ!?」
兵士のひとりが泣き叫ぶ。
紅蓮の炎に包まれた双角の巨人が睥睨している様を見て、もはや恐慌状態だ。
「――くっ、ひとつの鍵・ひとつの門・開け無限の世界!」
アヤネルの詠唱に応じ、魔法陣が光り輝き異界からのまれびとを呼び出す。
東方武僧のように剃りあげた頭、短身痩躯だが筋肉質な体と見かけない衣装の服。
(この人が、異世界人?)
瞬間、火炎魔神の全身から激しい炎が爆ぜる。
「タニヤタ・ウダカダイバナ・エンケイエンケイ・ソワカ!」
まれびとの手が龍策印を結印し水天の真言を唱えると周囲に水の障壁が張り巡らされた。
高熱の火炎を水の壁が遮り、水蒸気が視界をふさぐ。
(え!? なんなの、これは……魔法? しかもひと息で詠唱を――)
「ナウマク・サンマンダ・ボダナン・バルナヤ・ソワカ!」
まれびとはさらに十二天の真言を口にすると水蒸気は指向性の水滴となり、雨となり、水流となり、水の槍となり、渦巻く瀑布となり火炎魔神の体を打ち貫く。
GUWAAAッ!!
火炎魔神は苦手とする水の攻撃を受けて苦悶にのたうち回る。
「なんだぁ、おい。焦熱地獄の獄卒か? 俺は焦熱地獄に落とされるほどの悪さはしていないぞ。せいぜい……あ、焦熱地獄行きの条件満たしてるわ」
異世界の陰陽師・鬼一法眼がここアリフレテラ大陸に召喚されたのだった。
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