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第二十七章 サンダーブレード作戦
第五百四十三話 ネーミングセンスは微妙かもしれない
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賃貸まで戻って来たイズミは、家に入るとベリアと一緒に作戦会議を始めた。
厄介な内容だったのでフラウリアにも練習をして情報共有をすると、イズミの足元から白い蛇が姿を現しテーブルの上へと這い上って来た。
「イズミさん、今の話は本当ですか?」
「あの野良猫さんから直接聞きましたので、間違いは無いかと」
「…少々お待ちを。グラテミア叔母様の所へ向かいます」
フラウリアがグラテミアの執務室へ移動している間に、あの野良猫がヒョイとテーブルの上に飛び乗っては丸くなった。
「お待たせしました…精霊様、本当なのですか?」
「うむ、帝国の兵共がやらかしておる。お主らと連携を取っているエルフ族からも、近々連絡が入るだろう」
「ブラックドラゴンの件もでしょうか」
「アヤツの事は厳しいだろうな…アヤツの存在や気配を察知出来る者は殆ど居らぬぞ」
「動くとしたら、いつ頃になるのでしょうか?」
「アヤツが動くとすれば、梅雨が明けて直ぐだろうな。やらかしておる帝国兵を燃やし尽くすのは勿論だが、間近にある国や都市もついでに破壊する可能性は十分にある」
「そんな…」
白蛇からフラウリアの暗い声が聞こえてきた。
「野良猫さん、少し良いですか?」
「なんだ」
「梅雨が明ける前に私が帝国兵を処理出来れば、ブラックドラゴンがひと暴れする事は無いんですね」
「…もう分からんな。恐らくは暴れんだろう」
イズミの質問に答えてはくれたが、ブラックドラゴンがウォーミングアップを始めている事実は変わらず、梅雨明け前迄に帝国兵を倒しても暴れる可能性はゼロにはならないようだ。
「タイムリミット付きの殲滅任務って…痺れるねぇ。グラテミアさん、やはり何方かの援護をお願い出来ませんか?せめてブラックドラゴンが動き出した時の避難誘導とかで」
「イズミさん、当該地域の魔族は既に避難済みです。エルフ族も調査が終わり次第避難する想定でいれば、私達が避難誘導をする必要はありませんわ」
「周辺の国や都市はどうなります」
「先手を打ちたい気持ちも分かりますが、我々ラミア族が先んじて動くと人間族からの反発が予想されますね」
「魔族に対する差別、ですか?」
「それに近いかもしれませんね。『分かっているならラミア族で対応しろ、我々人間に迷惑をかけるな!これだから魔族は…』と言われるのが関の山です」
どうやら魔族に対する風当たりは、かなり良くないらしい。
ウンザリと言った感情なのが聞こえてくる言葉と口調でよく分かった。
「分かりました。此処は私が何とかするしかないようですね」
「イズミ!」
「難しい話はこの際無しだ。ブラックドラゴンが暴れる前に、俺達が派手に暴れるのが最も二次被害が少ないように思える」
「だけどよぉ」
「ベリアにも手伝ってもらいたいが、冒険者ギルドに所属している以上はグレーゾーン…」
「手伝うに決まってるだろ!アタイはイズミの相棒なんだぞ!!」
イズミはベリアの立場を考えて言葉を選んでいたつもりだったが、ベリアに遮られてしまった。
「冒険者が帝国兵への奇襲攻撃に関与していたとなったら、色々と大変だろ」
「何とかアリバイを作る」
「難しいだろ」
ベリアはまだ転移魔法を完全には体得していない、基礎を徹底的に叩き込まれている最中なのだ。
まだ実戦では使いこなせない。
その会話を聞いていたグラテミアが、1つの提案をしてくれた。
「アリバイ作りでしたら、私達もお手を貸しますわ。奇襲当日は終日私の所で転移魔法の特訓する予定にしておいて、我々の転移魔法でベリアさんをマスタング様の元へ運べば解決です」
自分達に偵察の目がある事を逆手に取る考え方だ。
イズミは単身で出かけてゆく姿を見せておき、ベリアはグラテミアの屋敷に入る姿を見せてから建物内で転移させて、グラテミアの屋敷に居るように見せかける。
そんな感じのアリバイ作りである。
「この位のサポートなら出来ますわ。勿論、それなりの対価は頂きますけど」
「そこはお手柔らかにお願いしたいですね」
