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第二十八章 梅雨が明けるまで
第五百八十話 ある男神の頼み事
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「オリー、説明が遅くなって申し訳ない。今日の酒盛りの相手は、この世界で活動をしている男神様や精霊そして妖精だ」
「…へぇ?」
「理解が追いつかないかもしれないが、そんなもんだと思えば案外受け入れやすいぞ」
早速お酒やドライフルーツのオーダーが来たので、ベリアとオリヴィアには用意した品をテーブルへ運んでもらう。
「む、新入りか。あの男と行動を共にするのは、何かと大変ではないか?」
「オリヴィアです。そうですね、まだ数日ですが既に理解が追いつかず」
「そうだろうな!アヤツは特殊な人間でな、普通の生き方は出来ぬ故に退屈はせぬぞ」
「特殊、ですか?」
「うむ。いずれ本人の口から聞けるだろうから、儂からは言わないでおくとしよう」
「はぁ」
未だに混乱中のオリヴィアであったが、それでも酒盛りは続く。
そんな時である。
「…イズミよ。新入りさんはまた、独特な服を着ておるな」
「そうですね、何処かの民族衣装の話を聞いた服屋の店主が、想像で仕立てた服でして」
ある男神がドワーフ酒を飲みながらイズミに声を掛けると、その目線はオリヴィアに向けられる。
「身体のラインを見せつけるような服を、こうも魅力的に着こなせるとは」
「褒めるなら本人に直接伝えた方が良いかと」
「だが上着だけでは勿体無いな…新入りさんや!ちょっと良いか?」
男神はオリヴィアを呼ぶと椅子に座るように促し、グラスを置いてから話を切り出した。
「名前は?」
「オリヴィアです」
「オリヴィア、良い名前だ。唐突に話をして恐縮だが、その服は着ていてどうだ?」
「まだ慣らしが終わってないですから少し固いですけど、良い感じです」
「そうかそうか。儂は一目見た瞬間に悟ったぞ、オリヴィアには絶対に似合う服装だと」
「あら、ありがとうございます」
「道行く男達の視線を釘付けに出来るだろう。儂の思わず見惚れてしまった」
この男神はオリヴィアを褒めているのか口説いているのか、少し問い詰めたくなったがイズミは自分の仕事に戻る。
「上着は身体のラインを見せるような服装だが、下は普通なのだな」
「下の服は着づらいので」
「そうか…是非とも拝みたかったものだ」
とても残念そうな男神の姿を見たオリヴィアは、一度イズミの顔を見たかと思えば独自の判断で話を始めた。
「そう言えば今日、こんな服を買ったんですよ」
オリヴィアは一度席を離れると、上下一体型のレザースーツを持ってきて男神に見せつける。
「な!」
「この服はとても着にくい服でね、着る時は下着は無しで全身にオイルを塗らないといけない、そんな服なんです」
「なんと!」
男神は興奮気味にグラスの酒を飲み干すと、真剣な表情でレザースーツを見つめた。
「…イズミさん。あの男神様、とても欲望に忠実に見えませんか?」
「奇遇ですねメーレルさん、私もそう思います。ある意味で非常に潔いですが」
イズミがどうしようか考えていると、男神はオリヴィアに向け両手を合わせ出した。
「それを着た姿を見せてないか?出来れば胸を揉ませて…痛っ」
「これこれ、幸のよ。己の欲に正直過ぎるぞ」
見るに見かねた魔王が男神の頭を軽く叩くと、呆れ気味に注意をした。
「着るのも触るのも別に構いませんけど、タダではちょっと」
「なに!?良いのか!」
「何か対価を頂けるのでしたから、考えますわよ?」
オリヴィアは男神相手に対価の相談を始めたのだ。
その手段があったかと感心するイズミとは別に、メーレルは興味深げにやりとりを静観しつつオーダーのあったカクテルを作る。
「オリー?」
「アタシにもイズミにも、泊の付く話じゃないか。男神様に認められた身体を持つ女と、その女の男っていう」
「オリーはそれで良いのか」
「別に減るもんじゃ無いし、抱かれる訳でも無いし。対価次第だけど」
オリヴィアが男神の回答を待っていると、男神は新たなドワーフ酒を飲んでから対価の相談を始める。
「そうだな…儂は幸、つまり幸運に纏わる神をしておる。ここ1700年は誰にも加護を与えておらぬ、それをオリヴィアに授けよう」
