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第二十八章 梅雨が明けるまで
第五百七十九話 ヒュミトールでは最後の酒盛り
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服屋にて仕立ててもらった服を受け取ると、オリヴィアは早速私服の上から革製品の上着を着込む。
どうも上下が別々の革服に関しては、上着だけは私服の上からでも着込めるように大きめに仕立てていたようだ。
「どうだ、似合ってるかい?」
「良いね。もう少しタイトめなズボンの方が見た目のバランスがより良くなるかも」
「そうかい?後で自分でも確かめてみようっと」
革製のジャケットを着たまま店の外に出たオリヴィアだったが、ボタンを全て掛けると胸を強調するような格好となり、道を歩く男達の視線がオリヴィアに向けられているように感じる。
「…オリー、帰るぞ」
「なんだい、周囲の目にヤキモチかい?」
「そこまで狭量じゃないさ」
マスタングに乗り込んだ2人は賃貸へと戻ると、メーレルと一緒に酒盛りの準備を始めた。
酒瓶を棚に並べグラスを綺麗に磨き、ラミア族が少数生産をしているトニックウォーターを氷の入った樽で冷やす。
乾き物の用意を済ませると、イズミは魔石ランタンに灯りを点してから一旦休憩に入った。
休憩中に光の協会からロレッタもやって来て、無事に今日の特別メンバーも揃った事になる。
落ち着いた所で、メーレルから小声で外からの視線について話があった。
「そう言えばイズミさん、この建物の外から数名の視線を感じるのですが」
「誰かが俺達を監視してるらしい。理由は知らん」
「イズミさんの行動が読めないから、動向を探る目的でしょうね」
「特に何も考えちゃいないのにな」
「そうは言いますが、とても気になる事ばかりしてますよ?ラミア族から賓客として扱われておきながら賃貸を借りて生活を始め、酒屋で大量にお酒を購入したかと思えば、光の協会へ何度も顔を出しているのに何か特別な事をしている訳でもない。光の協会に行って料理をしてるなんて言っても、誰も直ぐには納得しませんよ」
「その行動の真相が全部、自分の行き当たりばったりな生き方のせいだと言ったら、納得してくれるかな?」
「それでも厳しいかと」
「だよな。その辺は諦めるとしよう」
イズミとメーレルの会話を聞いていたオリヴィアは、軽く息を吐いた後でメーレルの艷やかな髪に目が止まった。
「メーレルさん、綺麗な髪ですよね。艶があって輝いて見えます」
「ありがとうございます。これはですね、私達ラミア族が研究開発中の髪専用の石鹸を使ったんです」
「髪専用…」
「研究が進めば、いずれは人間族向けの商品にも活用が出来るらしいですが」
「絶対に売れるわよ」
「それでしたら、今度改めてイズミさんと屋敷にいらして下さいな」
そんな会話を繰り広げている間に、イズミの腕時計が夕方の4時を過ぎる。
「さて。ベリアが戻って来たら、始めるぞ」
「イズミ、結局、これから何を始めるんだい?」
「あれ、説明してなかったっけか」
「忙しくなるとしか。後は会話の中で酒盛りをするとか程度」
「そう。酒盛りをするんだ、相手は…」
イズミがオリヴィアに説明をしようとした時、イズミの背後で空間が歪み魔王様が姿を現した。
「え」
オリヴィアの目がまん丸になって動きが止まる。
「イズミよ、少し早いが大丈夫か?」
「ええ、大丈夫ですよ。装飾も表にだしますね」
「ブランデーの飲み比べをしたくてな。それとだ、陽が沈んだら息子も来るぞ」
椅子に座った魔王が何処からかグラスを取り出すと、イズミは買ったばかりのブランデーとマスタングが用意したブランデーをテーブルに置いた。
