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茜の出会い編
1.幼馴染との距離
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幼馴染の青衣に恋人が出来た。
恋人が出来ることに珍しさはない。
だが、相手が男というのは初めてだった。
青衣は愛に飢えていると思う。
初めて青衣と会ったのは5歳くらいだったか…。うちの隣に越してきたのが青衣たち家族だった。転勤族というのだろうか…青衣の親は転勤が多くその度引っ越し、青衣も引っ越す事に慣れてしまっているせいで友達を作る気がないのか、最初の挨拶も素っ気なかった。
両親が共働きな上引っ越しも多く、親と遊んだ記憶もなく、友達も居ない青衣はいつも家で一人静かに過ごしている事が多い。親に子への愛情がないわけではなかったが、普段一緒に居ないことから青衣にはその愛情がわからなかったのだろう。
俺はいつも親に嫌われている…と寂しそうに言葉を零す青衣を見ていた。
そんな俺は親に相談し青衣と兄弟になりたいと駄々をこねた。
そしたら家族になれて淋しくもないという単純な思いだったが、当時の俺はちょー名案!!とばかりに青衣を家に連れて帰った。親には迷惑を掛けたが、それからは一緒に食事を取り、一緒に風呂に入って、一緒に寝る。本当に兄弟のように過ごす事になり青衣にも笑顔が増えた。
元々一人っ子で弟が欲しかったのもあり、青衣を弟のように可愛がるのも楽しかった。
そんな青衣に彼女が出来たのは中学生になってから。
いつの間にか俺よりも背が伸び、普段あまり言葉を交わさないことでクールな所が素敵だとかでモテ始めていた。
俺からしたらクールに程遠いと思っている。アイツは唯話すのが面倒くさいだけなのだから。話せば口も悪いし。
そんな普段俺以外と居ることが少ない青衣にとって他人と一緒にいるのを珍しいな…と思っていると告白されて付き合い始めたと言う。
あの女俺に挨拶してきたかと思えば「茜くんもこれからよろしくね」だって。あの媚びるような目が気持ち悪かった。何で俺もよろしくされなきゃなんねぇんだよ。
付き合ってんのは青衣だろうがよ。
唯この女は俺と青衣を侍らせたいだけなんだとわかった俺は直ぐに距離をとった。女の策略になんか乗ってやるか馬鹿が。
「青衣好きじゃねえなら無理やり付き合うことねぇんだぞ?」
「…これから好きになるかもしれないじゃん?」
「…あっそ。あの女居る時は一緒に居ないからな」
「何で?」
「何でって…」
無意識に愛を欲しがる青衣にとってこれはいい兆候なのかわからない…。家族愛、友愛、以外の愛情を求めだした青衣に女の本性を教えてトラウマになっても困るな…と思うとホントの事は言えず…。
お付き合いしてるなら二人で過ごせ。と強引に話を切った。
それからというもの女が出来ると俺が離れるということが多くなり、女といても退屈で結局女と別れて俺の元へ帰ってくるの繰り返しになった。
「別れるなら付き合わなきゃいいのに。何で断らない?」
「俺を愛してくれるって言うから…」
「お前が愛さないと意味がねぇんだぞ?」
「……」
そんな恋愛のれの字もわからないような青衣に奇跡が起きた。
「茜…あの子…可愛くない?」
青衣から好意を持つ事は初めてだった。
青衣には幸せになって欲しかった。
だから青衣が初めて自分から好きになった子には興味があった。また変な女に引っかかって貰っても困るし。
「どれ?」
その視線の先には大人しそうな地味な男の子。
男にしては可愛い部類…か?
同じクラスの大人しめなグループに居た子だな…。
話合わなそー…。それが第一印象。
「男…?」
「うん。可愛い。なんか小動物みたいでちょこちょこ動いてんの可愛くね?」
「…ふーん……好きなの?」
「好き…かも?」
曖昧な返事だったが自分からの好意ってところが重要。
今までの女に比べたらマシかと思った。
あれなら変な気も起こすことはないだろう…。その前に付き合えるかは別として。
「告白しないの?」
「…告白?」
「そう。告白。誰かに取られるかもよ?」
「…。断られたらどーしよう?」
「それはお前次第だろ?好きになって貰えるように頑張るだけだろ?」
「…!!」
恋愛初心者の青衣にとって一世一代の告白にOKを貰ってきたのはその後すぐだった。
思ってたより早かったな…。相手も好きだったか?
