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第二十六章 梅雨の季節
第五百十九話 直前の打合せ
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イズミ達は女神様達向けの会食に向けて、会場である光の教会へと足を運び段取り確認をしている。
最初にリーベルト達と合流し部屋を確認していると、今回の会食サポートを頼まれた2人、ロレッタとデュークも姿を見せた。
デュークの隣に立つロレッタの表情が固く見えるが、この場では聞かないでおく。
「ロレッタさん、デュークさん、今回はよろしくお願い致します。会食にお出しするメニューは此方で、お二人には事前に試食をして頂きます…味が分からないと、来賓者に説明が難しいですから」
「イズミ様、よろしくお願いしますね」
ロレッタが少し表情を柔らかくしながら言うと、隣のデュークも軽く頭を下げる。
「イズミ、早速メニューと試食を確認させて欲しい。数が多いと不安なのでね」
「お二人にはまず、食べ物とスープのメニューを覚えて頂きたい。試食には菓子も入っていますが、そちらは覚えられたらで構いません。当日は菓子作りを担当した者も来ますので」
「酒も出すと聞いていましたが」
「それも此方で担当者を用意しました、両名ともラミア族の方ですが。飲み方を工夫してましてね、準備に一手間かかるのですよ」
イズミは蜂蜜を入手してからと言うもの、グラテミアの屋敷にて詰め込みで酒の飲み方をベリアと料理長達と考えていたのだ。
グラテミアも少しだけ参加してくれたが、妊娠中なので自制しているとの事だった。
その結果、簡単なカクテルはラミア族のカクテル担当が、凝ったカクテルはイズミが作る事になった。
凝ったと言ってもラミア族もシェイクは出来るようになっているので、異世界産の酒を使うとかカクテルの指定があった場合の対応がメインである。
流石にギムレットやマティーニ、ブルームーン等のカクテルまでは教えていないのだ、こればかりは自分で作る他無いだろう。
「残念だ、一度飲んでみたかったのだ。ここには居ないがセリーヌから話しを聞いてな」
「メニューと料理を覚える時に飲んでしまったら、忘れてしまうかもしれませんからね…私がそのパターンになりがちなので、会食が終わったら1杯ご馳走しましょう」
「それは是非ともお願いしたい」
大きなテーブルに並んだレシピと試食品を照らし合わせながら、二人は真剣な表情で料理を口に含む。
ロレッタは一通りの料理を食べてから菓子…あれはチーズケーキだ…を頬張ると、身体を小さく揺らしながら味わっていた。
「これは素晴らしい」
デュークは昆布出汁のスープを飲むと、満足気に息を吐いて言葉を漏らした。
「この地方では流通のほとんど無い海産物を使う贅沢さ、尚且つ優しい味わい深さがある。身体に染み入るようだ」
そんな二人から高評価な料理は、不思議な事にじゃがバターだった。
ヒュミトールの市場で売っている採れたての芋をイズミが食堂で見つけたのがきっかけで、蒸し器が無ければマスタングで実体化して蒸してみて、バターが無ければ牛乳と瓶を貰い振りまくり自作し、慣れぬ作業で腕が筋肉痛になりながらも完全したバターを使った料理である。
後日フラウリアから『バターなら言ってくれれば普通に作ってあげたのに』と言われ愕然としたが、それはそれで良い思い出と言う事で片付けたが。
これはアーリアから聞いて納得済みの話しだが、ラミア族は芋の事をジャーガイモと言っていた。
これは元いた世界のジャガイモの事あるいは、それに近い芋の事を言っているようだが、この異世界でもジャガイモと呼ぶのかをアーリアに確認したのである。
「それは多分、翻訳機能の限界かも。イズミの知識に沿った翻訳をするから、品種が違っても翻訳上としては一纏めにジャーガイモになっているのね。この世界のジャーガイモの品種、イズミは知ってる?」
