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倉橋×浅井編
1.思わぬ距離
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俺はよく絡まれる。
主に不良に。
見た目がそうさせるらしい。
理不尽だ…。
金髪の髪は美容師の兄貴に練習台としてカラーされただけ。
まさかこんな俺の意に反した派手な色にされるとは思わずOKした自分を恨んだ。
高身長と目つきの悪さは父親譲り。
周りの同級生よりも大人しくしてたハズなのに…この見た目だけで入学早々呼び出しされるとは思わなかった。
マジで俺の高校生活終わった…。
呼び出しされても何もせず何も話さずいるのもイラッとさせていたらしく。殴りかかって来る奴もいて、怪我すんのもなぁ…と軽く躱しているだけで手も出してないのに今度はその場を目撃した奴らに俺は喧嘩大好きな不良のレッテルを貼られたようだった。
解せぬ…。
そんな事が毎日あれば俺もやさぐれる。
いつも不機嫌な顔して歩いてれば自然と誰も近づいて来なくなった。
いつもの呼び出しに無言で着いて行くといつもよりも人数が多くて面倒くさい…と思っていた時にたまたま通りかかった人に助けてもらった。
それが生徒会長の浅井優だった。
校舎の窓枠に肘をつきながら俺達の様子を伺っていたようだ。
「…そこの君たちぃ~何してるのかな?」
「げ…生徒会長…!!俺達は何も…」
「…一人を取り囲んで何をしているのか聞いてるんだけど?」
「お…俺達は生意気なコイツにここの決まりを…」
「成績底辺な君が誰に何を教えるって?そこの子は入試次席の成績優秀者で君たちのような不良じゃないんだよ?そんな子捕まえて何してるの?ん?」
…この人煽り過ぎじゃね?
…これ後から余計にこっちに飛火するやつじゃね?
「僕が優しく言ってる間にさっさと解散しなよ?」
「クソが!!覚えてろよ!!」
ありきたりな台詞を吐いて消える奴らにうんざりした。
この生徒会長?全然強そうには見えないけど何か弱みでも握ってんのか?あのうるせぇ奴らがあっさり引いたぞ…?
取り敢えず関わりたくなかったからひっそり静かに帰ろうとしたら声を掛けられてしまった…。
「そこの君はお礼が言えない馬鹿なの?僕が助けてあげたんだよ?」
「…すんません。助けて頂きありがとうございました」
ペコリと頭を下げてお礼を言った。面倒だし。
「……何か不服そうだね?」
「いえ…そんな事ないっス」
「あっそ…」
「…もう帰っていいっスか?」
「だーめ。ちょっとこっち来て」
手招きされ大人しく従う。この人は逆らっちゃいけないと本能が叫ぶ。
この目つきの悪さで視線合わせる奴ほぼ皆無だがこいつは視線を逸らさない。なんなら俺が目を逸らしたい気にさせる。
会長がいる窓際まで来ると顎をつかまれキスされた。
「!?…な…にしやがる!!」
急なキスにさすがに俺も焦る。
「あっはっはっ!!可愛いねぇー…。初めてだった?ごめんね?」
「ぜってぇ悪いと思ってねぇだろ…」
確かに初めてだったけども。
会って数分の奴にされるとは思わなかった…。
「君さ…僕の彼氏にならない?」
「…は…?」
「いやぁなんかこの頃告白される事多くてさぁ…面倒なんだよね。断っても相手いないならお試しでとかって断ってる奴にお試しも何もねえってのにさぁ。更には襲って来る奴もいるし。君が側にいたらそれだけで護衛にもなるしさ。どう?タダで付き合わせるつもりはないよ?僕の身体好きにする権限とかどう?」
「…ねぇな。そもそもてめぇの身体に興味ねぇし何のメリットもねぇ」
「えぇー!僕凄くいい身体してるって評判なんだよ?断られるのちょーショックなんだけど!!」
「じゃあそのお前を気に入ってる奴に頼めよ。関係あるならそっちのが面倒なくていいだろ」
何とも面倒くさい男に捕まった気がする…。
不良共の方が可愛いとさえ思う。
「んー…なら1ヶ月昼飯奢りでどう?」
何でこんなに俺に拘るんだろうか…。見た目強そうでも喧嘩したことねぇから何も出来ないと思うけど…。
「さっきよりはマシな提案だな」
暇つぶしになるからいいか?どうせ一人だし。タダ飯食えるし。
「じゃあ…!」
「期限は?」
「え…?あ…期限は誰も告白してこなくなるまで!」
「…それ絶対長くならね?曖昧すぎじゃん…」
「しょうがないじゃん!!付き合ってよ!」
「それよりも昼飯。毎日奢りでソッチのほうが心配なんだが?俺そこそこ食うぜ?」
「金の心配はいらない!株でそこそこ稼いでるので!」
「ふーん…じゃあ付き合ってやるよ。暇だし。そういう事で帰ってもいい?」
「あ!ちょっと待って待って!!連絡先!君の連絡先教えて!!」
「……。…ん…これ俺の連絡先」
「あ…ありがと…急に素直じゃん?」
「それこっちの台詞。何急にしおらしくなってんの?俺が彼氏で嬉しいの?」
「そんなんじゃないもん!」
付き合う話が纏ったとこで俺は帰ろうとすると、さっきまでの偉そうな態度から一変、顔を赤くしながら連絡先を聞いてくる姿が必死過ぎて可愛いなと思ってしまった。
「じゃ、俺帰る。」
「明日からよろしく!!」
「…何かあったら連絡しろ」
