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第二十七章 サンダーブレード作戦
第五百六十五話 貸し1つ
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キメラ兵士がショットガンを殴り付けると、バゴンと音を立ててフレームを歪ませ地面へと落ちる。
イズミはバックステップで少しでも距離を稼ぎながら、2丁拳銃を抜いてキメラ兵士の身体に銃弾をお見舞いし続けた。
2丁拳銃が弾切れになったが弾倉交換をしている時間的余裕は無く、やむを得ず購入したばかりの大型ナイフを右手で抜いた。
ヒュミトールのドワーフ工房が鍛え上げたアダマンタイト製のナイフはその重さと斬れ味の良さも相まって、キメラ兵士の左手を両断すると、流石に兵士も驚いたのか一旦距離を取って再生をさせる。
「この身体を斬れるとは、素晴らしいナイフだ。お前を始末したら私が使わせてもらうとしよう」
キメラ兵士はイズミとの距離を一気に詰めると、その強靭な肉体と再生能力を活かしイズミを追い込んでゆく。
慣れないナイフ戦闘で身体のバランスが崩れた瞬間に、キメラ兵士の右ストレートがイズミの腹部目掛けて放たれた。
間一髪の所でイズミの左手が右ストレートをさばいた瞬間にパチリとした音が鳴ると、キメラ兵士の右手が突如深紅の炎に包まれた。
その炎の勢いは強く、上腕二頭筋までをその炎で包むと一気に燃やしてしまった。
「防御魔法か…小癪な事を」
キメラ兵士が燃える右腕の再生に手間取っている今、イズミは発火した理由も分からず混乱しているがこのチャンスを逃すのは悪手と言わんばかりにナイフを持ち直すと、キメラ兵士の心臓部…人間であったら其処にある筈…を突き刺すべく突進する。
ナイフはキメラ兵士の肥大化した左腕と腕を覆う外骨格のようなものに防がれてしまったが、まだ右腕が再生を終えていないので代わりとばかりに蹴りが飛んできた。
「マスター、腕時計の魔法返しが発動しました」
「魔法返し?アレは確か発動条件が不明だったはず」
「戦闘を分析した結果、腕時計あるいは腕時計を着用している手が相手に触れると、条件反射的に発動するものと考えられます」
「ベリア達が活用するより、かなり発動条件が厳しいな。高リスクだが、試してみる価値はある」
イズミは再度キメラ兵士にナイフを刺しに行く動作で接近すると、ナイフを防ぐキメラ兵士の左腕に自身の左手に付けられた腕時計を当てるような要領で裏拳を入れた。
するとまたパチリと音がしてキメラ兵士の左腕が炎に包まれ、ナイフへの防御が薄くなる。
イズミはナイフを逆手に握ると、キメラ兵士の頭部へ勢い良く刺し、しっかりとその長い刃を突き立てた。
キメラ兵士は頭部にナイフを突き刺されても動きが鈍る事すら無く、飛ぶようにしてイズミから距離を取ると燃えて無くなってしまった両腕の再生を急ぐように身体に力を入れる。
「グゥ!」
そんなうめき声と共にキメラ兵士の両腕が勢い良く再生すると、頭部に深々と刺さったナイフに手を掛ける。
イズミは残り僅かになった2丁拳銃の弾倉を手大雨の影響で地面に滑り落としそうになりながらも装填し、キメラ兵士に向けて射撃姿勢を取った。
「ようやく、この身体に慣れて来たぞ。なんと素晴らしい力だ、戦うのが楽しくて仕方が無い!」
頭部にナイフが刺さったまま言葉を発すると、ゆっくりとナイフを引き抜き始めた。
それと同時に、思わず身体を竦ませてしまうような轟音が戦場を襲った。
落雷だ。
激しい閃光で視界が奪われてしまい、イズミは身体を丸めながら左手で光を遮るように守ったが、身の毛もよだつ程の雷鳴は直近の場所に落ちたように思える。
『イズミ。これで私に貸し1つ、だよ』
そんな声が聞こえた気がしたのでキメラ兵士を警戒しつつ周囲を見渡すも、それらしい誰の姿も確認出来なかった。
「…今の声は?」
そう呟いたイズミの視界が安定して来たので、2丁拳銃をキメラ兵士に向けて構えるが、もうその必要は無くなっていた。
キメラ兵士はナイフに手をかけた体勢で死んでいた。
恐らくナイフが雷の落下地点になり、キメラ兵士の肉体を雷の高電圧が襲ったのだろう。
その死に様はまるで天に祈りを捧げているかのようにも見えるが、その頭部にはナイフが突き刺さっているので台無しである。
