潔癖王子の唯一無二

秋月真鳥

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潔癖王子編

10.真実の愛

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 寂しく一人で過ごしていたもヨウシアは、派手な貴族社会は得意ではないだろうと自分で自覚していた。王子のアレクサンテリの伴侶となるのだから、公務は行わなければいけない。
 病弱だということと、年が幼いということで甘やかされてアレクサンテリの部屋から出ないで済んでいるが、婚約のお披露目があればそれに出席しないわけにはいかないし、結婚すれば国王の配偶者として国政にも携わらなければならない。
 重圧に元々細い食が、ますます細くなっていたところで、アレクサンテリが王位を継がずに妹に譲るという話を聞いて、驚きはしたが、ヨウシアは安心もしていた。
 どこか平和で静かな場所で二人で暮らそうと言ってくれたアレクサンテリは、元々王位に執着はなかったようである。愛するひとと二人きり、煩雑な貴族社会に揉まれることもなく静かに平和に生きていける。それはヨウシアの長年の夢でもあった。
 夢は叶いそうだったが、ヨウシアには一つ、心配事があった。
 初めて身体を交わした日以来、アレクサンテリは同じベッドで寝るが、ヨウシアと性的なことをしようとしない。フェロモンで訳が分からなくなって泣いてしまって、立て続けに絶頂したヨウシアは、アレクサンテリの体力について行けず、気を失ってしまった。達するのも早すぎたし、アルファとしては弱すぎて女王様クィーンオメガと自称するアレクサンテリを満足させられなかったのかもしれない。
 シャワーを浴びている間も、アレクサンテリの白く豊かな胸が、引き締まった腰が、発達した大殿筋の丸い尻が、気になって仕方がないのは、ヨウシアの方だけなのだろうか。
 立派な体格でもないし、中心はアレクサンテリと身体を交わして初めて精を零した程度の発達具合でしかない。満足させられなくても、アレクサンテリは優しいので運命の番であるヨウシアと結婚して、二人で静かに平和に暮らそうと言ってくれるが、それではヨウシアの気持ちはどうなるのだろう。
 アルファとして、男性として、ヨウシアにも欲がある。
 シャワーを浴び終わって、温かなアレクサンテリの身体に、背中から抱き付いた。

「やはり、満足できませんでしたか?」

 口にしてしまうと、自分の不甲斐なさが際立って、涙が出て来る。それなのに、アレクサンテリの胸に回した手は、自然とそこを揉んでいた。
 弾力があって柔らかく、ツンと立つ小さな尖りが布越しにもヨウシアの手に伝わってくる。
 すんと洟を啜って、涙声でヨウシアは言葉を紡いだ。

「僕が……初めてで、早かったから……」
「とても悦かったぞ。満足できなかったわけではない」
「でも、あの日以来、触れてくださらない……」

 触れて欲しいし、触れたいのだと、ふにふにと胸を揉んでいると、急に振り返ったアレクサンテリがヨウシアの身体を横抱きに抱えてしまった。そのままベッドまで運ばれて、シーツの上にぽんと投げられる。

「そなたが、まだ幼いから、母から手を触れぬように言われておったのに!」
「あ、アレク様!? ひぁん!?」

 パジャマを脱がされて、下着も脚から引き抜かれ、ヨウシアは甘い香りに包まれて、目が回りそうになっていた。

「身体も弱いから、もっと良く食べて健康になるまで、必死で理性を持たせておったのに」
「あぁっ!?」

 続いて自分のパジャマを脱ぎながら、ヨウシアの反応し始めている中心に舌を這わせるアレクサンテリに、びくびくと華奢な腰が跳ねる。まだ快感を一度しか経験していないヨウシアの身体は、あまりにも早く絶頂の兆しが来てしまう。

「煽るようなことをして!」

 怒らせてしまったのかと思ったが、そうではなく、ただアレクサンテリがヨウシアを求めているだけだと分かれば、ヨウシアの方にも欲が出て来る。初めてのときは全部アレクサンテリにさせてしまった。高貴な方なので、自分如きが触れるのもいけないのかと思っていたが、胸を触った感じでは、そうでもないのではないかと感じる。

「もう、でるぅ!」
「中で出してもらわねば」
「やぁっ! ぼ、僕が、したい、です」

 してみたいと甘えて口に出せば、アレクサンテリはヨウシアの中心を舐めていた口を離して、白い双丘をヨウシアの方に突き出してみせた。体を捩じって、ほの赤い唇を舐めて、アレクサンテリが誘う。

「良いよ、おいで?」
「アレク様……あぁっ!」

 甘い香りに包まれながら、アレクサンテリの鍛え上げられた腰に手を置いて、ゆっくりと後ろから挿入していくと、慣らす動作を一切しなかったそこは、きつくヨウシアを締め付ける。

「あっ! でるっ! でちゃうっ!」
「出して構わぬよ」

 気持ちよくなって欲しいと必死に腰を振るのに、溺れているのはヨウシアばかりな気がして、泣き出しそうになったところで、ヨウシアはアレクサンテリの中で達してしまった。

「やっぱり、早かった……ごめんなさい」

 「ふぇ」と泣き出すヨウシアを、アレクサンテリの手がベッドの上に押し倒す。腰に跨られて、ヨウシアの喉がこくりとなった。中心を軽く扱かれれば、またそこは芯を持って、容易にアレクサンテリの中に飲み込まれてしまう。
 先ほど出した白濁が泡立つほどにぐちゅぐちゅと腰を動かすアレクサンテリに、ヨウシアは再び高みに上っていた。
 絶頂が止まらず、アレクサンテリが気持ちよさそうにしている顔も、泣き出してしまったヨウシアには全く見えない。

