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第二十七章 サンダーブレード作戦
第五百七十話 さらばナビゲーター(2回目)
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イズミは水門もとい放水口の拡大をする為に、何か良い方法は無いかと考え始めた。
グレネードランチャーやロケットランチャーで攻撃すれば簡単に破壊出来るかもしれないが、それで放水口どころかダムのように堰き止めをしている外壁が駄目になったら大問題なのだ。
マスタングのミサイルも同様の理由で使い難いし、何処かの偵察部隊にマスタングの攻撃を見られるのも良い気分では無い。
「綺麗に破壊するってのが、一番難しいんだよな…そう言えばホリーさんの娘さんは、どうしてこの放水口から下流へ出なかったんですか?」
「それが単なる穴じゃ無かったのさ。魚だったら通れるけどマーメイド族の身体では通過出来なくて」
イズミはメガネに放水口の情報を表示させると、放水口は網目状に作られておりギリギリ通れないサイズ感だったのだ。
コレではマーメイド族の通過は不可能だ。
「妙な所で凝ってる作りだな、この貯水池は」
大きなため息をついたイズミは、腕時計で現在時刻を確認する。
13時40分を過ぎた所だった。
そろそろヒュミトールへ戻る段取りを始めたい所だが、目の前の問題も解決しておきたい。
「…マスタング。この腕時計のアラーム機能の精度はどの位だ?」
「腕時計を中心に最大半径10m、完全球体状の爆発破壊が可能です。必要であれば爆発力の調整も出来ます」
「つまり放水口の真ん中辺りにセット出来れば、今以上の大穴も開けられるのか…」
「現在の放水口のサイズは縦横共に約1m以下です。現在は水を貯える事に重きを置いてあるようです」
「この広い貯水池で放水口がそれじゃ、確かにいずれ満水になって壊れそうだな」
「外壁の造りも良くはなく、お世辞にも強固とは言い難いです」
「水を扱うってのは、難儀なものだな。アラーム機能は水中でも使えるのか?」
「当然です」
「なら現時点で必要だと思われる放水口の大きさにまで出来る、そんなアラームに調整をしてくれ」
「かしこまりました。腕時計をメガネに近付けて下さい」
イズミは腕時計を外してメガネと一緒に地面に置くと、一分程で調整が終わった。
「調整が完了しました。此方であれば貯水池の管理者が決まり本格的な管理が始まる迄は、問題無く運用が出来るはずです」
「よし、ではチャッチャと終わらせますかね」
イズミはホリー達にこれからの作業内容を説明すると同時に、作業への協力を依頼した。
「ホリーさん。これから放水口をピンポイントで破壊するので、手助けをお願いしたいのですが」
「どんなです?」
「私を放水口の所まで運び、私がある魔道具を放水口に固定したら、離れた所にまで退避させるって感じなのですが」
「…その魔道具ってのは」
「コレです」
イズミは腕時計をホリーに見せると、興味深げに観察される。
「この魔道具には爆発魔法が付与されてましてね、その魔法で放水口を破壊しつつ大きくしてやろう、って寸法です」
「それをアンタが仕掛けると」
「私の魔道具ですから、私が仕掛けるのが道理でしょう。私も一応泳げはしますが、ホリーさんのお力を借りた方がスムーズに移動…もとい避難が出来ると思いまして」
「だろうね。アンタ、水中で呼吸は出来ないよね」
「勿論出来ません」
「息はどの位止められるんだい?」
「…頑張って、一分とか?」
「一分以内に放水口まで行って、その魔道具を仕掛けて、離れた所まで退避するのかい」
「それしか思い付きませんね」
イズミは身に付けている装備をショルダーバッグに収納すると、腕時計の回転ベゼルのポインターをデイト表示のある場所まで回す。
すると何時もは黒塗りで何の表示もないデイト表示が切り替わり、白背景に30と表示される。
後は竜頭を引き抜けばカウントダウンが始まる。
腕時計のベルトでは放水口の網目とやらに巻き付けられない可能性を考慮し、近くにあった木の枝を活用して即席の固定具を作った。
「ホリーさん、此方は準備出来ました」
「此方も準備は出来てるけど、夫にも一声かけといてくれないかい?やっぱり魔法通信が繋がらなくて」
