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海洋国編
第15話 揺れる海の宮廷
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ダスメア海洋国、王都メアス。
潮の香りが漂う王城の会議室には、重苦しい沈黙が満ちていた。
王座の間の奥の小部屋、円卓に座るのは、国の中枢――国王、第一王子、第二王 子、そして宰相。
最初に口を開いたのは、国王だった。
「……なぜ、だ」
低く、押し殺した声。
「なぜ今、帝国が会談を求めてきた」
返答はない。
誰もが同じ疑問を抱いていた、同時に“答えを口にしたくない”と感じていた。
「コホン」
宰相が咳払いを一つ。
「表向きの文面は簡潔でした。
“帝国と海洋国の未来について話し合いたい”と」
「未来、か」
第一王子が眉をひそめる。
「それは同盟の話ではないな?ましてや友好的な話ではないように感じるな」
彼は地図に視線を落とした。
北の海――ここ最近、帝国の艦影が増えている海域だ。
「帝国は強すぎる些細なことでは動かないだから気味が悪い」
「帝国の圧力だ。だが理由が見えない」
「理由がないわけではあるまい」
国王は静かに言った。
「我々が気づいていないだけだと思う」
その言葉に、第二王子の指先が、わずかに強張った。
(……まさか)
胸の奥で、嫌な感覚が広がる。
(いや、証拠は残していない。手下も表に出ないよう処理した)
顔には出さない。
あくまで冷静な王子の一人として、沈黙を守る。
宰相が続けた。
「問題は、会談の“条件”です」
全員の視線が集まる。
「帝国は、こう要求してきました。
――海洋国の王族、ならびに全公爵家当主、全員を揃えた上での会談」
空気が、凍りついた。
「……全員、だと?」
第一王子が声を低くする。
「その意味は、国家の最終判断を求めると言うことだろう」
「逃げ道を塞ぐ条件ですね」
宰相は淡々と言った。
「個別交渉も言い逃れも許さない。国としての意思を、その場で示せと言うことか」
国王は目を閉じ、ゆっくりと息を吐いた。
「帝国は、理由を語らぬまま、 結論だけを迫ってきている」
「つまり――」
第一王子が続ける。
「すでに、主導権は向こうにある」
第二王子は、内心で歯を噛みしめた。
(やはり……来たのか)
だが、誰も彼を疑ってはいない。
この場で彼は、ただの“沈黙する王子”に過ぎなかった。
「父上」
第一王子が言う。
「会談を拒めば、それ自体が答えになる、戦争が始まるかもしれない。応じれば、何かを突きつけられる」
「……選択肢は、ないな」
国王はそう呟き、決断した。
「全員を集める。 王族も、公爵も、一人も逃げ出さないようにな」
その言葉に、第二王子の胸が、静かに沈んだ。
答えは、帝国との会談の場でしか明らかにならない。
海は静かだった。
だがその深層で、国の運命を呑み込む潮流は、確実に動き始めていた。
潮の香りが漂う王城の会議室には、重苦しい沈黙が満ちていた。
王座の間の奥の小部屋、円卓に座るのは、国の中枢――国王、第一王子、第二王 子、そして宰相。
最初に口を開いたのは、国王だった。
「……なぜ、だ」
低く、押し殺した声。
「なぜ今、帝国が会談を求めてきた」
返答はない。
誰もが同じ疑問を抱いていた、同時に“答えを口にしたくない”と感じていた。
「コホン」
宰相が咳払いを一つ。
「表向きの文面は簡潔でした。
“帝国と海洋国の未来について話し合いたい”と」
「未来、か」
第一王子が眉をひそめる。
「それは同盟の話ではないな?ましてや友好的な話ではないように感じるな」
彼は地図に視線を落とした。
北の海――ここ最近、帝国の艦影が増えている海域だ。
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「帝国の圧力だ。だが理由が見えない」
「理由がないわけではあるまい」
国王は静かに言った。
「我々が気づいていないだけだと思う」
その言葉に、第二王子の指先が、わずかに強張った。
(……まさか)
胸の奥で、嫌な感覚が広がる。
(いや、証拠は残していない。手下も表に出ないよう処理した)
顔には出さない。
あくまで冷静な王子の一人として、沈黙を守る。
宰相が続けた。
「問題は、会談の“条件”です」
全員の視線が集まる。
「帝国は、こう要求してきました。
――海洋国の王族、ならびに全公爵家当主、全員を揃えた上での会談」
空気が、凍りついた。
「……全員、だと?」
第一王子が声を低くする。
「その意味は、国家の最終判断を求めると言うことだろう」
「逃げ道を塞ぐ条件ですね」
宰相は淡々と言った。
「個別交渉も言い逃れも許さない。国としての意思を、その場で示せと言うことか」
国王は目を閉じ、ゆっくりと息を吐いた。
「帝国は、理由を語らぬまま、 結論だけを迫ってきている」
「つまり――」
第一王子が続ける。
「すでに、主導権は向こうにある」
第二王子は、内心で歯を噛みしめた。
(やはり……来たのか)
だが、誰も彼を疑ってはいない。
この場で彼は、ただの“沈黙する王子”に過ぎなかった。
「父上」
第一王子が言う。
「会談を拒めば、それ自体が答えになる、戦争が始まるかもしれない。応じれば、何かを突きつけられる」
「……選択肢は、ないな」
国王はそう呟き、決断した。
「全員を集める。 王族も、公爵も、一人も逃げ出さないようにな」
その言葉に、第二王子の胸が、静かに沈んだ。
答えは、帝国との会談の場でしか明らかにならない。
海は静かだった。
だがその深層で、国の運命を呑み込む潮流は、確実に動き始めていた。
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