「全く知らないな」
「それが理由ね。勉強すれば翻訳機能も精度が向上するかもしれないわ、頑張って」
「…頑張れ、ねぇ」
そう言われ魔法通信を切られたイズミは、苦笑いを浮かべていたものである。
そんな事を思い出しつつ二人を見ると、ロレッタもデュークもどう作り方が気になっているようだが、今は作り方を教える場では無いのでスルーを決め込む。
「ジャーガイモにこのような食べ方があったとは」
「柔らかな食感にする方法が分かりませんね。コレが美味しさの秘訣な気がします」
最初に見た時は関係性が悪そうに思えたが、今の様子を見るにそんな事は無いようである。
「今日の所は此処まで、明日も試食をして再確認をします。当日はよろしくお願いしますね」
打合せを終えたイズミ達が光の教会から去ると同時に、見送ったロレッタとデュークの二人はリーベルトの元へ向かい今日の打合せ内容を報告する。
この報告自体はイズミから許諾を得ているので問題は無い。
秘密にすべきは『当日、会食の場で何が起こったのか』これである。
「ふむ…デュークすら知らない料理の数々ですか」
「はい。私は出自から様々な料理を口に出来る身分ではありましたが、過去に食した事の無い料理の方が多いですね。ロレッタ嬢は?」
「私も初めての料理ばかりでした。特にチーズケーキなる菓子はとても美味で、販売されれば貴族がこぞって買いに動くかと」
ロレッタの発言を聞いたデュークは力強く頷く。
「私も食しましたが、あの出来は王家にも愛される菓子の出来を超えている物もありました。他の料理の出来もそうですが、あれ程の菓子を提供する会食…考えるだけで身震いします」
「そう身構えるな。引き続き役割を全うしてくれ」
リーベルトとの話しを終えた二人は、各々の自室へ戻り明日の確認作業に備える。
デュークは羊皮紙に試食した料理の考察をしながら、調理過程を解き明かそうと躍起になっていた。
ロレッタは毎日の祈りを捧げてから、光の女神様の眷属から教わった聖魔法の練習を始める。
そうして1日が過ぎてゆく。
最初にリーベルト達と合流し部屋を確認していると、今回の会食サポートを頼まれた2人、ロレッタとデュークも姿を見せた。
デュークの隣に立つロレッタの表情が固く見えるが、この場では聞かないでおく。
「ロレッタさん、デュークさん、今回はよろしくお願い致します。会食にお出しするメニューは此方で、お二人には事前に試食をして頂きます…味が分からないと、来賓者に説明が難しいですから」
「イズミ様、よろしくお願いしますね」
ロレッタが少し表情を柔らかくしながら言うと、隣のデュークも軽く頭を下げる。
「イズミ、早速メニューと試食を確認させて欲しい。数が多いと不安なのでね」
「お二人にはまず、食べ物とスープのメニューを覚えて頂きたい。試食には菓子も入っていますが、そちらは覚えられたらで構いません。当日は菓子作りを担当した者も来ますので」
「酒も出すと聞いていましたが」
「それも此方で担当者を用意しました、両名ともラミア族の方ですが。飲み方を工夫してましてね、準備に一手間かかるのですよ」
イズミは蜂蜜を入手してからと言うもの、グラテミアの屋敷にて詰め込みで酒の飲み方をベリアと料理長達と考えていたのだ。
グラテミアも少しだけ参加してくれたが、妊娠中なので自制しているとの事だった。
その結果、簡単なカクテルはラミア族のカクテル担当が、凝ったカクテルはイズミが作る事になった。
凝ったと言ってもラミア族もシェイクは出来るようになっているので、異世界産の酒を使うとかカクテルの指定があった場合の対応がメインである。
流石にギムレットやマティーニ、ブルームーン等のカクテルまでは教えていないのだ、こればかりは自分で作る他無いだろう。