「ふふ…考えておきますわ」
少しばかり不安ではあるが、このサポートは頼まざるをえないだろう。
「奇襲攻撃をするのであれば、当日は土砂降りの雨を降らせるように掛け合ってやろう」
野良猫の提案を聞いたベリアの尻尾がダラリと下がる。
ベリアの魔法は雨との相性が悪い。
水属性の魔法適性が追加されたは良いものの、此方もまだ練習中なので実戦で使えるレベルかと言えば、ベリア的にはまだ微妙なのである。
「どうせなら大雨と落雷のセットが良いですね。落雷の音で此方の攻撃音を少しでもかき消せれば儲けもんだ」
「器用な事を考えるものだ…掛け合ってやるが先方への手土産は必須だぞ?」
「手土産も用意するし、手間賃がてらのお菓子も用意しよう」
「気が利くではないか。では日程が決まったら改めて我を呼ぶが良い」
野良猫はそう告げると別のテーブルへと移動し、丸まったかと思えば眠ってしまった。
「さて…そうと決まれば段取りだな。先ず決めるのは、作戦名だな」
「作戦名?なんでだ」
「作戦名があった方が、気合が入るってもんだ。雷の音に合わせて攻撃を仕掛けるなら、サンダーとかライトニングとかは入れたいかな」
「ファイヤーボールみたいな感じで、サンダーボールとかは?」
「イメージはそんな感じだけど、ソレは止めておこう」
「なんでだ?分かりやすくて良いと思うけど」
「どう言えば良いか…兎に角サンダーボールは却下で」
イズミは元いた世界でも有名な某スパイ映画のタイトルと被るのは様々な意味でマズいと判断し、サンダーボールは却下した。
色々と思案した結果、サンダーボルトやサンダーアロー、ライトニングハンマー、ライトニングアレスター等の作戦名が出たがしっくり来ず。
最終的にサンダーブレード作戦と呼称する事で落ち着かせた。
ベリアは最後までサンダーボールで良くないか?と言っていたが、そこは断固として却下をさせて頂いた。
某スパイ映画の有名作と同じ作戦名を使うのは権利的にも怖いからだが、それをベリアが理解してくれる日は来なさそうであった。
そして、奇襲攻撃の具体的な内容はマスタングのミサイル攻撃で大体の敵を片付けてから虱潰しに敵を無力化すると言う単純明快なものなので、攻撃内容自体にサンダーの要素もブレードの要素も殆ど無いのはご愛嬌である。
厄介な内容だったのでフラウリアにも練習をして情報共有をすると、イズミの足元から白い蛇が姿を現しテーブルの上へと這い上って来た。
「イズミさん、今の話は本当ですか?」
「あの野良猫さんから直接聞きましたので、間違いは無いかと」
「…少々お待ちを。グラテミア叔母様の所へ向かいます」
フラウリアがグラテミアの執務室へ移動している間に、あの野良猫がヒョイとテーブルの上に飛び乗っては丸くなった。
「お待たせしました…精霊様、本当なのですか?」
「うむ、帝国の兵共がやらかしておる。お主らと連携を取っているエルフ族からも、近々連絡が入るだろう」
「ブラックドラゴンの件もでしょうか」
「アヤツの事は厳しいだろうな…アヤツの存在や気配を察知出来る者は殆ど居らぬぞ」
「動くとしたら、いつ頃になるのでしょうか?」
「アヤツが動くとすれば、梅雨が明けて直ぐだろうな。やらかしておる帝国兵を燃やし尽くすのは勿論だが、間近にある国や都市もついでに破壊する可能性は十分にある」
「そんな…」
白蛇からフラウリアの暗い声が聞こえてきた。
「野良猫さん、少し良いですか?」
「なんだ」
「梅雨が明ける前に私が帝国兵を処理出来れば、ブラックドラゴンがひと暴れする事は無いんですね」
「…もう分からんな。恐らくは暴れんだろう」
イズミの質問に答えてはくれたが、ブラックドラゴンがウォーミングアップを始めている事実は変わらず、梅雨明け前迄に帝国兵を倒しても暴れる可能性はゼロにはならないようだ。
「タイムリミット付きの殲滅任務って…痺れるねぇ。グラテミアさん、やはり何方かの援護をお願い出来ませんか?せめてブラックドラゴンが動き出した時の避難誘導とかで」
「イズミさん、当該地域の魔族は既に避難済みです。エルフ族も調査が終わり次第避難する想定でいれば、私達が避難誘導をする必要はありませんわ」
「周辺の国や都市はどうなります」
「先手を打ちたい気持ちも分かりますが、我々ラミア族が先んじて動くと人間族からの反発が予想されますね」
