異世界無宿

ゆきねる

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第二十七章 サンダーブレード作戦

第五百四十七話 また魔改造?

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3回目の酒盛りが盛り上がり始めると、ふと男神達の興味関心がイズミの武装に移り声をかけられた。

「異世界人よ。お主の武器はどのような代物なのだ?」

「私のですか?ほとんど飛び道具ですが」

イズミはこの間マスタングが実体化してくれた2丁拳銃やアサルトライフルを取り出すと、実包を確実に抜いてからテーブルに置いた。

「ほう…この世界での飛び道具と言えば弓やクロスボウだが、異世界では全く異なるようだな」

「私の居た世界でも、少し前までは一緒みたいなものです。加工技術や火薬の実用化、そして安定した大量生産を可能にした事がこの武器の実用性を格段に高めました」

ハンドガンの実包を男神様に手渡すと、直ぐに構造を理解したようだった。

「…この世界では、まだ火薬はほとんど世に出ておらん。この弾とやらは火薬や他の部品を魔力で代用しているのか」

「そうです。私のアーティファクトであるマスタングでしか成しえませんので、第三者が量産する事は不可能でしょう」

そこまでの説明をしたイズミだったが、次に男神様から発された言葉は想定外だった。

「この弾の威力では、少々不安だな。魔王よ、そうは思わんか?」

「小型の武器としては良好ですが、もう少し強くても良いですな」

どうやら男神様も魔王様も、45口径のピストル弾の威力に不安があるようである。
勿論、渡したのは強化弾の方である。

「普段はこっちの銃を携帯しているのですが、今回の戦闘では連射力も欲しいのでその銃にしたんです」

「見せてみろ…この威力なら不安は無い。何故この銃とやらの同等の威力にせんのだ?」

「高威力にカスタムすると連射力や反動が大きくなったりして、制御取り扱いが大変でして」

イズミが説明をしていると、魔王が馬車置き場の方へと顔を向け…その視線の先にマスタングを見据えているようだ…口を開いた。

「イズミのアーティファクト、マスタングよ。まだカスタム出来る余力と余地はあるか?」

「勿論です」

「この銃の威力では不安である。カスタムを施した方が良いのではないか」

「かしこまりました」

ショルダーバッグに収納していたメガネが勝手に出て来るとテーブルの上に乗っかり、プロジェクターのような役割をして壁に情報が映し出された。

銃のマズル部に新たなパーツが追加され、その全長を少しだけ伸ばしている。
しかし、アンダーレールは追加されていなかった。

「弾の威力アップに伴う反動増大につきましては、コンペンセイターを装着する事で軽減させます」

「威力はこの銃に使われている弾の威力に何処まで近づけられるのだ?」

「武器本体を構成するマテリアルにアダマンタイトを含ませる事で、44マグナム弾と比較して85%程度の威力にて弾を発射します」

「うーむ…初手でその辺りなら問題無いだろう。後は実戦で検証して改良すれば良い」

イズミは失念していた。
魔王の持つ記憶には自分の居た世界の人間の物も含まれている。
だから具体的なオーダーも不可能ではないのだ。

「マスタング、そのカスタムをすると銃本体の重量はどうなる?元々でも1kgはあるよな?」

「アダマンタイト強化カスタムにしますと、含有比率にもよりますが重量は1丁当たり凡そ2.4kgになります。マガジン非装填です」

「…重くね?」

「因みに44マグナムも同様のカスタムを施しますと、重量は凡そ2.9kgになります。実包は非装填です」

「重い!そんな重量物を毎日キャリー出来るか!?」

「マスター。44マグナムに関してはそのままでも良いかもしれませんが、過去に敵の攻撃でバレルを切断された実績もあります。アダマンタイトを混ぜればその心配は無くなります」

「にしても重いだろ」

イズミがアダマンタイトの重さを思い出して確認すると、やはり重量アップになっていた。
それも殆ど倍以上だ。
流石にそんな武器を毎日キャリーしていたら、自分の骨格が歪んでしまうし筋肉痛になるのが目に見えている。

「マスター。明日カスタムを施してみまして、何処かで射撃練習をしましょう」

「カスタムはもう決定事項か」

イズミは男神様に一声かけてから武器を収納する。

「ふむん…この手の武器がこの世界に出回るような事があれば、さらなる戦争になりかねんな」

「その時こそ我…いや息子に託した、魔王の仕事になる訳です」

「そうだな、その時は頼む」

そんな恐ろしいやりとりを聞きながら、イズミはそのテーブルから距離をとるのだった。
メーレルのいるバーカウンター風のエリアに向かうと、カウンターの上に様々な小物や短刀がある。

「メーレルさん、これは?」

「こちらは酒盛りのお礼だそうですよ、男神様や精霊様達が是非にと」

「気持ちは大変有り難いですし嬉しいですが…」

イズミはそっとカウンターの上にあるお礼の品をショルダーバッグに収納すると、どう扱うべきか悩む事になるので後で3人で相談するとしよう。

「イズミ様、ハーブを使ったお酒はありますか?」

「ハーブ?」

「こちらの精霊様が飲みたいと」

精霊が酒棚にある酒瓶を見るも求めているような酒は無かったらしく、メーレルに直接あるか確認をして来たようだ。

「ハーブを使ったお酒…マスタング、何かあるかな?」

「ドイツ産のリキュールが良いでしょう、実体化致します」

イズミは家から出てマスタングの元へ向かい酒を回収すると、改めて家に入りグラスへ注ぐ。
独特な香りと濃い茶色の液体が注がれるのを興味深げに見ていた精霊だったが、一口飲むと笑顔でグラスを抱えてテーブルへと移動してゆく。

「イズミ様、このお酒は」

「出処は詳しく説明出来ないが、沢山のハーブを使ったお酒だ」

酒盛りが終わったら別途試飲してもらおうか考えながら、まだ終わらぬ酒盛りの対応を続けるのだった。
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