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第二十八章 梅雨が明けるまで
第五百八十九話 仮運用
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翌朝。
イズミは昨日自作したブレスレットをグラテミアの元へ持って行き、実物を確認してもらっている。
前もって1つ渡してはいたが、あれはマスタングが用意したものだ。
渡したブレスレットは革紐の物が10個と、9ピンを使った物が10個だ。
実際に使ってもらって、要望があれば微調整もするつもりである。
「ありがとう御座います、早速使ってみて貰いますね」
グラテミアは転移魔法でブレスレットを何処かへ送ると、イズミと一緒に従者の淹れた紅茶を飲む。
程好い温度になっており、コーヒーロスをしているイズミには何時にも増して美味しく感じる。
「…返事が来ました」
「早いですね」
「革紐は適応度が低く実用には適さなかった、独特な取付方法をしている方が良い。出来れば石にバリエーションが欲しい」
「革紐は微妙でしたか」
「どうも革が劣化するのでしょう」
「そうだ、フラウリアさんから聞きましたよ。石化魔法を発現した方がいらっしゃるとか」
「そうなんです。石化魔法の影響で革紐が傷んでしまっている可能性はあります」
転移魔法でグラテミアの元へ返ってきたブレスレットを見ると、革紐は見事な迄に細かく千切れていた。
対して9ピンで繋げたブレスレットは問題無く使える状態だ。
「これはまた、完全に駄目になってますね」
「石化魔法以外にも作用しているものがあるのかもしれません。イズミさん、此方のブレスレットで製作をお願いします」
「分かりました、残っている革紐のブレスレットも作り直しますね。後は石のバリエーションですか」
「私としては全て同じ作りの方が、分かりが良いと思っていたのですが…身に付ける物となると、こだわりたくなってしまうのでしょう」
イズミはマスタングに魔法通信を繋ぎ他の石も実体化してもらい、一度回収してからグラテミアの元で仮組みをする。
これで石は大分カラフルになった。
最初に出した紫色の石と、今回実体化した水晶のような透明系の石にガーネットのような赤い石、他にも数種類。
仮組みの作業を見ていたグラテミアが9ピンを1つ手に取ると、
「とても細い針金…純度の高い銀なのですね」
「私なりのこだわりですかね。この針金を工具を使って上手く形を整えると…こうなります」
イズミは少しだけ慣れ始めた手つきで1つを完成させる。
紫、透明の2種類を交互に繋げたブレスレットだ。
「紫色の単体でも綺麗でしたが、此方の方が明るく見えますね」
グラテミアは出来上がったブレスレットと、他の石を仮組みしたままの状態の物を転移魔法で送る。
「さて、これでどんな回答がくることやら」
イズミは紅茶を飲み終えると、挨拶をしてから一旦自分に割り当てられた部屋へと戻る。
扉を開けるとオリヴィアが椅子に座っており、朝から疲れた表情をしていた。
「オリーどうした?疲れた顔をしてるぞ」
「朝からクリームのテストをしてたら、何だか疲れてね」
オリヴィアは日が昇り始めたくらいからフラウリアに連れられて、クリームの最適な配合比率を求めてぶっ続けのテスト祭りだったらしい。
「アタシが本気で動こうとしても、全然身動きが取れなくてね」
「しっかりホールドされてたのか。オリーですら抜け出せないなら、俺は無理だな」
流石に朝から酒を飲むのはマズいので、2人はコップに水を注いで喉を潤した。
コップをテーブルに置いたオリヴィアは、隅にまとめられている9ピンの残骸を見ながら質問をする。
「イズミ、何か作ってるのかい?」
「ちょっとした工作かな、ブレスレット」
イズミは石と9ピンと工具を用意して、試しに1つ作ってみる。
「へぇ!器用な事をするんだね」
「オリーもやってみるか?」
「そうだね…でもアタシは細かな作業が苦手で」
「誰も最初はそんなもんさ。こういうのは練習あるのみだし、梅雨明けまでは時間がある。一緒にやろうぜ」
幸いマスタングが工具を3セット用意しているので、オリヴィアの分も直ぐに渡せるのだ。
工具セットを渡した所で、扉を軽くノックされた。
「失礼致します。イズミ様、グラテミア様がお呼びです」
「もう返事が来たとか?」
「はい。詳細はグラテミア様よりお聞き下さいませ」
イズミは従者と共にグラテミアの部屋に向かうと、テーブルには3枚の羊皮紙が置かれていた。
その羊皮紙はブレスレットの仕様書になっており、石の数や配置の指定が記されている。
ご丁寧に3枚ともサイズ展開の注文まで入っている程だ。
「…おぉ」
「ブレスレットの付与効果は非常に満足だそうです。ただ、どうしても彩りが欲しいとの事で候補を出させたら、この3種類での製作依頼が来ました」
メガネをかけたイズミが羊皮紙に目を通していると、要求されている数の所で視線が止まる。
「各依頼書の配置パターンで30個ずつ、更にサイズも大中小で同数欲しい。メンテナンス用に工具と予備部品も提供頂けると大変助かる…痺れるぜ」
イズミは合計で270個のブレスレットを作ることがほぼ確定してしまった。
対価としてブレスレットを渡す以上、パーツを渡すから自作しろとは言えないので、ここは頑張るしかない。
ネックレスも幾つか作る話にもなっているので、製作数は300個を覚悟する必要がある。