「……ありがと」
そんなこんなで俺は生徒会長とお付き合いする事になった。
主に不良に。
見た目がそうさせるらしい。
理不尽だ…。
金髪の髪は美容師の兄貴に練習台としてカラーされただけ。
まさかこんな俺の意に反した派手な色にされるとは思わずOKした自分を恨んだ。
高身長と目つきの悪さは父親譲り。
周りの同級生よりも大人しくしてたハズなのに…この見た目だけで入学早々呼び出しされるとは思わなかった。
マジで俺の高校生活終わった…。
呼び出しされても何もせず何も話さずいるのもイラッとさせていたらしく。殴りかかって来る奴もいて、怪我すんのもなぁ…と軽く躱しているだけで手も出してないのに今度はその場を目撃した奴らに俺は喧嘩大好きな不良のレッテルを貼られたようだった。
解せぬ…。
そんな事が毎日あれば俺もやさぐれる。
いつも不機嫌な顔して歩いてれば自然と誰も近づいて来なくなった。
いつもの呼び出しに無言で着いて行くといつもよりも人数が多くて面倒くさい…と思っていた時にたまたま通りかかった人に助けてもらった。
それが生徒会長の浅井優だった。
校舎の窓枠に肘をつきながら俺達の様子を伺っていたようだ。
「…そこの君たちぃ~何してるのかな?」
「げ…生徒会長…!!俺達は何も…」
「…一人を取り囲んで何をしているのか聞いてるんだけど?」
「お…俺達は生意気なコイツにここの決まりを…」
「成績底辺な君が誰に何を教えるって?そこの子は入試次席の成績優秀者で君たちのような不良じゃないんだよ?そんな子捕まえて何してるの?ん?」
…この人煽り過ぎじゃね?
…これ後から余計にこっちに飛火するやつじゃね?
「僕が優しく言ってる間にさっさと解散しなよ?」
「クソが!!覚えてろよ!!」
ありきたりな台詞を吐いて消える奴らにうんざりした。
この生徒会長?全然強そうには見えないけど何か弱みでも握ってんのか?あのうるせぇ奴らがあっさり引いたぞ…?
取り敢えず関わりたくなかったからひっそり静かに帰ろうとしたら声を掛けられてしまった…。
「そこの君はお礼が言えない馬鹿なの?僕が助けてあげたんだよ?」
「…すんません。助けて頂きありがとうございました」
ペコリと頭を下げてお礼を言った。面倒だし。
「……何か不服そうだね?」
「いえ…そんな事ないっス」
「あっそ…」
「…もう帰っていいっスか?」
「だーめ。ちょっとこっち来て」
手招きされ大人しく従う。この人は逆らっちゃいけないと本能が叫ぶ。
この目つきの悪さで視線合わせる奴ほぼ皆無だがこいつは視線を逸らさない。なんなら俺が目を逸らしたい気にさせる。
会長がいる窓際まで来ると顎をつかまれキスされた。
「!?…な…にしやがる!!」
急なキスにさすがに俺も焦る。
「あっはっはっ!!可愛いねぇー…。初めてだった?ごめんね?」
「ぜってぇ悪いと思ってねぇだろ…」
確かに初めてだったけども。
会って数分の奴にされるとは思わなかった…。
「君さ…僕の彼氏にならない?」
「…は…?」
「いやぁなんかこの頃告白される事多くてさぁ…面倒なんだよね。断っても相手いないならお試しでとかって断ってる奴にお試しも何もねえってのにさぁ。更には襲って来る奴もいるし。君が側にいたらそれだけで護衛にもなるしさ。どう?タダで付き合わせるつもりはないよ?僕の身体好きにする権限とかどう?」
「…ねぇな。そもそもてめぇの身体に興味ねぇし何のメリットもねぇ」
「えぇー!僕凄くいい身体してるって評判なんだよ?断られるのちょーショックなんだけど!!」
「じゃあそのお前を気に入ってる奴に頼めよ。関係あるならそっちのが面倒なくていいだろ」
何とも面倒くさい男に捕まった気がする…。
不良共の方が可愛いとさえ思う。
「んー…なら1ヶ月昼飯奢りでどう?」
何でこんなに俺に拘るんだろうか…。見た目強そうでも喧嘩したことねぇから何も出来ないと思うけど…。
「さっきよりはマシな提案だな」
暇つぶしになるからいいか?どうせ一人だし。タダ飯食えるし。
「じゃあ…!」
「期限は?」
「え…?あ…期限は誰も告白してこなくなるまで!」
「…それ絶対長くならね?曖昧すぎじゃん…」
「しょうがないじゃん!!付き合ってよ!」
「それよりも昼飯。毎日奢りでソッチのほうが心配なんだが?俺そこそこ食うぜ?」
「金の心配はいらない!株でそこそこ稼いでるので!」
「ふーん…じゃあ付き合ってやるよ。暇だし。そういう事で帰ってもいい?」
「あ!ちょっと待って待って!!連絡先!君の連絡先教えて!!」
「……。…ん…これ俺の連絡先」
「あ…ありがと…急に素直じゃん?」
「それこっちの台詞。何急にしおらしくなってんの?俺が彼氏で嬉しいの?」
「そんなんじゃないもん!」
付き合う話が纏ったとこで俺は帰ろうとすると、さっきまでの偉そうな態度から一変、顔を赤くしながら連絡先を聞いてくる姿が必死過ぎて可愛いなと思ってしまった。
「じゃ、俺帰る。」
「明日からよろしく!!」
「…何かあったら連絡しろ」
「……ありがと」
そんなこんなで俺は生徒会長とお付き合いする事になった。
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