異世界無宿

ゆきねる

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第二十七章 サンダーブレード作戦

第五百六十六話 地下へ

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イズミはイヤリングの紛失をベリアに告げて今日の戦闘中は魔法通信が使えない状況を説明すると、マスタングに頼みキメラ兵士に使いすぎた分の弾を補充する。

フルオートショットガンは損傷が酷いのか今日中の修復は困難との事で、セミオートのショットガンに切り替えドラムマガジンはトランクに仕舞った。
2丁拳銃の予備弾倉を実体化してもらいベルトのマガジンポーチにねじ込み、念の為にバックサイドのホルスターで眠っているリボルバーの弾も補充を済ませる。

「あのキメラ兵士とは相性が悪いぜ。どれだけ撃っても再生されちゃ、双六で振り出しに戻るようなもんだ」

「弾頭に効果付与を施す必要がありますが、それは後日調整しましょう。今はあの建造物の地下にある拠点を叩く事が先決です」

「ついでに個人携帯の可能な火炎放射器とかも欲しいな」

「今日中での実体化は困難です」

イズミの掛けているメガネに情報が表示されると、残骸に埋もれるように地下への入口がある場所がポイントされた。

「ベリア様、先程お渡ししたゴーグルを装着して下さい。情報を送ります」

「分かった…なんだ?其処に地下へ続く扉があるじゃねぇか」

「マスタング、いつの間に」

ベリアはアイテムボックスからゴーグルを取り出すと、表示されている情報を元に地下への入口がある場所周辺にある残骸を風魔法で綺麗に吹き飛ばす。

「大雨の中でクリアな視界の確保をさせるべく、複数の効果付与を施したゴーグルをお渡ししました」

「一応、効果付与の内訳を聞いても?」

「基本スペックはマスターの使用するメガネと一緒ですが、より目を守る機能を強化しております。急激な光から目を守るオートフィルター機能、悪天候時でも視界を確保する調整機能、視覚情報から影響を受ける魔法に対する防御機能、一撃までならアダマンタイト製の武器からの攻撃に耐えうる耐久性があります」

「驚愕の性能だな。光は微妙だが俺の使ってるメガネも曇らないな」

「良好な視界の確保は最低条件ですので」

ベリアが地下への入口に近付き罠の有無を確認すると、頑丈に固められた土で閉じられているだけだったので、マスタングに小型ミサイルを発射してもらい破壊する。
爆発後の煙をベリアが風魔法で綺麗に飛ばすと、イズミはセミオートショットガンを構えて地下へと続く階段に近付き魔法反応の有無を確かめた。

「マスタング、索敵を頼む」

「かしこまりました…地下には20人が待ち構えているようです」

「2対20でアンブッシュ、しかも暗くて狭いとくれば…」

ショットガンの銃口を静かに階段へ向けると、挨拶代わりの散弾を6発程撃ち込んで反応を確かめる。
ショットシェルを込めながらベリアの聴力で確認してもらうと、もう少し奥に下がったらしい。

イズミは戦闘用のライトを取り出すと、身体から離すように手を伸ばしながら階段の先を照らす。

「…ベリア、どう見る?」

「一気に攻めるのは厳しいな。此方が圧倒的に不利だ」

「だよなぁ…マスタング、地下拠点の大まかなレイアウトを解析して表示してくれ」

「かしこまりました」

マスタングが自動運転で近付いてくると、地面の下の空洞をスキャンした結果を2人に展開する。

「他にも出入口があるな…此処は開けちまったから潰して、別の方から攻めるか」

ベリアは広い空間に一番近い出入口まで静かに移動すると、また罠が仕掛けられていないかを確かめる。
イズミはマスタングに指示を出し、先程ショットガンを撃ち込んだ入口に火炎放射を浴びせてから、丁寧に入口を塞いでしまう。

「…逃げ出して来ないな」

火炎放射の影響で地下への出入口から煙が登っては来たものの、兵士は1人たりとも退避しては来なかったのだ。

「1カ所からの攻撃では地下内での移動のみで回避しきれたと思われます。2名は反応が消失しました」

「残り18人…突入はハイリスクだし、水責めでもするか?貯水池の水を少し拝借して、この地下を水没させるとか」

イズミは離れた所にて鋭意作成中である貯水池のある方角を指差し、魔法で対応は可能かを確かめる。

「火が駄目なら水、確かに悪くは無いけど…地下に何かしら帝国兵の保有の情報があったらどうする?水没したら見れなくなるかもしれないし」

「ベリアの転移魔法で羊皮紙とかで形のある資料を拝借するってのは?」

「まだそんな器用な事は出来ないな」

証拠品のロストは痛いので水没作戦は無しになり、ベリアの転移魔法を有効活用しての拝借も難しいようなので、また別の策を講じる必要がある。
それも速やかにだ。

「イズミ、ゴーグルに表示されてる地下のマップだけどさ、資料がありそうな場所を地上から掘って進むってのはどうだ?」

「俺はスコップ、ベリアは魔法でか?時間がかかるぞ…間違い無く半日じゃ終わらない」

「いや、ここはマスタングの火力でゴリ押せばイケると思うぞ」

ベリアは地面を足で軽く踏み直すと、一度ナイフを仕舞ってから話を進める。

「敵も地下拠点を魔法で作ってると考えるとして、恐らく潰れないように補強はしているし、侵入者用のトラップも仕掛けられてるはず。だから要所を上側からピンポイントで攻撃して入口を自作して、そこから突入して資料があれば回収する。敵は倒す」

「悪くは無いが…マスタング、この案はどうだ?」

火炎放射器を収納したマスタングにこのピンポイント攻撃案が対応可能かを聞いてみると、あっさりと可能と返事が来た。

「地下拠点までの直線距離も短いので小型ミサイルをバンカーバスターの要領で撃ち込み通路を作成、マスターとベリア様がその通路から突入し敵を殲滅及び証拠品等が有れば回収。撤収はベリア様の身体能力に頼りジャンプで地上へ戻って来れば完了となります」

「ロープでの脱出じゃ駄目なのか?映画であるだろ、ヘリからロープを垂らして」

「それでも問題はありません」

「なら決まりだ。脱出はマスタングから垂らしてもらうロープだ…因みにだが、地下拠点へ突入するのもロープで良いよな?」

「ベリア様はロープ無しでも問題ありませんが、マスターはロープで降下した方が良いかと。実戦経験はありますか?」

「あるわけ無いだろ、初挑戦だ」

完全に行き当たりばったりな突入作戦であるが、既にベリアは準備ができているようなので、後は自分次第である。

「バンカーバスターなら内部がとんでもない事になってそうだが…気にしたら負けか。じゃあ、突入するとしますか!」

敵の位置をメガネで確認すると、突入予定の広い空間には敵兵が4人居るのが分かる。
その空間へと続く唯一の通路は、出ると直ぐに左右に分かれており、その先に2人ずつ出入口方面を警戒している迄は把握が出来た。

イズミはマスタングが用意したロープを手に取ると、降下準備をする。
ぶっつけ本番どんと来い。きっと、成せば成るものである。
ベリアと一緒に弾着予定地点から少し離れマスタングに合図を送ると、小型ミサイルが発射されて地面へ激突した。

随分とサイズ感からは想像出来ないような派手な爆煙が上がると、地面に直径2m程の穴が空いていた。
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