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第二十七章 サンダーブレード作戦
第五百七十三話 迎えに
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マスタングはゆっくりとした移動速度で温泉街への道を走る。
まだ梅雨の時期ながら、雲の切れ間から射し込む太陽光がヒュミトールの街並みを美しく彩るものの、イズミの疲労感が軽減される訳では無いので注意力散漫にならない程度に運転を続ける。
「そう言えばマスタング、何で高速巡航モードの比較対象がスターファイターだったんだ?」
イズミは気になっていた事をマスタングに聞いてみる。
アメリカ産まれのジェット戦闘機は多数存在する。
オーソドックスなのはホーネットやトムキャット、イーグル、ラプター、ライトニング。
個人的には可変翼機と言うロマンが有るのでトムキャットが好みではある。
勿論、映画【トップガン】も好きだし、俳優としてのトム・クルーズも好きである。
彼が主演を務めた映画で着用したカシオの腕時計は、同じモデルを購入してプライベートで使っていたくらいだ。
特徴的な3連のトリグラフ、フロントに独立しているバックライトボタンが絶妙な腕時計だ。
そして何より、この手の腕時計程に気兼ね無く使える腕時計は貴重である。
無論スピードモデルも好きであり、どちらが好きかと問われれば永遠の悩める議題だろう。
双方とも、甲乙つけがたい素晴らしい腕時計なのだ。
「マスター好みだと判断しました。スターファイターは未亡人製造機や空飛ぶ棺桶、日本においては【最後の有人戦闘機】とも称されたりします」
「スターファイターってのが格好良い、SFって感じがたまらない。それはそれとして、未亡人製造機は縁起が悪くはないか?」
「私はそんな存在ではありませんので、ご安心下さい。マスター好みの名称は最後の単語を伸ばしがちなので、分かりが良いのです」
「例えば?」
「スピードマスター、スターファイター、インターセプター、クルセイダーでしょうか」
「まぁ、そうだな」
そんなやりとりをしていると馬車置き場に到着したので、戦闘前に外していたスピードマスターを実体化してもらい左手に付ける。
念の為に44マグナムをショルダーホルスターと共に身に付けミリタリージャケットを羽織ると、馬車置き場の見張りをしている子供に銀貨を握らせて温泉街へ歩き出した。
夜の温泉街は魔石ランタンやロウソクの明かりで、昼間とは違う幻想的な風景となっている。
疲労の溜まった身体でまったりと歩いていると、オリヴィアと出会った店の前まで辿り着いた。
「…っ!アンタ、ちゃんと迎えに来てくれたんだね!」
イズミの存在に気付いたオリヴィアが店の中から出て来ると、力強く抱きしめられた。
「日が暮れても姿を見せてくれないから、心配してたんだよ!」
「すまないな、俺も何かと大変だったんだ」
オリヴィアに押されるように店に入ると、店内の客からの熱い視線がイズミへ向けられる。
2人がテーブル席に向かい合って座ると、隣のテーブルに座っていた男が声をかけてきた。
「アンタがオリーちゃんの認めた男か…思ってたのと違ったなぁ」
「何だと思ってたんだ?」
「そりゃもう、一目で分かるような金持ちさ。見た目はどちらかと言うと、俺達冒険者や傭兵に近くて驚いちまった」
「デイビッド、アタイの男に文句があるのかい?」
「意外だっただけさ。もっと分かりやすい金持ちとか、背が高くて整った顔立ちの男とかだとばかり」
デイビッドと呼ばれた男はオリヴィアに軽く睨まれると、両手を上げて戦う意志は無い事をアピールしながら弁明すると、テーブルに置かれている酒を手に取ってグイッと飲む。
「期待外れで悪かったな。例え貴族みたいな服装を着れるとしても、悪目だちするだけだから御免被る」
「分かるぜ。冒険者が着ると不格好になるのは、何でなんだろうな」