「分かりました」
イズミは下流にて待っているホリーの旦那さんへ向けて、大声で退避を促した。
「ホリーさんの旦那さん!今から放水口を広げますので、其処から離れて下さい!」
旦那さんは両手でイズミに手を振ると、すいすいと川を下ってゆくのが見えた。
これで準備完了だ。
「旦那さんも退避してくれました」
「じゃあ、放水口まで運ぶよ」
イズミは貯水池に入って身体を慣らし何度も息を整えると、ホリーのエスコートで放水口の近くまで移動をする。
「潜るよ」
大きく深呼吸をしたイズミが息を止めると、ホリーはイズミを一気に放水口の網目の場所まで運んだ。
イズミは水中で何とか目を開き、腕時計がズレないように木の枝で網目に固定をすると、竜頭を引き抜いてカウントダウンが開始したのを確認する。
ホリーに合図を送ると、イズミの身体を掴んで放水口から離れた所にまでイズミを運び始める。
その途中で勢い余ってメガネが紛失したり息が苦しくなったものの、興味本位で同行して来たホリーの娘さんが機転を利かせて、イズミに1回分の呼吸が出来る大きさの気泡を口元に作ってくれたので助かったのだ。
イズミがしっかりと地面に立てる程の場所まで移動をすると、倒れ込むようにして身体を休ませる。
「マスター、腕時計の爆発を確認しました」
「そうか?何も聞こえなかったが」
「水中で発動したからでしょう」
大きく荒い呼吸をしながら、イズミは身体が落ち着くのを待つ。
一方のホリー達は爆発を察知出来たようで、早く戻りたそうにしていた。
「イズミだったね、助けてくれてありがとう」
「どういたしまして。お礼の言葉は受け取っておくが、これからも引き続き人間族には注意と警戒をした方が良いぞ」
「そうするよ…アンタみたいな変な魔力の人間なんて、そうは居ないだろうし」
ホリーはイズミの身体を掴んだ時に、イズミと他の人間族のの魔力の違いに気付いたようだ。
「お母さん!帰るよ!」
「はいはい…改めてありがとう、縁があればまた何処かで」
「そうだな…縁があれば、また何処かで」
イズミは身体を起こすと、離れてゆくホリーと娘さんに手を振って見送った。
「…しまった、メガネを無くしちまったんだった」
「マスター、メガネであれば再実体化が可能です」
「それは良いけど、もし誰かにあのメガネを拾われて、悪用されたら困るだろ?」
「…問題ありません。必要であれば消滅させますので」
マスタングはそう言い切った。
そんな便利な機能があるとは思っていなかったが、マスタングが大丈夫と判断するのであれば、自分がこれ以上気にするのは野暮なのかもしれない。
「マスター、魔法反応が4つ接近中です」
「どこぞの偵察部隊のか?少しは休ませて欲しいもんだ」
イズミは重たい身体で立ち上がると、マスタングを駐車した場所まで移動を開始する。
場所は変わって。
ホリー達は一家全員が無事に合流すると、水門の様子を一応確認してから海へと帰る事にした。
「ホリー、今後はあんな危険な事はしないでくれよ?俺は気が気じゃなかったぞ」
「アナタ、時には大きな決断をする必要もあるのよ。娘の一大事だったんですから」
「それは、そうだけれども。次は俺がやるからな」
放水量が増えて川の流れも徐々に安定し始めた頃、ホリーの娘が川底で何かを見つけたのかホリーに見せて来た。
「お母さん、こんなのを拾ったんだけど」
「こらルーシー、またそうやって勝手に…これは。あの人間が持ってた魔道具だね。返してあげたいけど、もう貯水池へは戻れないし、困ったね」
ホリーの娘であるルーシーはメガネを興味本位で掛けると、両親へと顔を向ける。
「似合ってるかな?」
「こら、人様の魔道具を勝手に着けちゃ駄目じゃない」
「はーい、ごめんなさい…ん?」
ルーシーは突然メガネに表示された情報に目を凝らす。
「過去の戦闘情報をロック、既存魔法通信情報をロック、スキャン能力ロック、現在位置特定機能の停止、自己消滅機能の保留が完了。新規着用者の設定開始、新規情報のスキャン完了」
「なに…これ」
「一部能力の限定解除…完了。初めましてルーシー様、私は簡易的な意思疎通と限定的なスキャン能力が使用可能な眼鏡型魔道具です」
「う~ん?お母さん、なんか分からないけど、私の魔道具になったみたい…何が出来るのかしら?」
「ルーシー様の保有スキルである、治癒に関する技術的サポートが出来ます」
