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第二十七章 サンダーブレード作戦
第五百五十六話 まさかの
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(注意:若干の性的描写が入ります)
オリヴィアはピアスの事を説明してくれたが、良い記憶では無いのか表情が先程より暗めである。
「取り外せないのか?」
「そこが悪趣味貴族の嫌らしい所さ!変な呪いが掛かってて、付けた本人以外じゃ外せないってんだよ」
オリヴィア自身も外そうと各所に調べてもらったりしたそうだ。
「ある商人が言うには、身体にピアスを付ける文化のある地域もあるみたいだけどさ。このピアスは酷いもんだよ、洒落にも見えないからお客さんによってはかなり引かれるね」
実力ある魔術師に見てもらったが無理矢理外そうとすると激痛が走ったり、魔術師側にピアスが反応したりと厄介らしくて対応しきれないと断られたそうだ。
「その悪趣味貴族ってのはまだ生きてるのか?」
「生きてるね。死んでればピアスの呪いは消滅する事までは分かってるけど、今は何処に居るのかも分からないし名前も知らないから調べようもないと来たもんだ」
「ハルハンディア共和国の貴族じゃないとか?」
「私の生まれはハルハンディアじゃないからね。訳あって悪趣味貴族に飼われて、連れ歩くようにハルハンディア共和国に密入国扱いで入って来て…ある日突然、同じように飼われていた数人と一緒に捨てられたのさ。ま、今は皆この温泉街で力強く生きてるよ」
「…そうか。じゃあ他の子もピアスを?」
「それが私だけだったんだよ!本当に酷い話さ、私だけ扱いが特に悪かったのさ!」
思い出しただけでも不機嫌になっているのが分かる程だったので、少し話題を逸らす目的で今の状況を聞いてみる。
「それは…災難だったな。今はどうなんだ?」
「今はそん時よりはマシだけどね、頑張って借金を返さないといけなくてね。ヒュミトールに来るまでにも大変だったし、生きる環境を手にするには金を借りるしか無くてね」
「簡単には借りれないだろ、身分的な意味でも高額な借り入れは出来ないと思うが」
「全うな金貸しなら無理だね、でも言い方はアレだけど悪い金貸しも居るからね。お陰で借金返済の為にもガンガン働かないといけない訳さ!」
オリヴィアは生きる為に色々なリスクを背負い込んだようだ。
覚悟が決まっているからか、その口調に物悲しさは感じなかった。
「私の昔話に興味があるみたいだけど、同情なら要らないよ。そんなのされても自体は好転しないし、辛いだけだからね」
「力強く生きてる人間に興味が湧いてきただけさ。冒険者は…出自的に駄目なのか」
「そう、厳密に言ったら密入国者始まりだからね。今はちゃんとヒュミトールの人間だからそこは安心して。冒険者登録までは出来なかったけど、これは借金の問題だから」
「冒険者になれたら、武器は何を使うつもりだったんだ?」
「双剣だね、まぁここ数年は握ってすらいないけど。仕事の為に身体は鍛えてるけど、冒険者になる為ではないから微妙だね…言っとくけど、武器を使わずとも腕っぷしには自信があるよ!店で騒ぐ冒険者をぶん殴る事だって多々あるんだからね」
「逞しい事で」
半身浴をしながら足を組み直したイズミの元にマスタングから魔法通信が入ってきたので、オリヴィアに聞こえないようにしてから繋いだ。
「どうした?」
「マスター。先程お渡しした木箱は開けましたか」
「いやまだだ」
「ピアス用のツールが入っておりますので、オリヴィア様が御所望であれば取り外すのが良いかと」
「いつ調べたんだ」
「助手席に乗った際にスキャンしました。腕時計の呪い返しを活用すれば、ピアスに不要された呪いの解除も可能です」
「…やっは便利だな、付与効果付き腕時計」
「それとこちらはリスクのある提案なのですが、オリヴィア様を我々の旅に参加させるのは如何でしょうか」
「…理由を聞こうか」
マスタングからの唐突な話にたじろぐも、先ずは理由を聞かなければ納得も出来ない。
「理由は幾つかあります…1つ目はベリア様がSランク冒険者になった事が挙げられます。Sランク冒険者が動くとなれば、必ず冒険者ギルドも大きく動く事になります。今回のサンダーブレード作戦に於いても、ベリア様のアリバイ工作をしておりますが完全に別の戦力が欲しい所です」
「何度も同じようなアリバイ工作は出来ないからな」
「2つ目はオリヴィア様の戦闘面の素養です。魔法適性としてはまだ発現しておりませんが、雷属性があります。今後の旅路にて非常に有用な魔法適性です」
