異世界無宿

ゆきねる

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第二十七章 サンダーブレード作戦

第五百六十七話 スマートにやろう

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イズミが穴にロープを垂らした所でベリアが先んじて風魔法で視界の確保をしてくれたので、先行で降下を開始した。
アクション映画で見た記憶の通りに降下すると、着地時に減速が上手く出来ずに体勢を崩したが戦闘に支障は余り無かった。

小型ミサイルは広い空間までの穴を開ける事に比重が置かれており、空間内にて構えていた敵兵は死んではいないものの、負傷はしていたのでイズミが降下し終えた時点で反撃までは出来なかったのだ。
空間は十畳程の部屋になっており簡素なテーブルや椅子があり、半分はミサイルの影響で壊れている。
所々に証拠品になり得る可能性のある書類のような物もあった事までは瞬時に分かった。

ベリアが部屋に飛び降りて来る前に素早く2丁拳銃をホルスターから抜き、取り敢えず事前に確認していた魔法反応…4人の敵兵…へ向けて射撃を行った。

撃ち込んだ敵兵のうち3人は人間の姿形はしていたものの既にキメラ兵士になっており、イズミの撃ち込んだ銃弾が与えた肉体的損傷はその身が持つ再生能力で修復されてゆく。
だがイズミが先程まで戦っていたキメラ兵士よりは再生速度が遅いようで、2丁拳銃の弾切れ直前に突入をして来たベリアの火魔法で瞬時に灰へと変わっていった。

まだ人間の姿をしている敵兵の1人は、イズミが撃ち込んだ銃弾が左脇腹辺りに当たったのか、両手で押さえながらうめき声をあげている。

「キメラ兵士になってないのか…コイツは生け捕りにして、色々と話を聞かせて貰うことにしようか」

「分かった、気絶させておく」

ベリアがナイフで男の頭を殴り付けると、その場でバタリと倒れ込んで静かになった。

「勿体無いけど、ポーションを使っておくぞ。死なれると話も聞けないし」

「よろしく頼む」

空になった弾倉を地面に落とし左手に持っていた拳銃を右手で保持すると、腰にある予備弾倉を2本取り出して拳銃に挿入する。
しっかりと挿し込まれた事を確認し左手でも拳銃を握ると、スライドストップを操作して射撃可能にした。

「俺が敵を引き留めておくから、証拠品の回収を頼む」

「分かった」

ベリアがアイテムボックスに勢い良く部屋内にある物を収納していると、通路にて警戒をしていた兵士達が異変に気付いたのか、この部屋へと移動をして来たのですかさず応戦した。

2丁拳銃で瞬間的な弾幕を張り敵兵の動きを止めると、それをホルスターに押し込んでセミオート式ショットガンに持ち替え、部屋へ突入を試みる敵兵を通路へと押し返してゆく。

「回収完了っと!イズミ、通路に顔を出すなよ」

イズミがショットガンに弾込めをしている途中でベリアが回収を終え、諦めずに突入を続ける敵兵へ向けて火魔法で攻撃をした。

その魔法はファイアーボールではなく、マスタングが使うような火炎放射に近いものだった。
その火魔法には攻撃動作が無く、ベリアの目の前に火球が現れたと思えば、その火球が火元となって放射されているようだった。

敵兵の悲鳴が聞こえたかと思えば、直ぐにそれは途絶えて火炎放射の音だけが残る。

「よし、撤収だ」

攻撃を終えたベリアがイズミに声をかけると、イズミはショットガンをショルダーバッグに収納してマスタングから垂れているロープを掴む。

「突入!」

敵兵の声が聞こえると同時にキメラ兵士が3名、部屋へと突入を開始する。
ベリアは生け捕りにした敵兵を抱えて部屋から脱出し、残されたイズミは右手で拳銃を抜き10発全弾を撃って相手の動きを鈍らせる。

「マスタング!」

弾切れと共にロープが引き上げられ、敵兵の攻撃はイズミに命中する事はなく部屋の壁にぶつかる音がした。
イズミは地上に到着すると、大穴から敵兵が飛んでこないようにグレネードランチャーを1発撃ち込み、その後でマスタングの小型ミサイル攻撃で完全に塞いだ。

