彼氏の優先順位[本編完結]

セイ

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5.君との距離②(青衣Side)

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二人の姿を見てそのまま帰ってきてしまった。

何故青空が泣いているかもわからず、何故空と倉橋が一緒に居たのかもわからず……。

「茜…俺振られるかも…」
「は?何があった?昨日の今日で何で急にそんな話になんだよ。」
「…青空泣かせた……。倉橋と一緒に居た…」
「何で倉橋が出てくんだよ。お前青空と家に居たんじゃねぇの?」

さっきあった事を思い出しながら茜に話した。

「……俺のせいか?デートの邪魔しちゃったようなもんだよな…。毎回夕飯食べに来てって誘ってたのも迷惑だったんかなぁ……?」

二人で居たかったのは俺も同じだ。それもあるが何か引っかかる。茜の誘いに過剰に反応するのは何なんだろう。

何でいつも俺達と夕飯食べるの断るのかちゃんと考えたことなかった。昼は一緒に食べるんだから一緒に食べる事が嫌なんじゃない。他に何かある筈。

「わかんね……一度ちゃんと青空と話さなきゃ何もわからねぇ……倉橋と一緒に居たことも含めて」

青空は何で倉橋の前で泣くんだ……俺には何も言わなかったのに……。

こんなに不安になるの初めてだ。
それはこんなに人を好きになったことなかったから…。

「今まで適当に人と付き合ってたんだからちゃんと今回は青空くんと向き合ってこいよ。本気で好きになった相手なんだろ?」
「わかってる」

未だに連絡はない。
まだ倉橋と居るのだろうか…。
何かあるなら俺に話して欲しい…。





次の日、マンション前でいつも通り青空を待った。いつも一緒だった茜には先に学校へ行ってもらった。二人で話をしなければならないと思ったから。

暫くしてマンションから青空が出てきた。
いつもだったら笑顔で「おはよう!」と言ってくれるのにやはり昨日の事があったからか顔が強張って遠慮がちに挨拶をしてきた。

「あ…おはよう…昨日は連絡返せなくてごめんね?家帰って直ぐに寝ちゃったから……」

…青空に嘘をつかれた。
いや、そうじゃない俺が嘘をつかせてしまった、そう思った。

「…昨日…あの後ファミレスで倉橋と会ってたよな?」

そう聞くと青い顔して視線を彷徨わせビクリと身体を震わせる青空に何か隠し事があるのは明白だった。

「………」

倉橋が好きになったのか?
俺の所には戻ってこないのか?
俺の事が嫌いになったのか?
別れたいのか?

聞きたいことは山程あるが、喉の奥が張り付いて中々言葉が出てこない。

「俺に何かあるなら言って欲しい…」

そう言いながら掴んた青空の両手は酷く冷たく緊張しているのがわかる。
いつもぽかぽかと温かい青空の体温が感じられない。

俺を拒絶しているようで悲しかった…。

「あ…あのっ…その……倉橋くんはたまたま行ったファミレスでバイトしてて……その……」

それが本当なら何故バイト中の倉橋が一緒に席に座ってたのか…。

何故そんなに言いづらそうなのか…。
本当に倉橋と何かあるんじゃないかと思わせる青空に不安が募る。

「…おい、道のど真ん中で何してる。遅刻すんぞ。」

倉橋も家がこの近辺だったのか…。

「あ…倉橋くんおはよう……」

あからさまにホッとした青空。
そんな態度に俺は我慢できなかった…。

「倉橋には関係ねぇだろ。さっさと消えろ!」
「……はぁ…めんどくせぇ…」
「うわぁ…光輝ってそんな嫌われてるの~?」

知らない声が聞こえた方を見ると倉橋の後ろから見たことある顔がこちらを覗き込んでいた。

生徒会長の浅井優先輩。

何故そんな優等生とこんな柄の悪そうな倉橋と一緒にいるのか。

「浅井さんもおはようございます…」

青空とも顔見知りの様だ。

「君たち早くしないと遅刻しちゃうよ~。一緒に行こっか」

青空との話も中途半端に何故か4人で登校となり訳がわからない。それよりも青空の話を聞きたいのに!

「彼氏君さぁ……もうちょっと周りも見なきゃ駄目だよ?」
「?」
「青空くんが可哀想」
「!!」

何故そんな事を言われなければならないのか。
青空が可哀想って…俺は知らない間に青空に何かしていたのだろうか?

益々訳がわからなくなり青空の方を見るとずっと俯いていることに気がついた。

何も話せず学校に着いてしまった…。

「……青空放課後教室行くから話の続きをしよう?俺に何かあるなら正直に話して欲しい…。青空とずっと気不味いままなのは嫌だ。」
「……わかった。ありがとう……」
「……」

クラスの違う俺は同じクラスの教室へと向う青空と倉橋の後ろ姿を見つめながら溜息をついた。

「仲直り出来るかな……」

今までにない不安が声に出てしまった。

「大丈夫じゃない?青空くんはまだ君の事大好きみたいだしね?」

いつの間にか横に居た浅井先輩がニコニコ顔でそんな事を言ってきた。

「君次第だよ。頑張れ恋愛初心者!」

と、ポンと肩を叩いて先輩も教室へと向かった。

先輩は青空の事をわかっているようだ。
俺だけが何もわからない。

不安と疑問が大きくなったまま俺も教室へと急いだ。









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