「経験ありか?」
「一度公式の場にお呼ばれされた事があって、その時に着たんだよ…仲間に大笑いされた」
「あの場所で一番似合ってなかったぜ。思い出しただけでも笑える」
「うるせぇ!」
パーティーのメンバーから茶化されたデイビッドが少し大きめなリアクションをすると、店内の客達が皆笑っていたのでその姿を見ているのだろう。
デイビッドが所属する冒険者パーティーも腕利きのようで、過去に貴族の主催する催しに参加した事があるらしい。
自分には縁のない話だろうが、ベリアには何かと話が来そうである。
「なぁアンタ。オリーちゃんの何処に惚れ込んだんだ?皆気になって仕方が無いんだよ、教えてくれないか」
「ちょっとデイビッド、いい加減にしなさいよ」
良い感じに酔いが回っているデイビッドからの質問にオリヴィアが軽く注意するものの、店内の他の客達も気になっているのか聞きたいと言われて困り顔だが、満更でも無さそうだ。
「そうだな…」
こうような時、自分の気恥ずかしさで下手にぼやかした言い方をするのは悪手だ。
冷静さを装いながらも、相手の為にもハッキリと言うべきタイミングなのだ。
「一目見た時から良い女だってのは分かっていたさ。惚れた切っ掛けはオリーが自身の昔話をしてくれて、それにどう折り合いを付けたのかを知った時かな」
「オリーちゃん、初回の客にアレを話したのかよ?」
「まぁね。話しても良さそうな雰囲気だったし」
店内が若干どよめいたが、イズミは構わずに話を続ける。
「人柄も行動力も良いと理解した時には、こんなにも素敵な人が俺の側にいてくれたらな…と思ったんだ」
「それだけか?オリーちゃんの身体も、目的の1つにあるんじゃ無いのか?」
「無いと言ったら嘘になるな」
「だよな!服の上からでも分かるメリハリのあるボディーライン、絶品だろ」
「言いたいことは分かるが、俺の女なのだけれどもその点は?」
イズミは一度オリヴィアの方を見てからデイビッドを軽く睨みつけると、デイビッドは慌てる様子も無く弁明をした。
「おっとスマン、他意はないんだ。俺は女体美に関しては、誰に対しても素直に賞賛する事にしてるんだ」
「そんなだから女からよくビンタされたり、ケツを叩かれるんだよ。オリーちゃんに何度もケツを蹴られてるだろ?もう少し言い方とか言うタイミングを見極めろ」
「うるせぇな!アンタも気を付けな、オリーちゃんの蹴りはマジで強いから」
冒険者パーティーの仲間からまた茶化されるデイビッドは、良くも悪くも正直者のようだ。
そんな事を言っているとオリーが蹴りを入れそうな気もするが、ここは皆に見せつけておくべきなのかもしれない。
「オリー、蹴りは入らなくて良いからな」
「なんでさ?コイツは酔うと何時もこうだから、度が過ぎたら蹴って反省させるのが一番なんだよ」
「だとしても、オリーが蹴りを入れる必要はもう無いんだ」
イズミはポケットから金貨を1枚取り出すと、デイビッドの座るテーブル席に置いた。
「オリーの魅力を語ってくれてありがとう。だがスキンシップは無しだ」
「マジか!蹴りでも良いから、何時もみたいに接して欲しかったのによぉ」
「残念だが。どれだけ褒めたとしても、俺の女の身体には触れさせない」
イズミは席を立つとオリーを後ろから軽く抱きしめて見せる。
客達の反応を確かめた後で、店主に金貨を5枚渡し店内に居る客達へ酒を出すように頼んだ。
「では皆さん、オリーの新たな門出を祝ってやってくれないか?酒は用意する」
「気前が良いじゃねぇか!オリーちゃんを泣かせたら俺達が許さねぇからな!」
店主が用意した酒を片手に乾杯をする客達を横目に、オリヴィアは感慨深げに店内を見渡していた。
「オリー、皆に愛されてるねぇ。何だかんだ言っても、心配してたんだろうな」
「ちょっと、流石に恥ずかしいんだけど」
そうは言いつつ嬉しげなオリーと共に店を後にすると、オリーはイズミの左腕を抱きしめるようにして隣に立った。
