彼氏の優先順位[本編完結]

セイ

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7.二人の距離②

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その日の昼は青衣くんは来ず茜くんと二人だった。
久々に教室で昼食を食べた。
三人の時は周りを気にして人が来ない場所で食べてたから。

「その…昨日はごめんな?考えなしに食事誘ってさ。デートしてるなら二人で居たかったよな?」

あ…茜くんはやっぱり僕たちが付き合ってるの知ってたんだね…。

「茜くんは僕と青衣くんが付き合うって聞いた時はどう思ったの?」

一度聞いてみたかったことを聞いてみた。
だって青衣くんが今まで女の子としか付き合ったことない事は周りの噂で知ってたから。

今僕と青衣くんが付き合ってる事は噂になってないみたいだけど。たぶん噂にならないように男友達って思われるようにしてくれてるんじゃないかなとは薄々思ってるけど。

「別にお互い好きならそれでいいと思ってるよ俺は。青衣が青空くんと付き合う前から青衣の恋の応援してたからお付き合い報告された時はやっとか…って思ったけど。なんせ青衣の奴が付き合う前から青空が青空がって何かありゃその都度惚気っぱだったし、それでまだ付き合ってないんか!?って思ってたし、付き合ったら付き合ったで青衣が可愛いって惚気やがるし」
「そ…そうなんだ…?」
「だから青衣の気持ち疑わないであげてね?青空くんのことめっちゃ好きだからアイツ」
「うん…」

茜くんの言葉に照れてしまった。
そんな事があったのかと…。

「青衣くんが女の子と付き合ってた時も一緒に食事したりしてたの?」
「え…ないない。女の子たちの場合はさ、青衣とつきあったら必然的に俺とも一緒に居られて両手に花みたいな感覚?っていう一種のステータスみたいな?自慢じゃないけど、俺達顔良いでしょ?それで周りの女の子たちに自慢したいみたいな。俺達は女の子たちの飾りじゃないんだからさぁ。そんなんお断りだから女の子がいる時は青衣の側にいなかったよ。青衣も俺に近づかなかったし」
「青空くんはそーいうのないでしょ?だから一緒に居るの楽しいし、何かホッとするんだよねー青空くんといるとさ。だから食事にも誘ってるわけ。もっと仲良くなりたいなーって。あ、でも青衣から青空くん取りたいとかって事じゃないからね!?愛は二人で育んでね?」
「……」

こんないい人たちに我儘言うつもりだったの?
ご飯がうまく喉を通らなくなってしまった…。

「…青空くんまだ何か心配ごとある?あるなら聞くよ?」

涙でちゃいそう…。

「…放課後に青衣くんとお話する予定だから…大丈夫。」
「そっか。青空くんの不安も全部ぶちまけちゃえばいいよ」

ぶちまけちゃっていいのだろうか?


そんな不安を抱えながら授業を受けていたらあっという間に放課後になってしまった…。あぁ…まだ考えまとまってないのに…。ちょっとトイレ行ってこよう。

「茜くん。ちょっとトイレ行ってくるから青衣くん来たら待って貰うように言っておいてくれる?」
「OK!言っとくから大丈夫!」
「ありがと!」

茜くんに言伝を頼んで教室をでる。
トイレに入る瞬間に後ろから声をかけられた。

「夏目くん、ちょっといいかな?時間ある?」
「え…あの…はぃぃ~…」

クラスの女子数人から声をかけられた。
強気な女の子たちに僕は"はい"しか言えなかった…。

青衣くんも待たせてるのになんてタイミング!!
彼女たちは僕の焦りなんて考えもせずにどんどん教室から遠ざかって行く。

何処連れてかれるんだろ…。

これはここ最近なかった青衣くんと茜くんに対してかなぁ…。

とのんびり考えてたらいつの間にか体育倉庫近くの校舎裏まで来ていた。

ここらは誰も通らない場所じゃんか…声出しても気づいて貰えない…。僕はここにきて焦り始めた。今日は倉橋くんも近くに居ない……。

「あ…あの…何の用でここまできたんでしょうか?」

女の子が振り返った瞬間壁に押されて思いっきり肩を強打した。

「…った…」
「…これくらいで痛いとか軟弱…」
「あんた!!今日青衣くんが来なかったのあんたのせいなんでしょ!!最近やっと青衣くんと茜くんのツーショットが見られてたのにあんたが間に入ってくるから!!あんたあの二人の何なのよ!!あの二人と一緒にいられるのなんて貴重なのよ?彼らの彼女になったって二人一緒にいられた事なんてないのに!!」

「僕は…二人の友達です!!」
あぁ…また始まった。そんな事言われてもなぁって今までは彼女たちがスッキリするまで聞いてたんだけど…茜くんからあの話を聞いた後だととてもカチンとくるよね…。

「…あ…青衣くんたちが誰といようが彼らの自由だと思います!!僕は彼らに誘って頂いて一緒に居ます。あなた達にとやかく言われる筋合いはないです!!」
「…なに?あんた青衣くんの事好きなの?そんな必死になっちゃってさ。あたしはこんなホモに負けたの!?何なのよあんた!!そのポジョン渡しなさいよ!!青衣くんにはあんたみたいな地味男よりあたしみたいな女の子の方が…」

「あんたみたいな女を好きな奴は人を見る目がねぇな…」

今日は助けは来ないと思ってた倉橋くんが窓から声をかけて助けてくれた。こんなトコ絶対通るはずないのに…。

「っ…な…」
「夏目。先生呼んでたぞ。さっさと来い…」
「…っ!!ありがと倉橋くん」

たぶん助ける為の嘘だと思うけど…いつも何でこんなナイスタイミングに来てくれるんだろうか…。

「じゃあ先生持たせるといけないので行きますね」
「ちょっと!!まだ話は終わってな…」

まだ話足りないのか肩を掴まれそうになった瞬間…

「ウザい」

と倉橋くんの一睨みで黙った。
僕は見られなかったけどそれはとても怖かったらしい。
睨まれた彼女たちは肩を震わせてた。
助けてくれたのは感謝してるけど彼女たちを不憫に思ったのは内緒。

「お前もうちょい危機感持てよ。毎回助けられるわけじゃねぇんだぞ」
「ごめん。ありがとう。どうして場所わかったの?」
「人に見られないとこ探したらビンゴだった。逆に分かり易すぎて笑ったわ」

倉橋くんからしたらわかりやすいのか…。

「あ、今何時!?え…20分以上経ってる!?トイレに行ってることになってるのにぃ~!!」
「おい、お前この事言わないつもりか?これも元はと言えばアイツらの撒いた種なんじゃねぇのかよ?お前が我慢して受ける必要ねぇ事だぞ?」
「…言わないでね?お願いだから」
「…仕方ねぇな。だが気分によっては言う」
「えぇ~何で!?お願いしてるのに!!」

そう言いながら倉橋くんの腕を揺すっていると肩に痛みが走った。そう言えば強打してたんだった。

「…どうした?どっか怪我してんのか?」
「あ…いやさっきちょっと壁に肩を…」
「保健室行って来い」
「やだ、無理」
「幼児かよ…」
「人待たせてるから無理」
「話終わったら行けよ」
「やだ、無理」
「…はぁ…」
「俺一緒に行くからな。話し合い」
「え…何で!?青衣くんと仲悪いじゃん!!」
「話の内容によっては今まであった事を全部話す為」
「話さないでってさっきお願いしたばかりなのにもう約束破るの!?」
「だから話の内容によってはって言っただろうが。絶対ではない」

この後の話し合いに少し気が重くなったのは言うまでもない。









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