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第二十八章 梅雨が明けるまで
第五百八十八話 ブレスレット作り
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山分け作業を終えてベリアやオリヴィア、そしてメーレルに分配し終えたイズミは、現在メガネを掛けながら目を細めて作業をしている。
各々欲しがる物が違うので苦慮する想定だったが、売りに出せる品物が殆どだったので案外すんなりと分配が終わったのだ。
そして現在、イズミのテーブルの上には細い紐と大量の石が置かれている。
やっているのは、ブレスレット作りだ。
魔石ランタンで明るさを確保し慣れない作業に苦戦してはいるが、一つ一つ確実に完成させてゆく。
「イズミさん、少しよろしいですか?」
控えめなノック音と共に、フラウリアが部屋に入って来たのだ。
「どうしました」
「オリヴィアさんの事なのですが…彼女は本当に只の人間族なのでしょうか?」
フラウリアは自身のアイテムボックスから椅子を取り出すと、イズミの向かい側に座る。
「本日湯浴びを担当した者から聞いたのですが、体温が標準的な女性よりも高めで、美容クリームのテスターをしてくださる方達と比較しても身体が段違いに頑丈なんです」
「と言うと」
「クリームの使用の合意を得たので使ってみたのですが、一般向けを想定したクリームでは効果が出ませんでした。貴族向けも試してみましたが効果は出ませんでした」
「相性とかもあるでしょう」
「そう考えまして、魔族向けや獣人族向け、そして亜人族向けとをそれぞれ人間族向けのクリームと混ぜてテストをしました所…亜人族向けのクリームと人間族向けのクリームを混ぜた物だけで効果が現れました」
「比率は?」
「亜人族向けが1、人間族向けが9です」
イズミは作業の手を止めてフラウリアの方へ顔を向ける。
「恐らくですが、何世代も前に亜人族と人間族との間から産まれた子供の子孫かもしれません」
「想定される亜人族は?」
「何とも言えませんが…可能性としてありそうなのは、オーガ族です」
「オーガ族ねぇ」
「何か気になる事でも」
「オリー向けに武器を買いに行ったのですがね、試し斬りとかさせたら武器をボロボロにしたんですよ。棍棒が数発で凹んでました」
「あの細腕で、ですよね」
フラウリアはテーブルに広げられているブレスレット用の石を1個手に取ると、魔石ランタンの明かりに翳している。
「これは推測ですが。オリヴィアさんの身体は人間族の血が色濃く出ていて、筋力や身体能力は亜人族の血が色濃く反映されているのかもしれません。それを探る術はありませんけど」
「俺はオリーの出生に興味関心はあまり無いかな。一緒に旅が出来る事実があれば、それだけで十分さ」
それだけ伝えるとイズミは完成間近のブレスレットをフラウリアに見せる。
「どうです?」
「紐には効果付与が無いのですね」
「千切れそうになったら、誰でも交換が出来るようにって配慮ですよ。大切なのは石の方なので」
「とても綺麗に加工されてますね」
「出処はマスタングです。ブレスレット用の穴開けは人の手では大変で」
「石1つだけでも、かなり有効な能力ですね…グラテミア叔母様から使用用途は聞きました?」
「いいえ」
イズミはブレスレットを返してもらうと、取り敢えず完成させてショルダーバッグに収納した。
「実はですね、北方に拠点を置くラミア族の所で、石化魔法を発現させた方が居りまして」
「目を合わせたら石化するとかです?」
「そうです!メデューサ族しか扱えないと思われていた魔法を、ラミア族でも発現する事が判明したのです。問題はですね」
「少し読めましたよ。まだ魔法の制御が出来てない」
「流石ですね。発現したまでは良いものの、発現者が制御をしきれておらず周囲が危険な状態なんです」
「ふとした瞬間に石化魔法が発動して、大切な人を石化させてしまったら一大事ですからね」
「私や叔母様なら問題無いのですが、全員がそう云う能力持ちと言う訳でもなく」
フラウリアも興味があるのか、イズミの作業の手を見ながらブレスレット作りを始める。
革紐を使ったブレスレットはまだ簡単な方だが、後日作成予定のタイプは面倒くさくてやる気があまり起きていない。
「イズミさん、この金具を革紐の両端に結べば良いのですね?」
「そうです。それで革紐を使うタイプのブレスレットは完成です」
「別のタイプもあるような言い方ですね」
「…あるんですよ。かなり手間のかかる作業になりましてね」
イズミはフラウリアが興味を持つのかは分からなかったが、大量の9ピンをテーブルの上に置いた。
「この工具を使って、一つ一つを繋いでいきます」
試しに1つ作ってみると、革紐でまとめたブレスレットとは違う魅力のあるブレスレットが完成した。
「どうぞ、差し上げます」
「良いのですか?」
「梅雨明け迄に沢山作る予定になってますので、1つ先行でお渡しするって事で」
「ありがとう御座います。大切にしますね」
フラウリアはブレスレットを左手に付けると、そのまま革紐のブレスレット作りを手伝ってくれた。
「研究とは違う面白さがありますね」
「気分転換には良いと思いますよ。私の場合はそうも言ってられませんが」
他愛の無い会話を交えながら一緒にブレスレット作りをしていると、フラウリアが口元を隠しながら大きな欠伸をする。
腕時計を確認すると、夜の10時を過ぎた所だった。
「フラウリアさん、今日はこの辺で切り上げましょうか。睡眠は大事ですから」