「梅雨明けするまで、暇にはならなそうだ」
大きなため息をついたイズミは両頬を軽く叩くと、羊皮紙を受け取って自室にてオリヴィアを巻き込んでブレスレット作りをしようと決めたのだった。
イズミは昨日自作したブレスレットをグラテミアの元へ持って行き、実物を確認してもらっている。
前もって1つ渡してはいたが、あれはマスタングが用意したものだ。
渡したブレスレットは革紐の物が10個と、9ピンを使った物が10個だ。
実際に使ってもらって、要望があれば微調整もするつもりである。
「ありがとう御座います、早速使ってみて貰いますね」
グラテミアは転移魔法でブレスレットを何処かへ送ると、イズミと一緒に従者の淹れた紅茶を飲む。
程好い温度になっており、コーヒーロスをしているイズミには何時にも増して美味しく感じる。
「…返事が来ました」
「早いですね」
「革紐は適応度が低く実用には適さなかった、独特な取付方法をしている方が良い。出来れば石にバリエーションが欲しい」
「革紐は微妙でしたか」
「どうも革が劣化するのでしょう」
「そうだ、フラウリアさんから聞きましたよ。石化魔法を発現した方がいらっしゃるとか」
「そうなんです。石化魔法の影響で革紐が傷んでしまっている可能性はあります」
転移魔法でグラテミアの元へ返ってきたブレスレットを見ると、革紐は見事な迄に細かく千切れていた。
対して9ピンで繋げたブレスレットは問題無く使える状態だ。
「これはまた、完全に駄目になってますね」
「石化魔法以外にも作用しているものがあるのかもしれません。イズミさん、此方のブレスレットで製作をお願いします」
「分かりました、残っている革紐のブレスレットも作り直しますね。後は石のバリエーションですか」
「私としては全て同じ作りの方が、分かりが良いと思っていたのですが…身に付ける物となると、こだわりたくなってしまうのでしょう」
イズミはマスタングに魔法通信を繋ぎ他の石も実体化してもらい、一度回収してからグラテミアの元で仮組みをする。
これで石は大分カラフルになった。
最初に出した紫色の石と、今回実体化した水晶のような透明系の石にガーネットのような赤い石、他にも数種類。
仮組みの作業を見ていたグラテミアが9ピンを1つ手に取ると、
「とても細い針金…純度の高い銀なのですね」
「私なりのこだわりですかね。この針金を工具を使って上手く形を整えると…こうなります」
イズミは少しだけ慣れ始めた手つきで1つを完成させる。
紫、透明の2種類を交互に繋げたブレスレットだ。
「紫色の単体でも綺麗でしたが、此方の方が明るく見えますね」
グラテミアは出来上がったブレスレットと、他の石を仮組みしたままの状態の物を転移魔法で送る。
「さて、これでどんな回答がくることやら」
イズミは紅茶を飲み終えると、挨拶をしてから一旦自分に割り当てられた部屋へと戻る。
扉を開けるとオリヴィアが椅子に座っており、朝から疲れた表情をしていた。
「オリーどうした?疲れた顔をしてるぞ」
「朝からクリームのテストをしてたら、何だか疲れてね」
オリヴィアは日が昇り始めたくらいからフラウリアに連れられて、クリームの最適な配合比率を求めてぶっ続けのテスト祭りだったらしい。
「アタシが本気で動こうとしても、全然身動きが取れなくてね」
「しっかりホールドされてたのか。オリーですら抜け出せないなら、俺は無理だな」
流石に朝から酒を飲むのはマズいので、2人はコップに水を注いで喉を潤した。
コップをテーブルに置いたオリヴィアは、隅にまとめられている9ピンの残骸を見ながら質問をする。
「イズミ、何か作ってるのかい?」
「ちょっとした工作かな、ブレスレット」
イズミは石と9ピンと工具を用意して、試しに1つ作ってみる。
「へぇ!器用な事をするんだね」
「オリーもやってみるか?」
「そうだね…でもアタシは細かな作業が苦手で」
「誰も最初はそんなもんさ。こういうのは練習あるのみだし、梅雨明けまでは時間がある。一緒にやろうぜ」
幸いマスタングが工具を3セット用意しているので、オリヴィアの分も直ぐに渡せるのだ。
工具セットを渡した所で、扉を軽くノックされた。
「失礼致します。イズミ様、グラテミア様がお呼びです」
「もう返事が来たとか?」
「はい。詳細はグラテミア様よりお聞き下さいませ」
イズミは従者と共にグラテミアの部屋に向かうと、テーブルには3枚の羊皮紙が置かれていた。
その羊皮紙はブレスレットの仕様書になっており、石の数や配置の指定が記されている。
ご丁寧に3枚ともサイズ展開の注文まで入っている程だ。
「…おぉ」
「ブレスレットの付与効果は非常に満足だそうです。ただ、どうしても彩りが欲しいとの事で候補を出させたら、この3種類での製作依頼が来ました」
メガネをかけたイズミが羊皮紙に目を通していると、要求されている数の所で視線が止まる。
「各依頼書の配置パターンで30個ずつ、更にサイズも大中小で同数欲しい。メンテナンス用に工具と予備部品も提供頂けると大変助かる…痺れるぜ」
イズミは合計で270個のブレスレットを作ることがほぼ確定してしまった。
対価としてブレスレットを渡す以上、パーツを渡すから自作しろとは言えないので、ここは頑張るしかない。
ネックレスも幾つか作る話にもなっているので、製作数は300個を覚悟する必要がある。
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