「魔界の酒も美味であるが、この世界の酒も捨て難い魅力がある。特に新たな試みの最中の酒は、どんな味であっても新たな発見があって飽きぬものだ」
「作っている側の人間からしたら、美味しく出来て欲しいものですがね」
「試行錯誤を繰り返してこそ、より高みへと近付けるのだよ…元のワイン自体は良いが、若さ故の荒々しさが目立つな…我は嫌いではないぞ」
イズミは別のグラスに実体化したブランデーを注ぐと、魔王の手元に置く。
「ほう、異世界のブランデーだな」
「ヘネシーのV.S.O.P.です」
「我の魂の記憶にはハッキリとした物は無さそうだが、このグラスで飲むのが良いのか?」
「専用のグラスもありますが、この世界ではまだ作られてませんね。ブランデー自体が発展してませんし」
「ふむ…こんなグラスか?」
魔王は右手からスッと新しいグラスを用意する。
それはクビレのある、細身のグラスだった。
「流石ですね」
「ハッハッハ!伊達に長生きしている訳では無いぞ。味わう前に香りを愉しむ、これは良いな」
イズミと魔王のやりとりを聞いていたオリヴィアだったが、ようやく現実に帰って来たようだ。
「ま、魔王って」
「む、紹介が遅れたな。我は前魔王である。名は長く行き過ぎて使わなくなってしまってな、とうの昔に忘れてしもうたわ」
景気の良い笑い声と共にオリヴィアへ微笑んで見せると、オリヴィアはイズミの隣にすすっとやって来た。
「なんだか、アタシが聞いた事のある魔王とは、イメージが全然違うんだけど」
「そんなもんさ…おっと、ベリアも帰って来たか」
ベリアが帰って来ると荷物を二階へ置き、その足で一階に降りてきた。
「悪い、遅れちまったか?」
「大丈夫、問題無しだ」
「我が気を急いで来ただけでな」
全員が揃った所で、それを待っていたかのように部屋の中で光の点滅が至る所で発生すると、男神様や精霊達が続々と姿を現した。
「さて、今日も頑張るとしますか!」
イズミが両頬を軽く叩いてからそう言うと、ベリアとメーレルが軽く頷いた。
オリヴィアは1つ遅れて頷いたものの、目の前に広がる光景には戸惑いを隠せていなかった。
どうも上下が別々の革服に関しては、上着だけは私服の上からでも着込めるように大きめに仕立てていたようだ。
「どうだ、似合ってるかい?」
「良いね。もう少しタイトめなズボンの方が見た目のバランスがより良くなるかも」
「そうかい?後で自分でも確かめてみようっと」
革製のジャケットを着たまま店の外に出たオリヴィアだったが、ボタンを全て掛けると胸を強調するような格好となり、道を歩く男達の視線がオリヴィアに向けられているように感じる。
「…オリー、帰るぞ」
「なんだい、周囲の目にヤキモチかい?」
「そこまで狭量じゃないさ」
マスタングに乗り込んだ2人は賃貸へと戻ると、メーレルと一緒に酒盛りの準備を始めた。
酒瓶を棚に並べグラスを綺麗に磨き、ラミア族が少数生産をしているトニックウォーターを氷の入った樽で冷やす。
乾き物の用意を済ませると、イズミは魔石ランタンに灯りを点してから一旦休憩に入った。
休憩中に光の協会からロレッタもやって来て、無事に今日の特別メンバーも揃った事になる。
落ち着いた所で、メーレルから小声で外からの視線について話があった。
「そう言えばイズミさん、この建物の外から数名の視線を感じるのですが」
「誰かが俺達を監視してるらしい。理由は知らん」
「イズミさんの行動が読めないから、動向を探る目的でしょうね」
「特に何も考えちゃいないのにな」
「そうは言いますが、とても気になる事ばかりしてますよ?ラミア族から賓客として扱われておきながら賃貸を借りて生活を始め、酒屋で大量にお酒を購入したかと思えば、光の協会へ何度も顔を出しているのに何か特別な事をしている訳でもない。光の協会に行って料理をしてるなんて言っても、誰も直ぐには納得しませんよ」
