彼氏の優先順位[本編完結]

セイ

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4.君との距離(青衣Side)

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青空を見かけたのは幼馴染の茜のクラスに訪れた時だった。
茜とは小さい頃から一緒に育ったからか兄弟のような感覚だ。家族であり親友で。必然的に二人でいるのが当たり前になってた。

俺らは目立つらしく沢山の視線が注がれる事が多い中ふと青空と視線が合った。
それは本当に数秒にも満たないくらいの一瞬の事だったと思う。それだけで俺は青空から目が離せなくなっていた。
普段なら絶対に絡まなそうな大人しそうな子だったが何故か気になって茜の話そっちのけでずっと観察してしまった。

染めたことなんて一度もないであろう綺麗な黒い艶髪に、小さな顔にくりくりとした大きな瞳、少し低めの鼻にちょこんと乗った小さな口。いつもニコニコ笑って控えめに笑う顔はとても可愛くてその瞳に俺だけを映して欲しいと思ったのは今までにない強い独占欲。

一度意識したら彼を誰にも取られたくないという感情に支配されて直ぐに告白をしてしまった。俺からの人生初告白だった。

告白をOKしてくれた時は柄にもなく喜んでしまって恥ずかしかったのを覚えてる。

真っ赤になった顔も可愛かった…。学校じゃなかったら押し倒してるところだ。
スキンシップも恥ずかしがっていちいちビクビクするのも可愛かったけど緊張して涙目でビクビクしてしまう様子から慣れるまではスキンシップは控えめにすると約束してしまった事で俺の我慢の日々が始まった。

二人きりになるとどうしてもくっつきたくなるから茜に一緒にいてもらうようになった。勿論青空と恋人になった事は伝えてある。青空に手出されても困るし。

というかスキンシップ控えめってどのくらいが限度なのだろうか?

「なぁ、茜。スキンシップ控えめってどのくらいまでOKなんだと思う?」
「……何で?」
「青空がさ俺とくっつくと緊張してビクつくから慣れるまでスキンシップ控えめにって約束しちゃったから。緊張して顔真っ赤にして涙目になる青空が可愛すぎてその場で抱きたくなるの我慢すんのキツイんだよなー」
「お前その爽やかな顔でムッツリなの残念だよね。いつもならソッコーSEXに持ち込んでんじゃん。」
「それは相手がしたがるからやってるだけで俺からじゃねぇもん」
「お手々繋ぐところからじゃない?手ぇ繋ぐのもあわあわしそうだねぇ……」
「手ぇ繋いだら赤面して上目遣いで見てきてホニャリと笑うもんだから可愛すぎてそのままキスしたら倒れそうになってたわ……」
「ははっ…想像通り。今時そんな初心な子いるもんだねぇ…」
「想像すんな!!」
「うちでご飯食べてそのまま青衣の家お泊りすればいいのにー。もぐもぐ青空ちゃん可愛くない?ずっと見てられるー」
「見んな!それは確かに可愛いけども!」

そんな話をしてたのは昨日。
今日俺の家でデートだ。
今日はスキンシップ多めに…。

「…っん……ちゅっ……はっ…ん…」

俺の舌に翻弄されながらも一生懸命舌を絡ませる青空が可愛くて仕方ない。キスに夢中なら…と思って身体に手を這わせるとやはりビクつくが怖がってはなさそうだからそのまますべすべな青空の身体を堪能しようとしたその時に空気を読まないスマホが鳴った。
チッ!いいとこで…。

それは案の定茜からで。昨日の話を実践する気か?
まぁ確かに夕飯食べて夜遅くに帰らすなら泊らせる方が自然か?なんて自分の欲望の事ばっかり考えてたバチが当たったのか…。

「茜んちに夕飯食べに行かない?」
「…あっ…えっと…僕は帰るよ…」

まさか断られるとは思わなかった。元々デリバリーでも頼んで夜ご飯を一緒に食べる話もしてたから時間がどうこうって事はないはず。

「えっ…何で?食べて行けばいいじゃんか」
「僕はいいから青衣くんはいつも通りにすればいいんじゃない?」

なんだ?怒ってる?何故?どうして?何がダメだったのかわからない。

「何でそんな素っ気ない言い方すんの?嫌なの?俺達と食べるのが嫌?」
「そんな言い方したつもりないけど…。僕はもう帰るよ。僕は二人だけの時間もう少し欲しかっただけなんだけどな…」

ボソリと呟いた青空。少し泣きそうな声。

「…あ…」

今日のデートを楽しみにしてた青空。

「お家デート楽しみ!青衣くんのお部屋行くのも初めてだし、嬉しいっ!」

俺達の時間を楽しみにしてた青空の事何も考えてなかった…。自分の事しか考えてなかった俺が悪い。

「えっ…あ…青空…待って…」

俺の言葉を待たずに部屋を出ていってしまった。
急いで追いかけたが姿が見当たらない。
青空のマンション前まで来たが、部屋番号は知らない。
何度青空に電話しても出ない。

このまま別れるとかなったら俺はどうしたらいい?

暫くマンション周辺を彷徨っていたらファミレスまで来てしまっていた。
そこには泣いているであろう青空といつも青空の側をうろちょろしてる野郎が一緒にいた。

「何でそんな野郎に泣き顔なんて見せてる……?」

絶望の淵に立たされた気分だった。









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