「それはつまり、幸運の加護って事かい?」
「似ているが微妙に違うな。物事の良い流れを掴む機会が沢山訪れる、そんな加護だ」
「例えば?」
「分かりやすい例えであれば…賭け事の最中に突然閃きが訪れるのだ【次の勝負は必ず勝てる】と。その時に閃きを信じて行動をすれば、相手がどんなイカサマをしていようとも必ず勝てる」
「加護の力で、良い流れに乗る為の【閃き】があると」
「そうだ。もしその胸に顔を埋めさせてくれるのであれば、加護はオリヴィアが生きている限り無期限で発動させるようにしよう」
「乗った!」
オリヴィアは即決だった。
イズミを連れて二階へ向かうとオイルを手渡し、服を脱いでイズミにオイルを塗るように求めた。
「オリー、本当に良いのか?」
「男神様に求められるなんて、人生で一度あるか無いかの話だよ。乗った方が良いとアタシの直感が言ってるのさ…冷た」
「取り敢えず全身に塗っていくけど、デリケートな部分は自分で塗った方が良いと思う」
「駄目、イズミが塗って。イズミはこうでもしないと身体に触れてもくれなさそうだし」
オリヴィアは行動を共にしてから同じベッドでは寝るものの、一度も抱きに来ない事に不満があるようだ。
流石に今回の酒盛りまでは忙しいとか考えていたが、それを上手く伝えていなかった自分のミスでもあるので、そこは素直に反省しなければならない。
オイルで全身が艶めいた状態で、オリヴィアはレザースーツを着込んでみるが、服屋の店員が説明していたようにとても着にくい代物だった。
伸縮性は若干はあるものの、まだ固い革は身体に馴染むまでに時間が必要なのだ。
「どうにか着れたけど、ボタンが掛けにくいね」
「どれ…手にオイルが付いて滑るんだな。俺が掛けるよ」
タオルでオイルを拭ったイズミがレザースーツのボタンに手をかけていると、そのままオリヴィアに抱きしめられた。
「ちょっ、オリー?」
「やっぱり、最初の男はアンタじゃないとね」
力いっぱい抱きしめられたイズミの身体がメキメキと軽く悲鳴を上げたので離すと、赤面したイズミの姿があってオリヴィアは満足気だった。
全てのボタンを掛け終えると、オリヴィアは一階へと降りてゆく。
イズミは乱れた呼吸を整えてから、オリヴィアの後を追うのだった。
「…へぇ?」
「理解が追いつかないかもしれないが、そんなもんだと思えば案外受け入れやすいぞ」
早速お酒やドライフルーツのオーダーが来たので、ベリアとオリヴィアには用意した品をテーブルへ運んでもらう。
「む、新入りか。あの男と行動を共にするのは、何かと大変ではないか?」
「オリヴィアです。そうですね、まだ数日ですが既に理解が追いつかず」
「そうだろうな!アヤツは特殊な人間でな、普通の生き方は出来ぬ故に退屈はせぬぞ」
「特殊、ですか?」
「うむ。いずれ本人の口から聞けるだろうから、儂からは言わないでおくとしよう」
「はぁ」
未だに混乱中のオリヴィアであったが、それでも酒盛りは続く。
そんな時である。
「…イズミよ。新入りさんはまた、独特な服を着ておるな」
「そうですね、何処かの民族衣装の話を聞いた服屋の店主が、想像で仕立てた服でして」
ある男神がドワーフ酒を飲みながらイズミに声を掛けると、その目線はオリヴィアに向けられる。
「身体のラインを見せつけるような服を、こうも魅力的に着こなせるとは」
「褒めるなら本人に直接伝えた方が良いかと」
「だが上着だけでは勿体無いな…新入りさんや!ちょっと良いか?」
男神はオリヴィアを呼ぶと椅子に座るように促し、グラスを置いてから話を切り出した。
「名前は?」
「オリヴィアです」
「オリヴィア、良い名前だ。唐突に話をして恐縮だが、その服は着ていてどうだ?」
「まだ慣らしが終わってないですから少し固いですけど、良い感じです」
「そうかそうか。儂は一目見た瞬間に悟ったぞ、オリヴィアには絶対に似合う服装だと」
「あら、ありがとうございます」
「道行く男達の視線を釘付けに出来るだろう。儂の思わず見惚れてしまった」
この男神はオリヴィアを褒めているのか口説いているのか、少し問い詰めたくなったがイズミは自分の仕事に戻る。
「上着は身体のラインを見せるような服装だが、下は普通なのだな」
「下の服は着づらいので」
「そうか…是非とも拝みたかったものだ」