イズミは左手に持っていた拳銃をホルスターに仕舞い込むと、戦闘用のライトに持ち替えてキメラ兵士を照らす。
劇薬の影響なのかは分からないが、黒茶色をしたキメラ兵士の肉体が急速に石灰色へ変わってゆく。
「返して貰うぞ。お前が持つには過ぎた代物だ」
キメラ兵士の死体に近付き石灰色に変わった手を退かし、アダマンタイト製のナイフを何とか引き抜いて鞘へ納めた。
すると死体はまた急速に硬化を始めたのか、石化でもしたかのように固くなり所々にヒビも入っている。
「…気に入らんな」
イズミは右手に持っていた拳銃をホルスターに仕舞うと、バックサイドに眠らせているシングルアクション式のリボルバーを抜いた。
マスタング特製の炸裂弾が込められているリボルバーのハンマーを起こすと、ナイフの刺さっていた頭部へ向けて1発撃ち込んだ。
キメラ兵士の石化したような頭部が粉々に砕け散ると、肉体部分はゴトリとその場に倒れ込みヒビの入っていた箇所から割れ、残骸のように転がったのだった。
リボルバーをバックサイドのホルスターに仕舞い込み、使えなくなったショットガンを回収する。
戦闘中に落としたイヤリングを軽く探してみるが、この大雨の中では見つけられそうにない。
そうこうしている内に、マスタングがベリアを乗せて戻って来た。
「イズミ、無事か!?」
「何とかな。そっちはどうだったんだ」
「此方は余裕だな。この大雨の中でもバッチリ火魔法が使って、燃やしまくってやったぞ」
ベリアとマスタングにしてみれば、あのキメラ兵士は恐れるに足りぬ存在だったようだ。
これでは自分だけが苦戦を強いられていたようにしか思えない。
「俺は手持ちの武装でもギリギリだったのに」
「魔法が使えないと厄介ではあるな。あの再生能力は敵にすると辛い」
「まぁ良いさ、倒せた訳だし」
「どうやって倒したんだ?」
ベリアの問いに対して、イズミは少しだけ考えてから答えた。
「不慮の事故」
「何だそれ?」
「ナイフを頭に刺してやったんだが、そのナイフに目掛けて雷が落ちたらしい」
「それで死んだと」
「そうなる」
「…イズミ。今度アルハ様にお礼をした方が良いな」
アルハは雨の精霊であるが、現在は雷の精霊の仕事も兼務している。
雷がキメラ兵士に直撃したとなれば、其処には多少なりともアルハの介入がある、ベリアはそう考えたのだ。
「…貸し1つ、か。助けられたんだな」
イズミは戦闘中に聞こえた言葉を思い出すと、小さく呟いた。
イズミはバックステップで少しでも距離を稼ぎながら、2丁拳銃を抜いてキメラ兵士の身体に銃弾をお見舞いし続けた。
2丁拳銃が弾切れになったが弾倉交換をしている時間的余裕は無く、やむを得ず購入したばかりの大型ナイフを右手で抜いた。
ヒュミトールのドワーフ工房が鍛え上げたアダマンタイト製のナイフはその重さと斬れ味の良さも相まって、キメラ兵士の左手を両断すると、流石に兵士も驚いたのか一旦距離を取って再生をさせる。
「この身体を斬れるとは、素晴らしいナイフだ。お前を始末したら私が使わせてもらうとしよう」
キメラ兵士はイズミとの距離を一気に詰めると、その強靭な肉体と再生能力を活かしイズミを追い込んでゆく。
慣れないナイフ戦闘で身体のバランスが崩れた瞬間に、キメラ兵士の右ストレートがイズミの腹部目掛けて放たれた。
間一髪の所でイズミの左手が右ストレートをさばいた瞬間にパチリとした音が鳴ると、キメラ兵士の右手が突如深紅の炎に包まれた。
その炎の勢いは強く、上腕二頭筋までをその炎で包むと一気に燃やしてしまった。
「防御魔法か…小癪な事を」
キメラ兵士が燃える右腕の再生に手間取っている今、イズミは発火した理由も分からず混乱しているがこのチャンスを逃すのは悪手と言わんばかりにナイフを持ち直すと、キメラ兵士の心臓部…人間であったら其処にある筈…を突き刺すべく突進する。
ナイフはキメラ兵士の肥大化した左腕と腕を覆う外骨格のようなものに防がれてしまったが、まだ右腕が再生を終えていないので代わりとばかりに蹴りが飛んできた。
「マスター、腕時計の魔法返しが発動しました」
「魔法返し?アレは確か発動条件が不明だったはず」
「戦闘を分析した結果、腕時計あるいは腕時計を着用している手が相手に触れると、条件反射的に発動するものと考えられます」
「ベリア達が活用するより、かなり発動条件が厳しいな。高リスクだが、試してみる価値はある」
