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第二十七章 サンダーブレード作戦
閑話 解放された女の話
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イズミと別れてからのオリヴィアは。
金貸しの拠点に姿を現し、借金の返済作業をしていた。
「オリヴィア、こんな大金どうやって調達したんだ?」
厳つい顔の男がオリヴィアが持って来た布袋から金貨を取り出し、怪訝そうな表情で尋ねた。
「私に惚れ込んだ良い男が居てね、俺だけの女になってくれって迫られてさ!借金があるって言ったら全額ポンとくれたんだよ」
「俺が言うのも変な話だが、怪しい男じゃないよな。あの牙も気に入ったってんなら、かなり悪趣味寄りな男じゃないのか?」
「面白いし、何より良い男だよ。それとあの悪趣味なピアスだけどさ…外せたんだよ」
「何っ!?アレは確か呪いが付いてて、有名な術者でも解除出来ないって言われてただろ」
金貨を数えていた男が作業を止めると、オリヴィアの方へ顔を向ける。
「もう私はその男の女だからお触りは無しだけど、確認までなら良いよ?ホラ」
オリヴィアは特に気にした様子も無く服から胸を出し、あの悪趣味なピアスから解放された事を事実として男に見せつけた。
そして、新たなピアスを見た男の表情は瞬く間に固く青ざめ、オリヴィアに胸を仕舞わせてからボソリと言った。
「オリヴィア。そのピアスは貴族や商人に見せない方が良い」
「見せないよ!もう男ならあの人にしか見せるつもりも無いさ」
「違う、そのピアスに使われてる素材がヤバいんだよ…俺の目が狂ってなければ、恐らく白金製だ」
「白金!?」
「俺は一度だけ白金金貨を拝んだ事があるんだ。忘れもしない、その白金金貨の輝きにソックリ…いやそれ以上だ。恐らく純度が違うんだ」
「そ、そんなピアスを私」
「オリヴィア…お前まさか」
「全部コレに付け替えてもらっちゃった」
オリヴィアの告白を聞いた男は、大きなため息と共に頭を抱えた。
「とんでもない男に惚れ込まれたみたいだな、オリヴィア」
「でも昨日は私を抱いてくれなかったんだけど」
「そんな超高級品をプレゼントするような男だ、本当に自分の女になってからじゃないと抱きたく無かったんじゃないか?」
「まさかぁ?」
「そんな男が居てもおかしくは無いだろうよ…確かに借金分は利子付きでシッカリ受け取った、これで晴れて自由の身だな」
「…へへっ。色々とあったけど、世話になったね」
オリヴィアは残金の入った布袋を手に建物を出ようとした時、男から軽く引き止められた。
「…オリヴィア、その左手のは何だ?」
「あぁコレかい?御守りだってさ。いざと言う時に頼りになる、らしいけど」
「いざって時ねぇ…オリヴィアにそんなの来るのか?ウチの若いのをまとめて相手しても余裕なのに」
「失礼だね!私も女だよ」
「…だな。達者でな、オリヴィア」
オリヴィアは男の送り出しを背に清々しい気持ちで建物を出ると、昨日イズミに出会った飯屋へ顔を出す。
「あらオリーちゃん!今日は朝からかい?」
「いや、昨日で全部解決したんだ」
満面の笑みで答えたオリヴィアに対して、その意味を理解した店主の奥さんがオリヴィアにハグをすると、背中を叩きながらテーブル席に座らせる。
「それはめでたいねぇ!ちょっとアンタ、オリーちゃんにランチセット1つ!店の奢りだよ」
「ちょっと、それは流石に」
「良いんだよ、オリーちゃんには店で暴れた客を何度も抑えてくれたり、アタシ達も助かってたんだから」
そんな会話を聞いていた客の何人かがオリヴィアに近付くと、嬉しそうに声をかけた。
「なんだなんだ?オリーちゃん、やっと借金返済出来たのか?」
「色々あったけど、何とかね」
「そしたら前々から言ってた冒険者に登録申請するのか!」
男の質問を聞いたオリヴィアは少し考えてから答えた。
「…いや。私にベタ惚れの良い男と一緒に、旅でもしようと思ってるよ」
「そんな…オリーちゃんヒュミトールから出てっちまうのか!?」
大声を上げた男の言葉を聞いた周囲の客達も、一斉にオリヴィアの方を向いた。
言い方はガサツめな男達だが、この店の常連達はオリヴィアの事を心配していたようだ。
「梅雨明け迄は居るけど、もう売りはしないって決めたから。その辺は諦めてくれよ?」
「そんなぁ!…オリーちゃん、なんか良い匂いがするけど、香水とか使ったのか?」
「香水なんて高級品はお貴族様の使う物で、私が使える訳ないでしょ。朝から温泉に入ってたけど、その時に小さい柚子を何個か浮かべてたくらいで」
「柚子って近くの店にも売ってるやつだよな…そんな効果があるのかよ?」
「それ以外は思い当たらないね」
オリヴィアから良い匂いを嗅ぎ取った男は、良い情報を聞いたとばかりに笑顔を見せると足早に行動を開始した。
店の人間に一声かけてから柚子を買いに行き、小さめの布袋1杯に詰め込んで来たのだ。
「オリーちゃん、これは良い商売になるかもしれないぞ」
「なんでさ?」
「小さい柚子は安くてもあまり売れないからな。温泉に浮かべて良い香りを身にまとえて、使い終わったら魔獣の餌に出来たりしたら…良い金の流れを生み出せるかも」
「そんな美味しい話にはならないと思うけどね。ま、試してみたらどうだい?」