「雷属性か…それは熱いな。でも勧誘するにはハードルが高いぞ、まだ出会って半日だ」
「まだあります。3つ目はマスターとベリア様との戦闘面での相性の良さです。ベリア様は近距離戦がメインで、マスターは使用する武器次第で変わりますが近距離は苦手です。オリヴィア様の魔法適性を開眼させれば、広範囲の戦闘をカバー出来ます。特に悪天候時の雷属性の攻撃は敵としては脅威です、例えばですが雷魔法向けの誘導弾をマスターが撃ち込み、そこへオリヴィア様に雷魔法を発動させるだけで敵戦力を効率的に無力化が可能になります」
「そうは言うけど、それはオリヴィア次第だろ。戦うのが嫌って言われたらそこで話はおしまいだ。それにベリアにはどう説明する?」
「そこは上手く口説き落として下さい」
「…本当に、無茶を言うぜ」
イズミはマスタングとの魔法通信を切断すると、分厚い雲に覆われた空を見あげた。
明日実行予定のサンダーブレード作戦よりも達成難易度が高そうな話である。
「何かあったのかい?」
「いや大丈夫だ…オリヴィアだったな、そのピアスは外せるなら外したいか?」
「当然さ、見てくれよこの悪趣味極まりないピアスをさぁ!」
オリヴィアが立ち上がるとイズミの元まで移動して来て、両方の乳頭を貫通しているピアスに付いている悪趣味なパーツを見せてくる。
何かしらの魔物の牙だろうか、金属製に見える棒…確かシャフト…の両端が魔物の牙…此方はキャッチ…になっている。
更にシャフトとキャッチの間にはUの字に曲げられたパーツが付けられており、そこにもゴツい牙が付いていたのだ。
牙をアクセサリーに用いる民族が居るのは分かるが、この使い方はいかがなものか。
イズミ基準でかなり甘く判断しても、悪趣味ではないと否定する事は出来なかった。
しかも立って近付いて来たから分かったが、乳頭以外にもピアスが付けられていたのだ。
付けているピアスによってはお洒落と言えるのかもしれないが、全て魔物の牙なので無理矢理付けた貴族は相当な悪趣味な変態の類いなのだろう。
見ず知らずの他人をどうこう言うのは良くないが、今回は例外として扱っても良いと思う。
「…取り敢えず、温泉から出たら時間をくれ」
「分かったよ!期待して良いのかい?」
「多分、大丈夫」
イズミはもう少し半身浴をしてから、部屋に戻るのだった。
オリヴィアはピアスの事を説明してくれたが、良い記憶では無いのか表情が先程より暗めである。
「取り外せないのか?」
「そこが悪趣味貴族の嫌らしい所さ!変な呪いが掛かってて、付けた本人以外じゃ外せないってんだよ」
オリヴィア自身も外そうと各所に調べてもらったりしたそうだ。
「ある商人が言うには、身体にピアスを付ける文化のある地域もあるみたいだけどさ。このピアスは酷いもんだよ、洒落にも見えないからお客さんによってはかなり引かれるね」
実力ある魔術師に見てもらったが無理矢理外そうとすると激痛が走ったり、魔術師側にピアスが反応したりと厄介らしくて対応しきれないと断られたそうだ。
「その悪趣味貴族ってのはまだ生きてるのか?」
「生きてるね。死んでればピアスの呪いは消滅する事までは分かってるけど、今は何処に居るのかも分からないし名前も知らないから調べようもないと来たもんだ」
「ハルハンディア共和国の貴族じゃないとか?」
「私の生まれはハルハンディアじゃないからね。訳あって悪趣味貴族に飼われて、連れ歩くようにハルハンディア共和国に密入国扱いで入って来て…ある日突然、同じように飼われていた数人と一緒に捨てられたのさ。ま、今は皆この温泉街で力強く生きてるよ」
「…そうか。じゃあ他の子もピアスを?」
「それが私だけだったんだよ!本当に酷い話さ、私だけ扱いが特に悪かったのさ!」
思い出しただけでも不機嫌になっているのが分かる程だったので、少し話題を逸らす目的で今の状況を聞いてみる。
「それは…災難だったな。今はどうなんだ?」
「今はそん時よりはマシだけどね、頑張って借金を返さないといけなくてね。ヒュミトールに来るまでにも大変だったし、生きる環境を手にするには金を借りるしか無くてね」
「簡単には借りれないだろ、身分的な意味でも高額な借り入れは出来ないと思うが」
「全うな金貸しなら無理だね、でも言い方はアレだけど悪い金貸しも居るからね。お陰で借金返済の為にもガンガン働かないといけない訳さ!」
オリヴィアは生きる為に色々なリスクを背負い込んだようだ。
覚悟が決まっているからか、その口調に物悲しさは感じなかった。