「お願いしたらOK貰えた。照れた顔可愛すぎてその場で襲うとこだった」
「お前…今までの女と一緒にしたら駄目だぞ。あの子は純粋そうだからな…手順を踏んで同意を得てからにしなさい」
「…可愛すぎて手を出しちゃいそうなんだけどとうしたらいい?」
「俺も一緒に居るから我慢しろ。それと俺に紹介しなさい」
「青空に手ぇ出したら容赦しねぇよ?」
「わかってるよ…」
今までにない執着心を見せた青衣に少し怖さを見た気がする。
「夏目青空ですっ!よろしくお願いします」
女共と違って媚びる感じもなくその時点で好印象。
同じクラスなのに初めて喋った青空くんは聞き上手なのか、俺達と話してても会話が途切れることなくとても楽しかった。
話合わなそうとか思っててごめんねと心の中で思ったのは内緒。
青衣が強引にお付き合いOKさせたのかなとか思ってたけど青空くんも青衣の事が大好きって感じが伝わってきて中々似合いな二人だなと思った。
良かった。こんないい子が相手で。
青衣はすぐくっつきたがるが青空くんの方は緊張するのかまだ少しだけ距離を取るのが見てて可愛い。初心者同士の初々しい様が微笑ましい。
案の定慣れるまでお預けをくらったらしい青衣はここ数日悶々としている。
「青空の上目遣いマジ可愛すぎてそのままちゅーしたら変な声出しちゃってポカポカ腕叩いてくるのマジかわなんだがどうしたらいい?」
「お預け食らってんのにちゅーはダメだろ」
「ちゅーはよくない?慣れてもらわないと困る」
「スキンシップに慣れてないのに急にハードル上げてどうすんだよ」
お預けを食らってる分惚気が凄まじかった。
青衣はこんなにも沢山の感情を表に出すことがなかったから青空くんにはマジ感謝しかない。
「というかさぁ…この視線どうにかならん?」
「俺達が一緒にいるとこうなるのは今までと変わらんでしょ?そんなイライラしてもどうにもできないよ」
「…青空からの視線だけでいい…青空の視線だったらいくらでも浴びていいんだけど…」
この俺達に対する好き好きビームが青衣と青空くんが付き合ったとわかった瞬間どう変わるのか…話からないほど馬鹿じゃない。だから人前ではなるべく友人感を見せるように青衣には言い聞かせたがそろそろ限界きてそう…。
そんな感じでお互い愛を育んでいる間にいつのまにか青空くんの近くに倉橋という男が側にいるようになったのはいつからか…。
青衣の嫉妬が限界突破するのはすぐだった。
茜から見た二人の恋の行方。そして茜の恋もそのうち始まる予定。まだお相手出てきてませんが…。お楽しみに!
恋人が出来ることに珍しさはない。
だが、相手が男というのは初めてだった。
青衣は愛に飢えていると思う。
初めて青衣と会ったのは5歳くらいだったか…。うちの隣に越してきたのが青衣たち家族だった。転勤族というのだろうか…青衣の親は転勤が多くその度引っ越し、青衣も引っ越す事に慣れてしまっているせいで友達を作る気がないのか、最初の挨拶も素っ気なかった。
両親が共働きな上引っ越しも多く、親と遊んだ記憶もなく、友達も居ない青衣はいつも家で一人静かに過ごしている事が多い。親に子への愛情がないわけではなかったが、普段一緒に居ないことから青衣にはその愛情がわからなかったのだろう。
俺はいつも親に嫌われている…と寂しそうに言葉を零す青衣を見ていた。
そんな俺は親に相談し青衣と兄弟になりたいと駄々をこねた。
そしたら家族になれて淋しくもないという単純な思いだったが、当時の俺はちょー名案!!とばかりに青衣を家に連れて帰った。親には迷惑を掛けたが、それからは一緒に食事を取り、一緒に風呂に入って、一緒に寝る。本当に兄弟のように過ごす事になり青衣にも笑顔が増えた。
元々一人っ子で弟が欲しかったのもあり、青衣を弟のように可愛がるのも楽しかった。
そんな青衣に彼女が出来たのは中学生になってから。
いつの間にか俺よりも背が伸び、普段あまり言葉を交わさないことでクールな所が素敵だとかでモテ始めていた。
俺からしたらクールに程遠いと思っている。アイツは唯話すのが面倒くさいだけなのだから。話せば口も悪いし。
そんな普段俺以外と居ることが少ない青衣にとって他人と一緒にいるのを珍しいな…と思っていると告白されて付き合い始めたと言う。
あの女俺に挨拶してきたかと思えば「茜くんもこれからよろしくね」だって。あの媚びるような目が気持ち悪かった。何で俺もよろしくされなきゃなんねぇんだよ。
付き合ってんのは青衣だろうがよ。
唯この女は俺と青衣を侍らせたいだけなんだとわかった俺は直ぐに距離をとった。女の策略になんか乗ってやるか馬鹿が。
「青衣好きじゃねえなら無理やり付き合うことねぇんだぞ?」
「…これから好きになるかもしれないじゃん?」
「…あっそ。あの女居る時は一緒に居ないからな」
「何で?」
「何でって…」
無意識に愛を欲しがる青衣にとってこれはいい兆候なのかわからない…。家族愛、友愛、以外の愛情を求めだした青衣に女の本性を教えてトラウマになっても困るな…と思うとホントの事は言えず…。
お付き合いしてるなら二人で過ごせ。と強引に話を切った。
それからというもの女が出来ると俺が離れるということが多くなり、女といても退屈で結局女と別れて俺の元へ帰ってくるの繰り返しになった。
「別れるなら付き合わなきゃいいのに。何で断らない?」
「俺を愛してくれるって言うから…」
「お前が愛さないと意味がねぇんだぞ?」
「……」
そんな恋愛のれの字もわからないような青衣に奇跡が起きた。
「茜…あの子…可愛くない?」
青衣から好意を持つ事は初めてだった。
青衣には幸せになって欲しかった。
だから青衣が初めて自分から好きになった子には興味があった。また変な女に引っかかって貰っても困るし。
「どれ?」
その視線の先には大人しそうな地味な男の子。
男にしては可愛い部類…か?