こんなやりとりも梅雨明け迄、いや今日で終わるかもしれないと思うと少しだけ寂しいものがあったが、今のオリヴィアには何とも言えない未来への期待感が勝っていた。
この数日後に私にベタ惚れの男…イズミと名乗っていた良い男…の賃貸にて生活を始めた結果とんでもない経験をする事になるとは、今のオリヴィア自身でも全く想像していないのであった。
金貸しの拠点に姿を現し、借金の返済作業をしていた。
「オリヴィア、こんな大金どうやって調達したんだ?」
厳つい顔の男がオリヴィアが持って来た布袋から金貨を取り出し、怪訝そうな表情で尋ねた。
「私に惚れ込んだ良い男が居てね、俺だけの女になってくれって迫られてさ!借金があるって言ったら全額ポンとくれたんだよ」
「俺が言うのも変な話だが、怪しい男じゃないよな。あの牙も気に入ったってんなら、かなり悪趣味寄りな男じゃないのか?」
「面白いし、何より良い男だよ。それとあの悪趣味なピアスだけどさ…外せたんだよ」
「何っ!?アレは確か呪いが付いてて、有名な術者でも解除出来ないって言われてただろ」
金貨を数えていた男が作業を止めると、オリヴィアの方へ顔を向ける。
「もう私はその男の女だからお触りは無しだけど、確認までなら良いよ?ホラ」
オリヴィアは特に気にした様子も無く服から胸を出し、あの悪趣味なピアスから解放された事を事実として男に見せつけた。
そして、新たなピアスを見た男の表情は瞬く間に固く青ざめ、オリヴィアに胸を仕舞わせてからボソリと言った。
「オリヴィア。そのピアスは貴族や商人に見せない方が良い」
「見せないよ!もう男ならあの人にしか見せるつもりも無いさ」
「違う、そのピアスに使われてる素材がヤバいんだよ…俺の目が狂ってなければ、恐らく白金製だ」
「白金!?」
「俺は一度だけ白金金貨を拝んだ事があるんだ。忘れもしない、その白金金貨の輝きにソックリ…いやそれ以上だ。恐らく純度が違うんだ」
「そ、そんなピアスを私」
「オリヴィア…お前まさか」
「全部コレに付け替えてもらっちゃった」
オリヴィアの告白を聞いた男は、大きなため息と共に頭を抱えた。
「とんでもない男に惚れ込まれたみたいだな、オリヴィア」
「でも昨日は私を抱いてくれなかったんだけど」
「そんな超高級品をプレゼントするような男だ、本当に自分の女になってからじゃないと抱きたく無かったんじゃないか?」
「まさかぁ?」
「そんな男が居てもおかしくは無いだろうよ…確かに借金分は利子付きでシッカリ受け取った、これで晴れて自由の身だな」
「…へへっ。色々とあったけど、世話になったね」
オリヴィアは残金の入った布袋を手に建物を出ようとした時、男から軽く引き止められた。
「…オリヴィア、その左手のは何だ?」
「あぁコレかい?御守りだってさ。いざと言う時に頼りになる、らしいけど」
「いざって時ねぇ…オリヴィアにそんなの来るのか?ウチの若いのをまとめて相手しても余裕なのに」
「失礼だね!私も女だよ」
「…だな。達者でな、オリヴィア」
オリヴィアは男の送り出しを背に清々しい気持ちで建物を出ると、昨日イズミに出会った飯屋へ顔を出す。
「あらオリーちゃん!今日は朝からかい?」
「いや、昨日で全部解決したんだ」
満面の笑みで答えたオリヴィアに対して、その意味を理解した店主の奥さんがオリヴィアにハグをすると、背中を叩きながらテーブル席に座らせる。
「それはめでたいねぇ!ちょっとアンタ、オリーちゃんにランチセット1つ!店の奢りだよ」
「ちょっと、それは流石に」
「良いんだよ、オリーちゃんには店で暴れた客を何度も抑えてくれたり、アタシ達も助かってたんだから」
そんな会話を聞いていた客の何人かがオリヴィアに近付くと、嬉しそうに声をかけた。
「なんだなんだ?オリーちゃん、やっと借金返済出来たのか?」
「色々あったけど、何とかね」
「そしたら前々から言ってた冒険者に登録申請するのか!」
男の質問を聞いたオリヴィアは少し考えてから答えた。
「…いや。私にベタ惚れの良い男と一緒に、旅でもしようと思ってるよ」
「そんな…オリーちゃんヒュミトールから出てっちまうのか!?」
大声を上げた男の言葉を聞いた周囲の客達も、一斉にオリヴィアの方を向いた。
言い方はガサツめな男達だが、この店の常連達はオリヴィアの事を心配していたようだ。
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「そんなぁ!…オリーちゃん、なんか良い匂いがするけど、香水とか使ったのか?」
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店の人間に一声かけてから柚子を買いに行き、小さめの布袋1杯に詰め込んで来たのだ。
「オリーちゃん、これは良い商売になるかもしれないぞ」
「なんでさ?」
「小さい柚子は安くてもあまり売れないからな。温泉に浮かべて良い香りを身にまとえて、使い終わったら魔獣の餌に出来たりしたら…良い金の流れを生み出せるかも」
「そんな美味しい話にはならないと思うけどね。ま、試してみたらどうだい?」
こんなやりとりも梅雨明け迄、いや今日で終わるかもしれないと思うと少しだけ寂しいものがあったが、今のオリヴィアには何とも言えない未来への期待感が勝っていた。
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