「私の昔話に興味があるみたいだけど、同情なら要らないよ。そんなのされても自体は好転しないし、辛いだけだからね」
「力強く生きてる人間に興味が湧いてきただけさ。冒険者は…出自的に駄目なのか」
「そう、厳密に言ったら密入国者始まりだからね。今はちゃんとヒュミトールの人間だからそこは安心して。冒険者登録までは出来なかったけど、これは借金の問題だから」
「冒険者になれたら、武器は何を使うつもりだったんだ?」
「双剣だね、まぁここ数年は握ってすらいないけど。仕事の為に身体は鍛えてるけど、冒険者になる為ではないから微妙だね…言っとくけど、武器を使わずとも腕っぷしには自信があるよ!店で騒ぐ冒険者をぶん殴る事だって多々あるんだからね」
「逞しい事で」
半身浴をしながら足を組み直したイズミの元にマスタングから魔法通信が入ってきたので、オリヴィアに聞こえないようにしてから繋いだ。
「どうした?」
「マスター。先程お渡しした木箱は開けましたか」
「いやまだだ」
「ピアス用のツールが入っておりますので、オリヴィア様が御所望であれば取り外すのが良いかと」
「いつ調べたんだ」
「助手席に乗った際にスキャンしました。腕時計の呪い返しを活用すれば、ピアスに不要された呪いの解除も可能です」
「…やっは便利だな、付与効果付き腕時計」
「それとこちらはリスクのある提案なのですが、オリヴィア様を我々の旅に参加させるのは如何でしょうか」
「…理由を聞こうか」
マスタングからの唐突な話にたじろぐも、先ずは理由を聞かなければ納得も出来ない。
「理由は幾つかあります…1つ目はベリア様がSランク冒険者になった事が挙げられます。Sランク冒険者が動くとなれば、必ず冒険者ギルドも大きく動く事になります。今回のサンダーブレード作戦に於いても、ベリア様のアリバイ工作をしておりますが完全に別の戦力が欲しい所です」
「何度も同じようなアリバイ工作は出来ないからな」
「2つ目はオリヴィア様の戦闘面の素養です。魔法適性としてはまだ発現しておりませんが、雷属性があります。今後の旅路にて非常に有用な魔法適性です」
「雷属性か…それは熱いな。でも勧誘するにはハードルが高いぞ、まだ出会って半日だ」
「まだあります。3つ目はマスターとベリア様との戦闘面での相性の良さです。ベリア様は近距離戦がメインで、マスターは使用する武器次第で変わりますが近距離は苦手です。オリヴィア様の魔法適性を開眼させれば、広範囲の戦闘をカバー出来ます。特に悪天候時の雷属性の攻撃は敵としては脅威です、例えばですが雷魔法向けの誘導弾をマスターが撃ち込み、そこへオリヴィア様に雷魔法を発動させるだけで敵戦力を効率的に無力化が可能になります」
「そうは言うけど、それはオリヴィア次第だろ。戦うのが嫌って言われたらそこで話はおしまいだ。それにベリアにはどう説明する?」
「そこは上手く口説き落として下さい」
「…本当に、無茶を言うぜ」
イズミはマスタングとの魔法通信を切断すると、分厚い雲に覆われた空を見あげた。
明日実行予定のサンダーブレード作戦よりも達成難易度が高そうな話である。
「何かあったのかい?」
「いや大丈夫だ…オリヴィアだったな、そのピアスは外せるなら外したいか?」
「当然さ、見てくれよこの悪趣味極まりないピアスをさぁ!」
オリヴィアが立ち上がるとイズミの元まで移動して来て、両方の乳頭を貫通しているピアスに付いている悪趣味なパーツを見せてくる。
何かしらの魔物の牙だろうか、金属製に見える棒…確かシャフト…の両端が魔物の牙…此方はキャッチ…になっている。
更にシャフトとキャッチの間にはUの字に曲げられたパーツが付けられており、そこにもゴツい牙が付いていたのだ。
牙をアクセサリーに用いる民族が居るのは分かるが、この使い方はいかがなものか。
イズミ基準でかなり甘く判断しても、悪趣味ではないと否定する事は出来なかった。
しかも立って近付いて来たから分かったが、乳頭以外にもピアスが付けられていたのだ。
付けているピアスによってはお洒落と言えるのかもしれないが、全て魔物の牙なので無理矢理付けた貴族は相当な悪趣味な変態の類いなのだろう。
見ず知らずの他人をどうこう言うのは良くないが、今回は例外として扱っても良いと思う。
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※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
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