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第二十七章 サンダーブレード作戦
第五百四十五話 大型ナイフ購入
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「荷物を届けに来たぞ!」
酒盛り3回目の朝。
酒屋のドワーフ店長が自ら馬車を駆り賃貸の家にまで酒を持ってきてくれた。
「すみませんね」
「何言っておる!酒が余り売れない梅雨の時期に大口で買ってくれる客なんざ、ほとんどいないんだ。手厚い対応をするってのが礼儀ってもんだ」
「梅雨の時期には酒が売れない?」
「んだ。売れても2級のドワーフ酒とエールくらいで、朝っぱらから酒を飲んでたら梅雨明け後に辛くなるからな。冒険者だって梅雨の時期は自分の装備のメンテと身体の調整がメインで、金に困ったり知り合いの頼みだから依頼を受けたりする程度だ」
大量の酒瓶が銘柄毎に草紐を使って番号が振られていて、店長から渡された羊皮紙に何処のドワーフの酒蔵で作られたものなのかが書かれていた。
「実際問題、アンタのお陰でギルドの職員も賑やかで助かっとる。梅雨の時期は人の動きも金の動きも鈍くなってな、どうしても気分が滅入っちまうもんだが…今年は幸せのため息ばかりだぜ」
「それは何よりです」
酒を並べ終えた店長が空き瓶を回収しながら、商人ギルドの話をしてくれた。
「今朝商人ギルドの所に寄って来たが、宝石を取り扱ってる責任者が怖いくらいにハツラツとしてたな。あんなに調子の良い姿を見たのは久し振りだ」
「そんなですか」
「アレはきっと宝石を知る者が見たらブッ飛ぶような、べらぼうなブツを手に入れたに違いない。顔に『今自分は最高に幸せです』みたいな張り紙をしてるみたいだった」
商人ギルドの宝石担当…確かトレヴァーだったか…どうやら彼は現在、人生の春を迎えているのかもしれない。
目の前の宝石にうつつを抜かしてヘマをしない事を祈るとしよう。
「ん?この瓶はウチで買ったヤツじゃないな。これも回収で良いのかい」
「出来るのであれば、お願いしたいです」
「分かった!回収させてもらうよ…それにしても、瓶の形状に強いこだわりがあるようだな」
ドワーフ店長が手にしていたのは日本のウィスキーの12年物の瓶と、あるブランデーの瓶だった。
どちらもマスタングで実体化させた、異世界の酒である。
「瓶に光が当たった時の反射すらも魅せる、そんな感じの瓶ですよね」
店長はおもむろに瓶の蓋…実体化する際に全てコルクになっている…を抜いて香りを確かめている。
「嗅いだことの無い、不思議な酒だな。今度探してみるか」
好奇心や探究心はまだまだ強いらしい。
回収を終えた店長が去るとイズミとベリアは酒瓶を棚に並べ、並べきらない瓶はショルダーバッグに収納してしまった。
昼の鐘が鳴ったらメーレルが移動を始めるので、それ迄に武器屋に顔を出すべく身支度を整える。
腕時計を確認すると9時半を過ぎた所、まだ時間的な余裕はある。
マスタングでドワーフ工房と併設されている武器屋まで向かうと、ベリアと一緒に入店する。
イズミ達の姿を見たドワーフの1人が作業を止めると、店内が静寂に包まれた。
「皆!Sランク冒険者のベリアが来たぞ!」
「「「うぉぉぉ!」」」
ベリアは既に有名人なので、一度店に入れば注目の的なのである。
お陰で自分への視線が減るので、助かったりもする場合もあるのだが。
「ずっと冒険者ギルドからの依頼を受けてると気疲れするから、武器を見て気分転換でもと思ったんだ」
「そうでしたか!良い武器を揃えておりますから、是非ご覧になって下さい」
ベリアへの熱心な接客を横目に、イズミはナイフが置いてあるコーナーへと向かう。
「何を探してるんだい?」
「ナイフだ。大の大人やゴブリンを突き刺して、ちゃんと貫通する刃渡りは欲しい」
「ナイフでか?ダガーやショートソードじゃなくて」
「そうだ。ナイフで頼みたい」
ナイフコーナーに居たドワーフがイズミのオーダーを聞くと、数本の大型ナイフをテーブルに用意してくれた。
「ここヒュミトールに工房を構える腕利きが作り上げた力作揃いだ」
王道の形状をしたナイフ、ナタに近い形状をしたナイフ、諸刃で刺突に特化したかのようなナイフ。
「身体の何処に装着するつもりで?」
「背中かな」
イズミはショルダーバッグからライフルベストを取り出すと、背中部分のスペースにナイフのシースを取り付けたい旨の話をする。
「コイツに付けるとなると…諸刃は微妙だな。別のナイフが良いだろう」
「ナイフは非常用だからな、兎に角タフなのが良い」
「タフ?頑丈って事なら、重くはなっちまうが新作のナイフが良いかもしれん…見てくれ、アダマンタイトをバランス良く使ったナイフなんだ。厚みを抑えてるのに重量級で、なんと言っても頑丈さならダントツだ」