同じクラスの大人しめなグループに居た子だな…。
話合わなそー…。それが第一印象。
「男…?」
「うん。可愛い。なんか小動物みたいでちょこちょこ動いてんの可愛くね?」
「…ふーん……好きなの?」
「好き…かも?」
曖昧な返事だったが自分からの好意ってところが重要。
今までの女に比べたらマシかと思った。
あれなら変な気も起こすことはないだろう…。その前に付き合えるかは別として。
「告白しないの?」
「…告白?」
「そう。告白。誰かに取られるかもよ?」
「…。断られたらどーしよう?」
「それはお前次第だろ?好きになって貰えるように頑張るだけだろ?」
「…!!」
恋愛初心者の青衣にとって一世一代の告白にOKを貰ってきたのはその後すぐだった。
思ってたより早かったな…。相手も好きだったか?
「お願いしたらOK貰えた。照れた顔可愛すぎてその場で襲うとこだった」
「お前…今までの女と一緒にしたら駄目だぞ。あの子は純粋そうだからな…手順を踏んで同意を得てからにしなさい」
「…可愛すぎて手を出しちゃいそうなんだけどとうしたらいい?」
「俺も一緒に居るから我慢しろ。それと俺に紹介しなさい」
「青空に手ぇ出したら容赦しねぇよ?」
「わかってるよ…」
今までにない執着心を見せた青衣に少し怖さを見た気がする。
「夏目青空ですっ!よろしくお願いします」
女共と違って媚びる感じもなくその時点で好印象。
同じクラスなのに初めて喋った青空くんは聞き上手なのか、俺達と話してても会話が途切れることなくとても楽しかった。
話合わなそうとか思っててごめんねと心の中で思ったのは内緒。
青衣が強引にお付き合いOKさせたのかなとか思ってたけど青空くんも青衣の事が大好きって感じが伝わってきて中々似合いな二人だなと思った。
良かった。こんないい子が相手で。
青衣はすぐくっつきたがるが青空くんの方は緊張するのかまだ少しだけ距離を取るのが見てて可愛い。初心者同士の初々しい様が微笑ましい。
案の定慣れるまでお預けをくらったらしい青衣はここ数日悶々としている。
「青空の上目遣いマジ可愛すぎてそのままちゅーしたら変な声出しちゃってポカポカ腕叩いてくるのマジかわなんだがどうしたらいい?」
「お預け食らってんのにちゅーはダメだろ」
「ちゅーはよくない?慣れてもらわないと困る」
「スキンシップに慣れてないのに急にハードル上げてどうすんだよ」
お預けを食らってる分惚気が凄まじかった。
青衣はこんなにも沢山の感情を表に出すことがなかったから青空くんにはマジ感謝しかない。
「というかさぁ…この視線どうにかならん?」
「俺達が一緒にいるとこうなるのは今までと変わらんでしょ?そんなイライラしてもどうにもできないよ」
「…青空からの視線だけでいい…青空の視線だったらいくらでも浴びていいんだけど…」
この俺達に対する好き好きビームが青衣と青空くんが付き合ったとわかった瞬間どう変わるのか…話からないほど馬鹿じゃない。だから人前ではなるべく友人感を見せるように青衣には言い聞かせたがそろそろ限界きてそう…。
そんな感じでお互い愛を育んでいる間にいつのまにか青空くんの近くに倉橋という男が側にいるようになったのはいつからか…。
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