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第二十五章 オブリビアダンジョン
第四百九十四話 やはり呼び出されました
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アーリアの鑑定が終わった所で、マスタングが修復をした腕時計をアーリアに手渡した。
「これは試作品として渡してる腕時計に、時間計測と速度計測の機能を機械的に追加した物だ」
「時間計測って言うけど、試作品のと一緒じゃないの?」
「この腕時計は右上のボタンを押す事で、任意の時間から時間の計測を開始及び停止が出来るんだ。それも通常の腕時計の用途を害さずにな」
クロノグラフの使用方法を説明する前に、手巻き式の儀式でもある巻き上げから教えていると、アーリアから質問が飛んでくる。
「試作品とコレでは動作方式に違いがあるようだけど、利点と欠点は何なのかしら?」
「構造の複雑さ、部品数の増加、重量やサイズのバランス、メンテナンス性、色々だ」
20回程巻いて動作確認をしてから、クロノグラフ機能を使ってみる。
右上のボタンを押すと、長い秒針がカチカチと文字盤上で順調に流れてゆく。
「例えば…ある冒険者が町の端から反対側の端まで移動するとして。移動開始時にボタンを押して計測を始めて、到着したらもう一度ボタンを押して停止させる。すると文字盤上のココとココ、そして長いこの針を見れば、どの位の時間がかかったのかが分かるって感じだ」
「普通の時間も確認出来つつ、別の時間計測も可能にした精密機械なのね」
「そうだ」
クロノグラフ機能のスタート、ストップ及びリセット方法をレクチャーし終えると、イズミ達は個室を後にしてマスタングの元へ歩いてゆく。
「ベリアさん!!」
冒険者ギルドの建物を出ようとした時、受付嬢がベリアを呼び止めた。
「どうしたんだ?」
「先程ギルド本部から正式な通知が来まして、ベリアさんのSランク昇格が決定しました。詳しい話は奥で」
受付嬢の案内でベリアはギルドへと戻って行ったので、イズミはアーリアとマスタングまで移動をした。
「この腕時計は、何かと便利そうね」
「使い方は色々出来るな。実験の時間経過とかも確認しやすいし」
「でも修復したオリジナルのコレには、効果付与はしなかったのね」
「知り合いのお祖父さんの形見だろ?変に弄る気はしないな」
イズミがそう言ってアーリアの為にラムネの実体化を頼むと、マスタングがトランクを開ける。
そこにはラムネの瓶と一緒に、何故かスピードマスターが1本置かれていた。
「マスター。アーリア様の為に複製品をご用意しました」
「そこまでするのか」
「付与効果は自動修復のみです」
「それでもなぁ」
「口止め料として、渡しておきましょう」
マスタングとしてはダンジョンで入手したアイテムの話が、アーリアを通じて外部に漏れる可能性を心配しているようだ。
そんな事をする人ではないと思っているが、今後アイテムを売りに出す事になった際に色々と言われる可能性もあるので、保険程度にと言う認識なのだろう。
「アーリア、ラムネだ」
「ありがと。此方でも作れないかと色々試してはいるけど、納得のいく出来にはならないのよ。甘さと炭酸のバランス調整が難しくて」
「それと、コレはアーリア用だ」
「イズミ。そんな気軽にこの腕時計を渡すのは感心しないわね、この世界においての価値は凄まじいものよ?」
「今日鑑定してもらったアイテムに関する口止め料」
アーリアは渡した腕時計の価値を伝えようとしたが、口止め料と聞いて暫く黙り込んだ。
「流石にずっとは黙っていられないわよ?魔術師協会だって裏取りはするし、下手な隠蔽は今後の活動にも影響が出るし」