持ってみろと言われたので右手出構えてみたが、44マグナムと同じくらいの重量はある。
「ブレードは33cmで厚さは最大で4mm、全長は48cmのフルタングだ。特徴としてナイフとしては少し大きめのガードが付いてるのと、グリップ部での打撃も可能にしている所だ。流石にナックルガードまでは付けなかった」
「良いねぇ、重いから扱いには修練が必要そうだが」
「武器ってのは慣れが大事なんだ。どうせ梅雨の時期は時間が余るんだ、練習に費やしても良いんじゃないか?」
「…かもな」
「今日この場で購入してくれるなら、このベストにシースを縫い付けるのはサービスでやっても良い」
「価格は幾らで?」
「そうだな…金貨で150枚はどうだ」
ドワーフは自信のある口調で価格を提示して来た。
確かアダマンタイトはキロ単価で金貨80枚とかだった筈で、それを職人が鍛え上げてナイフに仕立てたのであれば、工数を考えても妥当な金額な気がする。
ナイフに金額150枚出すのかと言われると、人によっては渋るかもしれない。
騎士や剣士の持つ剣では無いし、戦士の持つアックスやランスとも違う。
非常用の戦闘ナイフなのだから。
「1つ頼みがあるのですが」
「なんだ?」
「ベストに縫い付けるシースとは別に、もう1つシースを用意して欲しいのですけど」
「そんな事ならお安い御用さ、色はこのベストと同一色に近いのが良いかい」
「ベストに縫い付けるシースは同系色で、別で用意するシースは黒でお願いしたい」
「じゃあナイフとベストにシースを縫い付けるので金貨150枚、別のシースが黒での用意で銀貨50枚だ。ちゃんと上等な革を使って作るから、安心してくれ」
イズミは即金で全額支払うと、ベストをドワーフに預けた。
「明日の昼過ぎ迄には終わらせとくから、空いた時にでも取りに来てくれ。ナイフもその時に渡すで良いか?」
「それで頼みます」
買い物を済ませたイズミがベリアの元へ向かうと、ベリアも別の所で会計をしている最中だった。
「ベリアも良い武器を買ったのか」
「ああ、役に立つと思ってさ」
「どんな武器なんだ?」
「秘密」
ベリアは布で包まれた武器をアイテムボックスに収納すると、笑顔でそう言った。
買い物を済ませた2人は、酒盛りの準備を再開すべく、賃貸へと帰ってゆく。
酒盛り3回目の朝。
酒屋のドワーフ店長が自ら馬車を駆り賃貸の家にまで酒を持ってきてくれた。
「すみませんね」
「何言っておる!酒が余り売れない梅雨の時期に大口で買ってくれる客なんざ、ほとんどいないんだ。手厚い対応をするってのが礼儀ってもんだ」
「梅雨の時期には酒が売れない?」
「んだ。売れても2級のドワーフ酒とエールくらいで、朝っぱらから酒を飲んでたら梅雨明け後に辛くなるからな。冒険者だって梅雨の時期は自分の装備のメンテと身体の調整がメインで、金に困ったり知り合いの頼みだから依頼を受けたりする程度だ」
大量の酒瓶が銘柄毎に草紐を使って番号が振られていて、店長から渡された羊皮紙に何処のドワーフの酒蔵で作られたものなのかが書かれていた。
「実際問題、アンタのお陰でギルドの職員も賑やかで助かっとる。梅雨の時期は人の動きも金の動きも鈍くなってな、どうしても気分が滅入っちまうもんだが…今年は幸せのため息ばかりだぜ」
「それは何よりです」
酒を並べ終えた店長が空き瓶を回収しながら、商人ギルドの話をしてくれた。
「今朝商人ギルドの所に寄って来たが、宝石を取り扱ってる責任者が怖いくらいにハツラツとしてたな。あんなに調子の良い姿を見たのは久し振りだ」
「そんなですか」
「アレはきっと宝石を知る者が見たらブッ飛ぶような、べらぼうなブツを手に入れたに違いない。顔に『今自分は最高に幸せです』みたいな張り紙をしてるみたいだった」
商人ギルドの宝石担当…確かトレヴァーだったか…どうやら彼は現在、人生の春を迎えているのかもしれない。
目の前の宝石にうつつを抜かしてヘマをしない事を祈るとしよう。
「ん?この瓶はウチで買ったヤツじゃないな。これも回収で良いのかい」
「出来るのであれば、お願いしたいです」
「分かった!回収させてもらうよ…それにしても、瓶の形状に強いこだわりがあるようだな」
ドワーフ店長が手にしていたのは日本のウィスキーの12年物の瓶と、あるブランデーの瓶だった。
どちらもマスタングで実体化させた、異世界の酒である。
「瓶に光が当たった時の反射すらも魅せる、そんな感じの瓶ですよね」
店長はおもむろに瓶の蓋…実体化する際に全てコルクになっている…を抜いて香りを確かめている。
「嗅いだことの無い、不思議な酒だな。今度探してみるか」
好奇心や探究心はまだまだ強いらしい。