「分かりました。ではまた明日」
フラウリアが部屋から出ていったのを確認したイズミはテーブルの上を片付けると、身体をしっかりと伸ばす。
目が疲れているのかピントが合わないので、のそりとベッドに横たわると軽く目を閉じた。
各々欲しがる物が違うので苦慮する想定だったが、売りに出せる品物が殆どだったので案外すんなりと分配が終わったのだ。
そして現在、イズミのテーブルの上には細い紐と大量の石が置かれている。
やっているのは、ブレスレット作りだ。
魔石ランタンで明るさを確保し慣れない作業に苦戦してはいるが、一つ一つ確実に完成させてゆく。
「イズミさん、少しよろしいですか?」
控えめなノック音と共に、フラウリアが部屋に入って来たのだ。
「どうしました」
「オリヴィアさんの事なのですが…彼女は本当に只の人間族なのでしょうか?」
フラウリアは自身のアイテムボックスから椅子を取り出すと、イズミの向かい側に座る。
「本日湯浴びを担当した者から聞いたのですが、体温が標準的な女性よりも高めで、美容クリームのテスターをしてくださる方達と比較しても身体が段違いに頑丈なんです」
「と言うと」
「クリームの使用の合意を得たので使ってみたのですが、一般向けを想定したクリームでは効果が出ませんでした。貴族向けも試してみましたが効果は出ませんでした」
「相性とかもあるでしょう」
「そう考えまして、魔族向けや獣人族向け、そして亜人族向けとをそれぞれ人間族向けのクリームと混ぜてテストをしました所…亜人族向けのクリームと人間族向けのクリームを混ぜた物だけで効果が現れました」
「比率は?」
「亜人族向けが1、人間族向けが9です」
イズミは作業の手を止めてフラウリアの方へ顔を向ける。
「恐らくですが、何世代も前に亜人族と人間族との間から産まれた子供の子孫かもしれません」
「想定される亜人族は?」
「何とも言えませんが…可能性としてありそうなのは、オーガ族です」
「オーガ族ねぇ」
「何か気になる事でも」
「オリー向けに武器を買いに行ったのですがね、試し斬りとかさせたら武器をボロボロにしたんですよ。棍棒が数発で凹んでました」
「あの細腕で、ですよね」
フラウリアはテーブルに広げられているブレスレット用の石を1個手に取ると、魔石ランタンの明かりに翳している。
「これは推測ですが。オリヴィアさんの身体は人間族の血が色濃く出ていて、筋力や身体能力は亜人族の血が色濃く反映されているのかもしれません。それを探る術はありませんけど」
「俺はオリーの出生に興味関心はあまり無いかな。一緒に旅が出来る事実があれば、それだけで十分さ」
それだけ伝えるとイズミは完成間近のブレスレットをフラウリアに見せる。
「どうです?」
「紐には効果付与が無いのですね」
「千切れそうになったら、誰でも交換が出来るようにって配慮ですよ。大切なのは石の方なので」
「とても綺麗に加工されてますね」
「出処はマスタングです。ブレスレット用の穴開けは人の手では大変で」
「石1つだけでも、かなり有効な能力ですね…グラテミア叔母様から使用用途は聞きました?」
「いいえ」
イズミはブレスレットを返してもらうと、取り敢えず完成させてショルダーバッグに収納した。
「実はですね、北方に拠点を置くラミア族の所で、石化魔法を発現させた方が居りまして」
「目を合わせたら石化するとかです?」
「そうです!メデューサ族しか扱えないと思われていた魔法を、ラミア族でも発現する事が判明したのです。問題はですね」
「少し読めましたよ。まだ魔法の制御が出来てない」
「流石ですね。発現したまでは良いものの、発現者が制御をしきれておらず周囲が危険な状態なんです」
「ふとした瞬間に石化魔法が発動して、大切な人を石化させてしまったら一大事ですからね」
「私や叔母様なら問題無いのですが、全員がそう云う能力持ちと言う訳でもなく」
フラウリアも興味があるのか、イズミの作業の手を見ながらブレスレット作りを始める。
革紐を使ったブレスレットはまだ簡単な方だが、後日作成予定のタイプは面倒くさくてやる気があまり起きていない。
「イズミさん、この金具を革紐の両端に結べば良いのですね?」
「そうです。それで革紐を使うタイプのブレスレットは完成です」
「別のタイプもあるような言い方ですね」
「…あるんですよ。かなり手間のかかる作業になりましてね」
イズミはフラウリアが興味を持つのかは分からなかったが、大量の9ピンをテーブルの上に置いた。
「この工具を使って、一つ一つを繋いでいきます」
試しに1つ作ってみると、革紐でまとめたブレスレットとは違う魅力のあるブレスレットが完成した。
「どうぞ、差し上げます」
「良いのですか?」
「梅雨明け迄に沢山作る予定になってますので、1つ先行でお渡しするって事で」
「ありがとう御座います。大切にしますね」
フラウリアはブレスレットを左手に付けると、そのまま革紐のブレスレット作りを手伝ってくれた。
「研究とは違う面白さがありますね」
「気分転換には良いと思いますよ。私の場合はそうも言ってられませんが」
他愛の無い会話を交えながら一緒にブレスレット作りをしていると、フラウリアが口元を隠しながら大きな欠伸をする。
腕時計を確認すると、夜の10時を過ぎた所だった。
「フラウリアさん、今日はこの辺で切り上げましょうか。睡眠は大事ですから」
「分かりました。ではまた明日」
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