異世界無宿

ゆきねる

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第二十五章 オブリビアダンジョン

第四百六十二話 まるで地獄絵図

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敵の反応が無くなったモニターの表示が切り替わり、ミサイル攻撃可能状態が解除される。

「マスタング、発射したのは小型ミサイルだよな?12発で1000人規模の敵を壊滅ってのは、実際どうなんだ」

あまりに現実感の無い数字に思えたので、思わず確認をしてしまった。

「発射したミサイル自体は小型ですが、威力と効果範囲は魔力にて強化済みです。敵の密集した地点を重点的に狙いましたので、例え運良く生き残ったとしても内臓破裂や窒息死で無力化が完了します」

「えげつないな」

「少し間をおいてから調査に向かいましょう」

「何か手掛かりが残っていれば良いが」


念の為に時間を置く事およそ1時間。
イズミはゆっくりとマスタングを走らせ、敵拠点だった場所へと向かう。
火はほとんど消えており、パッと見るだけでは問題無いように思えたが、少し窓を下げた瞬間に強烈な異臭がイズミの鼻腔に突き刺さった。

「…トラウマになりそうだ。ベリアは大丈夫か?」

「あのドリンクのお陰で何とか。もし飲んで無かったら、臭いを嗅いだ瞬間に吐いて気絶してたかも」

「出直すか?」

早くも気が滅入ってきたイズミだったが、マスタングがドリンクを出してくれたので一気に飲んだ。
これである程度は耐えられる筈だ。

ヘッドライトをハイビームに切り替え、徐行で敵拠点へ侵入する。
聞こえるのはマスタングのV8エンジンの音と走行音、そして通り抜ける風の音くらいである。

「…静かだな」

「何処もかしこも燃えカスだ」

2人は少しだけ窓を下げてから探索用ライトを構え、車外を照らして周囲の状況を確認してゆく。

「惨いな」

イズミがライトで照らした先には、燃え尽きた敵の死体が複数倒れていた。
装備は一部溶けたのか歪な形になっており、ミサイル攻撃の凄まじい威力に改めて衝撃を受ける。

「こりゃ地獄絵図と言われても肯けるな」

「マスター、この威力は上位種のレッドドラゴンの魔法攻撃と同程度です」

「そんな怪物が敵として現れたら、一目散に逃げるとしよう…いや、先ずはドラゴン側の話を聞くべきか?」

「上位種であれば言語による意思疎通は可能かと」

本筋とは離れた会話をしつつも、油断せずに調査を行う。
マスタングから降りた2人は、若干気分が悪くなりつつもテントだっただろう拠点内の探索を行う。

「マスタング、念の為に索敵を頼む」

「かしこまりました…敵の反応はありません」

「分かった」

ほとんど燃えてしまった状態であり、何か物色するにも原形の無い物がチラホラとある。
燃料気化爆弾の高温と炎で、文字通り燃え尽きたのだろう。

あまり期待はせずにテントの外に出ると、広場のように開けている場所をライトが照らし出す。
そこには大量の焼失死体が転がっていた。

「奇襲攻撃をして来た奴の報告を聞いて、進軍を時期を早めたんだろうな…見ろよイズミ、これは帝国兵士の甲冑だ」

地面に転がっていた完全装備の甲冑を着ている死体は、見た目こそ酷くは無いが何かに手を伸ばすような姿勢のまま硬直していた。

調査の為に甲冑を外してみると身体は焼けただれてはいなかったので、恐らく窒息死か内臓が強く圧迫されて破裂でもしたのだろう。

「コイツもか」

この死体も見てくれは異質だった。
人間と犬とゴブリンかオークの継ぎ接ぎでもしたかのような、ホラー映画にでも出て来そうな絵面である。

「イズミ!コッチに来てくれ」

「何かあったのか?」

「無事な代物があったぞ」

ベリアの声がする方へ向かうと、表面は高温で僅かに溶解した跡のある金属の箱が置かれていた。
大きさは縦が約1m横が約2m、奥行約1mの頑丈そうな箱だった。

「金属だから大丈夫だったのか」

「中身が無事かは分からないけど、触りたくない」

風魔法で箱の周囲にある燃えカスを退かすと、イズミがメガネを使いマスタングにスキャンを頼んだ。

「魔法鍵で施錠されています。破壊可能ですので解除用の弾を実体化します。跳弾は発生しない弾ですので、至近距離で発砲して下さい」

一度マスタングに戻り魔法解除用の弾…ショットシェル2発…を手に取ると、ソードオフショットガンに込める。

箱まで戻ると真ん中を狙って至近距離で2発撃ち込むと、パキン!と音がして魔法鍵自体を破壊する事が出来た。
罠が仕掛けられていると厄介なので、少しだけ箱を開けてライトで照らしながら、細い紐とかで何かと繋がっていないかなど目視で確かめる。

大丈夫そうなので蓋を開けると、中には3種類の瓶が入っていた。

1つは緑色で細長い小瓶で、中身は液体のようである。
残りの2つは透明な瓶で、中には紫と黒の錠剤がミッチリと収まっている。

「…これは回収して、詳しい人に調べてもらう必要があるな」

ベリアは瓶に触るのすら嫌なようなので、イズミは銀貨をまとめていた布袋を手袋代わりにして瓶を掴むと、ショルダーバッグへ収納してゆく。

「まさか無事な代物があるとはな」

箱に入っていた瓶を全て回収したイズミ達はマスタングの元へ向かうと、ベリアが少し離れた所から聞き慣れない音がする事に気が付いた。

「…イズミ、近くに何か居るみたいだ」

声を潜めたベリアは音も無く異音のする方へ足を進める。

バキン…ガチャン…グシャ…

そんな音がする場所をライトで照らすと、一匹の狼のような動物の姿があった。
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