回収を終えた店長が去るとイズミとベリアは酒瓶を棚に並べ、並べきらない瓶はショルダーバッグに収納してしまった。
昼の鐘が鳴ったらメーレルが移動を始めるので、それ迄に武器屋に顔を出すべく身支度を整える。
腕時計を確認すると9時半を過ぎた所、まだ時間的な余裕はある。
マスタングでドワーフ工房と併設されている武器屋まで向かうと、ベリアと一緒に入店する。
イズミ達の姿を見たドワーフの1人が作業を止めると、店内が静寂に包まれた。
「皆!Sランク冒険者のベリアが来たぞ!」
「「「うぉぉぉ!」」」
ベリアは既に有名人なので、一度店に入れば注目の的なのである。
お陰で自分への視線が減るので、助かったりもする場合もあるのだが。
「ずっと冒険者ギルドからの依頼を受けてると気疲れするから、武器を見て気分転換でもと思ったんだ」
「そうでしたか!良い武器を揃えておりますから、是非ご覧になって下さい」
ベリアへの熱心な接客を横目に、イズミはナイフが置いてあるコーナーへと向かう。
「何を探してるんだい?」
「ナイフだ。大の大人やゴブリンを突き刺して、ちゃんと貫通する刃渡りは欲しい」
「ナイフでか?ダガーやショートソードじゃなくて」
「そうだ。ナイフで頼みたい」
ナイフコーナーに居たドワーフがイズミのオーダーを聞くと、数本の大型ナイフをテーブルに用意してくれた。
「ここヒュミトールに工房を構える腕利きが作り上げた力作揃いだ」
王道の形状をしたナイフ、ナタに近い形状をしたナイフ、諸刃で刺突に特化したかのようなナイフ。
「身体の何処に装着するつもりで?」
「背中かな」
イズミはショルダーバッグからライフルベストを取り出すと、背中部分のスペースにナイフのシースを取り付けたい旨の話をする。
「コイツに付けるとなると…諸刃は微妙だな。別のナイフが良いだろう」
「ナイフは非常用だからな、兎に角タフなのが良い」
「タフ?頑丈って事なら、重くはなっちまうが新作のナイフが良いかもしれん…見てくれ、アダマンタイトをバランス良く使ったナイフなんだ。厚みを抑えてるのに重量級で、なんと言っても頑丈さならダントツだ」
持ってみろと言われたので右手出構えてみたが、44マグナムと同じくらいの重量はある。
「ブレードは33cmで厚さは最大で4mm、全長は48cmのフルタングだ。特徴としてナイフとしては少し大きめのガードが付いてるのと、グリップ部での打撃も可能にしている所だ。流石にナックルガードまでは付けなかった」
「良いねぇ、重いから扱いには修練が必要そうだが」
「武器ってのは慣れが大事なんだ。どうせ梅雨の時期は時間が余るんだ、練習に費やしても良いんじゃないか?」
「…かもな」
「今日この場で購入してくれるなら、このベストにシースを縫い付けるのはサービスでやっても良い」
「価格は幾らで?」
「そうだな…金貨で150枚はどうだ」
ドワーフは自信のある口調で価格を提示して来た。
確かアダマンタイトはキロ単価で金貨80枚とかだった筈で、それを職人が鍛え上げてナイフに仕立てたのであれば、工数を考えても妥当な金額な気がする。
ナイフに金額150枚出すのかと言われると、人によっては渋るかもしれない。
騎士や剣士の持つ剣では無いし、戦士の持つアックスやランスとも違う。
非常用の戦闘ナイフなのだから。
「1つ頼みがあるのですが」
「なんだ?」
「ベストに縫い付けるシースとは別に、もう1つシースを用意して欲しいのですけど」
「そんな事ならお安い御用さ、色はこのベストと同一色に近いのが良いかい」
「ベストに縫い付けるシースは同系色で、別で用意するシースは黒でお願いしたい」
「じゃあナイフとベストにシースを縫い付けるので金貨150枚、別のシースが黒での用意で銀貨50枚だ。ちゃんと上等な革を使って作るから、安心してくれ」
イズミは即金で全額支払うと、ベストをドワーフに預けた。
「明日の昼過ぎ迄には終わらせとくから、空いた時にでも取りに来てくれ。ナイフもその時に渡すで良いか?」
「それで頼みます」
買い物を済ませたイズミがベリアの元へ向かうと、ベリアも別の所で会計をしている最中だった。
「ベリアも良い武器を買ったのか」
「ああ、役に立つと思ってさ」
「どんな武器なんだ?」
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ベリアは布で包まれた武器をアイテムボックスに収納すると、笑顔でそう言った。
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※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
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