「その行動の真相が全部、自分の行き当たりばったりな生き方のせいだと言ったら、納得してくれるかな?」
「それでも厳しいかと」
「だよな。その辺は諦めるとしよう」
イズミとメーレルの会話を聞いていたオリヴィアは、軽く息を吐いた後でメーレルの艷やかな髪に目が止まった。
「メーレルさん、綺麗な髪ですよね。艶があって輝いて見えます」
「ありがとうございます。これはですね、私達ラミア族が研究開発中の髪専用の石鹸を使ったんです」
「髪専用…」
「研究が進めば、いずれは人間族向けの商品にも活用が出来るらしいですが」
「絶対に売れるわよ」
「それでしたら、今度改めてイズミさんと屋敷にいらして下さいな」
そんな会話を繰り広げている間に、イズミの腕時計が夕方の4時を過ぎる。
「さて。ベリアが戻って来たら、始めるぞ」
「イズミ、結局、これから何を始めるんだい?」
「あれ、説明してなかったっけか」
「忙しくなるとしか。後は会話の中で酒盛りをするとか程度」
「そう。酒盛りをするんだ、相手は…」
イズミがオリヴィアに説明をしようとした時、イズミの背後で空間が歪み魔王様が姿を現した。
「え」
オリヴィアの目がまん丸になって動きが止まる。
「イズミよ、少し早いが大丈夫か?」
「ええ、大丈夫ですよ。装飾も表にだしますね」
「ブランデーの飲み比べをしたくてな。それとだ、陽が沈んだら息子も来るぞ」
椅子に座った魔王が何処からかグラスを取り出すと、イズミは買ったばかりのブランデーとマスタングが用意したブランデーをテーブルに置いた。
「魔界の酒も美味であるが、この世界の酒も捨て難い魅力がある。特に新たな試みの最中の酒は、どんな味であっても新たな発見があって飽きぬものだ」
「作っている側の人間からしたら、美味しく出来て欲しいものですがね」
「試行錯誤を繰り返してこそ、より高みへと近付けるのだよ…元のワイン自体は良いが、若さ故の荒々しさが目立つな…我は嫌いではないぞ」
イズミは別のグラスに実体化したブランデーを注ぐと、魔王の手元に置く。
「ほう、異世界のブランデーだな」
「ヘネシーのV.S.O.P.です」
「我の魂の記憶にはハッキリとした物は無さそうだが、このグラスで飲むのが良いのか?」
「専用のグラスもありますが、この世界ではまだ作られてませんね。ブランデー自体が発展してませんし」
「ふむ…こんなグラスか?」
魔王は右手からスッと新しいグラスを用意する。
それはクビレのある、細身のグラスだった。
「流石ですね」
「ハッハッハ!伊達に長生きしている訳では無いぞ。味わう前に香りを愉しむ、これは良いな」
イズミと魔王のやりとりを聞いていたオリヴィアだったが、ようやく現実に帰って来たようだ。
「ま、魔王って」
「む、紹介が遅れたな。我は前魔王である。名は長く行き過ぎて使わなくなってしまってな、とうの昔に忘れてしもうたわ」
景気の良い笑い声と共にオリヴィアへ微笑んで見せると、オリヴィアはイズミの隣にすすっとやって来た。
「なんだか、アタシが聞いた事のある魔王とは、イメージが全然違うんだけど」
「そんなもんさ…おっと、ベリアも帰って来たか」
ベリアが帰って来ると荷物を二階へ置き、その足で一階に降りてきた。
「悪い、遅れちまったか?」
「大丈夫、問題無しだ」
「我が気を急いで来ただけでな」
全員が揃った所で、それを待っていたかのように部屋の中で光の点滅が至る所で発生すると、男神様や精霊達が続々と姿を現した。
「さて、今日も頑張るとしますか!」
イズミが両頬を軽く叩いてからそう言うと、ベリアとメーレルが軽く頷いた。
オリヴィアは1つ遅れて頷いたものの、目の前に広がる光景には戸惑いを隠せていなかった。
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