「さて。生け捕りにしたコイツ、誰に引き渡すんだ?」

「俺にそんな事聞かれてもなぁ、フラウリアさんに相談してみよう」

ベリアの質問への回答に困ったイズミは、早速マスタングに頼んでフラウリアに連絡を取る。

「あらイズミ様、どうしました?」

「帝国兵の1人を生け捕りにしたのですが、何方に尋問をお願いすべきか判断に困りまして。証拠品になり得そうな物も確保してます」

「そう言う事でしたら…我々が一旦引き取りまして、関係各所に話をしてみますよ。証拠品は戻られてから、改めて確認する事にしましょう」

ベリアの足元から白蛇が姿を見せると帝国兵を一気に丸呑みし、そのままふわっと消えてしまった。

この白蛇はフラウリアの活用する魔法で言わば分身のような存在であり、イズミ達との意思疎通や転移魔法、果ては戦闘まで対応が出来る。
大人1人程度であれば生きたまま丸呑みをする形での身柄の確保と、そのまま転移魔法で強制的に連行する事まで出来るとても実用的な魔法である。

帝国兵の強制連行が終わった辺りでキメラ兵士が4名、地下拠点の出入口から姿を現すとイズミ達を発見し攻撃を仕掛けて来た。

「不届き者共め、死ね!」

キメラ兵士の1人が魔法で剣を作り出すとイズミを狙い距離を詰めるが、イズミもバックサイドに眠られているリボルバーを抜いて素早く2発撃ち込んだ。
2発の炸裂弾はキメラ兵士の胸部に命中し爆発すると、一度地面へと倒れ込む。
その間に残りの3人へ1発ずつリボルバーを撃ち込み、戦闘力を削いでベリアの攻撃に繋げた。

「よっと」

ベリアは素早く投げナイフのような物をキメラ兵士へ向けて飛ばすと、兵士の腹部に突き刺さった。
キメラ兵士が投げナイフを引き抜くよりも早く、唐突にその全身が豪火に包まれる。
4人のキメラ兵士は数秒と経たずして灰になると、その場には投げナイフだけが残っていた。

その投げナイフも勝手にベリアの手元まで帰って来たので、ベリアは何事も無かったようにアイテムボックスに収納する。

「凄い攻撃だ」

「ドワーフ工房の武器屋で買った、アダマンタイトに魔石を組み合わせた投げナイフさ。風魔法で手元に戻すのは直ぐに出来たけど、まさか火魔法にまで活用出来るとは思わなかったぞ。ちなみにアイデアはグラテミアさんが、火力調整はマスタングがしてくれたんだ」

「火力調整?」

イズミがマスタングに確認をすると、込める魔力量のアドバイスをした程度の話らしい。

「私の火炎放射にて敵兵が完全に無力化されるまでのデータが取れていましたので、そのデータを参考にベリア様の魔力で必要な火力を算出しました。訓練をすれば投げナイフ無しでも対象へ直接、この魔法攻撃が出来るようになります」

「そいつは規格外の魔法になりそうだ」

ベリアは今迄の冒険者生活において投げナイフをほとんど使った事は無かったそうだが、イズミの戦闘を見ているうちに飛び道具が欲しくなったらしい。
それもクロスボウではなく、必要であれば接近戦にて相手を刺せるナイフとしても活用出来る、投げナイフを選択したのだ。

「この距離なら何とかなるけど、もう少し練習が必要だけどな」

「転移魔法も併用すれば、バリケードに隠れた敵兵も狙えそうだ」

「まだそこまでじゃないな」

「訓練次第で出来るようになる、ってのが大事なのさ」

イズミはリボルバーをバックサイドのホルスターに仕舞うと、2丁拳銃にフル装填の弾倉を挿れて次の戦闘に備える。

残っていた帝国兵の残党はキメラ兵士にはなっていなかったので、イズミはアサルトライフルで対応しながら殲滅をしてゆくと、12時を過ぎる頃には大体の戦闘は終了していた。
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