「なら、アイテムが正式に売りに出る時まで、アーリアから自発的に口外はしないでどうだ?無論各ギルドや王族や貴族から鑑定依頼が来たりしたら、その時に改めて鑑定するって感じで良い。今回は見てもらったが金品の支払いは発生してないし、今日の話しはオフレコ…つまり俺達3人だけの身内話って事で」
自分からは発言しない、アイテムがオークション等に出品される段階でアーリアに確認が来たら答える。
この位なら大丈夫だろう。
「先んじて動くのは駄目って事ね…分かったわ、そう言う事なら」
腕時計を受け取ったアーリアは、早速竜頭を巻いて動作確認をする。
「…うん、大丈夫そうね。コレも使ってみて何かあったら報告するわね」
「よろしく頼みます」
腕時計とラムネを持ったアーリアが転移魔法で消え去ると、マスタングから報告があった。
「マスター。ナビゲーターの再実体化には時間が掛かりますので、暫くは此方をお使い下さい」
「…用意周到だな」
マスタングが実体化していたのは、オメガのスピードマスターだった。
「この個体には追加で魔法返しと呪い返しが付与されております」
「ナビゲーターは時間がかかるのと、スピードマスターが直ぐに実体化出来ている違いは何だ?」
「ナビゲーターはこの世界にオリジナルが存在しません。対してスピードマスターはオリジナルの解析が出来ておりますので、1分もあれば実体化が出来ます」
「あのプラスチックな腕時計は?」
「実体化には半日必要ですが、破損した個体があれば直ぐにでも修復して渡せます」
物があれば壊れても直ぐに対応出来るが、ナビゲーターのように爆破に使ったりしてしまうと、完全新規作成扱いになって時間が必要なのかもしれない。
何にせよ、オリジナルが存在する意義は大きい。
竜頭を巻いて左手に着けると、丁度ベリアがギルドの建物から出て来た所だった。
「ベリア、どうだった?」
「沢山の手続きがあるから、一度ヒュミトールの冒険者ギルド本部まで来て欲しいって」
「簡単に言うねぇ」
ベリアのSランク冒険者登録手続きを円滑に行うべく、オブリビアに居るオルドリン達宛のメッセージの伝達をギルドに頼むと、イズミ達は翌日にはヒュミトールへと走り出す事になるのであった。
「これは試作品として渡してる腕時計に、時間計測と速度計測の機能を機械的に追加した物だ」
「時間計測って言うけど、試作品のと一緒じゃないの?」
「この腕時計は右上のボタンを押す事で、任意の時間から時間の計測を開始及び停止が出来るんだ。それも通常の腕時計の用途を害さずにな」
クロノグラフの使用方法を説明する前に、手巻き式の儀式でもある巻き上げから教えていると、アーリアから質問が飛んでくる。
「試作品とコレでは動作方式に違いがあるようだけど、利点と欠点は何なのかしら?」
「構造の複雑さ、部品数の増加、重量やサイズのバランス、メンテナンス性、色々だ」
20回程巻いて動作確認をしてから、クロノグラフ機能を使ってみる。
右上のボタンを押すと、長い秒針がカチカチと文字盤上で順調に流れてゆく。
「例えば…ある冒険者が町の端から反対側の端まで移動するとして。移動開始時にボタンを押して計測を始めて、到着したらもう一度ボタンを押して停止させる。すると文字盤上のココとココ、そして長いこの針を見れば、どの位の時間がかかったのかが分かるって感じだ」
「普通の時間も確認出来つつ、別の時間計測も可能にした精密機械なのね」
「そうだ」
クロノグラフ機能のスタート、ストップ及びリセット方法をレクチャーし終えると、イズミ達は個室を後にしてマスタングの元へ歩いてゆく。
「ベリアさん!!」
冒険者ギルドの建物を出ようとした時、受付嬢がベリアを呼び止めた。
「どうしたんだ?」
「先程ギルド本部から正式な通知が来まして、ベリアさんのSランク昇格が決定しました。詳しい話は奥で」
受付嬢の案内でベリアはギルドへと戻って行ったので、イズミはアーリアとマスタングまで移動をした。
「この腕時計は、何かと便利そうね」