イズミの全く知らない所で、紛失したメガネが新たな活躍の場を手にする事になったのだが、イズミがそれを知る時は暫く来ないのであった。
グレネードランチャーやロケットランチャーで攻撃すれば簡単に破壊出来るかもしれないが、それで放水口どころかダムのように堰き止めをしている外壁が駄目になったら大問題なのだ。
マスタングのミサイルも同様の理由で使い難いし、何処かの偵察部隊にマスタングの攻撃を見られるのも良い気分では無い。
「綺麗に破壊するってのが、一番難しいんだよな…そう言えばホリーさんの娘さんは、どうしてこの放水口から下流へ出なかったんですか?」
「それが単なる穴じゃ無かったのさ。魚だったら通れるけどマーメイド族の身体では通過出来なくて」
イズミはメガネに放水口の情報を表示させると、放水口は網目状に作られておりギリギリ通れないサイズ感だったのだ。
コレではマーメイド族の通過は不可能だ。
「妙な所で凝ってる作りだな、この貯水池は」
大きなため息をついたイズミは、腕時計で現在時刻を確認する。
13時40分を過ぎた所だった。
そろそろヒュミトールへ戻る段取りを始めたい所だが、目の前の問題も解決しておきたい。
「…マスタング。この腕時計のアラーム機能の精度はどの位だ?」
「腕時計を中心に最大半径10m、完全球体状の爆発破壊が可能です。必要であれば爆発力の調整も出来ます」
「つまり放水口の真ん中辺りにセット出来れば、今以上の大穴も開けられるのか…」
「現在の放水口のサイズは縦横共に約1m以下です。現在は水を貯える事に重きを置いてあるようです」
「この広い貯水池で放水口がそれじゃ、確かにいずれ満水になって壊れそうだな」
「外壁の造りも良くはなく、お世辞にも強固とは言い難いです」
「水を扱うってのは、難儀なものだな。アラーム機能は水中でも使えるのか?」
「当然です」
「なら現時点で必要だと思われる放水口の大きさにまで出来る、そんなアラームに調整をしてくれ」
「かしこまりました。腕時計をメガネに近付けて下さい」
イズミは腕時計を外してメガネと一緒に地面に置くと、一分程で調整が終わった。
「調整が完了しました。此方であれば貯水池の管理者が決まり本格的な管理が始まる迄は、問題無く運用が出来るはずです」
「よし、ではチャッチャと終わらせますかね」
イズミはホリー達にこれからの作業内容を説明すると同時に、作業への協力を依頼した。
「ホリーさん。これから放水口をピンポイントで破壊するので、手助けをお願いしたいのですが」
「どんなです?」
「私を放水口の所まで運び、私がある魔道具を放水口に固定したら、離れた所にまで退避させるって感じなのですが」
「…その魔道具ってのは」
「コレです」
イズミは腕時計をホリーに見せると、興味深げに観察される。
「この魔道具には爆発魔法が付与されてましてね、その魔法で放水口を破壊しつつ大きくしてやろう、って寸法です」
「それをアンタが仕掛けると」
「私の魔道具ですから、私が仕掛けるのが道理でしょう。私も一応泳げはしますが、ホリーさんのお力を借りた方がスムーズに移動…もとい避難が出来ると思いまして」
「だろうね。アンタ、水中で呼吸は出来ないよね」
「勿論出来ません」
「息はどの位止められるんだい?」
「…頑張って、一分とか?」
「一分以内に放水口まで行って、その魔道具を仕掛けて、離れた所まで退避するのかい」
「それしか思い付きませんね」
イズミは身に付けている装備をショルダーバッグに収納すると、腕時計の回転ベゼルのポインターをデイト表示のある場所まで回す。
すると何時もは黒塗りで何の表示もないデイト表示が切り替わり、白背景に30と表示される。
後は竜頭を引き抜けばカウントダウンが始まる。
腕時計のベルトでは放水口の網目とやらに巻き付けられない可能性を考慮し、近くにあった木の枝を活用して即席の固定具を作った。
「ホリーさん、此方は準備出来ました」
「此方も準備は出来てるけど、夫にも一声かけといてくれないかい?やっぱり魔法通信が繋がらなくて」
「分かりました」
イズミは下流にて待っているホリーの旦那さんへ向けて、大声で退避を促した。
「ホリーさんの旦那さん!今から放水口を広げますので、其処から離れて下さい!」
旦那さんは両手でイズミに手を振ると、すいすいと川を下ってゆくのが見えた。