イズミの利き手を掴まない所が、オリヴィアなりの配慮なのだろう。
イズミは特に何も言う事無く、オリヴィアの歩幅に合わせてマスタングの元へ向かい、今日の所はイズミの賃貸へと2人で帰るのだった。
まだ梅雨の時期ながら、雲の切れ間から射し込む太陽光がヒュミトールの街並みを美しく彩るものの、イズミの疲労感が軽減される訳では無いので注意力散漫にならない程度に運転を続ける。
「そう言えばマスタング、何で高速巡航モードの比較対象がスターファイターだったんだ?」
イズミは気になっていた事をマスタングに聞いてみる。
アメリカ産まれのジェット戦闘機は多数存在する。
オーソドックスなのはホーネットやトムキャット、イーグル、ラプター、ライトニング。
個人的には可変翼機と言うロマンが有るのでトムキャットが好みではある。
勿論、映画【トップガン】も好きだし、俳優としてのトム・クルーズも好きである。
彼が主演を務めた映画で着用したカシオの腕時計は、同じモデルを購入してプライベートで使っていたくらいだ。
特徴的な3連のトリグラフ、フロントに独立しているバックライトボタンが絶妙な腕時計だ。
そして何より、この手の腕時計程に気兼ね無く使える腕時計は貴重である。
無論スピードモデルも好きであり、どちらが好きかと問われれば永遠の悩める議題だろう。
双方とも、甲乙つけがたい素晴らしい腕時計なのだ。
「マスター好みだと判断しました。スターファイターは未亡人製造機や空飛ぶ棺桶、日本においては【最後の有人戦闘機】とも称されたりします」
「スターファイターってのが格好良い、SFって感じがたまらない。それはそれとして、未亡人製造機は縁起が悪くはないか?」
「私はそんな存在ではありませんので、ご安心下さい。マスター好みの名称は最後の単語を伸ばしがちなので、分かりが良いのです」
「例えば?」
「スピードマスター、スターファイター、インターセプター、クルセイダーでしょうか」
「まぁ、そうだな」
そんなやりとりをしていると馬車置き場に到着したので、戦闘前に外していたスピードマスターを実体化してもらい左手に付ける。
念の為に44マグナムをショルダーホルスターと共に身に付けミリタリージャケットを羽織ると、馬車置き場の見張りをしている子供に銀貨を握らせて温泉街へ歩き出した。
夜の温泉街は魔石ランタンやロウソクの明かりで、昼間とは違う幻想的な風景となっている。
疲労の溜まった身体でまったりと歩いていると、オリヴィアと出会った店の前まで辿り着いた。
「…っ!アンタ、ちゃんと迎えに来てくれたんだね!」
イズミの存在に気付いたオリヴィアが店の中から出て来ると、力強く抱きしめられた。
「日が暮れても姿を見せてくれないから、心配してたんだよ!」
「すまないな、俺も何かと大変だったんだ」
オリヴィアに押されるように店に入ると、店内の客からの熱い視線がイズミへ向けられる。
2人がテーブル席に向かい合って座ると、隣のテーブルに座っていた男が声をかけてきた。
「アンタがオリーちゃんの認めた男か…思ってたのと違ったなぁ」
「何だと思ってたんだ?」
「そりゃもう、一目で分かるような金持ちさ。見た目はどちらかと言うと、俺達冒険者や傭兵に近くて驚いちまった」
「デイビッド、アタイの男に文句があるのかい?」
「意外だっただけさ。もっと分かりやすい金持ちとか、背が高くて整った顔立ちの男とかだとばかり」
デイビッドと呼ばれた男はオリヴィアに軽く睨まれると、両手を上げて戦う意志は無い事をアピールしながら弁明すると、テーブルに置かれている酒を手に取ってグイッと飲む。
「期待外れで悪かったな。例え貴族みたいな服装を着れるとしても、悪目だちするだけだから御免被る」
「分かるぜ。冒険者が着ると不格好になるのは、何でなんだろうな」
「経験ありか?」
「一度公式の場にお呼ばれされた事があって、その時に着たんだよ…仲間に大笑いされた」
「あの場所で一番似合ってなかったぜ。思い出しただけでも笑える」
