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第二十八章 梅雨が明けるまで
第五百八十七話 また呼び出される
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山分けにした品物を布袋に分けてしまっていると、部屋の扉を誰かがノックして来た。
「グラテミア様、アヤです。ガーネディアン公爵家から文書が届きました」
「公式?それとも非公式?」
「公式です」
グラテミアがアヤから文書を受け取ると、その場で内容を確認し始める。
「…イズミ様、賃貸で生活中に監視されてましたよね。何か対応しましたか?」
「いいえ、完全に無視してましたよ。何をしているのかを嗅ぎ回ってる奴が居るってのは、ドワーフ工房に顔を出してる時に聞きましたが」
「嗅ぎ回って調べた結果、彼等では納得出来る答えが出せなかったようね…ガーネディアン公爵家から正式な依頼よ」
グラテミアが手にしていた文書を手渡すと、イズミはメガネを掛けて内容をマスタングに翻訳してもらう。
「ええと…【貴殿がヒュミトールにて賃貸物件にて生活している事は把握している。そこに関しては問題無いが、貴殿の行動について以下の疑念があると報告を受けている。真偽を直接確かめたく当屋敷へ来て頂きたく】うわ面倒くさ」
文書に書かれていた疑念は、大量購入した酒の密売だった。
文書には購入した店舗及び金額、そして何回に分けて賃貸へ運び込んだかまで記載されている。
「ここまで分かってるなら、酒瓶を返却してる事も分かっているだろうに」
「普通に考えれば、大量の酒を短期間で消費出来るとは思えないですからね…常時監視されているなら人を招待しても分かりますが、今回招待した相手が相手ですからね。だからこそ酒を詰め替えて密売していると思われたと考えれば」
「そういう事?何度かヒュミトールの外へ行った時に売り捌いてると思われたと」
「だとしても5回目の酒は売っていない認識はあり、酒瓶は回収されてますので、大量の酒を別の瓶に入れ替えて所有しているかを直接確かめたいって所でしょう。確か公爵家にはお抱えの魔術師に、真偽を判定する事が出来る者が居た筈」
「グラテミアさん、酒盛りの事を素直に説明したとして、信じてもらえますかね?」
「魔族ならまだしも、人間族では難しいかもしれませんね。例え魔法で真偽を確かめたとしても、自分達に都合が悪ければ見ていない事にする悪癖が有りますから…ガーネディアン公爵家はそこまで酷い貴族ではありませんが、全てを信じてくれるかは何とも」
「…身の潔白の証人として魔王様をお呼び出しするとかは?」
「イズミ様からの頼みであれば、魔王様なら笑って証言してくれるかもしれませんが…それはそれでイズミ様が大変な立場になりますよ。魔王様と酒を飲み交わした人間である事実、友好関係を構築している実績、気軽に呼び出せる間柄だと分かれば間違い無く、魔王様を危険視する国からは危険人物として指名手配されかねません」
「そんなに」
「魔王が姿を現す時、世界を滅ぼさんとする。それがこの世界における常識ですから。魔族は実情を知ってますのでそんな常識は持ち合わせておりませんが、それを人間族相手に説明するつもりも殆どありませんね」
「丁寧に説明した所で人間族は聞き入れないから、ですか」
「そうです。理由は何であれ、魔王がこの世界に何度も侵攻して来た事実がありますから」
渡された文書に目を通し終えたが出頭の日付が書かれておらず、此方側の事情も考慮して融通を利かせてくれているのかもしれないが、面倒事は早めに終わらせておきたいので明後日の昼間で大丈夫かと確認をしてもらう事にする。
「イズミさん、確認したい事があるのですが」
「今度はなんです?」
「人間族向けボディ用除毛クリームです。必要素材は確保済みで、実験用に数個作成しました…残すはテスター探しなのですが。オリヴィアさんで試してみても」
「それはオリヴィアからの同意があれば、試しても良いと思いますけど」
「では早速聞いてみますね」
研究大好きなフラウリアはルンルンな足取りで部屋を出ていった。
イズミが気付かぬ間に自分の報酬はしっかりと仕舞っていたようだ。
「グラテミアさん、私の目は公爵家に見られてもバレたりはしないですかね?」
「絶対にバレないわね。言い方は悪いけど彼等の実力は雑踏同然、ゲヘナ様や魔王様の仕込んだ魔力は感知すら出来ないわ。女神の加護を持っていれば、何かしらの違和感を持つかもしれませんが…一度ベリアさんに確認してもらいましょう」
グラテミアは自分の報酬の一つとして、小さなコマのような物を手にしている。
自身の机にて軽く回してみると、とても綺麗な回転運動を始めた。
「グラテミアさん、それは?」
「特別な材質の素材で作られた物で、名前が数個あります…コマとかトーテムって鑑定では表示されました」
「何か効果が」
「特には何も。鑑定では【コマの回転を眺めているだけでも良い気分転換になるかも】とだけ…こう言うの、結構好きなんですよ」