とても残念そうな男神の姿を見たオリヴィアは、一度イズミの顔を見たかと思えば独自の判断で話を始めた。
「そう言えば今日、こんな服を買ったんですよ」
オリヴィアは一度席を離れると、上下一体型のレザースーツを持ってきて男神に見せつける。
「な!」
「この服はとても着にくい服でね、着る時は下着は無しで全身にオイルを塗らないといけない、そんな服なんです」
「なんと!」
男神は興奮気味にグラスの酒を飲み干すと、真剣な表情でレザースーツを見つめた。
「…イズミさん。あの男神様、とても欲望に忠実に見えませんか?」
「奇遇ですねメーレルさん、私もそう思います。ある意味で非常に潔いですが」
イズミがどうしようか考えていると、男神はオリヴィアに向け両手を合わせ出した。
「それを着た姿を見せてないか?出来れば胸を揉ませて…痛っ」
「これこれ、幸のよ。己の欲に正直過ぎるぞ」
見るに見かねた魔王が男神の頭を軽く叩くと、呆れ気味に注意をした。
「着るのも触るのも別に構いませんけど、タダではちょっと」
「なに!?良いのか!」
「何か対価を頂けるのでしたから、考えますわよ?」
オリヴィアは男神相手に対価の相談を始めたのだ。
その手段があったかと感心するイズミとは別に、メーレルは興味深げにやりとりを静観しつつオーダーのあったカクテルを作る。
「オリー?」
「アタシにもイズミにも、泊の付く話じゃないか。男神様に認められた身体を持つ女と、その女の男っていう」
「オリーはそれで良いのか」
「別に減るもんじゃ無いし、抱かれる訳でも無いし。対価次第だけど」
オリヴィアが男神の回答を待っていると、男神は新たなドワーフ酒を飲んでから対価の相談を始める。
「そうだな…儂は幸、つまり幸運に纏わる神をしておる。ここ1700年は誰にも加護を与えておらぬ、それをオリヴィアに授けよう」
「それはつまり、幸運の加護って事かい?」
「似ているが微妙に違うな。物事の良い流れを掴む機会が沢山訪れる、そんな加護だ」
「例えば?」
「分かりやすい例えであれば…賭け事の最中に突然閃きが訪れるのだ【次の勝負は必ず勝てる】と。その時に閃きを信じて行動をすれば、相手がどんなイカサマをしていようとも必ず勝てる」
「加護の力で、良い流れに乗る為の【閃き】があると」
「そうだ。もしその胸に顔を埋めさせてくれるのであれば、加護はオリヴィアが生きている限り無期限で発動させるようにしよう」
「乗った!」
オリヴィアは即決だった。
イズミを連れて二階へ向かうとオイルを手渡し、服を脱いでイズミにオイルを塗るように求めた。
「オリー、本当に良いのか?」
「男神様に求められるなんて、人生で一度あるか無いかの話だよ。乗った方が良いとアタシの直感が言ってるのさ…冷た」
「取り敢えず全身に塗っていくけど、デリケートな部分は自分で塗った方が良いと思う」
「駄目、イズミが塗って。イズミはこうでもしないと身体に触れてもくれなさそうだし」
オリヴィアは行動を共にしてから同じベッドでは寝るものの、一度も抱きに来ない事に不満があるようだ。
流石に今回の酒盛りまでは忙しいとか考えていたが、それを上手く伝えていなかった自分のミスでもあるので、そこは素直に反省しなければならない。
オイルで全身が艶めいた状態で、オリヴィアはレザースーツを着込んでみるが、服屋の店員が説明していたようにとても着にくい代物だった。
伸縮性は若干はあるものの、まだ固い革は身体に馴染むまでに時間が必要なのだ。
「どうにか着れたけど、ボタンが掛けにくいね」
「どれ…手にオイルが付いて滑るんだな。俺が掛けるよ」
タオルでオイルを拭ったイズミがレザースーツのボタンに手をかけていると、そのままオリヴィアに抱きしめられた。
「ちょっ、オリー?」
「やっぱり、最初の男はアンタじゃないとね」
力いっぱい抱きしめられたイズミの身体がメキメキと軽く悲鳴を上げたので離すと、赤面したイズミの姿があってオリヴィアは満足気だった。
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※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
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