「残念だ、一度飲んでみたかったのだ。ここには居ないがセリーヌから話しを聞いてな」
「メニューと料理を覚える時に飲んでしまったら、忘れてしまうかもしれませんからね…私がそのパターンになりがちなので、会食が終わったら1杯ご馳走しましょう」
「それは是非ともお願いしたい」
大きなテーブルに並んだレシピと試食品を照らし合わせながら、二人は真剣な表情で料理を口に含む。
ロレッタは一通りの料理を食べてから菓子…あれはチーズケーキだ…を頬張ると、身体を小さく揺らしながら味わっていた。
「これは素晴らしい」
デュークは昆布出汁のスープを飲むと、満足気に息を吐いて言葉を漏らした。
「この地方では流通のほとんど無い海産物を使う贅沢さ、尚且つ優しい味わい深さがある。身体に染み入るようだ」
そんな二人から高評価な料理は、不思議な事にじゃがバターだった。
ヒュミトールの市場で売っている採れたての芋をイズミが食堂で見つけたのがきっかけで、蒸し器が無ければマスタングで実体化して蒸してみて、バターが無ければ牛乳と瓶を貰い振りまくり自作し、慣れぬ作業で腕が筋肉痛になりながらも完全したバターを使った料理である。
後日フラウリアから『バターなら言ってくれれば普通に作ってあげたのに』と言われ愕然としたが、それはそれで良い思い出と言う事で片付けたが。
これはアーリアから聞いて納得済みの話しだが、ラミア族は芋の事をジャーガイモと言っていた。
これは元いた世界のジャガイモの事あるいは、それに近い芋の事を言っているようだが、この異世界でもジャガイモと呼ぶのかをアーリアに確認したのである。
「それは多分、翻訳機能の限界かも。イズミの知識に沿った翻訳をするから、品種が違っても翻訳上としては一纏めにジャーガイモになっているのね。この世界のジャーガイモの品種、イズミは知ってる?」
「全く知らないな」
「それが理由ね。勉強すれば翻訳機能も精度が向上するかもしれないわ、頑張って」
「…頑張れ、ねぇ」
そう言われ魔法通信を切られたイズミは、苦笑いを浮かべていたものである。
そんな事を思い出しつつ二人を見ると、ロレッタもデュークもどう作り方が気になっているようだが、今は作り方を教える場では無いのでスルーを決め込む。
「ジャーガイモにこのような食べ方があったとは」
「柔らかな食感にする方法が分かりませんね。コレが美味しさの秘訣な気がします」
最初に見た時は関係性が悪そうに思えたが、今の様子を見るにそんな事は無いようである。
「今日の所は此処まで、明日も試食をして再確認をします。当日はよろしくお願いしますね」
打合せを終えたイズミ達が光の教会から去ると同時に、見送ったロレッタとデュークの二人はリーベルトの元へ向かい今日の打合せ内容を報告する。
この報告自体はイズミから許諾を得ているので問題は無い。
秘密にすべきは『当日、会食の場で何が起こったのか』これである。
「ふむ…デュークすら知らない料理の数々ですか」
「はい。私は出自から様々な料理を口に出来る身分ではありましたが、過去に食した事の無い料理の方が多いですね。ロレッタ嬢は?」
「私も初めての料理ばかりでした。特にチーズケーキなる菓子はとても美味で、販売されれば貴族がこぞって買いに動くかと」
ロレッタの発言を聞いたデュークは力強く頷く。
「私も食しましたが、あの出来は王家にも愛される菓子の出来を超えている物もありました。他の料理の出来もそうですが、あれ程の菓子を提供する会食…考えるだけで身震いします」
「そう身構えるな。引き続き役割を全うしてくれ」
リーベルトとの話しを終えた二人は、各々の自室へ戻り明日の確認作業に備える。
デュークは羊皮紙に試食した料理の考察をしながら、調理過程を解き明かそうと躍起になっていた。
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