彼氏の優先順位[本編完結]

セイ

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茜の出会い編

2.幼馴染との距離②

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「……あの倉橋何なの?何で青空にくっついてんだあのヤロー…俺はあまり一緒に居られてないのにさぁー…」

…こんな怒りを顕にする青衣も珍しい…。
情緒が育まれてていい傾向だな…。

「別に気にしなくても青空くんはお前が好きなのわかってんだからいいんじゃね?」

「それでもヤダ。ムカつく」

窓の外を見ると件の二人が一緒に歩いてるのを見かけた。

横にいる青衣に気づいた青空くんは控えめだけどひらひらと手を振る。

それにニコニコとしながら手を振り返す青衣はそれだけで機嫌が良くなった。

「現金な奴…」

「青空かぁーわいい…」

幸せそうな青衣も可愛い。
弟のように見てきた青衣が幸せそうなのが俺も嬉しい。

俺にもいつかそんな恋愛がしてみたいとちょっと羨ましく思ったのは初めてかも…。

俺も今までに幸せな恋愛をしたことはない。
周りの女が面倒な奴が多かったのもある。

いい出会いってのはそうそうない。
そんな出会いを間近で見たから余計に羨ましくなるのだと思う。

「さて、青空くん戻ってきたら帰るか…」
「…おぅ…」

戻ってきた倉橋にすかさず睨見つける青衣にポンポン頭を叩く。
倉橋も睨みつけてくるが青空くんに「じゃあな」と一言だけ挨拶して帰っていった。

「帰ろ青空…」

嫉妬が収まらない青衣は青空くんの手をギュッと握って甘えてる。そんな甘えたな青衣に青空くんは嬉しそうにして手を繋ぐ。

…相思相愛じゃねぇか。俺居るの忘れてね?

「青衣くんも茜くんも待たせてごめんね?帰ろっか…」

いつもの帰り道。俺は二人の少し前を歩く。二人は仲良く手を繋いで少し後ろを歩く。これが俺たちの形。
青空くんのマンションの方が早く着いてしまうため二人とも離れがたいらしく、キスして離れる。俺はそれを見てないフリをして大人しく待ってる。

「じゃあまた明日…」

そう言って手を降りマンションへ入って行く青空くんを切なそうに見送る青衣。
もっと一緒に居たいんだろうな…。

「夕飯誘えばいいじゃん?そのままお泊りとかさ、できるじゃん?」
「茜…ナイスアイデア!!」

だが…青空くんは頑なに夕飯の誘いを断り続けている。
俺の家に招待しても…だ。
青衣と二人きりが慣れないからだとしても俺が一緒とわかっていても断られる。
青空くんは俺と青衣が一緒の時は何故か遠慮がちなのが不思議だった。だからもっと三人仲良くなれるかなぁーって思ってのお誘いだったんだけど…。こうも断られ続けるとちょっと凹む…。何か嫌な事あったかな?

俺よりも断られている事に凹んでいる青衣。

「…なんでかなぁ…俺と居るの嫌なのかな?」
「それはないだろ?」
「「んー??」」

そんな悩みを抱えながら更に大事件が起こってしまった。

「茜…俺振られるかも…」
「は?何があった?昨日の今日で何で急にそんな話になんだよ。」

今日は青衣の家でデートだったはず。
楽しく過ごしているだろうと思ってたのに…。

「…青空泣かせた……。倉橋と一緒に居た…」
「何で倉橋が出てくんだよ。お前青空と家に居たんじゃねぇの?」

さっきまであった事を聞いた。

「……俺のせいか?デートの邪魔しちゃったようなもんだよな…。毎回夕飯食べに来てって誘ってたのも迷惑だったんかなぁ……?」

これ完全に俺のせいか?
二人のデートを邪魔しちゃったのは悪かったけど…俺の誘いに過剰に反応するのは何故だ?
んー…わからん…。

「わかんね……一度ちゃんと青空と話さなきゃ何もわからねぇ……倉橋と一緒に居たことも含めて」

青空くんにとって倉橋は気軽に泣ける程信頼が厚いらしい…。
その事実に青衣は打ちのめされてるようだ…。

初めての恋は楽しさに加え苦しさというものがある事を俺達はようやく知ったというところか…。

「今まで適当に人と付き合ってたんだからちゃんと今回は青空くんと向き合ってこいよ。本気で好きになった相手なんだろ?」
「わかってる」

次の日の朝は一人で先に登校した。
俺は居たらダメな気がする…。

久々に一人で登校するとやることなくて、教室に居るのも面倒で図書室で一人寝てた。

図書室は静かでいい。窓際でポカポカと暖かい日が当たるこの場所いいな。気持ちがいい…。

そんな気持ちよく微睡んでいると近くに人の気配を感じて思わずガバッと起きた。

「あ…あのもうすぐ授業始まりますけど…」

顔を上げて目の前にいたのは雰囲気が青空くんによく似た男の子。
大きな二重のアーモンドアイで少し青っぽい吸い込まれそうな不思議な色をしていた。風で靡く綺麗なハニーブラウンの髪がキラキラと光って眩しかった。

そんな少し派手な色合いをしてるのに青空くんのような大人しい雰囲気を醸し出しているのは動きが似ているからか…。

控えめに声をかけて来るあたり人と話すのが苦手っぽい。

「一瞬天使かと思ったー。羽つけてたら絶対天使!!」
「ふふっ…何ですがそれ…天使なんてそんな綺麗なものに例えられるのは初めてです」

なんて馬鹿みたいな感想を笑って聞いてくれる。

可愛い。触れたい。もっと近づきたい。
これが一目惚れってやつなのかな…?

彼の手を取って引っ張って顔を近づけるとびっくりした彼の顔をじっと見つめる。

「…俺宮嶋茜。君の名前とクラスと連絡先知りたいな…」
「…えっ…ふえぇぇ~!?な…何でですかっ!?」
「え…知りたいから?ダメ?」

あざと可愛く見えるように首を傾げて微笑んでみた。
欲しいもの手に入れる為なら自分の顔も使っていくよ?

「い…1-Bの南玲央です…」
「玲央くん図書委員なの?」
「はい」
「いつ居るの?」
「え…月水金の朝…です」
「そっか、じゃあまた来るね!」

そう宣言してから教室に戻った。
俺も頑張ろ~♪

「…え…えぇ~…」
と玲央くんが戸惑っているのを知らずに自分に気合を入れた。









やっと茜のお相手出てきました。密かに出会った天使くんです。青空たちと絡むのはあと少し先…かな?

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