「魔族に対する差別、ですか?」
「それに近いかもしれませんね。『分かっているならラミア族で対応しろ、我々人間に迷惑をかけるな!これだから魔族は…』と言われるのが関の山です」
どうやら魔族に対する風当たりは、かなり良くないらしい。
ウンザリと言った感情なのが聞こえてくる言葉と口調でよく分かった。
「分かりました。此処は私が何とかするしかないようですね」
「イズミ!」
「難しい話はこの際無しだ。ブラックドラゴンが暴れる前に、俺達が派手に暴れるのが最も二次被害が少ないように思える」
「だけどよぉ」
「ベリアにも手伝ってもらいたいが、冒険者ギルドに所属している以上はグレーゾーン…」
「手伝うに決まってるだろ!アタイはイズミの相棒なんだぞ!!」
イズミはベリアの立場を考えて言葉を選んでいたつもりだったが、ベリアに遮られてしまった。
「冒険者が帝国兵への奇襲攻撃に関与していたとなったら、色々と大変だろ」
「何とかアリバイを作る」
「難しいだろ」
ベリアはまだ転移魔法を完全には体得していない、基礎を徹底的に叩き込まれている最中なのだ。
まだ実戦では使いこなせない。
その会話を聞いていたグラテミアが、1つの提案をしてくれた。
「アリバイ作りでしたら、私達もお手を貸しますわ。奇襲当日は終日私の所で転移魔法の特訓する予定にしておいて、我々の転移魔法でベリアさんをマスタング様の元へ運べば解決です」
自分達に偵察の目がある事を逆手に取る考え方だ。
イズミは単身で出かけてゆく姿を見せておき、ベリアはグラテミアの屋敷に入る姿を見せてから建物内で転移させて、グラテミアの屋敷に居るように見せかける。
そんな感じのアリバイ作りである。
「この位のサポートなら出来ますわ。勿論、それなりの対価は頂きますけど」
「そこはお手柔らかにお願いしたいですね」
「ふふ…考えておきますわ」
少しばかり不安ではあるが、このサポートは頼まざるをえないだろう。
「奇襲攻撃をするのであれば、当日は土砂降りの雨を降らせるように掛け合ってやろう」
野良猫の提案を聞いたベリアの尻尾がダラリと下がる。
ベリアの魔法は雨との相性が悪い。
水属性の魔法適性が追加されたは良いものの、此方もまだ練習中なので実戦で使えるレベルかと言えば、ベリア的にはまだ微妙なのである。
「どうせなら大雨と落雷のセットが良いですね。落雷の音で此方の攻撃音を少しでもかき消せれば儲けもんだ」
「器用な事を考えるものだ…掛け合ってやるが先方への手土産は必須だぞ?」
「手土産も用意するし、手間賃がてらのお菓子も用意しよう」
「気が利くではないか。では日程が決まったら改めて我を呼ぶが良い」
野良猫はそう告げると別のテーブルへと移動し、丸まったかと思えば眠ってしまった。
「さて…そうと決まれば段取りだな。先ず決めるのは、作戦名だな」
「作戦名?なんでだ」
「作戦名があった方が、気合が入るってもんだ。雷の音に合わせて攻撃を仕掛けるなら、サンダーとかライトニングとかは入れたいかな」
「ファイヤーボールみたいな感じで、サンダーボールとかは?」
「イメージはそんな感じだけど、ソレは止めておこう」
「なんでだ?分かりやすくて良いと思うけど」
「どう言えば良いか…兎に角サンダーボールは却下で」
イズミは元いた世界でも有名な某スパイ映画のタイトルと被るのは様々な意味でマズいと判断し、サンダーボールは却下した。
色々と思案した結果、サンダーボルトやサンダーアロー、ライトニングハンマー、ライトニングアレスター等の作戦名が出たがしっくり来ず。
最終的にサンダーブレード作戦と呼称する事で落ち着かせた。
ベリアは最後までサンダーボールで良くないか?と言っていたが、そこは断固として却下をさせて頂いた。
某スパイ映画の有名作と同じ作戦名を使うのは権利的にも怖いからだが、それをベリアが理解してくれる日は来なさそうであった。
そして、奇襲攻撃の具体的な内容はマスタングのミサイル攻撃で大体の敵を片付けてから虱潰しに敵を無力化すると言う単純明快なものなので、攻撃内容自体にサンダーの要素もブレードの要素も殆ど無いのはご愛嬌である。
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