「うるせぇ!」
パーティーのメンバーから茶化されたデイビッドが少し大きめなリアクションをすると、店内の客達が皆笑っていたのでその姿を見ているのだろう。
デイビッドが所属する冒険者パーティーも腕利きのようで、過去に貴族の主催する催しに参加した事があるらしい。
自分には縁のない話だろうが、ベリアには何かと話が来そうである。
「なぁアンタ。オリーちゃんの何処に惚れ込んだんだ?皆気になって仕方が無いんだよ、教えてくれないか」
「ちょっとデイビッド、いい加減にしなさいよ」
良い感じに酔いが回っているデイビッドからの質問にオリヴィアが軽く注意するものの、店内の他の客達も気になっているのか聞きたいと言われて困り顔だが、満更でも無さそうだ。
「そうだな…」
こうような時、自分の気恥ずかしさで下手にぼやかした言い方をするのは悪手だ。
冷静さを装いながらも、相手の為にもハッキリと言うべきタイミングなのだ。
「一目見た時から良い女だってのは分かっていたさ。惚れた切っ掛けはオリーが自身の昔話をしてくれて、それにどう折り合いを付けたのかを知った時かな」
「オリーちゃん、初回の客にアレを話したのかよ?」
「まぁね。話しても良さそうな雰囲気だったし」
店内が若干どよめいたが、イズミは構わずに話を続ける。
「人柄も行動力も良いと理解した時には、こんなにも素敵な人が俺の側にいてくれたらな…と思ったんだ」
「それだけか?オリーちゃんの身体も、目的の1つにあるんじゃ無いのか?」
「無いと言ったら嘘になるな」
「だよな!服の上からでも分かるメリハリのあるボディーライン、絶品だろ」
「言いたいことは分かるが、俺の女なのだけれどもその点は?」
イズミは一度オリヴィアの方を見てからデイビッドを軽く睨みつけると、デイビッドは慌てる様子も無く弁明をした。
「おっとスマン、他意はないんだ。俺は女体美に関しては、誰に対しても素直に賞賛する事にしてるんだ」
「そんなだから女からよくビンタされたり、ケツを叩かれるんだよ。オリーちゃんに何度もケツを蹴られてるだろ?もう少し言い方とか言うタイミングを見極めろ」
「うるせぇな!アンタも気を付けな、オリーちゃんの蹴りはマジで強いから」
冒険者パーティーの仲間からまた茶化されるデイビッドは、良くも悪くも正直者のようだ。
そんな事を言っているとオリーが蹴りを入れそうな気もするが、ここは皆に見せつけておくべきなのかもしれない。
「オリー、蹴りは入らなくて良いからな」
「なんでさ?コイツは酔うと何時もこうだから、度が過ぎたら蹴って反省させるのが一番なんだよ」
「だとしても、オリーが蹴りを入れる必要はもう無いんだ」
イズミはポケットから金貨を1枚取り出すと、デイビッドの座るテーブル席に置いた。
「オリーの魅力を語ってくれてありがとう。だがスキンシップは無しだ」
「マジか!蹴りでも良いから、何時もみたいに接して欲しかったのによぉ」
「残念だが。どれだけ褒めたとしても、俺の女の身体には触れさせない」
イズミは席を立つとオリーを後ろから軽く抱きしめて見せる。
客達の反応を確かめた後で、店主に金貨を5枚渡し店内に居る客達へ酒を出すように頼んだ。
「では皆さん、オリーの新たな門出を祝ってやってくれないか?酒は用意する」
「気前が良いじゃねぇか!オリーちゃんを泣かせたら俺達が許さねぇからな!」
店主が用意した酒を片手に乾杯をする客達を横目に、オリヴィアは感慨深げに店内を見渡していた。
「オリー、皆に愛されてるねぇ。何だかんだ言っても、心配してたんだろうな」
「ちょっと、流石に恥ずかしいんだけど」
そうは言いつつ嬉しげなオリーと共に店を後にすると、オリーはイズミの左腕を抱きしめるようにして隣に立った。
イズミの利き手を掴まない所が、オリヴィアなりの配慮なのだろう。
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