これで準備完了だ。
「旦那さんも退避してくれました」
「じゃあ、放水口まで運ぶよ」
イズミは貯水池に入って身体を慣らし何度も息を整えると、ホリーのエスコートで放水口の近くまで移動をする。
「潜るよ」
大きく深呼吸をしたイズミが息を止めると、ホリーはイズミを一気に放水口の網目の場所まで運んだ。
イズミは水中で何とか目を開き、腕時計がズレないように木の枝で網目に固定をすると、竜頭を引き抜いてカウントダウンが開始したのを確認する。
ホリーに合図を送ると、イズミの身体を掴んで放水口から離れた所にまでイズミを運び始める。
その途中で勢い余ってメガネが紛失したり息が苦しくなったものの、興味本位で同行して来たホリーの娘さんが機転を利かせて、イズミに1回分の呼吸が出来る大きさの気泡を口元に作ってくれたので助かったのだ。
イズミがしっかりと地面に立てる程の場所まで移動をすると、倒れ込むようにして身体を休ませる。
「マスター、腕時計の爆発を確認しました」
「そうか?何も聞こえなかったが」
「水中で発動したからでしょう」
大きく荒い呼吸をしながら、イズミは身体が落ち着くのを待つ。
一方のホリー達は爆発を察知出来たようで、早く戻りたそうにしていた。
「イズミだったね、助けてくれてありがとう」
「どういたしまして。お礼の言葉は受け取っておくが、これからも引き続き人間族には注意と警戒をした方が良いぞ」
「そうするよ…アンタみたいな変な魔力の人間なんて、そうは居ないだろうし」
ホリーはイズミの身体を掴んだ時に、イズミと他の人間族のの魔力の違いに気付いたようだ。
「お母さん!帰るよ!」
「はいはい…改めてありがとう、縁があればまた何処かで」
「そうだな…縁があれば、また何処かで」
イズミは身体を起こすと、離れてゆくホリーと娘さんに手を振って見送った。
「…しまった、メガネを無くしちまったんだった」
「マスター、メガネであれば再実体化が可能です」
「それは良いけど、もし誰かにあのメガネを拾われて、悪用されたら困るだろ?」
「…問題ありません。必要であれば消滅させますので」
マスタングはそう言い切った。
そんな便利な機能があるとは思っていなかったが、マスタングが大丈夫と判断するのであれば、自分がこれ以上気にするのは野暮なのかもしれない。
「マスター、魔法反応が4つ接近中です」
「どこぞの偵察部隊のか?少しは休ませて欲しいもんだ」
イズミは重たい身体で立ち上がると、マスタングを駐車した場所まで移動を開始する。
場所は変わって。
ホリー達は一家全員が無事に合流すると、水門の様子を一応確認してから海へと帰る事にした。
「ホリー、今後はあんな危険な事はしないでくれよ?俺は気が気じゃなかったぞ」
「アナタ、時には大きな決断をする必要もあるのよ。娘の一大事だったんですから」
「それは、そうだけれども。次は俺がやるからな」
放水量が増えて川の流れも徐々に安定し始めた頃、ホリーの娘が川底で何かを見つけたのかホリーに見せて来た。
「お母さん、こんなのを拾ったんだけど」
「こらルーシー、またそうやって勝手に…これは。あの人間が持ってた魔道具だね。返してあげたいけど、もう貯水池へは戻れないし、困ったね」
ホリーの娘であるルーシーはメガネを興味本位で掛けると、両親へと顔を向ける。
「似合ってるかな?」
「こら、人様の魔道具を勝手に着けちゃ駄目じゃない」
「はーい、ごめんなさい…ん?」
ルーシーは突然メガネに表示された情報に目を凝らす。
「過去の戦闘情報をロック、既存魔法通信情報をロック、スキャン能力ロック、現在位置特定機能の停止、自己消滅機能の保留が完了。新規着用者の設定開始、新規情報のスキャン完了」
「なに…これ」
「一部能力の限定解除…完了。初めましてルーシー様、私は簡易的な意思疎通と限定的なスキャン能力が使用可能な眼鏡型魔道具です」
「う~ん?お母さん、なんか分からないけど、私の魔道具になったみたい…何が出来るのかしら?」
「ルーシー様の保有スキルである、治癒に関する技術的サポートが出来ます」
イズミの全く知らない所で、紛失したメガネが新たな活躍の場を手にする事になったのだが、イズミがそれを知る時は暫く来ないのであった。
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