「うぇ……うぇぇぇん! あ、れく、さまぁ!」

 大きく泣き声を上げて号泣してしまったヨウシアに、さすがに腰を止めて、アレクサンテリが体を折り曲げてヨウシアの口元に胸を差し出す。胸の尖りを吸って、もう片方を指で摘まんでいると、号泣するヨウシアも落ち着いてきた。

「嫌だったか?」
「アレク様……全然、達していらっしゃらない……僕、やっぱり……」

 体格に見合ったアレクサンテリの立派な中心は、ヨウシアが何度も精を吐き出したのに、濡れてもいない。それがアレクサンテリが快感を得ていないのではないかという疑惑に繋がったのだと気付いたアレクサンテリが、ヨウシアの中心を中で締め付けながら、耳元に囁いた。

「私は、どうやら、こっちよりも、中だけでイく方が悦いようだ」
「ふぇ!?」
「クィーンオメガなどと言っていても、愛しいヨウシアの前では、ただの雌ということだよ」

 ふっとアレクサンテリが笑って、ヨウシアの頬を撫でて涙を拭き、また腰を動かす。絶頂させられて、ヨウシアはアレクサンテリの胸で気を失っていた。


 腰が立たなくて動けないヨウシアを見て、女王も大臣も呆れ果てているようだった。

「僕の体が強くなくて、体力がないから……」

 泣き出しそうになるヨウシアを、アレクサンテリは気にすることなく抱き上げて運んでくれる。王位を継がないとしても、これまで伴侶を決めなかったアレクサンテリの婚約の披露パーティーには、ヨウシアも出ないわけにはいかなかった。
 なぜか、衣装はヴェールを被せられて、ヨウシアが花嫁のようになっているのだが、それが公衆の面前でヨウシアの可憐さを見せないためだとは、ヨウシアは全く思いも付かなかった。
 アルファのように振る舞っているアレクサンテリが、オメガだと気付かれるのが良くないのかもしれない。貴族社会でオメガは貴重だが、それも優秀な遺伝子を残すためであり、産む道具、政略結婚の道具として認識されていた。事実、オメガだったヨウシアの母も、政略結婚で隣国に行った。
 アルファの貴族社会で希少なオメガであるということは、アレクサンテリにとって弱点となるのならば、ヨウシアは女性のふりでも、オメガのふりでもするのは全く嫌ではなかった。結婚すれば二人で王宮を離れて違う領地に行くのだ。そこでならば、アレクサンテリも安心して子どもが産める。
 自分を見せたくないアレクサンテリの独占欲で衣装が選ばれている可能性を考えもせずに、ヨウシアは与えられた衣装を着ることを承諾した。
 白い細身のパンツスーツにヴェール姿のヨウシアは、僅かに透ける髪の色くらいしか分からないのを確認して、アレクサンテリは満足そうだった。
 近付く夏の気配に、国は明るさを取り戻している。

「お兄様は大事な方のお名前も呼ばれたくないみたいですの。伴侶の君とお呼びしましょうね」
「は、はい」

 アレクサンテリが家族と伴侶以外に名前を呼ばせないように、これも王家のしきたりがあるのかもしれない。妹の王女の申し出に頷いたヨウシアは、これもアレクサンテリの独占欲だとは気付いていない。
 初夏に婚約の儀が執り行われて、ヨウシアは正式にアレクサンテリのものになった。
 冬の誕生日に16歳になれば、結婚式が執り行われて、その後でアレクサンテリとヨウシアは二人、王宮を離れて南の領地に赴く。

「一年中暖かく、美しいところだと聞く。ヨウシアの好きな果物もたくさん獲れるのだぞ」
「アレク様に剥いて差し上げられますね」

 腰が立たなくて抱いて運ばれても、女王も大臣も王女も、ヨウシアを叱責しなかった。

「健康になられますように」
「食事はきちんと摂って」
「お兄様、伴侶の君をきちんと寝かせるのですよ」

 心配されて、ヨウシアは女王も大臣も王女も、オメガで産むのはアレクサンテリと知っているはずなのに、妊婦のように心配されていることに驚く。大事にされているのだと実感すれば、自然と涙が溢れた。

「僕が欲しかったものを全てくださる……アレク様は、僕の神様のような方です」

 暖かな家族の愛に飢えていた。寂しくて、誰かに愛されたかった。それがオメガや女性と勘違いされた、偽りの愛でも、ヨウシアは手放すことができなかった。
 偽りだと思っていた愛は、今は真実の愛に変わっている。

「僕の番になってください」

 婚約の日に、ヨウシアはアレクサンテリの白いうなじに歯を立てた。
 互いにしかフェロモンが作用しなくなる、番となる儀式。

「既に私たちは運命の番だったのだがな」

 微笑みながら、白いうなじに残った赤い痕を手で撫でたアレクサンテリに、ヨウシアは自分からキスをした。
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