「使い方は色々出来るな。実験の時間経過とかも確認しやすいし」
「でも修復したオリジナルのコレには、効果付与はしなかったのね」
「知り合いのお祖父さんの形見だろ?変に弄る気はしないな」
イズミがそう言ってアーリアの為にラムネの実体化を頼むと、マスタングがトランクを開ける。
そこにはラムネの瓶と一緒に、何故かスピードマスターが1本置かれていた。
「マスター。アーリア様の為に複製品をご用意しました」
「そこまでするのか」
「付与効果は自動修復のみです」
「それでもなぁ」
「口止め料として、渡しておきましょう」
マスタングとしてはダンジョンで入手したアイテムの話が、アーリアを通じて外部に漏れる可能性を心配しているようだ。
そんな事をする人ではないと思っているが、今後アイテムを売りに出す事になった際に色々と言われる可能性もあるので、保険程度にと言う認識なのだろう。
「アーリア、ラムネだ」
「ありがと。此方でも作れないかと色々試してはいるけど、納得のいく出来にはならないのよ。甘さと炭酸のバランス調整が難しくて」
「それと、コレはアーリア用だ」
「イズミ。そんな気軽にこの腕時計を渡すのは感心しないわね、この世界においての価値は凄まじいものよ?」
「今日鑑定してもらったアイテムに関する口止め料」
アーリアは渡した腕時計の価値を伝えようとしたが、口止め料と聞いて暫く黙り込んだ。
「流石にずっとは黙っていられないわよ?魔術師協会だって裏取りはするし、下手な隠蔽は今後の活動にも影響が出るし」
「なら、アイテムが正式に売りに出る時まで、アーリアから自発的に口外はしないでどうだ?無論各ギルドや王族や貴族から鑑定依頼が来たりしたら、その時に改めて鑑定するって感じで良い。今回は見てもらったが金品の支払いは発生してないし、今日の話しはオフレコ…つまり俺達3人だけの身内話って事で」
自分からは発言しない、アイテムがオークション等に出品される段階でアーリアに確認が来たら答える。
この位なら大丈夫だろう。
「先んじて動くのは駄目って事ね…分かったわ、そう言う事なら」
腕時計を受け取ったアーリアは、早速竜頭を巻いて動作確認をする。
「…うん、大丈夫そうね。コレも使ってみて何かあったら報告するわね」
「よろしく頼みます」
腕時計とラムネを持ったアーリアが転移魔法で消え去ると、マスタングから報告があった。
「マスター。ナビゲーターの再実体化には時間が掛かりますので、暫くは此方をお使い下さい」
「…用意周到だな」
マスタングが実体化していたのは、オメガのスピードマスターだった。
「この個体には追加で魔法返しと呪い返しが付与されております」
「ナビゲーターは時間がかかるのと、スピードマスターが直ぐに実体化出来ている違いは何だ?」
「ナビゲーターはこの世界にオリジナルが存在しません。対してスピードマスターはオリジナルの解析が出来ておりますので、1分もあれば実体化が出来ます」
「あのプラスチックな腕時計は?」
「実体化には半日必要ですが、破損した個体があれば直ぐにでも修復して渡せます」
物があれば壊れても直ぐに対応出来るが、ナビゲーターのように爆破に使ったりしてしまうと、完全新規作成扱いになって時間が必要なのかもしれない。
何にせよ、オリジナルが存在する意義は大きい。
竜頭を巻いて左手に着けると、丁度ベリアがギルドの建物から出て来た所だった。
「ベリア、どうだった?」
「沢山の手続きがあるから、一度ヒュミトールの冒険者ギルド本部まで来て欲しいって」
「簡単に言うねぇ」
ベリアのSランク冒険者登録手続きを円滑に行うべく、オブリビアに居るオルドリン達宛のメッセージの伝達をギルドに頼むと、イズミ達は翌日にはヒュミトールへと走り出す事になるのであった。
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