グラテミアの新たな一面を垣間見た所で、イズミは公爵家とのアポイントが取れたと報告を貰った。
今日の所はグラテミアの屋敷にて一泊する事になると、話を聞いた菓子作り担当の料理長がすっ飛んで来て、イズミは半ば強制的に厨房へと連行されるのであった。
「グラテミア様、アヤです。ガーネディアン公爵家から文書が届きました」
「公式?それとも非公式?」
「公式です」
グラテミアがアヤから文書を受け取ると、その場で内容を確認し始める。
「…イズミ様、賃貸で生活中に監視されてましたよね。何か対応しましたか?」
「いいえ、完全に無視してましたよ。何をしているのかを嗅ぎ回ってる奴が居るってのは、ドワーフ工房に顔を出してる時に聞きましたが」
「嗅ぎ回って調べた結果、彼等では納得出来る答えが出せなかったようね…ガーネディアン公爵家から正式な依頼よ」
グラテミアが手にしていた文書を手渡すと、イズミはメガネを掛けて内容をマスタングに翻訳してもらう。
「ええと…【貴殿がヒュミトールにて賃貸物件にて生活している事は把握している。そこに関しては問題無いが、貴殿の行動について以下の疑念があると報告を受けている。真偽を直接確かめたく当屋敷へ来て頂きたく】うわ面倒くさ」
文書に書かれていた疑念は、大量購入した酒の密売だった。
文書には購入した店舗及び金額、そして何回に分けて賃貸へ運び込んだかまで記載されている。
「ここまで分かってるなら、酒瓶を返却してる事も分かっているだろうに」
「普通に考えれば、大量の酒を短期間で消費出来るとは思えないですからね…常時監視されているなら人を招待しても分かりますが、今回招待した相手が相手ですからね。だからこそ酒を詰め替えて密売していると思われたと考えれば」
「そういう事?何度かヒュミトールの外へ行った時に売り捌いてると思われたと」
「だとしても5回目の酒は売っていない認識はあり、酒瓶は回収されてますので、大量の酒を別の瓶に入れ替えて所有しているかを直接確かめたいって所でしょう。確か公爵家にはお抱えの魔術師に、真偽を判定する事が出来る者が居た筈」
「グラテミアさん、酒盛りの事を素直に説明したとして、信じてもらえますかね?」
「魔族ならまだしも、人間族では難しいかもしれませんね。例え魔法で真偽を確かめたとしても、自分達に都合が悪ければ見ていない事にする悪癖が有りますから…ガーネディアン公爵家はそこまで酷い貴族ではありませんが、全てを信じてくれるかは何とも」
「…身の潔白の証人として魔王様をお呼び出しするとかは?」
「イズミ様からの頼みであれば、魔王様なら笑って証言してくれるかもしれませんが…それはそれでイズミ様が大変な立場になりますよ。魔王様と酒を飲み交わした人間である事実、友好関係を構築している実績、気軽に呼び出せる間柄だと分かれば間違い無く、魔王様を危険視する国からは危険人物として指名手配されかねません」
「そんなに」
「魔王が姿を現す時、世界を滅ぼさんとする。それがこの世界における常識ですから。魔族は実情を知ってますのでそんな常識は持ち合わせておりませんが、それを人間族相手に説明するつもりも殆どありませんね」
「丁寧に説明した所で人間族は聞き入れないから、ですか」
「そうです。理由は何であれ、魔王がこの世界に何度も侵攻して来た事実がありますから」
渡された文書に目を通し終えたが出頭の日付が書かれておらず、此方側の事情も考慮して融通を利かせてくれているのかもしれないが、面倒事は早めに終わらせておきたいので明後日の昼間で大丈夫かと確認をしてもらう事にする。
「イズミさん、確認したい事があるのですが」
「今度はなんです?」
「人間族向けボディ用除毛クリームです。必要素材は確保済みで、実験用に数個作成しました…残すはテスター探しなのですが。オリヴィアさんで試してみても」
「それはオリヴィアからの同意があれば、試しても良いと思いますけど」
「では早速聞いてみますね」
研究大好きなフラウリアはルンルンな足取りで部屋を出ていった。
イズミが気付かぬ間に自分の報酬はしっかりと仕舞っていたようだ。
「グラテミアさん、私の目は公爵家に見られてもバレたりはしないですかね?」
「絶対にバレないわね。言い方は悪いけど彼等の実力は雑踏同然、ゲヘナ様や魔王様の仕込んだ魔力は感知すら出来ないわ。女神の加護を持っていれば、何かしらの違和感を持つかもしれませんが…一度ベリアさんに確認してもらいましょう」
グラテミアは自分の報酬の一つとして、小さなコマのような物を手にしている。
自身の机にて軽く回してみると、とても綺麗な回転運動を始めた。
「グラテミアさん、それは?」
「特別な材質の素材で作られた物で、名前が数個あります…コマとかトーテムって鑑定では表示されました」
「何か効果が」
「特には何も。鑑定では【コマの回転を眺めているだけでも良い気分転換になるかも】とだけ…こう言うの、結構好きなんですよ」
グラテミアの新たな一面を垣間見た所で、イズミは公爵家とのアポイントが取れたと報告を貰った。
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