異世界無宿

ゆきねる

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第二十七章 サンダーブレード作戦

第五百五十一話 怪音騒ぎ

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イズミは一通りの弾込めを済ませると、ポツポツと降り出して来た雨の中で2丁拳銃の練習を再開する。

イズミの記憶にある2丁拳銃の使い手は比較的少ない。
エクスペンダブルズシリーズでのシルベスター・スタローン、ガンカタで有名なリベリオンでのクリスチャン・ベール、デスペラードでのアントニオ・バンデラス、ラストマンスタンディングでのブルース・ウィリス、そしてパニッシャーでのトーマス・ジェーン。敬称は省略させて頂く。

他にも様々な映画やアニメで2丁拳銃の使い手が居るが、イズミの記憶に刻まれた2丁拳銃の使い手は上記のアクションスター達がメインだ。
そしてマグチェンジのシーンは確かに存在はするが、映画リベリオンでのマグチェンジは到底実現出来ないので諦めるとして。

何度か試している内に弾切れしたら右手で2丁拳銃を保持し、左手で予備のマガジンを2本取り出して順番に挿し込むスタイルに落ち着き始めていた。
予備マガジンを1本づつ取り出して挿し込むとなると、手間がかかるし継戦能力も低下してしまう。
理想は2本同時に取り出して同時に装填する事だ。

スライドストップはロングタイプでありイズミの右手の親指でも何とか操作が出来るので、予備マガジンの装填問題が解決出来れば2丁拳銃でも比較的有効な運用が出来る…かもしれない。

「一時的に右手に約4キロの重りを持つような感じか…当分は慣れそうにないな」

「マスター。慣れる迄は44マグナムを使わないと言う選択肢もありますが」

「勘弁してくれ、今の俺と一番長い付き合いをしてるリボルバーだぞ?」

「慣れる迄です。特に今回のサブウェポンであり、今後も不特定多数との戦闘の際に活用出来る技術ですから、身体に覚え込ませる事は非常に有益です」

「そうなんだけども…な!」

左手に持ったオートマチックをホルスターに仕舞うと、右手に持っていたオートマチックを連続で弾倉が空になる迄撃ち、マガジンキャッチを操作して空弾倉を地面に落とすと同時に予備弾倉を左手で掴みマガジンバンパーに滑らせるようにして挿し込む。
そしてまた全弾撃ち込んだ。

「コレでも悪くは無いと思うのだが」

「それでは同時に敵2名は倒せません」

「腰撃ちで胸部に2発を2人に連続して撃ち込めれば」

「マスターはまだプロフェッショナルな領域には立っていません。敵2名を同時に処理出来る2丁拳銃に適した目と処理能力を獲得したのですから、有効活用してください」

「…ま、そうだけども」

銃をホルスターに収納してから腕時計を確認すると短針が1時を過ぎた所…午後1時…であり、遂に小雨が降り出して来たのでそそくさと片付けをする。

「マスター、魔法反応が2つ接近中です」

「敵か?」

「準備等は確認出来ません」

「ふむん、片付けを終えたら様子を見るか」

片付けを終えたイズミはマスタングに乗り込むと、モニターに反応を表示させて相手の動向を伺う。
助手席側から近付いてきているのが分かったので、ハンドガンをそっと太腿と座席の間に滑り込ませて静かに待った。

魔法反応が示していた対象2人は、馬に乗って姿を現した。
マスタングの存在を視認したのか一旦立ち止まると、何やら話でもしているようである。
マスタングに戦闘態勢を取らせるべきか迷ったが、相手は武器を構える事無くゆっくりと接近して来る。

「…出て話をした方が良さそうだな」

イズミは念の為にマスタングの警戒モードをオンにしてから降車すると、ハンドガンを隠しながら2人の声が聞こえる距離に来るまで待機する。

「ねぇアンタ!この辺で変な音を聞かなかったかい?」

「変な音?」

雨具を着込んでいて装備が分からないが、ハッキリと女の声である事は分かった。

「そう。パァン!とか、バダダダッ!て、そんな聞き慣れない音が聞こえるって耳の良い冒険者から報告があってさ…聞けばこの辺で自主練してる冒険者も居ないし、何か冒険者ギルドでも把握していない魔物でも出たんじゃないかって言うから、わざわざ雨が降り出してるってのに様子を見に来たのさ」

どう考えても原因は自分にしか思えない話である。
派手な銃声が遠くまで響いていたのか、森で仕事中だった冒険者パーティーの耳にまで届いていたようだ。

「…そうですか」

「で、アンタは何か魔物とかは見たかい?」

「いや、魔物は見てないですね」

「そっか~…アンタは此処で何をしてるの?」

「個人的な練習を」

イズミの練習と言う単語を聞いた女は、腕を組むと少し考え込む。

「アンタ、名前は?」

「イズミです」

「イズミ…あぁ、あの『キマイラ殺し』のご友人か!此処での練習は何時から?」

女は何故か自分の事を認知しているようだった。
それも気になるが先に怪音騒ぎに決着を付けるのが良いだろう。

「何日か前からです。昼前くらいから何時間かチョイチョイやってます」

「怪音騒ぎの報告とも一致するねぇ」

「ですねぇ」

「もしかしてだけど、怪音騒ぎの原因…知ってたりする?」

女は一度相方だろう奴の方へ顔を向けてから、イズミへ向き直して確認をする。

「詳しくは話せないのですが、恐らく私になりますね」

嘘をつくのもアレなので正直に告げると、女とその相方は大きなため息をついた。

「それ、証明出来たりは?」

「ある魔道具を試していたのですが、思った以上に派手な音がしまして」

「見せてもらえたりは?」

「申し訳無いが無理だ…使いすぎたのかもしれないが、壊れた思って様子見してたら消滅したんです」

イズミは尤もらしい表情と声を作ると、肩を竦めながら有り得そうな嘘をここでついた。

「あっちゃ~、そりゃ災難だったね。魔道具の使い過ぎは初めてかい?」

「ええ、そうなります。ものは試しにと色々やってたんです」

「見る限り怪我もしてないしラッキーだね。魔道具によっては壊れると同時に爆発して腕が吹っ飛んだりするもんだからね…」

「不幸中の幸いって所ですかね」

思わぬ情報を入手しつつ、何とかこの状況を切り抜けられそうで一安心である。

「そう言えば、貴方の名前は?」

「これは失礼。私はアシュレイ、此方は相方のトレンドよ」

どうもと挨拶も出来た所で事の経緯を軽くアシュレイ達に説明をして、彼女らの目的である怪音騒ぎは一応の解決となった。
今後はもう少し注意をしようと痛感したのと同時に、サイレンサーの重要性を再認識したイズミなのであった。
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