イズミは再度キメラ兵士にナイフを刺しに行く動作で接近すると、ナイフを防ぐキメラ兵士の左腕に自身の左手に付けられた腕時計を当てるような要領で裏拳を入れた。
するとまたパチリと音がしてキメラ兵士の左腕が炎に包まれ、ナイフへの防御が薄くなる。
イズミはナイフを逆手に握ると、キメラ兵士の頭部へ勢い良く刺し、しっかりとその長い刃を突き立てた。
キメラ兵士は頭部にナイフを突き刺されても動きが鈍る事すら無く、飛ぶようにしてイズミから距離を取ると燃えて無くなってしまった両腕の再生を急ぐように身体に力を入れる。
「グゥ!」
そんなうめき声と共にキメラ兵士の両腕が勢い良く再生すると、頭部に深々と刺さったナイフに手を掛ける。
イズミは残り僅かになった2丁拳銃の弾倉を手大雨の影響で地面に滑り落としそうになりながらも装填し、キメラ兵士に向けて射撃姿勢を取った。
「ようやく、この身体に慣れて来たぞ。なんと素晴らしい力だ、戦うのが楽しくて仕方が無い!」
頭部にナイフが刺さったまま言葉を発すると、ゆっくりとナイフを引き抜き始めた。
それと同時に、思わず身体を竦ませてしまうような轟音が戦場を襲った。
落雷だ。
激しい閃光で視界が奪われてしまい、イズミは身体を丸めながら左手で光を遮るように守ったが、身の毛もよだつ程の雷鳴は直近の場所に落ちたように思える。
『イズミ。これで私に貸し1つ、だよ』
そんな声が聞こえた気がしたのでキメラ兵士を警戒しつつ周囲を見渡すも、それらしい誰の姿も確認出来なかった。
「…今の声は?」
そう呟いたイズミの視界が安定して来たので、2丁拳銃をキメラ兵士に向けて構えるが、もうその必要は無くなっていた。
キメラ兵士はナイフに手をかけた体勢で死んでいた。
恐らくナイフが雷の落下地点になり、キメラ兵士の肉体を雷の高電圧が襲ったのだろう。
その死に様はまるで天に祈りを捧げているかのようにも見えるが、その頭部にはナイフが突き刺さっているので台無しである。
イズミは左手に持っていた拳銃をホルスターに仕舞い込むと、戦闘用のライトに持ち替えてキメラ兵士を照らす。
劇薬の影響なのかは分からないが、黒茶色をしたキメラ兵士の肉体が急速に石灰色へ変わってゆく。
「返して貰うぞ。お前が持つには過ぎた代物だ」
キメラ兵士の死体に近付き石灰色に変わった手を退かし、アダマンタイト製のナイフを何とか引き抜いて鞘へ納めた。
すると死体はまた急速に硬化を始めたのか、石化でもしたかのように固くなり所々にヒビも入っている。
「…気に入らんな」
イズミは右手に持っていた拳銃をホルスターに仕舞うと、バックサイドに眠らせているシングルアクション式のリボルバーを抜いた。
マスタング特製の炸裂弾が込められているリボルバーのハンマーを起こすと、ナイフの刺さっていた頭部へ向けて1発撃ち込んだ。
キメラ兵士の石化したような頭部が粉々に砕け散ると、肉体部分はゴトリとその場に倒れ込みヒビの入っていた箇所から割れ、残骸のように転がったのだった。
リボルバーをバックサイドのホルスターに仕舞い込み、使えなくなったショットガンを回収する。
戦闘中に落としたイヤリングを軽く探してみるが、この大雨の中では見つけられそうにない。
そうこうしている内に、マスタングがベリアを乗せて戻って来た。
「イズミ、無事か!?」
「何とかな。そっちはどうだったんだ」
「此方は余裕だな。この大雨の中でもバッチリ火魔法が使って、燃やしまくってやったぞ」
ベリアとマスタングにしてみれば、あのキメラ兵士は恐れるに足りぬ存在だったようだ。
これでは自分だけが苦戦を強いられていたようにしか思えない。
「俺は手持ちの武装でもギリギリだったのに」
「魔法が使えないと厄介ではあるな。あの再生能力は敵にすると辛い」
「まぁ良いさ、倒せた訳だし」
「どうやって倒したんだ?」
ベリアの問いに対して、イズミは少しだけ考えてから答えた。
「不慮の事故」
「何だそれ?」
「ナイフを頭に刺してやったんだが、そのナイフに目掛けて雷が落ちたらしい」
「それで死んだと」
「そうなる」
「…イズミ。今度アルハ様にお礼をした方が良いな」
アルハは雨の精霊であるが、現在は雷の精霊の仕事も兼務している。
雷がキメラ兵士に直撃したとなれば、其処には多少なりともアルハの介入がある、ベリアはそう考えたのだ。
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